問題児たちが異世界から来るそうですよ?√G 作:heartz
私が知らない間に前作のUAの桁がおかしなことになってますが気にしない方向で。
ラストエンブリオの方でメソポタミア神話の話がちらほら出てるのでそろそろギルガメッシュが出ても良いのではないのでしょうか?期待しています。
年末でギルガメッシュを引いた私に抜け目はないと言う事で、一話目どうぞ!
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「シドゥリ!シドゥリはいるか!」
咆哮が響く。
第四桁、四七九六外門にその宮殿は存在していた。
「こちらに。どの様なご用件でしょうか、王よ」
その最奥、玉座の間にてギルガメッシュとその補佐、シドゥリが談論を交わしていた。
「”―――”は知っているな?」
「はい。勿論でございます」
「その残党が、異世界から『人類最高位のギフト』を持つ者を召喚した」
「!.........ようやく人類最強戦力が召喚されたのですか」
「ああ。そこで相談なのだがな、シドゥリ」
「ええ、分かっています王よ。そこにある雑務の山は私が片付けておきます故、どうか白夜王の元へ」
「流石だなシドゥリ、褒めて遣わす」
「恐縮です王よ」
と言いつつも、大体の雑務は何時もシドゥリがしていることである。慣れた手つきでその山を抱え、玉座の間を後にした。
シドゥリが去っていくのを見送り、ギルガメッシュは腰を浮かす。
「『―――』か。人類種の原点候補者がどの様な者か、この我が裁定してやろう」
薄笑いを浮かべながら、全てを見通す英雄達の王は宮殿を後にした。
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「なんと!?クリアではなく直接倒したとな!?ではその童は神格持ちの神童か?」
「いえ、黒ウサギはそう思いません。神格なら一目見れば分かるはずですし」
第七桁二一〇五三八〇外門。そこにあるギルド”サウザンドアイズ”の支店。その中では、件の異世界から召喚された『人類最高位のギフト保持者』、逆廻十六夜・久遠飛鳥・春日部耀の三人に”ノーネーム”所属の箱庭の貴族、黒ウサギと”サウザンドアイズ”の幹部、白夜叉がここ、『箱庭』について大まかな説明を行っていた。
その途中、白夜叉が黒ウサギの持つ『水樹』に疑問を抱き、誰がそのゲームに勝利したか聞いたところ、問題児の一人、逆廻十六夜が直接殴って倒した事を聞き、眼を見張っていた。
「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったんですか?」
「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがのう」
小さな胸を張り、呵々と豪快に笑う白夜叉。
だがそれを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせて問いただす。
「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」
「ふふん、当然だ。私は東側の”階層支配者”だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティ並ぶ者がいない、”最強”の主催者なのだからの」
”最強の主催者”――その言葉に、十六夜・飛鳥・耀の三人は一斉に瞳を輝かせた。と同時に、襖が勢いよく開かれ、威厳ある声がその部屋に満ちる。
「大口をたたいたな白夜叉。この我を差し置いて最強を謳うか」
「.........申し訳ありません。急な訪問は迷惑と何度も言っているのですが」
急な訪問者の隣で身を縮こませる女性店員。謝られた白夜叉は苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
「よい。そやつは何を言っても聞く耳を持たん」
「おい、我を無視するとはいい度胸だな。塵になるか貴様」
問題児三人も多種多様な驚きをしているが、一番驚いているのは黒ウサギだろう。
「ギ、ギルガメッシュ様!?どうして貴方がこんな下層に!?」
「黒ウサギか。いやなに、貴様らが異世界から『ギフト保持者』を召喚したと知ってな、白夜叉に確認に来たのだが、その必要はないらしい」
そう言うとギルガメッシュは件の問題児三人に眼を向ける。十六夜はギルガメッシュの名に驚いており、飛鳥は白夜叉に挑む所を邪魔され不貞腐れている。そして耀を見たギルガメッシュは眼を細めた。
「おい、そこの娘。名を名乗れ」
「私?春日部耀」
それを聞いたギルガメッシュは笑みを浮かべ眼を閉じ郷愁に似た何かに浸る。――戦友とまではいかなくとも、共に戦争を歩み、そして勝利の杯を交わした相手を想い――
「用が済んだならさっさとホームへ帰れ」
眼を閉じるギルガメッシュに白夜叉はしっしっと手で払う。そんな事が出来るのは箱庭中を探しても片手で数えられるくらいだろう。
白夜叉の挙動に冷や冷やしている黒ウサギはギルガメッシュに眼を向ける。するとギルガメッシュは笑みを浮かべていた。
「普段ならば貴様とはいえ断罪する所だが、良い許そう。今の我は気分が良い。何せ、あの孝明の娘に会えたのだからな」
孝明。その名を聞いて反応する影が三つ。黒ウサギと耀、そして白夜叉。箱庭に住まう者ならば知らない者はいないと言うほどの功績を持つ男。
”彼の戦争”を戦い抜いた英雄であり”旧ノーネーム”の前リーダー。そして、
「あなたは、私の父を知っているの?」
春日部耀の父である。
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「孝明とは”あの戦争”を共に闘った仲だ」
そう言いながら腰を下ろすギルガメッシュ。白夜叉はそんなギルガメッシュに『こいつ居座る気か』と隠すことなく嫌な顔を一つ。
十六夜と黒ウサギ、そして耀がギルガメッシュの話を聞いてる最中、飛鳥が白夜叉に近づく。
「ねえ、あの人は誰なの?箱庭の人間って割には十六夜君も知ってるみたいだし」
「おや、娘はあやつを知らんのか。どれ私が教えて上げよう」
久遠飛鳥は普通.........とは言えないが、少し特殊な力を持っただけの普通の娘である。十六夜の様に知識が豊富な訳ではない。故にギルガメッシュの事を知らなくてもなんら不思議ではないのだ。
「あやつの名はギルガメッシュ。女神と人との間に産まれた半神半人の英雄じゃ。この箱庭には様々な修羅神仏、そして英雄がおる。箱庭で産まれ育った者、そして箱庭の外、つまり外の世界で英雄として祀り上げられ、箱庭に召喚された者。ギルガメッシュは後者じゃ」
英雄王ギルガメッシュ。古代シュメールの英雄であり、メソポタミア神話やギルガメッシュ叙事詩などに登場する最古の王。様々な武勇を残し、神々に愛され、されど神を嫌い、神代に終わりを告げた正真正銘の大英雄である。
「あら?という事は私が彼を知らないのは私の知識不足.........?」
「まあそうなるの」
それを聞いた飛鳥はどんよりという言葉が似合いそうなほど落ち込んでいた。
「英雄とは言ったが、ギルガメッシュは英雄の器を超えておる。神殺しなど当たり前に行う実力を持ってる上に、奴の千里眼は”ラプラスの悪魔”に迫るほどじゃ」
ギルガメッシュは後世において『全てを見た人』と語られる。東西を問わず、古今を問わず、全てを見通すその眼は、未来視の悪魔である”ラプラスの悪魔”に匹敵する。自らに、そして国に害を与える者をその目は逃さない。
「とは言っても、あやつに敵と認定される者はほとんどいないがの。あやつにとって、殆どの者が有象無象の塵にすぎん」
飛鳥は『そんな凄い人だったの........』と戦慄を覚え、私も話を聞きに行くと、十六夜達の中に戻って行った。
「やれやれ、今は機嫌がいいから良いものを。普段のあやつを知ったらこの三人がどんな顔をするか楽しみじゃな」
そう呟いた白夜叉の顔は、愉悦に染まっていた。
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「それで、結局黒ウサギ達は何の用で来たのだ?」
「あ、そうでした!実は白夜叉様にギフト鑑定をお願いしようと思い此処に来たのですよ!」
黒ウサギのお願いに白夜叉は一瞬顔を顰めるも、扇子で顔を隠し察せられないようにする。
「ふむ.........そうか。だが、無料という訳にはいかんな」
含み笑いを見せながら言う白夜叉に冷ややかな視線を向けるギルガメッシュ。
実際の所、ギフト鑑定は白夜叉にとって専門外も良い所なのだが、それを知るのはこの場にはギルガメッシュ一人。
釘を刺される前に先手を打つ。
(お主も面白い事は好きじゃろう?なら黙ってみてるが良い。幸い当てが無い訳ではない)
(........貴様が言うのならそうなのであろうな。良い、沈黙に徹する事にしよう)
何を隠そう、ギルガメッシュも白夜叉と同じく、面白い事が好きなのである。故に『異世界のギフト保持者』を見に来たし、『彼の戦争』に参加した。
愉悦を求めるのは、何時の時代も力有る者ばかりである。
嫌な話だ。
「そんなこと言われましても、黒ウサギ達”ノーネーム”には差し出せる物がありません。資産も少ないですし、水だって十六夜さんが勝ち取って来た『水樹』が無ければバケツで汲みに行かねばなりませんでした」
「いやいや、そんな事は百も承知じゃ。故に其処の三人には”ギフトゲーム”をして貰おう。ギフト鑑定はその勝利報酬という事で良いじゃろ?」
それを聞いた問題児三人は再び眼を輝かせる。
「そりゃ丁度いい。俺もお前と戦いたかったんだ。彼の英雄王とタメ張れる程の実力者となりゃ最強を語るにも納得ってもんだぜ」
「最強の主催者なのでしょう?探す手間が省けたわ」
「え、ちょ、ちょっと御三人様!?」
慌てる黒ウサギ右手で制す白夜叉。その目は狙い通りといった風に怪しく輝いていた。
「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」
「ノリがいいわね。そういうの好きよ」
「ふふ、そうか。―――しかし、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」
「なんだ?」
白夜叉は着物の裾から”サウザンドアイズ”の旗印―――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、
「おんしらが望むのは”挑戦”か――――もしくは、”決闘”か?」
刹那、三人の視界に爆発的な変化が起きた。
三人の視覚は意味を無くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。
脳裏を掠めたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。白い地平線を覗く丘。森林の湖畔。
記憶にない場所が流転を繰り返し、足元から三人を呑みこんでいく。
三人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔―――そして、水平に太陽が廻る世界だった。
「.......なっ.........!?」
あまりの異常さに、十六夜達は同時に息を呑んだ。
箱庭に招待された時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表現できる見技では無い。
遠く薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を廻る、白い太陽のみ。
まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。
唖然と立ち竦む三人に、今一度、白夜叉は問いかける。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は”白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への”挑戦”か?――――それとも対等な”決闘”か?」
いかがでしたか?
私は3000~5000文字を基準にしています。
二話割とすぐに更新できると思います。
それではまた会いましょう。