その裏では寝落ちしながら初甲狙ったり色々と。
今回、流れの中でR-18編のネタを拾ってますが
未読の方はまあ……流れで察してください。としか。
すみません。
突如として、シャドウから提案された兵藤一誠の殺害。
いくら俺が兵藤に撃たれたからと言って、俺がこいつを殺す理由には…………
…………理由には…………
「どうした? 即断しないという事は、お前自身がこいつの死を望んでいるという事だぞ?
こいつを消せば、後顧の憂いは断てる。人類に敵対する要素の一つを消し去れるという事だ。
サーゼクスは、こんな奴に希望を見出しているんだ。
その希望を断てば、脆弱な悪魔など瓦解する……
いや、不平が噴出して内側から崩れ去るだろう。
その時こそ、冥界は今以上の地獄になる」
『……俺が手を下すまでもないって事かよ』
シャドウの物言いに、アモンは不承不承と言った様子で呟く。
アモンは、サーゼクスへの意趣返しが出来ればよいと言った部分もあった。
それが、自ら手を下すまでもなく悪魔は滅びるという可能性を突き付けられたのだ。
複雑な心境なのだろう。俺も悪魔を人間に置き換えて考えれば、複雑だ。
……そこまで悪魔は脆弱なのか、と疑問に思いもしたが
そもそも奴ら悪魔がモデルケースと称している人間が……だ。
人間を模倣すれば、結末も人間に準えることになったって、然程おかしな話でもない。
「順番が前後するだけだ。片づけられるものから片づけていく。
何もおかしなことはあるまい?
…………さあ、どうする?」
シャドウの言う事は、確かに尤もらしく聞こえる。
今は、少しでも人類を脅かす要因は取り除かなければならない。
それに、そもそもこいつは法の裁きを下そうとしても通じなかったじゃないか。
こいつが裁かれない選択肢など、あるはずがない。
信賞必罰。その心意気は大事にしたい……そう、思ってはいるのだが。
「……お前も俺なら、わかるだろ。答えは…………」
言いかけた言葉を遮るように、シャドウは心底呆れ果てたような声を上げる。
そこまで呆れなくてもいいだろ。自分でもある程度はそう思っているんだから。
「…………お前、自分がどんな決断下してるのか本当にわかっているのか?
こいつは法の裁きすら抜け出したような奴だぞ?
法の裁きも下せぬ奴を、野放しにして良い訳がないだろうが」
「だからって、私刑による殺害が正義になるとは思えない。
こいつが成したことを許すつもりは無いが
俺だって人を如何こう言えるほど大層な人間じゃない。
少なくとも、俺に兵藤を私刑で殺せる権利なんか無い。
……いや、俺じゃなくても、こいつに対してじゃなくても、私刑で人を殺して良い訳が無い。
こいつは悪魔だが、だとしても同じことだ」
俺の言葉を、シャドウは殆ど聞いていない風にも思えた。
俺だって、これが正解だと言い切れない。せめて、ベストではなくモアベターくらいだろう。
私刑の殺し合いが延々と続いたのが、人類史における凡その戦争の根っこだろうとは
なんとなくだが思っている程度だ。
そう考えれば、私刑による正義遂行ははなっから正義の体を成していない。
そもそも、兵藤の正義と俺の正義はまるっきり違う。
だから何度となく言い合いになり、今や殺し合いだ。
俺だって、それが健全な状態だとは思っていない。
こうなった元凶は当然あるのだろうが、今はそれを言っても仕方がない。
「…………ハッ。我ながら白ける話だな。
お前は相互理解の望めない、倒さねばならない敵に対しても恩情をかけるというのか?
だとしたら、とんだ偽善だな。まあ、ある意味お前らしいよ」
相互理解の望めない、か。
まあ……バオクゥだってリーよりマシとは言え、言っちゃなんだがビジネスが前提の関係だ。
ビジネスに関しては、ある程度以上に悪魔は信用できる。アモンがいい例だ。
……寧ろこれに関してはグレモリー一派が悪魔の面汚しレベルで信用できないんじゃないかと
俺個人とは言え人間目線では思えてならないのだが。
「……ま、だったらこいつはもう用済みだな。
恨みをぶつけて同士討ちさせようにも、お前にその気がないんじゃな。
こいつが恨みをぶつけたところで、結果はあの通りだったしな。本当に役立たずだな、こいつ。
それじゃあ用済みで処分する前に聞くが……兵藤一誠。お前、何がしたいんだ?
成そうとしていたことは悉く失敗し、逆恨みで犯罪に手を染め
想いを口にできないもどかしさを得体の知れない女教師に慰めてもらって
人形遊びで自分の心すら誤魔化す。
……お前、本気でリアス・グレモリーに告白しようなどと思っていないだろ」
シャドウは今度は足元に倒れている兵藤を叩き起こすと
ゴミを見るような目を向けながら、俺にあの事を突き付けた時のような口調で
今度は兵藤を煽り始める。
……だが、俺はその光景に妙な違和感を覚えたのだ。
俺は……そこまで兵藤の事を知らないぞ……?
「……そ、そんなことは無い! 俺は……」
「ああ、そうだったな。お前は…………
『ヤれれば誰だっていい』んだもんなあ?
否定はさせねえよ。俺の目の前で、あれだけ盛ってたのはどこの誰だ?
本命に相手にされない代償行為か?
それともこの世の女は全部自分のものだという思い上がりか?
赤龍帝だか何だか知らんが、お前の本質はただの世俗に塗れた人間だ。どこまで行ってもな。
たとえ生物学上人間をやめられても
心は……魂の性質までは簡単に変えることなど出来るものか。
……いや、逆だな。心や魂の在り方を簡単に変えられるという事は
それが出来る位お前の心が、魂が薄っぺらく、ちっぽけだという証拠だ。
そんなちっぽけな奴に女を抱えられるものか。
一人でも持て余すというのに、二人以上など身の程知らずだ」
……まただ。
俺はここまで、兵藤の内側に深く踏み込んだことなんかない。
なのになんでこいつは、ここまで兵藤の事を知った風に言ってるんだ?
「違う! 俺の魂がちっぽけだなんて……!
だって、俺は赤龍帝……」
「そこが既に勘違いなんだよ、馬鹿が。
お前は兵藤一誠であり、赤龍帝はドライグだ。この両者は同一存在ではないだろう。
ドライグの意識を誰ぞに押し付けられただけで、お前は兵藤一誠だ。
兵藤一誠でなければならないんだ。お前はお前だ。
それとも、お前――兵藤一誠の存在は他者――ドライグに食われる程度の
安っぽい存在価値しかないのか?」
シャドウの挑発に、兵藤は食って掛かっている。
しかし、その見透かした態度で詰るシャドウの言葉に、兵藤の余裕がなくなっているのは目に見えてわかる。
俺相手なら見透かした態度もわかるが……こいつ、よくここまで兵藤の事を知っているな?
「なわけねーだろ! そもそもこれは俺が生まれた時から……」
「たとえ『
お前はお前で、
はき違えたからには、お前は赤龍帝でもなければ、兵藤一誠でもない。
つまり、何者でもないという事になるぞ」
……そうだ。
やはり、このシャドウは兵藤を嘲笑うでもなければ、叱咤激励している風に取れなくもない。
選んでいる言葉自体は、嘲笑って言葉が似合う位には物凄く悪辣だが。
こいつ、一体何がしたいんだ?
それとも、これも俺の……?
「お、お前……お前に何がわかるんだ! さっきから知った風な口をききやがって!
お前に俺のおっぱいへの情熱を、ハーレム王への夢を否定する権利なんかあるのかよ!?」
「ねえよ」
「――ッ!? だったら、何で!!」
兵藤の反論を、シャドウはあっさりと受け流している。
そりゃ、誰かの夢を否定する権利なんか通常、ありはしない。
例外を挙げるなら、その夢が誰かに苦痛を齎すものである場合位か。
「お前のハーレムに組み込まれる人たちが可哀想だから言ってるんだよ。
ハーレムに組み込まれるって事は、その時点でその人の意思や人格は無いも同然だ。
考えてもみろよ。好みが被ったとは言っても、誰も彼も争わずに一人の存在を共有する。
……いい理想だ、感動的だな。だが無理だ」
「どうして無理だって言えるんだよ!?」
畳みかけるようなテンポで持ち上げて落としたシャドウの言葉に思わず感心してしまうが
そりゃ、夢見てる側からすれば真っ向から否定されていい気はしないわな。
そう言う観点においてのみ理解できんことは無いが……
ちなみに、ハーレムに関する考え方もこれは俺の考えそのものだ。
別にシャドウが俺じゃないなんて思っていないからそこを否定はしないが……
……うん、もう少しこう……手心と言うか……
「当たり前だろ。お前に触手が生えてるならともかく、一つしかないものを相手取る以上
順列はどうしても発生する。その順列を受け容れさせるのに、どうやって説得するんだ?
誰も彼も、姫島先輩みたく二番手に甘んじるなんて都合のいい話があるわけないだろうが。
そこで従わせるなら、心の束縛……それこそ、洗脳とかな。
そう言う手っ取り早い手段を使わざるを得なくなるだろ。
……例外があるとするなら、相手側がそれを良しとする……言うなれば、阿婆擦れ位だがな。
阿婆擦れの意味は分かるか? 主に女性に対して品行が悪い場合に揶揄する蔑称だ。
伝わらないならこう言ってやろうか。サセ子、ビッチ、色狂い。
まさかお前、そう言うのが好みなのか? だとしたら碌な青春送れんぞ?
いや、もう送れてないしそもそも色狂いはお前か。いや失敬失敬」
この辺は、あいつがやっぱり俺なのだという事を否でも認識させられる。
何せ、ほとんど俺の意見と差異が生じていないのだ。
……いや、俺より酷いかもしれない。思っていることは大体合っているが、何もそこまで……
「俺の事よりも部長が……リアスがそんな訳ないだろうが! リアスに謝れ!」
「やだね。この場にいない奴に、どうして謝らなきゃいけないんだ。思っているのは事実だから猶更だ。
それ以前に、リアス・グレモリーの心と体はあいつ自身のものだ。お前のものじゃない。
お前の身体が、お前自身のものであるようにな。
……だから、俺は必死になってお前から抜け出す方法を考えていたんだよ」
今でこそアモンのお陰で俺は兵藤から抜け出せたのだが、こいつに憑依せざるを得なかった時は
正直、気が気じゃなかった。いつ、俺が消えるのかと言う心配は常に付きまとっていたからだ。
…………あれ?
となると、アモンって……今の状況を考えたら…………
『余計なことは考えるなセージ。俺だって考えなしでお前を選んだわけじゃない。
そりゃ、俺自身の身体があれば、それに越したことは無いけどな』
「……っ! そ、そうだ!
お前が、あの時レイナーレとの……」
「……クックック、それ以上をここで言うか?
お前、発言はよーく考えてからしろよ?
一度飛び出した言葉は、器用にひっこめる事なんか出来ないんだからな?」
……わかってしまった。
シャドウの誘導尋問的な部分は多分にあったろうが、兵藤が本心で何を思っているのか。
それが、わかってしまった。
間違いなく、シャドウはああ言っているが兵藤にこう言わせたいんだろう。
――お前がレイナーレと出会ったときに余計なことをしなければ、今頃は……
「うぐ、ぐ……っ!!」
「クハハハハハハッ! アウトだ。
いくらお前が言葉を引っ込めることが出来たとしてもこいつは妙に勘がいいからな。
ま、だからあんな頭のおかしくなりそうな
もう、お前が何を言いたいのか、何を考えていたのか。手に取るようにわかっているだろうよ。
とは言え、言葉をどう取り繕おうともお前は既に行動でその意思を示してるがな」
凄くいい笑顔でシャドウは兵藤を煽っている。
ただ、その不気味に赤い瞳で湛えた笑みは爽やかな笑みとはまるでかけ離れた
あからさまに相手を嘲る笑みであるのだが。
……最も、俺も祐斗みたく爽やかな笑みが出来るかと言うと自信がないのだが。
散々兵藤を煽り散らしたシャドウは、今度は俺に向き合ってくる。
その邪悪な笑みは、一切崩さずに。
「いやあ、まさか助けた相手にここまで恨まれるとは思わなかったよなあ?
しかもその助けるためにお前自身が死にかけるどころか体を無くしたり
お前自身が消滅の危機に瀕したんだからな。こういうのを骨折り損って言うんだよなぁ?
……お前、人から恨み買いすぎだと思わないか?」
「…………自覚はしてるよ。お節介だってのもな。
だが、これだけはここではっきり言わせてもらおうか。
俺は、あの時兵藤の死に介入したことを…………
…………悔やんでもいなければ、間違ったことをしたとも思っていない。
そう、たとえこいつに殺されそうなほど恨まれていたとしてもだ!」
そうだ。あの時は確かにデートプランを考えてやる程度には付き合いはあった。
そんな相手がいきなり殺されようとしているのを助けるのに、打算的な理由などない。
そもそも、あの時無我夢中だったし。
結果はこれだが、俺の決断は間違ってない。間違ってない…………はずだ。
「…………なるほどな。そういうお前の独善的な振る舞いが
こいつを苦しめ、未来を、夢を奪うきっかけになったわけだ。
わかるか? だから今度はこいつのために死んで詫びろ」
「……そこまでする義理は無いな。そもそも、俺にだって死ねない理由の一つや二つはある。
それに死を以ての償いなんて、自惚れの自己満足にすぎないだろ。
命はあらゆるものを生み出すからこそ尊く、無限の価値がある。
それを投げ出すことは、賠償どころか損失を齎す……これが俺の決断だ!」
俺の啖呵を受けてもなお、シャドウは嗤っていた。
何処までも、何処までも自分を、他人を嘲笑い続ける。
あらゆる知識、思考、感性の根幹が俺と同じだという事は
今までの兵藤との問答で嫌と言うほど思い知らされた。
そして、そんな奴が俺の中に存在しているという事実。
認めたくはない、だけど認めざるを得ない。ここまで証拠が揃っているのだ。
性質の悪い贋物どころの騒ぎじゃない。これは、悪意に満ちてこそいるが間違いなく――
――我は汝、汝は我。
「俺がお前であることを受け容れたつもりだろうが、だから何だと言うんだ。
お前が在る限り俺もまた在る。しかし俺はお前の存在を認めない。
お前など、俺ではない……ではなく、お前の存在そのものを否定するものだ。
だから、ここで死ね。今までの茶番も全て、そのためだ」
沈黙を貫いていたアナザータナトスが、再び動き出す。
兵藤も今までの問答の間に回復したのか、立ち上がり戦闘態勢に入っている。
だが、シャドウは俺の方を狙っている。兵藤には、アナザータナトスが狙いをつけている。
……交代と言う訳か。
兵藤の意見を聞く前に、俺はシャドウ目掛けて飛び掛かる。
後ろで何か言っている風にも聞こえたが
今更ああだこうだ言ったところで向こうが聞くとも思えない。
俺達の意見など、はなっから相手は求めていないだろうし。
少々危険だが、シャドウをどうにかすればあのアナザータナトスも黙らせられるかもしれない。
寧ろ、その方が早いかもしれない。
あのアナザータナトスは、そう言う手合いの相手かもしれない。
召喚したものが矢鱈滅法強い反面、本体はそこまで強くない。
勿論、シャドウも
そもそも、俺自身は
なのにシャドウは使った、それが答えだ。
――兵藤がやられる前に、本体を先に潰す。
恐らくそれが、今の俺にできる最善手だ。
このシャドウはセージのシャドウなのですが、振る舞いがイッセーのシャドウじみている状況。
本人の前で隠していた本音を曝け出し、本体にゆさぶりをかけるのはシャドウの常套手段ですが
そのために他人を平然と巻き込む。この辺2のシャドウ。
その流れでイッセーに流れ弾どころか無差別爆撃してるのは御愛嬌。
「死んでくれる?」で周囲を退場させたのはそう言う横槍防ぎも兼ねてかどうかは不明。
本体への揺さぶりのためのダシにされた、その点に関してだけはイッセーは不憫。
でもシャドウはセージの思っていたことを言っているだけなので嘘はついていないし
セージも心当たりがあるためにイッセーをフォローできない。
ただ、イッセーもイッセーで現在進行形で惚れた女のためとはいえ
命の恩人に銃向けた(しかも撃った)って前科があるし
その命の恩人からも見限られてるって状況……
……そりゃニャルも首突っ込みたくなるか。首突っ込んだ結果かもしれんけど。