魔法少年リリカルけもの   作:さにり

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今回とても短いです。
ディエスキャラの顔見せ回。
あわせて登場人物ページを更新してます。


閑話

 

「アンナー。飯買って来たぞ」

「あ、お帰りヴィル!」

 

 白い髪に、白い肌。サングラスをかけた白貌の男に、こちらも負けず劣らず白い少女が出迎えた。一見して兄妹のようにも見えるのだが、少女の男に対する態度は兄に接するものとは少し違う気もする。

 

「で、どうだった?」

「ああ。次の獲物の位置は分かった。だが、とかく気に食わねぇ。俺らパシリに使っときながら、アイツは引き篭もって遅いだの手際がわりぃだのと文句しか言いやがらねぇ。お前もお前だ。このまま逃げちまえばいいだろうが」

「ダメだよ。お母さん(ムッター)が困っちゃう。お母さん(ムッター)の為にも僕が頑張らないと」

お母さん(ムッター)、ねぇ……。俺はあの婆、全っ然好きになれねぇけどな」

 

 頬を膨らませる少女に対して、男は思い切り顔を顰めて舌を打つ。男にとって彼女の母親がどうというわけではなく、『母親』という存在がそもそも気に入らないのだ。それは、アルビノ故に親から見放され、群れからも追放された身の上であるからではなく、魂の根源に染み付いた嫌悪感。『母親』というものは忌むべき存在だと生まれる前から感じている事柄だった。

 

「ヴィル。お母さん(ムッター)のこと悪く言うのはやめてよね」

 

 しかし、彼とは反対に彼の主たるこの少女は『母親』とはある種特別な存在だ。母に求められることはなんでもしたい。母を喜ばせるためならばなんでもする。献身的すぎるそれは依存にも等しい。何が少女をそこまで駆り立てるのか。分からないと男はため息を吐きながら少女の頭を乱暴に撫でた。

 

「へいへい。いいから、とっとと終わらせんぞ」

「うん。これが終わったらお母さん(ムッター)も褒めてくれるかな」

「さあな。興味もねぇが、テメェがあのクソババァに愛想尽きたって言うときは俺が喰らってやるよ」

「もー。またヴィルはそういう」

 

 何度注意しても治らない男の悪態に、少女は仕方ないと怒りながらも頭を撫でてくれるその手に笑みを見せた。

 

◆◇◆◇

 

 幾多の宇宙を飛び回るその艦内に、警報器が鳴り響く。けたたましいアラート音に少年は部屋を飛び出し艦橋へと足を速めた。

 

義母(かあ)さん、何事ですか!?」

「騒がしいぞ、ハラオウン。緊急事態だ」

「は、失礼致しましたヴィッテンブルグ艦長……! この騒ぎは一体……?」

 

 母と呼んだ人物からの叱責を受けて、少年は居住まいを正すと呼称を改める。それに艦長と呼ばれた女性は小さく頷いてモニターを示した。

 

「管理外世界から異常なほどの魔力反応を観測した。ここまで届くほどの魔力など、本来有り得ない」

「管理外世界……というと魔力技術は発展していないはずですが……」

「そうだ。だからこその異常事態とも言える。何よりこの数値を見てみろ。観測できた魔力だけでもここまでの数値は我々の中でもそうは持っていまい。この場所でなんらかの問題が起きているのは確実だ」

 

 凛とした声は異常事態というには落ち着き払っていて、彼女が司令官としてどれだけ優秀かは一目瞭然だろう。この騒ぎも、彼女が指揮を執っているからこそ騒ぎだけで済んでいる。皆忙しなく動いているが混乱しているものは一人としていない。それを見渡して、少年は気を引き締める。であれば、自分もまた毅然として事態に構えなくては彼女の顔に泥を塗る。

 

「では、我々が行くのですね?」

「そうだ。本部からの許可も得た。此度の我々の任務は問題の発見と早期の解決。そのためにお前にも働いてもらう。期待しているぞ、クロノ・ハラオウン」

「……はいっ!」

 

 毅然とした態度はそのままに、名前を呼び激励するように肩に手を置いてくれたその一瞬。僅かに和らいだその視線にクロノと呼ばれた少年は必ず期待に応えて見せると誓うように大きく頷いた。




マリィルートで幸せをつかみ取ったアンナちゃんをまた屑親の元に送ってしまったのは大変反省しております。
この先幸せが待っているので許してほしい……。
本来黄昏の転生で出会うはずのない赤騎士が黄金と出会うポジションにいるのは私の趣味です。エレ姐さんも龍明姐さんも報われていいと思う……。
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