ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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なんかすごい久々な気がする原作勢の真っ当なパワーアップ回。
その解説のため、今回あとがきが長いです。


Lightning Attacker Aパート

セージ達とシャドウ成二・召喚ライダー連合の戦いは膠着状態にあったが

流れが大きく動いたのは、イッセーがクローズマグマの必殺技・ボルケニックナックルを受け

勝負を焦り、出力を上げたドラゴンショットをディエンドに放ったのだが

そのドラゴンショットが、正面から跳ね返されてしまい

事実上、イッセーが敗北したことに起因した。

 

傷だらけのイッセーを治療すべく、セージはアーシアに対し救援に向かうよう要請する。

 

「アーシアさん……兵藤の奴を……!」

 

「お前も他人の心配などしている暇があるのか?

 目的一つ満足に果たせないような奴が、これから先の戦いを生き抜くことなど不可能だ。

 布袋芙(ほていふ)ナイアは無理矢理にでもあいつをハーレム王……ひいては魔王にしたがっているようだが

 俺にそんなことは関係ない。確かにあいつはダチと言えばダチだが

 あいつが生きようが死のうが、どうだっていい。

 そもそも、一応半死半生で済んだお前と違ってあいつ一度死んだだろ。

 死人は死人らしく、灰になるか墓の下で眠っていればいいものを。

 

 ……いや。死人には、うってつけの行き先があるな」

 

「お、お前……まさか! 兵藤をディス・レヴに取り込むつもりか!」

 

アーシアを程ほどに甚振ったシャドウ成二は、今度はその矛先を満身創痍のイッセーに向ける。

セージはシャドウ成二に踏みつけられ、白音の前にはデストワイルダーが立ちはだかり

ギャスパーと光実(みつざね)も、それぞれイクサとバロンと言う二大仮面ライダーの相手をしている。

とても誰かの救援に向かえるような状態ではない。

完全にイッセーはノーマークになってしまっているのだ。

 

「現状でお前を屠る程度の力はある。だが、腐っても龍の神器(セイクリッド・ギア)を持つ奴だ。

 野放しにして大事になられても厄介だし、ゴミ掃除の一環だと思え」

 

イッセーはともかく、赤龍帝の力は無尽蔵ではないものの未知数である。

それをディス・レヴに取り込んだ日には太刀打ちなどできなくなるだろう。

おまけにディス・レヴ自体が無限とも言える力を行使する媒体にもなりうるため

赤龍帝の力を取り込んだことによるオーバーフローでさえも、期待できない状態だ。

 

「……口実だけは立派だな!」

 

「おいおい、俺はお前だぞ。今言ったことが嘘か真か位、すぐにわかるだろう。

 まして、お前は脳筋になることこそあれ、愚鈍ではなかろう。

 兵藤はともかく、これ幸いにと危険因子であるドライグを処分しようとしている自分がいる事。

 認めないなどとは、言わせんぞ?」

 

不利な立場でありながらも、シャドウ成二に対する闘志は失っていないセージ。

そんな精いっぱいの強がりも、シャドウ成二の前には一笑に付されてしまう。

そしてシャドウ成二も、セージの挑発に乗ることなく、イッセーから狙いを外さない。

抹殺し、死霊となったイッセーの魂をドライグごとディス・レヴに取り込む腹積もりなのだ。

先刻の一件と言い、徹頭徹尾イッセーを利用しようとしているのだ。

そんな彼がイッセーを差し「ダチ」と呼ぶのは、完全な皮肉であり、悪意であった。

 

「赤き龍も、お前達の血肉にするがいい……『悪霊達の機動部隊(ガン・レギオン)』!」

 

「くっ……止めろ、ガン・レギオン!」

 

突っ伏したイッセー目掛けて飛来するシャドウ成二の「悪霊達の機動部隊」を

セージが即席で召喚したガン・レギオンが追撃する。

洞窟内で骸骨の鳥と飛行する戦闘機の残骸によるドッグファイトが行われるが

セージが呼び出したガン・レギオンの方が力が足りず、制空権を奪えない。

 

このままでは、イッセーが「悪霊達の機動部隊」の攻撃に晒されてしまう。

それを防ぐ手段は、無いと思われていた。

 

しかし、ここで驚きの事態が発生する。

アーシアが、身を挺してイッセーの前に立ったのだ。

 

「あ、アーシア! 逃げろ、逃げるんだ!!」

 

「に、逃げません……!

 みんな、辛い思いをして戦っているんです!

 私だけ、後ろでのうのうとしているなんて……もう耐えられません!」

 

「だけど、アーシアには戦う力なんか……」

 

こればかりはイッセーの言う通りである。アーシア自身は悪魔になったとはいえ

下手をすれば、人間にさえも喧嘩で負けてしまいかねない。

それ位、アーシアはイッセーにとってか弱い存在であり、守るべき対象だったのだ。

そしてその見解は、間違ってはいない。いないが――

 

 

「……いいえ、あります!

 生まれ持った神器でも、悪魔になって生まれた身体能力でも、魔力でもなく!」

 

「…………ほう?」

 

不意に立ちはだかったアーシアの眼に宿る輝きを見て、シャドウ成二は攻撃の手を止める。

さっきまで、セージから見出していたもの(希望)よりも強いものを、アーシアから感じ取ったからだ。

 

「どんな苦難が相手でも諦めない心!

 どんなに道が険しくても挫けない意思!

 どんな人でも持っている、そんなありふれたものですけど……

 私にとっては、かけがえのない力です!!」

 

アーシアは神器こそ持っているが、戦いに関しては素人である。

これはなまじリアスもイッセーも、あるいはセージでさえも

アーシア自身を前線から遠ざけていたためになってしまったことではある。

しかし、それが故にアーシアは「普通の人間だからこそ会得できる極致」に

最も近い立ち位置に立っていたのである。

 

そして、そんなアーシアの心に応えるかのように

アーシアの矛となり、盾となって戦い抜いてきた蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)

アーシアの魂の叫びに、彼は咆哮をもって応えた。

 

そんな、彼の様子が……

 

「……ら、ラッセーが……!」

 

「そっちが本命か! だが、先にお前を潰せば使い魔は指揮系統を喪う!

 狙いは変わらんぞ!」

 

当初の予定通り、「悪霊達の機動部隊」はそのままイッセーを庇うアーシアを標的にする。

それを「卑怯」と罵るイッセーだが、シャドウ成二にそんな声は届かない。

 

「…………っ!」

 

「あ、アーシアァァァァァッ!!」

 

「悪霊達の機動部隊」の攻撃による爆風が、アーシアを包む。

先程と違い、セージと同じく直撃である。

生身の人間であるセージよりは僅かながらに頑丈であるアーシアだが

セージはアモンの指導の元マグネタイトで守りに補正を得ている。

マグネタイトの有効な使い方のレクチャーを受けておらず、その補正が少ないアーシアでは

結局セージ以上の被害を被ってもおかしくはない。

そんなアーシアが、悪意に満ちた特攻の総攻撃を受けたのだ。

攻撃によって巻き上がる粉塵にアーシアが包み込まれ、その姿は粉塵の向こうに消えてしまう。

 

 

「て、てめえセージ!! どうして、どうしてアーシアをやったんだ!?」

 

「…………チッ。よく見ろ」

 

様々な意味合いを込めた舌打ちをしながら、苦々しくシャドウ成二は立ち込める煙の方を見遣る。

そこには、小さな人影ではなく人間より少し大きいくらいのサイズのドラゴンの影が映っていた。

 

 

「そうか! 前に記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)で読んだが、使い魔は戦闘の経験を重ねることで強くなる!

 あいつは、ラッセーの奴は確かに今まで多くの戦いを潜り抜けてきた!

 それが積み重なって、こうして……」

 

「……セージさん。もうこの子はラッセー君じゃありません。

 この子が私に教えてくれたんです……蒼雷龍から進化した、紫電龍(パーピュラー・ドラゴン)

 新しいこの子には……『ライリィ』と名付けます!

 

 ライリィ君、あの戦闘機の怨念を、解放してあげてください!」

 

咆哮と共に、ラッセー改めライリィは雷のブレスを吐き出す。

その稲妻は、頭上を旋回していた悪霊達の機動部隊を次々と撃ち落としていく。

先程よりも厚くなった雷の弾幕は、今度は一機たりとも撃ち漏らすことは無かった。

 

『ほう。ガキのドラゴンだと思っていたが、根性もあるし中々見所あるじゃないか。

 なんなら、お前より成長しているかもしれないぞ?』

 

ライリィの獅子奮迅の活躍に、ドライグは同じドラゴンとしても舌を巻いていた。

しかし、イッセーにとっては今一つ面白くない。

元々、ラッセー時代のライリィと反りあいがよくなかったのもあるが

ラッセーと言う名は、アーシアがイッセーにちなんで名付けた名前でもあった。

 

それを、使い魔の進化と言う節目を経たとは言ってもあっさりと変えてしまったこと。

それが、イッセーにとっては面白くなかったのだ。

 

余談ではあるが、このライリィの名前の元となったとあるシスターとの反りあいも

イッセーは決して良くなかった世界が存在する、とはここに明記しておこう。

 

 

「……アーシア先輩があそこまで頑張っている。

 私も、負けていられません」

 

一瞬の隙を突き、白音もデストワイルダーの妨害を突破してシャドウ成二に飛び掛かる。

そのため、悪霊達の機動部隊の第二波を出そうとしていた動きが阻害される。

しかし、それは同時にデストワイルダーを使役していたタイガに対して

隙を見せることにも繋がり――

 

〈FINALVENT〉

 

白音の背後から、デストワイルダーが爪を構えて突進してくる。

爪で捉え、地面を引きずってタイガの元まで運び、爪型武器のデストクローを装備したタイガが

標的を串刺しにする必殺技、クリスタルブレイクの構えであった。

 

「くっ、白音さん!」

 

「…………っ!!」

 

セージの警告で、後ろから突進してくるデストワイルダーに気づくも

そのまま捕まってしまう白音。爪で突き刺され地面で削られることこそ避けたものの

この勢いのままでは向こうで待ち構えているタイガの攻撃に対し防御態勢が取れず

串刺しにされてしまう。

 

ならば、待ち構えているタイガに対しカウンターをお見舞いするしかない。

しかし、タイガは確実に白音を捉えているため、一瞬で決めなければならないのだ。

 

(十文字お師匠様、今こそ私の……私の気の力を使います。

 姉様……一度は姉様を疑った私だけど、姉様の教えてくれた仙術の使い方……

 お師匠様、姉様……そしてセージ先輩。私に、私に力を貸してください!)

 

意を決して、右手に自身のマグネタイトや気と言った生命エネルギーを集中させる。

その過程で、白音の身体が成長しデストワイルダーの拘束が外れたのは幸運的な偶然であった。

全体的に黒歌に勝るとも劣らぬほどのプロポーションへと変貌し

肩程度までの長さだった髪は腰辺りまで伸び、纏っている雰囲気は全く違うものになっていた。

白音の体内に溢れていた気の力を解放したことで、こうした副作用が生じているのだ。

 

「……私のこの手が光って唸る! 未来を拓けと輝き叫ぶ!

 白光! ライトニング……フィンガァァァァァァァァ!!」

 

タイガに接触する瞬間、生命エネルギーを集めた右手をタイガに叩き込む。

攻撃に転じられたことでデストクローで防御を試みたタイガだったが、白音の渾身の一撃は

デストクローを撃ち破り、そのままタイガの腹部に直撃。

攻撃の余波で腰のVバックルに罅が入ったのだ。

 

「スパァァァァク……ジ・エンドッ!!」

 

最後の掛け声と共に、白音の白く輝く右手から、エネルギーの奔流がタイガに注ぎ込まれる。

その影響で爆発が起こり、攻撃に耐えきれなかったタイガは消失。

デストワイルダーも、つられて消え去ったのだ。

 

解放された白音は、へたり込むようにして地面に膝をつき、肩で息をしている。

姿形も、普段よく見知った小柄な彼女に戻っている。

シャドウ成二をけん制しながら、セージもまた白音の下に駆け寄った。

 

「白音さん!」

 

「はぁっ……はぁっ……ちょ、ちょっと張り切り過ぎちゃいました……

 ……セージ先輩、ちょっと失礼します」

 

言うや否や、セージの返答を待たずして白音はセージの懐に潜り込む。

そのままセージの胸板に鼻を擦り付け、背中に手をまわししがみついたのだ。

 

「な……なななななななっ!? せ、セージてめぇ!!

 元浜じゃあるまいに、なんだこれは!?」

 

白音にしてみれば、一番近くにいたのがセージで好都合だったのだ。

生命エネルギー――マグネタイトを使いすぎたため、早急に摂取しなければ

栄養失調のような症状を起こすことになってしまい、死に至りかねないのだ。

本来ならもっと摂取効率のいい行動はあるのだが、一応まだ戦闘中である。

白音自身の恥じらいもあるのだが、そこに至るのは危険であると考えたのだ。

 

……無論、受ける側のセージも今の精神状態で受け入れられるかと言うと疑わしいが。

 

「応急処置だ。それ以外の何物でもない。

 ……で、白音さん。落ち着いた?」

 

「……はい。もう少ししたら、動けるようになると思います」

 

言葉とは裏腹に、セージから離れない白音。

幸か不幸か、シャドウ成二は空気を読んで攻撃の手を止めているし

ライリィはアーシアを背に乗せて、イクサと戦っているギャスパーの加勢に戻っている。

白音の猛反撃と、ライリィの進化で戦況はセージ達の優勢へと傾いたのだ。




真っ当(拙作基準で)

>ライトニングフィンガー
モロバレですが、Gガンダムよりシャイニングフィンガー・ゴッドフィンガー。
実はこの技、白音の師匠に東方先生的キャラを宛がった時点で決めてたんですが
その際に、以前感想欄で言われた「白音に白虎咬」ネタを組み合わせて
「じゃあシャイニングフィンガーでもやってもらおうか、あれ生身で撃てるし(小説版設定・ロマリオ参照)」
と考えてこうなった次第です。
正式名称が「爆熱」ゴッドフィンガーならぬ「白光」ライトニングフィンガーなのは白虎咬ネタの名残。
とどめの「ヒートエンド」ならぬ「スパークジエンド」は
キカイダーの必殺技「デンジエンド」より。ただ、あれ両手技なんだよなあ……

>紫電龍
実はラッセーの名前対策の都合上進化したという、身も蓋も無い裏話。
だってイッセーに因んだ名前を現状のまま使えるかと言われると……
昔の交際相手に因むものを後生大事に持っておけるかと。
少なくとも、私は無理です。特に喧嘩別れした相手のなんて。

進化すれば名前は変わる。ニックネームは進化しても変わらないけれど、ニックネームなら尚の事任意で変えられるし。
貰いものなら名前変更できないけれど、ラッセーは自力ゲットなので任意変更可能。
でもただ変えるだけってのも味気ないので、パワーアップイベント混ぜました。

名前は完全に語感。一応元ネタのタービュラーは、検索してもハードタービュラー(ハードボイルダーの飛行ユニット)しか出ないですが。
辛うじて出たタービュラーテープ(飛行機模型の翼部に張ることで、空気抵抗を軽減させる)
がそれっぽいかな、程度。
紫(パープル)+タービュラーではポピュラー、に近いちょっと抜けた感じになってしまいましたが
まあ、そこはご容赦……多分今後ライリィ呼びになると思いますし。

紫電は蒼雷の意識と、旧日本軍の戦闘機「紫電」より。

因みにラッセー同様の命名形式に則り雷+アーリィ。
アーリィはSINSOU様の作品「和平って何ですか?」に登場した主人公。
「ゴースト」にて参戦していただいたご縁もあり、今回再び使わせていただきました。
あれ特別編とは銘打ってますが拙作時系列では正史扱いですし。

重ね重ね、SINSOU様にお礼申し上げます。


体長はアーシア一人なら軽々乗せられる程度には成長。
雷のブレスも強化された、正当進化系。
原作では「うる星」のテン(あれは火だけど)とピカチュウ的マスコットに甘んじてたような状況でしたが
拙作でそれが赦されるはずもなく、戦闘に向けて正当進化。
ピカチュウのまま通る舐めプが赦されるのはアニポケだけです。
(あれはもう舐めプじゃなくてスポンサーの意向にしか見えませんが)

原作で師事していた(?)オーフィスがあのザマなので、こういう形でパワーアップしないとどうにもならない事情もありますが。

>シャドウのディス・レヴ
こっちに取り込んだ悪霊がセージの所有している方に与える影響については現時点では不明。
ディス・レヴは神器でもペルソナでもないですが、原作シャドウのペルソナ、リバースペルソナもまた
本体のペルソナと起源を同じくしており強化に一枚噛めるので拙作でも似たような状況になるかもしれません。

……少なくとも、記録再生大図鑑に記録したデータについてはシャドウを下すことが出来れば
共有によるデータ更新が可能である、とだけ言っておきます。

>タイガ
Vバックルに罅が入ったのでとどめにならなくてもデストワイルダーに食われてた可能性。
ただ召喚ライダーなのでVバックルに罅の段階で消失してもおかしくはないのですが。
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