ひょんなことから俺達はユーグリット・ルキフグスと戦うことになった。
人間の力を思い知らせてやる、そう意気込んで戦っていたが
奴は悪魔が使えないはずの「
これは、恐らくだが俺達人間が道具の力を使って戦うように
悪魔にとってみれば
……持ち主ごと、でないだけマシだと思うべきなのかもしれないが。
『セージ、奴のタネが割れたぞ。
奴は「聖なる力以外の魔法、霊的な力には滅法強いが、物理的な攻撃には弱い」。
だから、それを補うために
(なるほど、それで
となると……物理的な攻撃だが……下手をすれば、さっきみたいなことになる。
……よし。アモン、そろそろお前の出番だ。フリッケンも)
検索が止まった
俺の中では、フリッケンが次の準備をしており、アモンも怪訝ながらも自分の出番を待っている。
手札はある。ヒントは得た。後は……俺の手札構成技術だ。
「これ以上騒ぎが広がるのは不本意だからな、そろそろ決着つけようか」
「よく言うよ人間。お前が仕掛けてきたくせに」
ユーグリットの茶々も意に介さず、俺はいよいよ記録再生大図鑑から新たなカードを引く。
それは、ついこの間
今まで機会に恵まれなかっただけで、可能性自体は存在していた、そんなカード。
PROMOTION-BISHOP!!
十字架を模したサークレットに、僧侶の駒を模した肩部~胸部を覆うプロテクター。
そして、羽織るように全身を覆う法衣のようなローブに、ケープ。
他の「
そして、シャドウが展開した妙に鋭利な三日月状の刃は最低限に留められていた。
『「
そう。シャドウが持っていたカードを、いくつか継承した。
その中に、このカードが入っていた。自身の
そう考え実行したが……ま、液状化よりは楽だわな。
「
だが僧侶の駒は魔力強化。魔力を持たない人間が使ったところで――」
「ああ。だから……こうするのさ!」
QUINT-SPREAD SUMMON!!
SWORD!!
STRENGTH!!
CHARGE-UP!!
PLASMA-FIST!!
HEALING!!
剣・力・能力の増幅・電撃拳・回復の5枚のカード。
シャドウが使った時よりも多い、五点を頂点とする魔法陣の生成には成功する。
魔法陣の中からは、クレーターを作り上げた土を塗り固めて
ひたすら硬化させた作った、物々しい鎧が現れる。側頭部から角を生やし
蝙蝠の翼のような放熱板らしきものを胸に抱く、物々しい鎧。
(甲次郎。お前が夢で見たっていう鎧の話、使わせてもらったぜ)
それはこの間甲次郎から聞いた、神にも、悪魔にもなれるという兜の話。
その兜を被ることで鎧を纏い、大いなる力を得たとされる夢。
なぜ今、この話を出したかと言うと――
『だがセージ。召喚をしたところでそれは中身が無ければ動かないんじゃないか?
シャドウの時は悪霊を詰めていたようだが、今悪霊の力はそこまでは……』
「悪霊の力を使わなくとも、中身を詰めさえすればいいんだろ。
あるじゃないか、うってつけなのが」
『……読めたぜ。俺もてっきり、お前もあれに悪霊を詰めて動かすのかと思ってたがな』
フリッケンとアモンに突っ込まれるが
それじゃあ普段使ってるガン・レギオンと変わらないじゃないか。
そんなものを作ったところで、使い捨ての戦力にしかならない。
ここまで手の込んだものを作る以上、使いきりとは言え消耗前提ではなあ。
それに、ガン・レギオンが赤龍帝の籠手持ちの魔王クラスに通じるかどうかと言えば、疑わしい。
牽制にはなるだろうが、とどめの一撃にはなるまい。
「フン……僧侶の力で何をするかと思えば木偶を作っただけか。
木偶でこのユーグリット・ルキフグスを倒せるなどと……ふざけるのも大概にしろ、人間!」
「ただの木偶なんてデコイにもなりゃしないものを態々手間暇かけて作るものかよ……
さあ、お前の出番だ!
――アモン!!」
俺の号令を発すると同時に、俺の中から何かが抜け出る感覚に襲われる。
アモンが、俺の身体を離れたのだ。
だが、本来の肉体を持たないアモンを長時間外に出せば、それはたちまち霊魂になってしまうだろう。
かつての、俺と同じように。
そうならないために、俺はあれを――魔神の鎧を、用意したのだ。
材料こそ、寄せ集めではあるが。
『また、俺に殴られたいようだな! ユーグリット!!』
「アモン……アモンだと!?」
俺が生み出した魔神の鎧の脳天部分に、赤い光と化したアモンが突き刺さる形で入り込む。
甲次郎は確か、この兜から生まれた鎧の事を
――神にも、悪魔にもなれる兜から生まれた鎧。
それを人が被り、人の頭脳を加えることで完成させる。
そう、語っていたか。
言うなれば、この魔神の鎧は
ならば、魔神の
「セージ、こいつは中々ご機嫌じゃないか! この鎧、名前が無いのならば俺がつけてやる。
魔神剛……うん、召喚するときにもいい。その名前に異存は無い。
魔神剛の力を得たアモンをアシストする形で、俺も戦列に参加する。
「まずはこいつだ! デビルスマッシャァァァァァ……パンチ!!」
魔神剛アモンの右腕に、スクリューのような刃が展開される。
そのまま右手を振りかぶり、刃を回転させながら、腕を撃ち出す。
……どう見なくても、ロケットパンチだ。
確かに僧侶の力で召喚を行う際、カードを媒体にし召喚対象の力を発現させるが
その召喚結果までは、俺も事細かには把握できない。だからってこれは……
アモンが入った影響もあるかもしれないし。
ドリルを合わせたロケットパンチなんてロマン全振りな攻撃は、ユーグリットに突き刺さるなり
回転はさらに増し、あっという間にユーグリットを吹き飛ばしてしまう。
いくらユーグリットが物理的な攻撃に弱いからって、こりゃかなりの威力だ。
……なのだが、そう手放しでも喜べない実情があった。
「セージ。今の一撃だが、そう何度も撃てねぇな。
ご機嫌なのは間違いないが、威力にガワの材質が追いついてねぇ。
ま、それに耐えうる材質なんざそれこそ超合金みたいなもんになるかもしれねぇがな」
簡単に言ってくれる。確かに冥界を探せば超合金みたいなものの一つや二つ、あるかもしれないが。
それを都合よく調達するにしても……いや、記録再生大図鑑とモーフィングなら出来るか。
ただ、俺がその材質について知らないと作るのが面倒ではあるが。
とは言え、デビルスマッシャーパンチを放った魔神剛アモンの右腕は
見るからにヤバいくらいにはスパークしている。
いくら威力があっても、自壊しかねないものを撃っているようでは
さっきの赤龍帝の籠手を使ったユーグリットと大差ない。
継戦能力について危惧しているが、再生能力を持たせた上でこれである。
回復のカードを混ぜたのだから、再生能力は備わっているはずなのだが。
再生で追いつかない程の自壊をするほどパワーがすごい、とも取れるか。
「ぐ……お、おのれアモン……二度も殴るとは……
姉上にもぶたれたことがないのに……!」
「ハッ、殴って何が悪い? ぶたれもせずに愛される奴なんかいねぇと思うがな?
それはつまり、てめぇがグレイフィアに愛されてねぇって事だよ。ユーグリットの坊や」
魔神剛の力を得たからか、アモンが少し調子づいたようにユーグリットを挑発する。
とは言え、あのタイプはこの手の挑発には乗りやすい。
俺だって、同じこと言われたらどうなるかわからないし。
「ほざくな、悪魔の裏切り者がぁぁぁぁぁぁ!!」
「裏切り者は、裏切り者らしく力を揮わせてもらうぜ……
……デビルレイッ!!」
今度は魔神剛の鎧の目にあたる部分から凄まじい威力の光――ビームを撃ち出す。
アモンに体を貸していた時に使った
それより、悪魔のアモンが光の力を使えたことに驚きだが。
これも、魔神剛の鎧の力なのだろうか。
「まだまだ! デビルミサイル!!」
今度は魔神剛の鎧の腹部分からミサイルが撃ち出される。
中身がアモン以外空洞だからこそ出来る業だろう。
ミサイルなんて質量兵器どこで生成しているんだ、って疑問はあるが。
3Dプリンターでも内蔵しているんだろうか。そんな馬鹿な。
……にしても、シャドウが召喚したアナザータナトスもそうだったが
明らかに素材に使ったカードよりも武器や技の数が多い。
アナザータナトスは量で、魔神剛の鎧は質で。
それぞれ中身が強力だからこそ、これほどまでの力を発揮しているのだろうか。
……だとしたら、今までの
それこそ、ディーン・レヴ並に危険な代物だ。
「セージ、仕掛けるぞ! デビルスライサー!!」
アモンから投げ寄越された両刃の長剣。ずしりと来るそれは
元々魔神剛の鎧を土くれから作ったことなど彼方に忘れ去ってしまえるほどの作りであった。
僧侶への昇格は、自分自身の力は殆ど強化されないらしく
今の俺には些か持て余してしまいそうな剣だが、何とか両手で握りアモンの攻撃に合わせる形で
俺もユーグリットに斬りかかる。
「ぐっ……ちょこまかと……人間め、アモンめェェェェェェェェ!!」
魔王クラスの相手らしいが、その魔王クラスに比肩したアモンが自由に戦えている。
俺はアモンのアシストに入る形で、この戦いを支えることにする。
しかしこの戦いの余波、ゼノヴィアさんや安玖巡査が入る余地がなくなりつつある。
やはり、魔王クラスと言うのは伊達では無いという事か。
早急にケリをつけたいところだが、どうやらそうも言っていられない。
――その原因を、俺は後方で防衛についていた氷上巡査と
「みなさん、大変です! 上空に重力震反応を感知しました!」
「
アインストの大群。果たして、ユーグリットを相手にしながらそれを捌けるか。
冥界がアインストの襲撃を受けている。それは事実だと再認識するとともに
その上空に現れたアインストは、間違いなく沢芽市で相手取ったのと同程度の規模であった。
本体が僧侶の召喚を使うと、こうなります。
>魔神剛の鎧
番外編で甲次郎を強引にでも出した理由。
言うまでもなく元ネタはマジンカイザー。
なぜこうなったかは初代テーマの「デビルマシン」ってフレーズに心打たれて。
間違いなくデビルマン意識してるよね? と思いはしたけれど
別にデビルマンの歌はアニキじゃないしなあ、とも思い。
そりゃあ、デビルマンとマジンガーは切っても切れない縁があるけれども。
魔神皇って名前に嫌悪を示しているのはアモン繋がりのif.ネタ。
だからって魔神剛(マジーン・ゴー)はどうかと思いつつも
マジンガーっつったらこれしかないと思いこのまま通し。
材質が材質なのとセージがまだ僧侶の力に慣れてないので
現時点のアモンカイザーは本家マジンカイザーに比べると明らかに弱いですけど。
セージもダブルマジンガーブレードやらされてますが、能力ブーストかかってないので
精々気を引く程度しか扱えてないです。
……そして、多分関係ないけれどここでマジンガーの因子を出したことで
また一つニャルラトホテプ特効が生まれました(スパクロ話)。
マオウガー? はて。
>悪魔が神器を使う
人間がアーマードライダー使うようなものなのかもしれませんが、それにしたって。
認証システムはあれど独立してるアーマードライダーシステムと違って神器はそれそのものが
人間と同一(人格が同一視される程度には)ですから
道具感覚で使うって事は、即ち人間の扱いなんざ……
……やっぱ悪魔クソだな。