ちょっと面倒くさがりの提督と艦娘たち   作:Koki6425

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駆逐艦を助け出せ

空母達から少なからず警戒されたりすることは少なくなった。飛龍だけは未だに警戒しているようだが、それも少しずつ柔らかくなっていき今では日常で普通に話せる程度にはなっていた。

相手にしたら面倒くさい…というわけではないにしてもまだ危険分子とまでは言わないがそういった艦娘がまだこの鎮守府には何人かいると思っていいと思う。私的になんとかしたいと思っているのが駆逐艦の子達だ。彼女らは装甲が薄いので空母や戦艦の砲撃を食らうと一撃で大破するし、軽巡ですら大破することもある。だが魚雷による攻撃は戦艦や空母には効果が抜群で戦艦がたくさん出てくるところで駆逐艦を戦わせて損傷なく帰ってきたという事例を聞いたことがある。

「そういえば…」

俺は机の上にあった書類を見る。その書類に書かれているのは以前榛名が書いたと言っていた被害数だ。駆逐艦の欄にも少なからず数字が書かれていた。だけど俺はさすがにそれは冗談だろうと思って重要視していなかった。それも俺の面倒くさがりな性格が招いた結果なのだろうと思う。

そんなことはさておき、金剛達戦艦勢や蒼龍達空母勢にその被害者がいたように、軽巡、重巡、駆逐にいてもおかしくはないと何故わからなかったのか。否、認めようとしなかったのか。駆逐艦も艦隊戦闘においては重要な戦力として役立つ。なのにそれを無視していたのはとんでもないミスをした。だがもう後悔しても遅い。後の祭りならこれからのことを考えるしかない。

だけど具体的な案が浮かばない。ただ呼んで仕事をさせるだけならまだしも、私的な用事で呼んでしまっては怖がらせてしまうのではなかろうかという不安が残る。良い方法を考えるのも提督の仕事だがそれをしようとせず面倒くさがっているのはただのくずだ。いくら面倒くさがりでもやることはやる。それくらいはわきまえる。

「失礼します」

扉から入ってきたのは榛名だ。そういえば今日は秘書艦だったなと思い出す。榛名に少し書類を渡して手伝ってもらう。その時間違えてその書類を渡してしまった。榛名はそれを見て「まだとっておいてあるのですね」とだけ言って机の上に置いた。榛名にとっては思い出したくないようだったようだ。これからはどこかにしまっておくとしよう。

だけど榛名はそれに続けてもう一言言ってきた。

「その書類をどうするおつもりですか」

どうしようか迷っていたところだった。駆逐、軽巡、重巡とまだあまり関わっていないことが多い艦もいるのでまだ捨てるわけにはいかないのだが俺にとっては今は彼女らとの細いパイプのようなものなのだ。

「ちょっと駆逐艦の子達について聞きたいんだけど…」

「聞かなくてもわかるのではありませんか?」

榛名の言うとおりだった。日常で見る―主に見るとしても食堂とかで見る―駆逐艦の子達を見るたびに何やらおびえている様子だった。それを見て何度申し訳ない気持ちになったか覚えていないほどだ。榛名の言うとおり効かなくても自分自身で理解していた。だがその中でも少しだけ変わった艦娘がいたのを覚えている。金髪だったので結構見分けはつきやすかった。

彼女の名前は夕立。白露型駆逐艦の子だ。周りには以前同じ艦隊に所属していたと思われる艦娘達がいた。ほとんど同じ艦隊で出撃することが多かったから一緒にいた方が効率がよかったというのが見受けられた。それもそうだが他の艦娘達と違った点は仕事ですら会うことを好まないような艦娘であったと言うことである。視界に入れたくない、生理的に無理と言ったような感じだと思われる。確かにここの艦娘はほとんどがそうだ。戦艦や空母達は私情で任務を失敗させるようなことはなかったので良いのだが駆逐艦の中でも夕立だけは出撃させたら失敗するのではないかという考えが抜けない。夕立だけではない。もしかしたら他の艦娘もそうなのかも知れない。

そういえば…夕立はいつも妙なものを首につけていたような覚えがある。犬がつけるような首輪だっただろうか。とにかくそんな感じだったはずだ。それをつけられていると言うことはおそらく「鎮守府の犬」みたいな感じで差別されることはなかったにしてもカーストの下の方に見られていたのだろう。ここの鎮守府の子達は少なくとも心の底では仲間を大切にしていることが多いように思えるので提督がそう見ていたと言うことであろう。

無性に気になりだした俺は夕立を呼び出すことにした。だが一人で会うのは嫌がるだろうから誰か一人一緒に連れてくるように行った。別に一人でも来て良いのだがそこは俺の配慮…というかなんとなくの考えだった。

しばらく待っていると夕立が入ってきた。だが夕立はもう一人を連れてきていた。それは同じく白露型の制服を着ていた。特徴的だったので忘れることはない、時雨だ。アホ毛が目立つ同じくらいの少女だ。だが二人とももちろんのこと改二になっている。さすが二つ前の提督だ。

夕立の首にはやはり首輪のようなものがついていたがそれは時雨も同様だった。俺はそれがなんなのか二人に問いただした。二人はそろって「首輪」だといっていた。そんなものは見ればわかる。外さないのか聞いたら「外せない」といっているではないか。確かに普通の首輪とは訳が違うのはわかっていた。

「なるほど…ちなみに榛名はこのことを…」

「もちろん知っていました。ですが知識の無い者が触れるのはどうかと思いまして…」

「今度からちゃんと俺に言えよ」

俺はおもむろに工具箱を取り出すと、夕立達をソファに座らせる。そして髪をまくし上げてもらいそれをはずそうとする。外見からして金属で出来ているのは明らかだったのでおそらく加圧式の爆弾か何かなのだろうと考えたのだ。だがもちろんのこと俺はそう言うものには詳しい。なぜなら軍で爆弾処理を習ったからだ。実習でやるのは初めてだが命がかかっているのに失敗するわけにはいかない。

しばらくして二人の首輪を外すことに成功した。その二つの首輪は海へ投げ捨てた。夕立達はその首輪が外れたことで緊張が解けたのかその場に崩れ去るように座っていった。無理もないだろう。常時死ぬ恐怖を感じていないといけないなんて海に出て何時死ぬかわからないのに日常でもそんなことを考えないといけないなんておかしい。以前の提督に感じていた殺気が三度も襲ってきたがなんとか押さえ込む。首輪をしているのは二人だけだったのでよかった。二人は首輪のことに関して礼をして部屋を出て行った。

爆弾処理を誰かが見ている中のとんでもない緊張の中でやったので俺は心臓が破裂しそうだった。さすがにこれは比喩だったけどとにかく緊張した。榛名はそんな俺にお疲れ様でしたと労いの言葉を掛けてくる。すごく嬉しかった。労いの言葉を掛けられたのは何時ぶりだろうかという感じだった。

これからあの二人を起点に駆逐艦の子達と仲良くなれれば良いなと思う。時間はまだ余裕がある。俺が戦時中の今死ぬことがなければ死ぬまで余裕がある。まだ難しい道では歩けれど進んでいこうと思う。

 

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