新年早々が少し短めではありますが。
今回艦これタグを入れた方がいいんじゃないかと真面目に思ってたり。
今に始まった事じゃありませんがやる夫スレ的な変化球。
……で、言い逃れ効くのかなあ……
「…………ぅう」
気が付くと、俺はどこか冷たい地面の上に横たわっていた。
息が出来る、という事は水底ではなさそうだが。
或いは、何処かの横穴に流されたか……いや、海じゃないんだからそれは無いか。
見渡すと、薄暗い洞穴のように見える。ふと上を見ると、底知れぬ闇ばかりが広がっている。
それなのに辺りを見渡せるという事は……暗闇に目が慣れたわけではない。
そもそも、さっき目が覚めたばかりだ。どこか、何か光源があると見る方が自然か。
アモンだったら、悪魔特有の夜目とかが働くのだろうが。
水滴の音と湿った空気が、ここが水に近い場所だという事を認識させる。
とりあえず、俺は奥に向かう事にしたが……目印が何もない。
こりゃ下手しなくても迷うな。幸い、地面は足で印をつけられる程度には柔らかかったので
足でバツ印を書いた後、
結論から言うと、マッピングは徒労に終わった。
少し歩いてわかった事だが、どうもやけに横幅の広い一本道になっているようだ。
つまり、先に進むか引き返すかしかない。こんな中途半端な場所で引き返しても意味はあるまい。
先に進んで行き止まりだったなら、その時に引き返せばいい。
罠とか何か触れちゃいけないものとか、そういうものがある可能性も否定はしきれんが。
だがいずれにせよ、行動しなければ現状を打開できない。それなら前に進んだ方がいいだろう。
しばらく進んで行った俺の目の前には、うっすらとサーカスのテントのようなものが見えた。
サーカスのテント? なんだってこんなところに?
どう見ても、客が来られるような場所じゃない。と言うか、俺はどうやってここに来たんだ?
確か、身体をマヒさせられてからシャドウに泉の中に蹴落とされて……
……まさかと思うが、あの世じゃないだろうな。
溺死して気づけば摩訶不思議な場所……全くあり得ない話でもないだろうとは思うが。
何分、俺は臨死体験とまでは言わないにせよ瀬戸際にいたこともあるんだ。
それに、ここが三途の川――賽の河原だとしたら静かすぎるし、人気が無さすぎる。
もっとこう……石積みをしている子供の霊とかがうようよいそうなものだし。
いずれにせよ、ここで立ち止まっていても得られるものは無さそうだ。
このサーカスのテントに、入ってみる他無さそうだな。
――――
サーカスのテントの中は、やはりと言うか何と言うか静まり返っていた。
そりゃ、こんなところのサーカスに客が来るとは思えないし。
テントだけがぽつんとあるのか?
普通、こういうサーカスのテントってのは公演が終わったら片付けるものだと思っていたが。
だが、この静まり返り具合……どこかで、似たような感覚を味わった気がするが……
――ようこそ、私の世界へ。
「誰だっ!?」
ふと、響き渡る声。思わず身構えるが、声に敵意はあまり感じられない。
だが、こんな正体不明の場所ににいるような声の主だ。只者ではあるまい。
奥からやって来たのは、紫紺のタキシードのような衣装に身を包んだ、銀髪の男。
やけに血色の悪い顔をしているが……まさか、本当に死人の世界か?
「止したまえ。私はただ、ここで鎖を磨いているだけだ。
君に対し危害を加えるつもりは、今のところは無い」
「鎖……?」
男の声と共に、俺の背後で鎖が動く音がする。
振り返ると、確かに鎖が伸びている。伸びている……が。
その鎖は、やけに錆び付いていた。
いや、錆び付いていたというよりは……長い間、海底に沈んでいたような。そんな感じの鎖だ。
好奇心から近寄ってみるが、下手に触ったら崩れ落ちてしまいそうな、そんな脆さすらある。
……これを……磨いている……?
「鎖。それは過去から現在、そして未来へと連綿と繋がっていく象徴。
人の在り方を体現する、一つの人の心の形。
それを人によってはこう呼称するだろう――『普遍的無意識』と」
普遍的無意識。どこかで……
…………フィレモン! フィレモンがいた世界だ!
すると、こいつはフィレモンの違う姿、って事か……?
「宇宙に瞬く星々。果て無き砂漠を形成す砂粒一つ一つ。
それほどまでに人の心は無限に広がり、人を形成す素材は無数に存在する。
私がここで磨いている鎖も、それら在り方の一つと言えるだろう」
あ、やっぱフィレモンの関係者だ。言ってることが今一要領を得ない。
そもそもだ。何で俺はここにいるんだ?
「さて、君がここにいる理由。心当たりはあるのではないかな?
先程私が言ったように、私はここで鎖を磨いている。
そして鎖とは、過去からの繋がりを意味する」
「…………っ」
心当たりがあり過ぎる。言ってしまえば、俺の過去の清算がうまくできなかったから
白音さんは攫われたようなもんだし、アーシアさんやギャスパー、バオクゥに
それでもって兵藤にまで要らん迷惑をかけている。
広い目で見ればホテル待機組やこっちの警察にまで迷惑かけてるんだ。
「ではここで鎖を磨く者として、君に問おう。
君に繋がれた過去と言う鎖。君ならばどうする?」
どうする、とは言葉通りの意味ではないだろう。
俺の過去。子供のやんちゃと言うにはあまりにも酷過ぎるやらかし。
その言わば「罪」を、どう折り合いをつけるのか。そう言う事を聞きたいのだろう。
…………ならば。
「……鎖が人の過去から続き、今を、未来を示すというのならば。
その鎖で己を見失わないように、解きます。
場合によっては……断ち切る事も辞しません。
しかしそれは、過去を捨てる事ではありません。
形を変えて、過去を受け容れる。そう言う意味です」
過去を無かったことにするのは、意外と簡単だ。無視すればいいのだから。
だが、それが解決策な訳が無い。
事実は変えられないのだから、受け容れるより他が無い。
だが、それで今を囚われては意味がない。
過去を受け容れ、今を生き、未来に進む。
それが、人として健全なあり方ではないかと俺は思う。
「鎖を断ち切る……か。鎖を磨く者としては、些か引っかかる言葉ではあるが……
いいね。鎖としても、未来へと繋ぐことのできない状態は不本意だ。
君の言葉はしかと耳にした」
よくわからないが、納得してもらえたようだ。
別に嘘は言っていないし、ここで嘘を吐くメリットが何一つ思い浮かばないし。
鎖……鎖か。こんな水底で鎖につながれたら……まず、浮かび上がれないな。
と言うかそれ以前に……本当にここ水底か?
泉に落とされて気が付いたらここにいたって状況だけを根拠にするには……うーん。
「ならば君が成すべきことは、今までと変わらない。
悲しみや苦しみを真っ直ぐに見据え、新しい道を進むことだ。
いいね。君の強さ、しかと見せてもらった」
……どうやら、正解だったようだ。
まあ、この手の問答は初めてでは無いからそう言う意味での狼狽えは無かったが……
尤も、所謂「正答の無い問答」だった気がしないでもないが。
とは言え、別にこの答えは嘘でも何でもないが。
「その強さに敬意を表し、私からアドバイスだ。
鎖を断ち切った時、繋がれていたものは激流に流されてしまう。
失いたくなければ、しっかりとその手に掴むことだ。
そして、魂を縛る鎖は同じ魂の力で断ち切ることが出来るだろう。
だが心したまえ。魂の力は、正にも負にも転ずる。今の君のようにね」
魂の力……今の俺の心当たりは……まあ、アレしかないな。或いは、自分自身の魂の力だが。
ふと、周囲が照明が落ちたように真っ暗になる。
それと同時に、今まで地面を踏みしめていた足から、突如として地面の感触が無くなる。
――私の物語と君の物語は交わらないはずだったし、今なお交わりはしていない。
ただ、私と君がこうして出会えただけだ。
しかし、心の海はそうした壁さえも取り除ける。
私は水底――普遍的無意識の海の底から、在り方を見守ろう。
さあ、行きたまえ。君の心の海の航路が私の世界に差し掛かる時こそ、また会おう。
その言葉を最後に、俺は何か物凄い激流に飲み込まれる。
まるで、水の中にいるみたいな――
水の中……激流……
俺は一か八か、記録再生大図鑑からある手札を切ってみることにした。
フィレモン! フィレモンです!(演:京本政樹)
何でこうなったかと言うと……
・赤土って奴が新春ライブ行きそびれた腹いせ
・セージは水底に落ちた
・フィレモンに相当するキャラをそろそろ出したかった
・赤土って奴が新春ライブ行きそびれた腹いせ
・赤土って奴が新春ライブ行きそびれた腹いせ
でした。
色々深海磨鎖鬼の行動の報告とか見ていると「ニャル程ではないにせよ干渉のできるフィレモン」って
イメージが湧いてしまったので、もういっそフィレモンの化身にしちまえ的なノリ。
ニャルが好き放題やってるイメージ(実際そう)ですが、フィレモンだって黙ってみている訳がなく。
カダスの猫みたいなもんです。
宇宙にある無数の星々、は罪にてニャルが触れていた人の心。
砂漠を形成す砂粒一つ一つ、は仮面ライダー電王の設定。
時の砂漠も見方によっては普遍的無意識みたいなもんかな、って事でここで少しだけ。
>鎖を断ち切った時、繋がれていたものは激流に流される~
実は、今後の一部シーンにおいて重要な役割を果たしていたり、いなかったり。
>交わるはずのない物語
やっぱり…………
>心の海は、そうした壁さえも取り除ける
言葉自体は罰EDの台詞の拡大解釈ですが、実は今回の話そのものに対する理由づけであり
この実験室のフラスコもかくやと言うクロスオーバーの定義にもなり得たりします。
……ただその場合、とんでもない悪意で形成されていることになりますが。