ちょっと面倒くさがりの提督と艦娘たち   作:Koki6425

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ささやかな日常

鎮守府に戻ってきて3日。入院していた期間は赤城たち曰く1か月。その間艦娘たちが頑張って書類をやってくれていた。礼を言ってから俺は執務に取り掛かっていたのだが大本営からついに書類が届いた。しかもそれは俺という人間に対してあてた手紙だった。『機密』と大きく書かれていたので開けてみた。

中身はやはり手紙。それと一緒に俺が病院にいたことに関する書類も入っていた。手紙を手に取って封を切り中から手紙を取り出し読んだ。

軽く読んでいたがほとんどが雑談とかだった。いや、そんなの書く暇があったら待遇改善を要求する。手紙は封筒にしまおうと思ったのだが手紙を入れようとした時何かにつっかえた。その中にはまた別の手紙。マトリョーシカかと突っ込みたくなったがそれをおさえてその手紙を開いた。

こっちに関しては結構まじめな内容だった。そう、無視はできない内容だった。

「提督、大丈夫ですか?」

「ああ、すまん」

今日は榛名が秘書艦だ。ここは交代制で日ごとに秘書艦を変えて仕事をしているらしい。まあ別に俺がそれに従う義理はないのであるがそういったことを気にしている暇と余裕は今のところはないからまた別の機会にする。

書類整理をしていると誰かが扉をたたいた。入ってきたのは霧島だった。出撃の報告書を書いてきたらしくその提出に来たらしい。書類を受け取ると霧島が話しかけてきた。内容はやはり以前の事件に関すること。一部の艦娘、長門たちだけこの案に関わっていて霧島もそのうちの一人。

しばらく話をした後また別の書類を渡され霧島は部屋を出て行った。再び榛名と二人きりになったのだが榛名が書類以外のことで珍しく話しかけてきた。

「提督はもう以前の提督の話を聞きましたか?」

「ああ、赤城から聞いたよ。胸糞悪くなる話だったけどな」

「その時書類ありましたよね?あれ読んでますか?」

その書類とは恐らく数字が書かれた書類だ。赤城が「榛名さんが書いたもの」といっていたやつだ。ちょうどいま引き出しの中に入っている。それがどうしたのかと思って聞き返した。「なぜそれを今言うのか」と。榛名はそばにあったお茶を飲んでいった。

「私…どうすればいいかわからなくて…ただただ見ていることしかできなくて…私は…助けを必要としている人を助けなかった…」

「いや、仕方のないことだと俺は思う。仮にも上官だから手を出せばどうなるかわからない。助けられる勇気も必要かもしれないが無理にやろうとして失敗でもすれば大変だしな。俺も男だがその男に勇気を出してそのことを言ってくれたんだから十分勇気のある人だよ」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

榛名に感じた恐怖は居間では全く感じなくなっていた。気にすることもなく順調に進み時間は経過。現在は午後の5時。出撃した艦娘たちも全員戻ってきて入渠中。流石に執務をし続けるのは俺でも疲れるので現在は休憩している。偶にはお茶を飲みながらのんびり本を読むのもいいものだ。

それにここから見える外の景色はきれい。ちょうど日が沈むのが見れる場所だ。ちょうどいま水平線にさしかかっているところだった。赤い光が執務室に入り込む。そういえば昔読んだ小説に夕日に照らされた仕事部屋で告白するなんてシーンがあったな。まあそんなことは今後一切起きることはない。それにあれは俺にとっても黒歴史だからあまり触れたくない。

下の演習場では何人もの艦娘が演習をしている。少し遠いが弓道場から出ていく二航戦の二人。交渉からちょっぴり聞こえてくる作業音。どれもなぜか俺の心を癒してくれる。

気づけばそれだけで20分ほど経過していた。時間の流れというのはとても速いもので太陽の光ももう少しで届かなくなるまで沈んでいた。

そろそろ休憩も終わりにして晩飯の時間になるまで執務をしようかと机に向き直るといつものように扉を叩き艦娘が入ってくる。誰かと思うと鳳翔さんだった。曰く、今日は満月なので早めに晩ご飯にして月見をしようかと思ったらしい。確かに艦娘とあまり関わっていない俺にとっては良い機会だ。鳳翔さんに言って早めに晩ご飯にすることニした。鳳翔さんは鎮守府内に放送でその情報を流していた。俺も片付けて食堂へ向かう。

食堂にはすでに何人かの艦娘が集まっていた。その中でも一番早かったのは島風。やはり口癖の通りだ。その他には酒豪と言われている那智という人もいた。とりあえず席に座って時間になるのを待つ。

「バーニングラーブ!」

扉を勢いよく開け金剛が飛びついてくる。まあ軌道が見えているのでよけることはできるのだがよけると比叡になんか言われそうな気がしたので仕方なくそれを受ける…と思ったら大間違いだ。たとえそうなろうとも俺の命の安全が保証できないからよけた。抱きつく先がなくなった金剛はそのまま床に激突。金剛の3姉妹が「大丈夫ですかお姉様!」と走り寄ってくる。それだけ仲の良い姉妹なのはうらやましい。

その後比叡にめっちゃ言われた。というか上官に対してここまで言うようになったというのはそれだけ信用されていると捉えても良いと思いたいところだ。金剛が入れてくれた紅茶を飲みながら話をしていると鳳翔さんが話しかけてきた。内容は食費に関すること。こういったイベントもののお金は基本ポケットマネーらしく二つ前の提督の時もそうだったらしい。確かにお金のことを全く考えていなかったので万事休す。だが俺も男だ。女所帯であるならそこで奢るのも男というものだろう。

「…よし!今回の食費はすべて俺が払う!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんなこと言わなければよかった」

今回の月見の食費は俺がもつと言ったばかりに俺は不幸な思いをした。なぜなら周りの普段酒を飲まない奴も飲むようになったからだった。隼鷹はもとからだし、那智も普段通りらしいのだが問題は金剛だった。二つ前の提督の時そういったイベントをやってよく酔い潰れていたと教えてくれた。俺も最近お酒を飲んでおらず飢えていたのでそれに付き合うことにした。

そして今現在俺の座っているすぐ左隣に金剛、右隣に榛名。正面で比叡と霧島がいる。そして一番の問題は全員酔っ払っていることでもう大変な状況だった。酔っ払っているが故に動くと服がはだけて胸元があらわになり目のあて先に困る。

「早く飲むデーステイトク~」

「勝手は!榛名が!許しません!」

飲ませようとしてくる二人をどうにかしようと正面の二人に視線を送ったがよく考えてみれば二人とも酔っ払っているから絶対助けてくれそうにない。それどころか…。

「気合い!いれて!イキます!」

「やめろ」

「この後司令が私を襲う確率は100%です!さあ!どうぞ!」

「いや襲わないから」

マジでやばい。この状況を脱する方法を探すがあまり言い案が思いつかない。それに加えてまだこの鎮守府で数日しか経っていないというのに何か起きると俺のイメージはがた落ちするし、俺の集中力も続かなくなる。

周りに目を向けるとあまり気にしていないようだ。以前のことを知っているせいだろうがちょっとホントにやばくなってきた。飲まないと暴れそうだから飲んでいたが俺もそれほど酒が強いわけではないので意識が少しずつ遠のいていくのがわかる。

そしてある時点で飲んだ酒を最後に俺の記憶は吹き飛んだ。だが最後に金剛達が「それじゃあ運ぶしかないデスね」といっていたような気がしないでもないがそれを気にする余裕も俺にはなかった。

 

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