ちょっと面倒くさがりの提督と艦娘たち   作:Koki6425

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鎮守府の過去

昨日の夜は霧島の言っていた意味があまり理解できず、それを考えていたせいで寝れなかった。だが仕事を休むことは大きな怪我でもしない限りは不可能なので今日も憂鬱な仕事の開始だ。普通に仕事をするなら、期待なり色々あるが俺の場合は違う。確かに研修中は早く鎮守府をもちたいと思っていた。だが、昨日の加賀のことと言い、榛名のことと言いイレギュラーが重なって気疲れしている。

起きてすぐに身支度を済ませ、俺は眠気を吹き飛ばすためにコーヒーを入れた。執務机に座って今日の仕事の一覧を見ていると誰かが扉を叩いた。ちなみに今の時刻は午前5時30分。こんな時間に何のようだ。まだ寝ていても良いはずの時間だというのに。

早起きは三文の徳という言葉もあるので少し褒めようかなと思っていると扉が開いた。許可していないのに入るなと言いたいところだけど寝起きでそんな気力は無かった。

「あら、提督。起きていらしたのですね」

「赤城か。初めましてだな」

入ってきたのは正規空母赤城。加賀と列んで多くの鎮守府で主戦力として運用されている艦娘の一人だ。そして多くの鎮守府で提督を困らせる要因を作る艦娘でもある。多くの鎮守府で提督達を悩ませる理由というのは、空母なら誰しもそうなのかも知れないが、物資のことである。

多くの提督は物資を集めたり支給されたり、色々と入手する手段をもっている。だがそれでもその多く…20%が赤城や加賀と言った正規空母に食われているそうだ。艦娘達の燃料、弾薬、修復。それらに9割方使われている。その中の20%と言ったら相当な量だ。

話がずれている。赤城はまだ挨拶に来ていなかったから挨拶をしに来たらしい。俺は赤城に緑茶を入れる。「いただきます」と言って飲んでいる赤城の姿は正直なところとても美しく、たくさんの人から信頼されそれらを引きつける何かをもっている。

赤城はお茶を長机の上に置くと一息。そして再び口を開いた。

「本日はどのようなご予定で?」

俺は赤城に今日やる予定の仕事を書いた一覧表を見せる。とは言っても明石にはすでにこの資料を送ってもらうよう妖精さんに頼んでもらったので何個か終わっている。いくつか資料に印をつけ、机においたときふと目についた物があった。

それは俺も見たことのない書類であった。大本営に送るための書類でないことはなんとなく勘でわかった。だがその書類の内容がやはり気になって俺はその書類を手に取った。

「あっ!提督それは!」

赤城が何かを言っているような気がしたのだがその時にはすでに俺は書類を見ていた。

だがその書類に書かれていたのは俺には考えられない物だった。

「なんだこれ…」

書かれていたのは艦娘の名前。それと一緒に書かれていた数字。的を轟沈させた数だろうか、最初はそう思った。だが、それにしては数が少ない。10とか20とかその程度なはずがない。この鎮守府は数年前から動いているがそれならその年数に相当する轟沈数であっても良いはずだ。少なくても50とかあってもおかしくない。その中人一倍大きい数字の持ち主がいた。

加賀だ。加賀の数字だけ300を超えていた。それと列んで書かれていた赤城の数は0。他にも駆逐艦全体で20。軽巡で30、重巡で総和で200ほど。軽空母は0だったが戦艦は軽巡や重巡。ましてや駆逐艦より少ない5だった。総和が一番多いのは空母。その中でも軽空母ではなく正規空母達。加賀の数字が総和を跳ね上げて500という数字を出していた。

「提督、悪いことは言いません。その数字は見ない方が良いと思います」

「…?なんで…」

「それはおそらく榛名さんが書いた物です。字が彼女の物です」

榛名が書いた物が何故今ここにあるのかは気になる。昨日の夜は鍵を閉めたし誰も入ってこれるはずはない。そして朝に鍵を開けたから朝でもない。可能性があるとすれば昨日だが昨日の記憶があまりない。ぐっすり寝てしまったせいでほとんど忘れているようだった。

俺は赤城に聞いた。「この数字は何か」と。赤城はしばらくなんとしても言わない姿勢をとっていた。だが、俺が何度も言ったからかため息をついて話してくれることになった。

とても真剣な表情なのでさっきの湯飲みにお茶を再び入れて応接用のソファに座らせる。そして俺はその書類を机の上に置き話を聞くことにした。

「自分から頼んでおいておかしいかも知れないが本当に大丈夫か?」

「大丈夫です」

__________

私は一航戦赤城。この鎮守府に在籍している艦娘の一人。今の提督の二つ前の提督の時からこの鎮守府にいる。周りの練度が高い中この鎮守府の防衛を主として活動していた艦娘。とても楽しく充実した日々を過ごしていた。そう、あの人が来るまでは。

二つ前の提督がある日突然行方不明になった。何があったのか艦娘達は必死に調べた。そして私達はその提督が交通事故に遭ったと言うことを知った。そのことをすぐに大本営に問い合わせたら、トラックにひかれ即死したと言うことを告げられた。

その話を聞いた艦娘達は号泣。私も号泣まではしなかったものの涙を流した。その話を聞いたのと同時にある人物が鎮守府を訪れた。

新しい提督。ここの鎮守府の戦績を高く評価した司令長官が上手く運用してくれるだろうと送ってきた人物であった。本人に確認をとったり大本営に確認をとったりしたらその話は事実らしく、とても成績がよかったとして知られている。

私達も最初は1度気持ちを切り替えて仕事をした。だけどその気持ちもすぐに絶望へと変化してしまった。

ある日のこと、ある一人の艦娘が提督の部屋に行こうとした。ただその途中でその提督と遭遇。ここまではよかった。だがその提督は事もあろうにその艦娘を提督室へ連れ込んだ。それを見た艦娘の証言によると「普通だった」らしいが現状を知っている人物は少ない。というか話をしていない。

その提督は連れ込んだ艦娘に対して性的暴行を加えた。理由は気まぐれ。あの資料に書かれていた数字はすべて艦種別の「回数」の数字だった。特に多かった正規空母。その中でもさらに大きかった加賀さん。

そう、加賀さんが一番その被害を受けている。3年間その所業は続いた。艦娘達もその鎮守府の状況を嫌になって憲兵のところまで自分の足で報告しに行った艦娘がいた。その艦娘の働きかけによりその提督は追放。つい先日死刑判決が下り、即座に執行された。

__________

「もうやめろ!」

赤城の話を聞いていた俺は話を聞くのが嫌になって途中で勢いよく立ち上がり叫んだ。その時の赤城の表情ときたらもう見ていられない。そんな状態で3年間もの間苦痛を味わい続けてきた艦娘達のことを考えると胸が痛くなるなんて話ではない。心臓発作が起きたときのように苦しかった。

涙を流しかけていた赤城に俺はハンカチを渡す。赤城はそのハンカチで目を拭うと俺にハンカチを返してきた。

「すみません。取り乱してしまいました…」

「聞いてよかったよ。やっとここに来た意味を見いだすことができた。後は俺に任せてくれ」

赤城はお茶を飲み終えるとそれを机において一礼し部屋を出て行った。その赤城の顔はとてもすっきりとした顔をしていた。すこしだけではあるが彼女たち艦娘の役に立つことができたと思って嬉しかった。これから俺の提督業務は一段と忙しくなりそうだ。そう思い憂鬱になる俺であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

三時間ほどぶっ続けで執務をした。秘書官として加賀に仕事を手伝ってもらったというのに相当な量だった。引き継ぎの書類がほとんどを占めていたのと長期の任務に関する途中報告書的な書類に目を通したりと色々時間を食われた。現在少し休憩をしようと加賀にお茶を入れたところだった。

「提督、現在はお昼です。休憩されては?」

「ん?ああ、そういえばそうだったな…」

「Heyテイトク!Lunch timeにするデース!」

お茶を飲んでいると部屋に勢いよく入ってきたのは金剛だ。どこの金剛もこんな感じで提督という人物に対して考えられないほど激しい愛情を向けている場合も多い。詳しい事情は知らないが前の提督の時は違ったのだろうと思う。

ちょうど腹が減っていた俺は加賀も連れて食堂に向かった。いつも間宮さんだが今日は鳳翔さんが作っているようだ。うちの鎮守府では間宮さんたち給料艦の事を考えているのか偶に鳳翔さんが料理をしていることがあるようだ。だけどその実態は…考えたくもない。

定食を頼んで俺はそれをテーブルへと運ぶ。そしてその昼食を俺は口へと運ぶ。だがその瞬間。俺はとてつもない違和感を感じた。それは味だった。確かにおいしい。それは確実だ。だが、何やら味わったことのない感覚が全身を襲った。

「……テイトク……しっかり…」

金剛の声が少しずつ遠のいていくのがわかる。何が起きたのかわからないまま俺はそのまま時の流れに身を任せた。

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