ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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……品の無いネタでキャッキャ言ってたその結末が
紅茶メーカーに喧嘩売るってさあ……

フィクションに留めてるからいいじゃん、が通用しなくなるような振る舞いは
慎むべきだと思うんだよね。

価値観アップデートを他人に強要する癖に、自分がそう言われる側になったら
昔からこうだ、は通じないでしょ。


~閑話休題~
ちょっと今回短めです。
次回はなるはやで投稿しますが。


The Others Aパート

シャドウ成二は、白音とセージのダブルライトニングフィンガーで倒された。

立ち上がる煙がそう物語っていると考えた一同は、セージを取り囲み勝利の余韻に浸っていた。

 

 

 

――しかし。

 

 

「…………えっ?」

 

煙の中から飛び出してきた刃付きの触手が、光実(みつざね)の身体を貫く。

龍玄(りゅうげん)に変身しているときなら耐えられた攻撃だが、生身では本当に普通の人間と変わらない。

セージのように、マグネタイトで悪魔にも匹敵する身体能力を得ている訳でもない。

そんな光実が、触手の刃に耐えられるはずが無かった。

 

「み、光実さんっ!!」

 

「こ……これは……!!」

 

煙の中から、幽鬼のようにゆらゆらと立ち尽くす人影が見える。

所々ボロボロになっているが、それはシャドウ成二であった。

 

「……今の攻撃はよくやったと言ってやる。流石は俺だと、そこまで自惚れはしないし

 そもそもお前一人の力じゃないだろう。

 おっと、予め言っておくが俺にとってはお前達全員が標的だ。

 ただ、宮本成二の優先順位が高かっただけだ。

 もうこれ以上、お前達に優位なまま進めはしない。それだけだ」

 

その言葉に、一同はシャドウ成二が再び「悪霊達の機動部隊(ガン・レギオン)」を行使するのかと身構えるが

その気配は一向に無い。ただ、記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を展開させてはいるが。

 

「朗報だ。俺にはもう悪霊達の機動部隊を行使するだけの負念が無い。

 さっきの防御で、ほとんど使い果たしてしまったからな。

 今から外に出てクロスゲートに飛び込めば補給も出来ようが……許すはずもあるまい?

 この辺に漂っているのをかき集めるにしても、それなりの限度はあるからな」

 

いけしゃあしゃあと、種明かしをするシャドウ成二。

そこに狼狽や憔悴と言った感情は、一切含まれていないようだ。

寧ろ、余裕さえ感じられる。その余裕綽々の態度に、却って警戒心を強める一同。

 

「……フッ、合格だよ。今の俺の言葉を聞いて考えなしに突っ込んでくるマヌケがいない。

 そこで不貞腐れてる奴はどうだか知らんが、その程度の脳みそも回せない程度じゃ

 俺と戦って勝つなんて土台無理な話だ」

 

言い終わるなり、シャドウ成二は二枚のカードを引く。

一枚は銃を実体化させるカードで威嚇射撃を敢行。

もう一枚は――

 

「知っての通り、記録再生大図鑑は俺が見たもの、体感したものを記録・再現することが出来る。

 そして、俺はここにいる。そこの宮本成二とは独立してな。

 

 ……言いたいことが、解るな?」

 

「……お前! まさか、どこかでデータの記録を……!!」

 

 

その通り! そう叫びながら、シャドウ成二は二枚目のカードを翳した。

 

 

PROMOTION-BISHOP!!

 

 

僧侶(ビショップ)」への「昇格(プロモーション)」。

元来は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の「兵士(ポーン)」の特性をセージがコピーした……と言うよりは

通常の方法で昇格が出来なかったセージが、強引に昇格を敢行するために

記録再生大図鑑で再現させた、言うなれば猿真似の昇格。

その性質上、悪魔の駒が抜けた今のセージにはある意味、記録が出来ないカードと思われていた。

勿論、僧侶への昇格をセージが記録する機会に恵まれなかったというのも理由として存在するが。

 

元来これらの昇格は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)替わりに紫紅帝の龍魂(ディバイディング・ブースター)を変形させて装甲にしているが

シャドウ成二は紫紅帝の龍魂を持たない。

そのため、代わりに所持しているディス・レヴに封入された悪霊を代わりに使い

負念をかき集めて装甲を形成していた。

 

それはセージのマゼンタ色の装甲とは異なり、漆黒に赤のラインが入った

禍々しさをこれでもかと放つものであった。

かつて、セージがイッセーに憑いていた頃に暴走させて発現させた

赤龍帝の激情鎧(ブーステッド・ギア・バイオレントメイル)」が、その色合いなどの風貌としては近いだろう。

 

 

僧侶の形態はその身を覆う装甲は殆どなく

三日月状の装甲を両肩に装備し、丈の長いマントを靡かせた簡易なものであった。

しかし、そこに漂う力は確かに昇格した兵士のものと同質である。

 

「セージの奴、いつの間に僧侶に昇格できるようになったんだ!?」

 

「恐らく、あいつが勝手にどこぞで仕入れた記録だろうな。

 俺は今まで兵士が僧侶に昇格するところを見たことが無い。

 どこで仕入れたかは、知らんがな」

 

さらに性質の悪いことに、ここにいる全員――レーティングゲーム参加経験のない光実は特に――

僧侶との戦闘経験が浅い。僧侶自体との戦いは一応ライザー戦であるのだが

その際は罠や力押しで僧侶の特質を出させる前に倒しているし

僧侶の一人であるレイヴェルとは戦ってすらいない。

そうなれば、この場にいる僧侶であるアーシアやギャスパーから

相手の性質を見極める必要がある。のだが――

 

「もしかすると気づいているかもしれないが、俺を他の僧侶と同じに思うなよ。

 騎士(ナイト)にせよ、戦車(ルーク)にせよ悪魔の駒のオリジナルに無い能力を持っていたんだ。

 僧侶だってそう言う手合いの能力を持っていたところで……不思議ではあるまい?」

 

挑発も兼ねて、シャドウ成二は自身の能力の特異性を暗にひけらかす。

それそのものを口上で述べたりはしないが、手の内の読めなさは変わらない。

何せ、彼の場合戦車でありながら力任せによらない攻撃を敢行したり

騎士の速度を乗り物に頼ったりなど、悪魔の駒の性能からはかけ離れた能力を発現させるのだ。

 

――最も、戦車でありながら攻撃魔法に頼った戦い方をするというケースは

  イッセーの虚憶(きょおく)の中に、さるヴァルキリーが行っているものが存在するのだが――

 

「……けっ! 全力で殴ってぶっ飛ばしちまえば同じだ!

 ドライグ! もう一発赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)で――」

 

『出来るか馬鹿。さっきドラゴンショットの反撃で吹っ飛ばされた分の回復が追いついていない。

 可能な限り倍加させたドラゴンショットで我慢しろ』

 

これはドライグの側の後遺症なのだが、かつてセージによって撃ち込まれた神経断裂弾。

このダメージは確かに回復しているのだが、こうしてドライグの側の治癒が遅くなっているという

ともすれば致命的ともいえる後遺症を残していたのだ。

 

元来ならば生物の神経を内側からズタズタにする神経断裂弾。

それを神器に封印された存在であるドライグに宝玉越しに撃ち込んだことで

こうした後遺症が発生していたのだ。ドライグとて、元は生物なのだ。

如何にドラゴンと言えど、生物の理からは逃れられない。

生物の理から逃れられるのは、概念の存在である神や悪魔のみだ。

尤も、悪魔は自分から生物の理に縛られに行っている節が存在するが――

 

「く……っ!」

 

仕方なしにイッセーはシャドウ成二に向けて不完全なチャージのドラゴンショットを放つ。

何の駆け引きも無い、ただの必殺技ぶっぱが当たるほどシャドウ成二も甘い相手ではない。

攻撃は簡単に回避されてしまうのだが、それを見てセージは違和感を覚える。

 

(……ドラゴンショットを躱した? 受けるでも、跳ね返すでもなくか?

 そこから考えられるのは、やはりあの状態は防御力は高くないという事か?

 まあ、無駄なダメージを喰らいたくないだけかもしれないが……)

 

物は試しと、ガン・レギオンの残りをシャドウ成二に嗾けるセージ。

その攻撃に対しても、シャドウ成二は回避に専念している。

ただ、両手の三日月状の刃がついた籠手で迎撃はしているが。

 

(ガン・レギオンの攻撃に対しても反撃が来ない?

 ……一体、何をやろうとしているんだ? 反撃も、防御もだが

 一向に記録再生大図鑑すら使わないというのは、却って不気味だな……)

 

「……こんなものか。

 では、そろそろこの『僧侶』の力を見せるとするか。

 俺はさっき悪霊達の機動部隊を行使するだけの負念をもう持っていないと言ったが……

 

 ……それは、このためだ!」

 

徐にシャドウ成二が記録再生大図鑑――もとい、無限大百科事典(インフィニティ・アーカイヴス)を開く。

いつの間にか禁手化(バランスブレイク)させていたが、開いた神器(セイクリッド・ギア)からは3枚の光るカードが飛び出す。

 

 

TRI-SPREAD SUMMON!!

 

 

SWORD!!

 

DEFENDER!!

 

FEELER!!

 

 

3枚のカードは、三点を頂点とする魔法陣を形成する。

それはさながら、悪魔召喚の儀にも似ていた。

 

 

ADDITION!!

 

 

「そしてここに、もう一枚を加えさせてもらう。

 こうして生まれたものに……残る全ての負念を注ぎ込む。

 

 ――今見せてやる。これが俺の『僧侶』の力!!」

 

 

さらに、シャドウ成二は魔法陣の中心に無地の青いカードを投げ込む。

その青いカードの中央には、白と黒がシンメトリーで彩られた仮面の紋様が入っていた。

 

そのカードに応えるように、魔法陣の中央の地面が隆起し、人型を成していく。

その人型にシャドウ成二が抱えていた最後の負念を全て注ぎ込む。

それによって、人型は変形していく。

 

変化を果たした人型は、黒のロングコートを纏い、頭部は怪物の頭蓋骨を思わせる形状。

その背には、白い棺桶を無数に背負い。

右手には、抜身の刀が握られている。

 

この場の誰も、下手をすれば彼らの関係者ですら知り得ない事なのだが

この姿はある世界で、ワイルドと呼ばれる能力を身に着けた

とあるペルソナ使いの少年が顕現させたペルソナ――タナトスに酷似していた。

しかし、その形状はそのタナトスとは所々異なる。

 

まず棺桶。これは本来のタナトスのそれは閉じているが

目の前のタナトスの棺桶は半開きになっており、中身がはみ出している。

たくさん並んだ棺桶に墓標のごとく「THANATOS 2009」と記されている。

次に頭部。怪物の頭蓋骨は変わらないが、こちらのタナトスはその頭蓋骨の口の中に顔が見える。

その顔はペルソナにあるまじき「素顔」を思わせる造詣をしている。

しかし、その顔は苦悶の表情を浮かべた、醜悪なものであった。

 

 

――我は我。別なる我――

 

 

言うなれば「アナザータナトス」とでも言うべき存在だ。




【速報】気づけば100話目
【悲報】まだ「デビルマン」の折り返しにも来てない(「ゴースト」ひっくるめればそれなりに後半)

……いや、本当はもう少し進んでるはずだったんです。
一応今後の展開も頭の中にはあるのでよほどのことが無い限り
エタる予定はないのですが……

と言うか、本当にD×Dネタが無くなってきてますね。
一応、今回の珠閒瑠市編が終わればD×D縁の地が舞台になる予定ですが
(スポットライトが当たるとは言って無い)

>僧侶
以前シャドウがディエンドとつるんで匙にちょっかい出してた理由。
アーシアやギャスパー、黒歌の例を鑑みるに「特殊能力にまつわる影響」っぽいですが
戦車や騎士に比べるとあまりスポットライト当たってないというか
なんならゼノヴィアのあたりから怪しい気がします、悪魔の駒の特性。
セージは似ても似つかぬ猿真似昇格だからいいんですけど。

なお戦車で城壁を模した鎧、騎士で胸当てと来た装甲ですが
僧侶は三日月状の肩当と三日月状の刃が付いた籠手。シャドウのなのでいくらか差異はありますが。
形状モチーフは僧侶繋がりのフェンブレン。もう退場してますけど。
あくまで形状モチーフに過ぎないので、この形態でのセージの戦闘能力は
実は素の状態とほとんど変わっていない。

そういや戦車のパワーとか騎士の機動力ってのもなんかハドラー親衛騎団くさいような、そうでもないような……

>召喚
セージが所有しているカードを素材にして、その特性を持った存在を生み出すことが出来る。
ただしそれを動かす燃料は別途用意しなければならない。
今回は悪霊を使ったが、その気になればバッテリーとかでも動く。
カードの枚数は任意で決められ、枚数を増やした分だけ能力が向上するが
それに比例して燃費は悪くなる。
また、記録再生大図鑑収録のカード以外のものを追加することも可能。

>アナザータナトス
言い訳無用レベルでアナザーライダーなタナトス。賊神(ピカロ)じゃありません。
仮面(ペルソナ)」に対して「素顔」の意匠を入れたり
名前と西暦が刻印されていたり
所々オリジナルに比べて醜悪なデザインをしていたり。

罪罰原作ではリバースとしてオリジナルのペルソナを模したペルソナが出るのですが
セージは御存じの通りペルソナ未所持。なのでリバースペルソナが出せない。
じゃあ、という事でアナザー()のペルソナを。
以前無限大百科事典でアポロを再現した時にオルタ・アポロにしたのはこういう理由でした。

そして、設定面でもアナザーライダーを意識した部分があるため
このアナザータナトスが存在するという事は
P3主は男女問わずペルソナ能力持ってないことになります。なので……


因みに、扱いきれず没にしたものにアナザーイザナギとアナザーアルセーヌ。
話の展開上没にせざるを得なかったものにアナザー青面金剛とアナザーヴォルカヌス。
一応、あったりします。没ですけど。

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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