ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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お待たせしました。
中々進みが遅いですが、よろしくお願いします。


Will43. 経済特区ルキフグス Aパート

 

「うわあああああああっ!!」

 

 

思わず、俺は絶叫した。

目の前の景色が信じられず、ただただ叫ぶしかできなかったのだが。

そして叫んだ次の瞬間、体中に何かに叩きつけられたような痛みが走る。

 

――何に、叩きつけられたんだ?

 

 

次に飛び込んできた景色は、何故だか妙に横を向いている。

あれ。これってもしかして……

 

 

「せ、セージさん!? 何があったんですか!?」

 

勢いよく扉が開く音がしたと思ったら、バオクゥが駆け込んできた。

ん? なんでバオクゥが……?

気になった俺は、凄いマヌケ面をしているような気もするが

バオクゥに聞いてみることにした。

 

「何があったは俺も聞きたい。一体ここは……?」

 

「……って、寝ぼけてるだけですか。

 ここは冥界のルキフグス領にある宿屋です。

 気を失っていたセージさんを、私達で運び込んだんですよ。

 それより寝ぼけてるだけですよね? 頭打ってないですよね?」

 

寝ぼけ……って、じゃああれは夢か。

今までで最大級に悪い夢だったよ、本当に。

夢だと安心したら、なんだか妙に疲れてきたな。

とりあえず、頭はぶつけてない事だけは伝えたが。

 

……ん? 「達」?

ここにはバオクゥ以外にも誰かいるのか?

 

 

……いや、ちょっと待て。思い出してきたぞ。

そもそもあの時、俺達はグレモリー先輩の転移魔法陣で移動を試みたはずだ。

ならば、グレモリー領に飛ぶのが筋ってもんだろ。

以前俺が間違ってフェニックス領に飛んでしまった時は、勝手に動かしたことで

設定が狂っていたのかもしれないが……今回はそうじゃないはずだ。

咄嗟のことで設定ミスをしたとしても、何でこんな関係のない場所に飛ぶんだ?

……ん? 関係? ルキフグス……待てよ、どっかで聞いたような……

 

まだ寝起きのためか考えもまとまらないうちに

また扉の向こうから足音が聞こえてくる。

複数。何人かがこっちに向かっているようだが。

 

「ん、起きてたのかセージ」

 

「!?」

 

入って来た人は三人。その顔を見て俺は驚いた。

ゼノヴィアさんもだが……安玖(あんく)巡査に氷上巡査。

なんでこの二人が冥界まで来てるんだ!?

 

「そう身構えることは無い。二人とも転移に巻き込まれてしまったんだ。

 かく言う私もなんだが、ここは人間界じゃなく冥界だからな。

 デュランダルを持っている私が、悪魔に対し睨みを利かせていたってわけだ。

 冥界の瘴気も、デュランダルで浄化している。私にもだが、彼らにも毒だからね。

 他にも、ミツザネが私達の近くにいた。今は周囲の偵察に出ているが。

 

 ……あのアーマードライダーと言う奴は便利だな。

 冥界の空気の中でも、全くものともせずに行動できている。

 私らは、そう言う訳にはいかないからな……目立ちはするが」

 

「まさかゲシュペンストに乗ったまま街中を動くわけにはいきませんからね。

 ゲシュペンストはその気になれば宇宙でも運用できるほど気密性は高いですが

 戦闘でもないのに乗り回すのには抵抗がありますし」

 

「それよりもだ。戻る手立てがない以上、行動に必要な物資も探していたんだが

 奴ら、こっちが人間だと見るや足元見てきやがった。

 魔っ貨(マッカ)なんてもんは持ってねえから、換金しようとしたらとんでもねえレートでな……

 

 ……って言うか宮本。お前、なんでそんなに身構えてやがる?」

 

普通に、超特捜課にいた時のような態度で話し始めている安玖巡査に氷上巡査。

……あれ? 俺達を捕まえに来たはずじゃ……?

俺はそれを警戒して、相手が安玖巡査や氷上巡査であろうとも警戒はしていた。

 

「さっきも言いましたけど、ここでゲシュペンストは使えませんよ。外ならともかく。

 それに、ゲシュペンストが使えない理由はもう一つありまして」

 

「こっちだってあの蟹ヤロウ(黄蟹管理官)の目が届いてねえ場所でまで

 あんな奴のいいなりに何ぞなりたくねえんでな。

 右も左もわからない場所でくらい、自分の判断で行動させろってんだ」

 

……成る程。監視の目が無いから従う必要はない、って事か。

で、ゲシュペンストが使えないのは稼働記録が残って

そこから足が付くことを危惧して……ってとこか。

 

ん? じゃあ、ここじゃ安玖巡査も氷上巡査も……

 

「ここでてめえと事を構えるなんざ、野垂れ死ねって言ってるのと同じだ。

 俺達は冥界に来るのは初めてだが、てめえは来たことがあるんだろ?」

 

安玖巡査の問いに、俺は首肯する。

まあ、来たことがあるって言っても霊体時代ではあるのだが。

その時の感覚が、どこまで通用するかは俺にもわかりかねる。

少なくとも、もう悪魔じゃない今の身体では冥界の空気は危険だろう。

 

……だが、常時デュランダルで空気清浄をするってのもそれはそれで、だ。

とりあえず、念のために記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)で空気成分を調べてみることにする。

そういや、前から冥界の空気って好きになれなかったんだよなあ……

 

 

……やはり、人間の世界の空気と比べると何か違う。

俺に専門知識はそこまで無いが、記録再生大図鑑によれば地球上の大気の大半は窒素。

次いで酸素、アルゴン、二酸化炭素、その他物質と続く……らしい。

これらは水蒸気などを除いたものだ。

 

大まかに言えば、冥界の大気と人間界の大気は成分比率はそこまで変わらない。

だが、アルゴン以下の物質の中に……

地上で、人間界では性質上物質としては認められていないマグネタイトが含有されていた。

無論これを以て冥界の大気が人間にとって有毒であるとすることはできないが

そのマグネタイトが、悪魔(もしくは堕天使)由来のものであるため

それを常時浴び続けるというのは、やはり人間にとってはあまりいい影響はないだろう。

まあ、長時間居たら悪魔になる……とかは無いとは思うが。それ位、微量みたいだ。

 

……と、出力した情報をアモンにも確認を取ってもらった。

 

『マグネタイトは悪魔のみならず、堕天使や天使、果ては人間……

 もっと言えば妖怪みたいな連中にだってある、生体エネルギーだって事は話したよな?

 マグネタイトを得る手段は多岐に渡るからここではいちいち言わねえが

 今回の場合だと、微量のマグネタイトを常時取り入れている、って言う状態になるわけだ。

 確かにすぐに如何こうなるって訳じゃねえが、将来的には悪影響を及ぼす可能性が高い。

 まして冥界のマグネタイトとなれば、その大多数は悪魔か堕天使のものだ。

 マグネタイトの過剰摂取は、人間としては色々な意味で宜しくねえな』

 

アモンの言いたいことは、なんとなくわかった。

マグネタイトでなく、普通の食べ物だって一気に過剰摂取したところで

待っているのは嘔吐――リバースだ。

それを許容量を超えない範囲で次々と摂取していたら……ゆくゆくは肥満だ。

肥満だって要はエネルギーの過剰摂取でそうなっているのだから

この場合、悪魔や堕天使を形成する栄養素を多量に摂取する形になり……

 

「アモンが言うには、やはり長時間冥界の空気を吸うのは人間的にはよくないみたいです。

 要するに一気食いしても限度があるけれど、許容量に収まる程度に何度も大食いを続けていれば

 終いには……」

 

「ぶくぶくと肥えあがるって訳か。ゾッとしねえな」

 

『今食い物で例えたからついでに言うが、空気以上に気を付けなきゃならないのは飲食物だ。

 特に、冥界のものをそのまんま食ったら一発でアウトだ。

 そもそも、冥界と人間界じゃ環境が違う。生育している食物だって違うってわけだ』

 

確かに、前に凰蓮軍曹のところで特訓した時に教わった事だが

サバイバル時の鉄則として、現地の得体の知れない食べ物を食さない、と言うものがある。

まして、冥界は確かドラゴンアップルが生育するような環境だ。

あんなヤバいものが生育するとなると、他のものも推して知るべしという事か。

 

「……ヨモツヘグリ、って奴ですね」

 

「ミツザネ、帰って来たか!」

 

偵察から帰って来た光実の言うヨモツヘグリ。

黄泉戸喫(よもつへぐい)とも言い、日本はおろか海外にも類似した話は数多くある。

現地のものを食べた者は、二度と元の世界には戻れない……って話だ。

 

確かに、となると食料や飲料水はどうやって調達するんだ?

モーフィングで変えたとしても、元は冥界のものなのだから一時しのぎにもならないし……

 

「冥界ではアインストやJOKERの被害がある……と聞いていたので

 偵察に出ていたんですが、とりあえず今のところは大丈夫そうですね。

 あと、食料に関しては戦極(せんごく)ドライバーの生命維持装置が使えると思います。ただ……」

 

戦極ドライバー。あれ、そんな便利な機能もあったのか。

光実が言うには、戦極ドライバーでロックシードをセットすれば

生存に必要な栄養素などは賄えるという。

光実が使っているドライバーは個人認証されてしまったので使えないが

予備のドライバーがあるという。

 

だが、ドライバーがあってもロックシードの数に限りがあるのだ。

栄養補給に使ったロックシードは、暫く使えなくなるとのことだ。

その事を考えれば戦闘にも必須なブドウなどは使いにくいだろう。

 

「まさか、こんなところにロックシードがあるわけないですしね」

 

「あったぞ。ただでさえ足元見られた相場だったから買ってこなかったがな」

 

安玖巡査の意外な言葉に、今度は光実が目を丸くする。

そりゃあ、ユグドラシルと縁もゆかりも無いであろう冥界の市場で

ロックシードが出回っているなんて事自体

ユグドラシルの関係者でもある光実からすれば衝撃であろう。

 

「流石は、造幣局を抱えた経済特区と言う訳か。市場が随分と活発なようだな。

 この様子では、市場は市場でも闇市場って気もするが」

 

納得したようにゼノヴィアさんが呟くが、全くその通りだ。

テロリストに渡ったロックシードが、紆余曲折を経て冥界で扱われるようになったか

或いは全く別の流通ルートがあるのか。見当がつかないが。

 

「……一度、連れて行ってもらえませんか? もしかすると、戦力の増強が出来るかもしれない」

 

光実の提案に、一瞬安玖巡査も首肯しかけるがすぐに渋る。

何せ、聞くところによると足元を見られて吹っ掛けられたという。

そこに人間がのこのこ行っても、結果は同じって訳か。

 

『セージ、代われ。俺が行けば、もしかすると話を付けられるかもしれん』

 

アモンが? 確かに言う事には一理あるが、それならバオクゥでもいいような気もするが……

等と考えていると、アモンから釘を刺されてしまう。

 

『人間界でしか出回ってないはずのロックシードを扱ってるって事は、十中八九闇市場だろう。

 そんなところの交渉に、いくら荒事の心得があるって言っても

 あの嬢ちゃんだすのもどうかと思うがね、俺は』

 

「……確かに。じゃあ光実、俺も行こう。俺と言うか、アモンだが。

 だがその前に、確認を取りたいことがあるんだ。

 今合流出来ているのは、これで全員か?」

 

「そうだ。私も転移の瞬間アーシアの手を握っていたんだが

 どうやら転移の最中に離れ離れになってしまったようでな。

 アーシアや他のメンバーを探してみたが、見当たらなかった」

 

ゼノヴィアさんの話では、どうやら俺達だけがこのルキフグス領に飛ばされたらしい。

考えられる理由としては、俺達はグレモリー先輩とは何の関係もない。

だから、魔法陣での転移がうまく行かなかったのだろう。

 

……だが、そうなると白音さんは? 彼女も、もうグレモリー先輩とは関係ないはずだ。

ちょっと待て! せっかく助け出したのに、また行方不明になったってのか!?

 

「待ってくれ! 白音さんは……白音さんはいなかったのか!?」

 

「そう思って僕もさっき探したんですが……」

 

光実の返答に、俺は肩を落とすことしか出来なかった。

探しに行きたいところだが、今単独行動をとるのは危険だし

何より、人間界に戻る手立てを確保しておく必要がある。

冥界もどういう理屈かわからないが、アホほど広いのだ。分身して探すにしたって限度がある。

分身どころか、監視衛星が欲しいレベルの捜索範囲だ。

 

……それに、こっちに飛ばされる前にはクロスゲートが動いていた。

最悪の場合……

 

『セージ。今は白猫の事を考えるのはやめておけ。姉ちゃんの事もだ。

 冥界っていうだけでもアウェーなのに、人間に対して害意を持っているルキフグスの勢力下だ。

 これをどうにかしない事には、俺達の側が危ない』

 

『それに、今はいないってだけでJOKERやアインストがいつ出ないともわからない。

 現状でそうした奴らに襲われたら、面倒だぞ』

 

アモンとフリッケンにも釘を刺された。いや、もっと言えば白音さんもだが

姉さんの事も気がかりは気がかりだ。まだシャドウに寄越されたデータ読んでないけど。

シャドウが言ったことが本当ならば、急がなければならない事態だし。

 

「……だな。まあいずれにせよ、行動は俺待ちだったみたいだし、心配かけてすみませんでした。

 もう大丈夫だから、そろそろ……」

 

「あー……その事なんですがね、セージさん……」

 

どの道宿を出る必要があったため、結局全員で行動することになった。

宿代は魔っ貨を持っているバオクゥが立て替える形になってしまっている。

まともな換金が出来たら、早いところ返さないとな……

安玖巡査の話だと、まともな換金レートじゃないって事らしいし。

1魔っ貨1000円とかだろうか。だとしたら勘弁してほしい。

 

「ところでお前、一泊分だけとはいえよく俺達分の宿代用意出来たな。

 マスコミってのは、稼ぎのいい職業なのか?」

 

「そう言う訳じゃないんですけど……言っても怒らないでくださいよ?

 ここ、人間は宿代取らないんですよ……荷物扱いとかで」

 

「……予想の斜め上にクズな理由ですね」

 

……どうやら、ルキフグス領ってのはグレモリー領はもとより

フェニックス領よりも人間に対する風当たりが強い……と言うか

人間に対する権利を持ち合わせていないようだ。まさか人間が器物扱いとは。

こりゃ、確かに面倒な所に飛ばされちまったかもな……




【朗報】無理矢理眷属にされた憧れのお姉さんはいなかった【夢オチ】

【悲報】今度の誤転移先はルキフグス領【まただよ】


>ルキフグス領
拙作では造幣やっているので、その関係もあって経済活動「だけ」はやたら活発です。
ですが経済が活発という事はその分防衛にも力を割けるという事なので
この辺りは他の区域と比べると治安がいいです。
……悪魔社会における治安、ですが。
規模は下手な現魔王のお膝元よりもでかいです。
今じゃ多分グレモリーと逆転してるんじゃないかな。

……で、ルキフグスとなるとあのシスコン(実姉対象)が出てくるわけですが
こっちにもシスコン(近所のお姉ちゃん対象)が。さてどうなることやら。

現魔王とは明確に対立しているので、人間に対する扱いも保守的ではないかと思い
ミッチ曰く「斜め上にクズな理由」で人間が扱われています。
しかしこれがここの当たり前なのだから、一々キレていられない。
変えたければ、頭を変えなければ。

>面子
実はここ結構悩みました。
最初はセージ・バオクゥ・安玖・氷上・光実の予定で
次にセージ・バオクゥ・安玖・氷上・ゼノヴィアで組む。
しかし結局両方加えた大所帯。
ミッチにヨモツヘグリの件を言わせたかっただけってのもありますが
これで「現在リアス・グレモリーと何の関係もない」繋がりが出来ています。

……でもそうなると悪魔の駒抜いたはずの白音は?
と言う訳でセージが疑問に思っています。
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