ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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お待たせしました。
思いのほか立て込んでしまい、遅くなってしまったことをお詫びします。


Will44. 悪魔交渉 Bパート

冥界・ルキフグス領に迷い込んだ俺達は、人間界に戻る手段を得るために

冥界での活動を確かなものにするために、アモンの協力の元

ルキフグスの領主に対し交渉を試みた。のだが――

 

 

「大体だ! 姉上は僕のものになるはずだったんだ!

 姉上の髪、姉上の瞳、姉上の唇、姉上の乳房、姉上の臀部、姉上の……」

 

「……なに? お、お前……まさか」

 

ルキフグス領主、ユーグリット・ルキフグス。

矢鱈とサーゼクスに対し敵意をむき出しにしていると思っていたが

その実情は、実姉であるグレイフィア・ルキフグスに対し並々ならぬ想い――

 

――それも劣情も含め、抱いていたことに起因する。

 

それが故に、俺にとっては何故だか他人事に思えず、協力を申し出たのだが

人間である俺がそれを言ってしまったことが、ユーグリットの癪に触ってしまったようで

こうして怒られているのだ。

 

「それとも、お前だって僕と同じように、姉に欲情し、手籠めにしようと企んでいたのか?

 だとしたら将来有望な人間だな! 僕がやり方を教えてやろうか?

 ルキフグスとしては専門外だが、この手の事は予行演習済みだ。

 

 いや、あるいはもう既に済ませたか? だったら感想を聞かせておくれよ。

 『お姉ちゃんの具合はどうだった』?」

 

 

次の瞬間、俺はユーグリットの鼻っ柱に鉄拳をめり込ませていた。

俺が相手の地雷を踏んだと思ったら、まさか向こうも地雷を踏み抜きに来るとは。

姉さんにしたことは、責められることはあっても誇ることじゃない。

それは、俺のした取り返しのつかない事だ。それを……!!

 

 

『……アモン。まさかお前、ここまで見越して……』

 

『可能性の一つとして考慮してなかったわけじゃないさピンク。

 こいつがユーグリット同様姉に対して並々ならぬ劣情を抱いていたのは、バレバレだったんだ。

 だったら、かなり位置の近いセージをぶつければ、どっちかには転ぶだろう、ってな。

 ……とはいえ、ちょっとやり過ぎた。ユーグリットはともかく、セージには悪い事をしたな』

 

『俺が言うのもなんだがなんて無茶苦茶なプランだ。

 あとピンクじゃなくてマゼンタだ、何度も言わすな』

 

俺の中でアモンとフリッケンが何か言っているが、知った事ではない。

今の俺の中では、ユーグリットに今の言葉を取り消させることしかない。

姉さんを穢さんとする奴を、許す道理なんか何処にもない。

 

「……は、ハハッ、ハハハハハハッ!!

 いいぞ、いいぞ人間! 悪魔に向けるその感情こそ、人間と悪魔のあるべき姿だ!

 そこまでムキになるとは、やはりお前にとってその女は大切なものらしいな!

 

 人間風情に何がわかるか、と言ったことは取り消してやる!

 だが、その感情のうねりを僕のそれと同列に語られるのは、まだ納得がいかない!

 人間、そこまでのものならば悪魔の流儀で僕に示してみろ!」

 

「……御託はいいよ。こっちこそ、少しでもお前の気持ちを応援しようと思った俺がバカだった。

 今度はアモンの代わりに俺が沈めてやる。表に出ろ」

 

後ろでわいわい言っているような気がするが、今の俺にははっきりと聞こえない。

一応、最後の理性でここで暴れるのではなく

表で暴れてやろうという気持ちだけは残っていたが。

 

「いいだろう。だが、僕を失望させないでくれよ?

 もし僕のお眼鏡に適わないようであれば、お前の言うその女。

 この地に引きずり出して、転生悪魔以下の供物として扱ってやろう」

 

「……御託はいいっつった!」

 

EFFECT-STRENGTH!!

 

普通に出るつもりだったが、今の言葉に我慢がならず、壁をぶち抜く形で

強引にユーグリットを外に出すことにした。

今ユーグリットを殴りつけたことで、いくらか冷静さも戻って来た。

壁の修理代が怖いが、それはあいつに出させよう。

 

――これ以上、姉さんを穢させてなるものか。

子供も産んで、平和に過ごせるはずなんだ。それをなんでこんな奴に!

 

「せ、セージさんマズいですよ! ユーグリット・ルキフグスは

 魔王クラスの能力を持っているそうです!

 言うなれば、四大魔王のうち誰か一人を相手にしてるのと……」

 

「これは俺が買った喧嘩だ。巻き込まれたくないなら下がってていい。

 それに、魔王クラスだというなら尚の事ブチのめしてやらないと。

 こいつに負けるって事は、即ち四大魔王には勝てないって事になるからな」

 

『わかってるじゃないかセージ。ユーグリットを焚きつけた俺も悪かったが。

 その伝聞が本当ならば俺が戦った時よりも強くなってるって話だろうな。

 ……だからセージ。詫びって訳じゃないが、俺の力も使え』

 

バオクゥに制止されるが、それは今の俺には燃料を増しただけだ。

姉さんを愚弄した分は絶対にわからせるし

いつかは四大魔王とも戦わないといけない、と言うか嘗められるようではだめだ。

アモン云々関係なく、俺個人が魔王に嘗められては話にもならん。

 

「……いや。人間として、こいつには言いたいことがあるからな。

 お前の買った喧嘩、俺も乗らせてもらうぜ。

 氷上、お前は被害が出ないように見張ってろ」

 

「私も乗ろう。ここまで人間を侮辱されて黙っているのも癪だからな。

 悪魔を斬るのならば、いつもやっていることだ。今更躊躇うことなど無いよ」

 

いつの間にか、話はかなり大きくなっていた。

安玖(あんく)巡査にゼノヴィアさんも首を突っ込んできたのだ。

そりゃあ、ここは人間にしてみれば完璧なアウェー。

いくらアウェーでも、好き勝手言われれば腹に据えかねる。

 

「ほう、三対一か。人間は脆弱だからね、数にものを言わせなければどうにもならない。

 丁度いいハンデだと思うよ。まあ、それでも僕に勝てるとは思えないがね。

 そう……たとえアモンが出てきたとしても、今の僕があの時と同じと思わない方がいい」

 

『……癪だが、奴の言葉はハッタリでも何でも無さそうだ。

 今の俺も本来の肉体を無くして久しいからな、あいつを一撃で斃した時ほどじゃない。

 力を貸すとは言ったが、考えなしに俺に代わったところで、奴には勝てんぞ』

 

(そこは大丈夫だ。俺に策がある)

 

今のアモンの口調から察するに、明らかに苦虫を噛み潰したような顔をしているだろう。

つまり。アモンの知っているユーグリットより

今目の前にいるユーグリットの方が強い、と言う訳だ。

確かにアモンの言う通り、考えなしにアモンに交代したところで

アモンが武勇伝として語った通りの結果になるとは思えない。

向こうだって対策の一つくらい練るだろう。

 

……それに、いくらマグネタイトで補強しているとは言っても人間たる俺の身体だ。

アモンの元々持っていた悪魔の肉体じゃない。出せる力には限度がある。

つまり、あまり言いたくないが俺の身体がアモンの足を引っ張ってしまっている状態だ。

この問題に対する解決策。それは、この間の戦いでアイデアとしては成立したが

まだ試してはいない。ぶっつけ本番だが、理論上は行けるはずだ……多分。

 

「人間と戦うのも久しぶりだからな……だからこうしよう。

 もし君達が僕に勝てたら、僕は無条件で君達に協力しよう。

 だがもし君達が僕に負けるようならば……君達の持つ『全財産』を頂こう。

 ああ、勿論物的な意味での財産に限らないよ。心の繋がりも絡んだ財産……

 

 そう、『全財産』だ」

 

『ま、平たく言えばゼノヴィア辺りは悪魔の苗床、神器(セイクリッド・ギア)持ちは神器バラして売り飛ばし。

 アーマードライダーとかも没収。

 残った肉体はバラしてマグネタイトの原料……ってとこだろうな』

 

さらりと言ってのけたアモンの言葉に、俺は軽く背筋に寒いものが走った。

そんな行為が罷り通っているのが、冥界ってところなのか。

一体どれだけ、グレモリーってところが温いのか。嫌って程思い知らされた一日だ。

 

……だがこれで、生半可な喧嘩じゃない――生き残りをかけた戦争としての意味合いが

この戦いに付与された。つまり、もう負けられない戦いだ。

そうなれば、何の手心も加える必要などない。元からそのつもりは無かったが。

 

「どうした? 最初の一撃も譲ってあげるよ。かかってきたらどうだ?」

 

「――――しっ!!」

 

「敢えて」挑発に乗る形で俺はユーグリットに飛び掛かる。

ここまであからさまに挑発してくるってのは、大体何かしら仕掛けがあるものだ。

俺でも仕掛けを仕込んだ上で攻撃を誘発させるにしても、ここまで露骨に挑発しない……はずだ。

今回も殴ると見せかけて、その実は掴みかかって記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)での検索を仕掛けているだけだ。

これだけ近くて、フリッケンのアシストもついていれば即座に結果は出るだろう。

 

『――読み通りだ、セージ。この野郎「物理反射魔法(テトラカーン)」を仕込んでいやがった』

 

『恐らく俺が「ぶん殴って」一撃で沈めたことに対する意趣返しだろうな。

 にしちゃ、仕込みが幼稚な気もするが。

 セージ、その「物理反射魔法」は一撃殴れば解ける。適当に引っ叩いて剥がしてやれ』

 

おい解き方。ここで脳筋方法を提示されるとは思わなかったが

その実俺も反射魔法の解除方法なんて知らない。悪魔の魔法は聖槍コピーで封じられないし。

仕方ないので、提示された方法の通り俺はこのままユーグリットに肉薄したまま――

 

 

――デコピンを見舞った。

 

 

「きっ……貴様ぁ!! ふざけているのか!?」

 

「今だ安玖巡査、ゼノヴィアさん!!」

 

額の痛みに耐えながら安玖巡査とゼノヴィアさんに攻撃を指示する。

ユーグリットの怒りもまあ、わからんでもないが

だったらそんな小細工なんぞ仕込むなと言いたい。

初見殺しを仕掛けたつもりが逆に初見殺しに嵌ってる感も、なくは無いが。

 

 

「おらああああっ!!」

 

「ふんっ……!!」

 

俺が立ち退くと同時に、安玖巡査の神器から放たれた火球の弾幕がユーグリットの動きを封じ。

足が止まったその隙を突いてゼノヴィアさんのデュランダルが煌めく。

即興ながら、我ながらうまくはまったと思う。

 

 

……その、はずだった。

 

 

「――どれほどの浅知恵を絞ろうが、人間風情が僕と互角に戦えるなどと思うな。

 確かに聖剣を受け太刀すれば、いくら僕でも危ないだろうがね」

 

ユーグリットは安玖巡査の弾幕をものともせず

デュランダルの一閃をわざと紙一重で躱している。

しかもその反撃として、奴の懐に踏み込まざるを得なかった

ゼノヴィアさんの鳩尾に一撃を喰らわせている。

魔力を込めた一撃だ、生身のゼノヴィアさんでは受けたダメージが……!

 

「ぐっ……くっ!」

 

「チッ。あの野郎、俺の火球弾幕が堪えている様子がまるでなかった。

 奮発して出力上げたってのに、これじゃどぶ銭じゃねえか」

 

安玖巡査の火球攻撃。これは神器由来のものであり、投資金額に応じて威力が変わる……らしいが

あの様子で安玖巡査がケチったとは思えない。つまり、それ相応に威力のある攻撃だったはずだ。

それが効かないとなると……

 

『……あの野郎、検索結果にダミー仕込んでやがったか?

 特に炎に対する耐性は無い、と記録再生大図鑑は言ってるが……そうは見えないな』

 

「もう一度調べてみよう。フリッケンは悪いがそっちの方を頼む。

 前衛は引き続きゼノヴィアさん……と言いたいが、あの様子じゃ一旦下げないとダメっぽいな。

 もう一度、俺達で仕掛けて検索するぞ」

 

SOLID-DEFENDER!!

 

ディフェンダーを展開し、ゼノヴィアさんと入れ替わる形でユーグリットの前に出る。

もう物理反射魔法は切れているはずだから、ディフェンダーで仕掛けても何ら問題はないだろう。

ゼノヴィアさんの容態が気になるが、ここにアーシアさんがいないんじゃ気にしても仕方がない。

それより、こっちも二の轍を踏まないように気を付けなければならない。

 

「光力を仕込んだ盾……面倒なものを用意してくれた。

 だが……僕の『とっておき』を見ても、そんな悠長な態度を取っていられるかな?」

 

「とっておき」。その言葉に嫌な予感がして、思わず防御態勢を取るが。

次に耳にしたその電子音のようなガイダンス音声に、俺は思わず耳を疑った。

 

 

BOOST!!

 

 

「なにっ!?」

 

『何だと!? 隠し玉にも程が――』

 

ディフェンダーに触れるギリギリのところまで延ばされた掌底から繰り出された

ユーグリット・ルキフグスの「最上位重力魔法(グラダイン)」。

しかも、その威力は倍加されているのだ。

いくらディフェンダーと言えど、それには耐え切れずにひしゃげてしまい

盾を貫通する形で俺達も直撃を受ける形になってしまい、魔力の奔流に吹き飛ばされてしまう。

 

 

――なんで、奴が「龍の手(トゥワイス・クリティカル)」、ないしは「赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)」を持っているんだ!?

 

 

それを疑問に思う間もなく、重力波の衝撃と叩きつけられた衝撃が一度に襲い掛かってくる。

何とか、意識を手放さずには済んだが……俺がいた辺りは、物凄いクレーターが出来ていた。

 

 

「……クソっ! あの電波ジジイめ……切り札とか言っておきながら

 これじゃ僕の領地まで消し飛ばしかねないじゃないか!

 こんな使いどころに困るものを寄越してきた……体のいい厄介払いか?

 だとしたら、それはそれで好都合とも言えるが……

 それにしても、よくこんなものを扱う気になるな。あの赤龍帝のガキは」

 

ぶつくさ言いながら、ユーグリットも体勢を立て直していた。

どうやら、威力があり過ぎて半ば自爆しかけたようだ。

確かに、こんなクレーターが出来るものを自分の領地で撃つわけにもいくまい。

そう言う意味では、お互いに初見殺しだったわけだ。

 

そして、この現状に悪態をついている目の前の悪魔を見て、心底ほっとした俺がいた。

何故ならば。周囲を顧みて、力を揮うべきかそうでないかをきちんと認識できている。

周りも見えず、闇雲に力を振りかざす。そんな悪魔ではないことを。

 

(……やはり姉さんを愚弄した件は許せないとしても、話は通じるかもしれないな)

 

『これは驚いた。お前、あれだけ言われてよく冷静にそこまで考えられるな』

 

フリッケンの指摘も尤もだ。温い、かもしれない。

だが……あの悪魔としての姿勢。一周回って協力を仰げるかもしれない。

俺は、やはりそう思えてならないのだ。

 

……まあそれにしても、姉さん愚弄してくれた分はもう少し殴っておくつもりだが。

 

『セージ、奴のタネが割れたぞ。

 奴は「聖なる力以外の魔法、霊的な力には滅法強いが、物理的な攻撃には弱い」。

 だから、それを補うために物理反射魔法を仕込んでいたってところだな。

 やっぱりダミー仕込んでやがったな。どういう仕掛けかはわからんが』

 

(なるほど、それで安玖巡査の火球弾幕が効かなかったわけか。

 となると……物理的な攻撃だが……下手をすれば、さっきみたいなことになる。

 

 ……よし。アモン、そろそろお前の出番だ。フリッケンも)

 

検索が止まった記録再生大図鑑からカードを引こうと、徐に手を伸ばす。

俺の中では、フリッケンが次の準備をしており、アモンも怪訝ながらも自分の出番を待っている。

手札はある。ヒントは得た。

 

後は……俺の手札構成技術だ。




ま、拳で語るってやつです。
(物理)と出来ないのは、魔法も使っているからですかね。

>ユーグリット
スペックはD×Dと言うよりはペルソナ2のルキフグス。
グラダインとテトラカーン、火炎無効はこの辺から。
逆に物理弱点なのでアモンにワンパンされたのはそう言う事情だったり。

そしてやっぱり持ってた赤龍帝の籠手。
拙作では出所不明ですが、電波ジジイ(リゼヴィム)から貰ったと
本人が零しており、ではそのリゼヴィムはどこから……? となると
一番考えられるのは……

ただ、敵が自軍戦力を使う、ってのはそれなりに燃える展開のはずなんですが
今回のこれ、なんだか燃えるというよりは想定の範囲内と言うか。
そもそもが地力の弱い奴が使って~ってお話だったので
じゃあ地力の強い奴が使えば? ってのがユーグリットが持ってるレプリカ赤龍帝の籠手、って話でしょうし。

セージにももれなく言えることなんですが、猿真似でどうにかできるもんなんですかね。
赤龍帝に頼ってしまっていて、終盤の敵のはずなのに強敵感が薄い気が。
なので拙作ではペルソナ2要素追加してますが(こっちも終盤とは言え雑魚悪魔なんですがね)。


……ちなみに、拙作ではまだ披露していませんが魔っ貨に連なる悪魔として
「あの」トラウマ技も持っています。
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