ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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お待たせしました。
多忙やら体調やら諸々重なってました。

おまけにリアルは酷いことになっているし、だからさあ……


Will46. 「かつて」からの襲来 Aパート

俺達とユーグリットの戦いは、アモンを召喚したことで優位に立っていた。

しかし、その最中ルキフグス領上空にアインストが現れたという報せが入る。

冥界もまた、アインストの標的に変わりはないのだ。

 

「……人間。命拾いしたな。

 アインストが現れた以上、最早お前達等に構っている暇は無い」

 

言うや否や、魔法陣を展開し姿を消すユーグリット。

見方によっては、これ幸いとばかりに逃げ出したとも見えるのが何とも。

それ位、アモンの力で優位には立てていたのだ。

 

『……どうする、セージ?』

 

フリッケンの質問に対する答えは、俺の中にはいくつかあったが

どうやら俺の答えは顔に出ていたようだ。

 

「お前がお人好しだってのは薄々思っちゃいたがな。その上で言わせてもらうぞ。

 ……っざけんな! 今の戦いと違って、今度は俺にしてみれば

 骨折り損どころか金をドブに捨てるようなもんだ!

 誰が好き好んで、ガラクタに投資しなけりゃいけないんだ!」

 

「私も、安玖(あんく)巡査の意見に賛成だ。

 いや、確かにアインストも危険だし人間の敵である以上、戦わなければならないのもわかる。

 だが、そのために結果論でも悪魔を救うと言うのは、やはり私には承服しかねる。

 入国のために名義を借りたにすぎないが

 私としても世話になったシスター・グリゼルダの顔に泥は塗りたくない」

 

今度は逆に、安玖巡査とゼノヴィアさんがアインストとの戦いに難色を示したのだ。

そりゃ、ここでアインストと戦うというのは結果として悪魔を助けるということだ。

そうなればゼノヴィアさんは元々悪魔祓いだから主義に反する。

安玖巡査だって超特捜課として守っているのはあくまでも人間。

人に危害を加えかねない悪魔を守る道理なんか、何処にもない。

たとえここが、日本国憲法の適用外の地域だとしても。

 

「氷上。お前もこんなことにゲシュペンスト使うのはやめとけ。

 ゲシュペンストの補給線が確保できてるか怪しい現状、燃料を無駄遣いして

 いざって時にゲシュペンストが動かせない、なんてのは困るからな」

 

安玖巡査に釘を刺される形で、氷上巡査も黙り込む。

氷上巡査も割と人がいいから、ゲシュペンスト出すつもりだったのかもしれない。

ただ、これに関しては俺としては安玖巡査に賛成だ。

補給が確保できていないから、ユーグリットに頼み込んでいたわけだし。

 

「アオバさん、あなたはいいんですか?」

 

「……正直、別にルキフグスの悪魔を助ける義理も何も無いんですけどね。

 強いて言うなら、折角生き延びた純血悪魔がアインストに壊滅させられるのは

 ご愁傷様、ってのと……魔っ貨の造幣が効かなくなったら経済面で大混乱おきそうかな、とか」

 

……ん? それ、結構ヤバい奴じゃないか?

光実(みつざね)に質問されたバオクゥの言う通り、ルキフグスは造幣を一手に担っている。

他にもあるのかもしれないが、造幣や経済活動の音頭を取っているのが

今俺達がいるルキフグス、とは聞いている。

ここが潰れたとなると、ただでさえ法が整備されているかどうか危うい冥界が

さらに世紀末じみた事にならないか?

 

魔神剛の鎧の制限時間の問題もあり、俺はアモンに目配せして、一旦アモンを俺の身体に戻す。

そしてすぐさま、俺は騎士(ナイト)昇格(PROMOTION)を果たし、マシンキャバリアーを呼びだす。

 

「おいセージ! 今の話聞いてたのか!?」

 

「ええ。その上で俺は行きます。来てくれ、などと言うつもりは無いですし

 俺に強要できる権利は無いですから。ただ、それは逆にいくらお二人が超特捜課でも

 俺に強要ないし命令できる権限はもう無いと思いますよ」

 

「……確かに、今宮本君は超特捜課を実質クビになってますからね」

 

……うっ。今までは一応抜け穴的に給料もらえてたけど、今後もらえないって事か?

そうなると、ちょっと身の振り方考えた方がいいかもしれないな……

ただでさえ、最近入り用な事が増えているってのに。

 

「……ともかく。ここでルキフグスが潰れられると冥界が無法地帯になりかねません。

 そうなったら悪魔が安住の地を求め、人間界への攻撃的干渉が今以上に激化しかねません。

 見たでしょう。人間を資材か何かとしか思っていない、あの悪魔の在り方を」

 

「……悪魔としてはフォローしたいところなんですが、否定しきれませんね」

 

バオクゥも匙を投げた、あのルキフグスでの悪魔の在り方。

あれが通例なのかもしれないが、だとしたらあんなのが人間界に流れ込んだら。

そう思うと、ゾッとする。

そうさせないためにも、悪魔には冥界で大人しくしてもらいたい。

そのためには、冥界から追い出す形になりかねないアインストはどの道、邪魔だ。

それに、冥界を襲撃したアインストが次に狙うのは、恐らく……

 

「……燻されて人間界に出てこられるよりはマシ、って訳か」

 

「それに、冥界を潰したアインストがそのまま大人しくしてるとも思えませんしね」

 

二人の巡査は、俺の言わんとすることを把握してくれたようだ。

ゼノヴィアさんも、渋々と言った形ではあるが協力してくれるようだ。

 

「では、僕とセージさん、アオバさんで先行しましょう。

 幸か不幸か、襲撃地点からはそれほど離れてませんし」

 

光実のローズアタッカーと、俺のマシンキャバリアー。

二台のバイクで先行して、アインストと戦うという流れになるだろう。

バオクゥには、マシンキャバリアーの客車部分に乗ってもらう。

 

「知っていると思うが、デュランダルではアインスト相手には分が悪い。

 私もすぐに行くが、戦力としてはあまり期待しないでほしい」

 

「なに、俺達で始末をつけてきますよ」

 

と、偉そうに言ったはいいが。

実際のところ、レジセイアと呼ばれる上級クラスと出くわしたら

ここの全員の戦力を集めても辛いかもしれない。

今のところ確認しているレジセイア級は、カテレア、クルゼレイ。

うちカテレアは既に倒している。だがそれも俺達だけの力じゃない。

大日如来様や天照様、そういった方々の力を集めてのものだ。

そうなると問題は、カテレアと同等以上の力は持っていることが安易に想像できるクルゼレイだ。

こっちは倒せていないから、今回出てきたって不思議じゃない。

薮田先生が抑えなかったら全滅していたかもしれない、七姉妹学園(セブンス)での記憶が蘇る。

果たして、もし現れたのならば薮田先生抜きで戦えるのだろうか。やらねばならないが。

 

「そうだな。こっちだって無駄遣いはしたくねぇんだ。お前らでやれるんならやってくれ」

 

「後方支援くらいは出来ると思いますので、後はお願いします」

 

安玖巡査ら三人に見送られる形で、俺達はバイクで先行して都市部に戻ることにした。

そうだ、何にせよ今いる戦力だけで戦わなければならない。

 

 

――――

 

 

やはりと言うべきか、アインストは悪魔が集中している都市部目掛けて侵攻していた。

インベスと違い、理知的に進軍しているのは今までの戦いでも明らかだ。

毛色の違うラスト・バタリオンと言っても過言ではない。

 

「何とか、数を減らしましょう!」

 

「そう言う事なら、砲撃で支援しちゃいます!」

 

光実――龍玄のブドウ龍砲、バオクゥの連装砲。

そして、バオクゥがマシンキャバリアーから降りたことで使えるようになった

マシンキャバリアーに搭載されている単装砲。

それらの攻撃を集中させ、上空にいるアインストの集団目がけ砲撃を開始する。

 

〈ブドウスカッシュ!〉

 

「これは……よく見えますねぇ!」

 

「よし……撃てぇぇぇぇぇっ!!」

 

態々接近戦をする理由も無い。市街地を守る義理も無い。

そりゃ被害は最小限に食い止められればそれに越したことは無いが。

だが、優先順位はアインストの撃退だ。

そう言う事ならば、遠距離からの高火力攻撃は理に適っているはずだ。

 

……しかしそれも、当たれば。の話である。

翼の生えたアインストクノッヘン――骨の翼で、どうやって飛んでいるのだろうか――は

その機動力でこちらの攻撃を回避し、こっちに向かってきている。

そうなれば、今度は白兵戦にもつれ込んでしまう。

 

それにしても、アインストが襲撃してきたというのにここの悪魔の大半は逃げ惑ってばかりだ。

まるで、人間と何ら変わらない。本当に悪魔の優位性ってあるのか?

そう疑問に思えてならない。

何の戦う力も持たない人間ならいざ知らず、魔力と言うものを持っている悪魔が、だ。

少なくとも、人間より強いのは間違いないはずなのに。

何故こいつらは戦わないのか。自分の住処を守る気は無いのか。

 

 

……そう考えると、俺達がこうして戦っているのが酷く馬鹿らしく思えてならない。

 

 

『ここの悪魔は当てにならねぇ! セージ、もう一度俺を召喚しろ!

 言わんとすることはわかるがな、戦うっつった手前勝手に降りることは出来ねぇし

 そもそも、奴らが既に俺達を狙っているんだぞ!』

 

 

――アモンの言う通りだ。

ここの悪魔がどうであれ、アインストってのは俺達にとっては間違いなく、敵だ。

ここにいる働きバチ程度を倒したところで影響は無いだろうが

それでも、放置していい理由にはならない。ここを破壊されたら長い目で見て困るのも

事実ではあるのだし。

 

さておき。奴らに接近されたら、マシンキャバリアーでは戦いにくい。

それに、魔神剛の鎧ならばある程度は遠距離にも対応できる。

俺自身の強化が甘くなるが、それよりもアモンが戦える方が重要だろう。

 

その支度を整えるために、俺は再び僧侶(ビショップ)へと昇格した。

 

 

PROMOTION-BISHOP!!

 

 

俺が再び纏うは、聖職者を思わせる十字架を模したサークレット。

僧侶の駒を模した肩部~胸部を覆うプロテクター。

そして、羽織るように全身を覆う法衣のようなローブに、ケープ。

 

防御には期待できないが、俺自身の戦闘力よりも

これから召喚するものの戦闘力の方が本命である。

 

 

QUINT-SPREAD SUMMON!!

 

 

SWORD!!

 

 

STRENGTH!!

 

 

CHARGE-UP!!

 

 

PLASMA-FIST!!

 

 

HEALING!!

 

 

「行くぞアモン! 魔神……剛(マジーン・ゴー)!!」

 

アインストの攻撃で崩れた瓦礫や、土を利用して魔神剛の鎧が形成される。

アモンがそれに憑依することで、赤いマントのような翼をたなびかせ

青黒い(くろがね)の城を思わせる魔神となるのだ。

 

 

「――来るぞ!!」

 

 

魔神剛の鎧を纏ったアモンの号令と共に、上空からアインストクノッヘンの軍団が降下してくる。

龍玄とバオクゥの対空砲火を掻い潜りながら、そうしてやって来たものは

アモンによって悉く鏖殺されていく。俺が相手取っているのは、専らそれらの撃ち漏らしだ。

正直、魔神剛の鎧を召喚するので結構な力を消費するのだ。

そのため、アモンに頑張ってもらわないと元が取れないのだが

その辺はアモンが元々強いのもあって何とかなってくれている。

 

魔神の眼光(デビルレイ)ッ!」

 

魔神剛の鎧の眼から放たれた一条の光が、アインストの群れを薙ぎ払う。

悪魔特効の影響は全く無いが、それでもアインストを次々と撃ち落としていくその光は

間違いなく、今の俺達の中では頭一つ抜き出た威力を誇っていた。

 

……いや、アキシオン・バスターみたいな規格外は置いておくとして。

 

アモンの撃ち漏らしを、光実とバオクゥが各個撃破していく。

俺はと言うと、レーダーやらなんやらで指示を出す立ち位置に落ち着いている。

とは言え、アインストはレーダーへの映りが悪いので要らん力を使っているのだが。

俺が前線に出たところで、今の俺では豆鉄砲程度の威力しかできない砲撃や

碌な防御力を発揮できないディフェンダーしかないのだ。

砲撃もだし、薄っぺらな防御力でタンク役が出来るかと言われると。

 

それ位、魔神剛の鎧の召喚や維持に力を使っているため

他の能力――特に、SOLIDやEFFECTと言った記録した能力を行使するタイプのもの――は

初歩的なごく一部を除いて満足に性能を発揮できないのだ。

 

……これ、単純に俺の力不足だな。凰蓮(おうれん)軍曹に指摘された事でもあるだけに

まさかこの期に及んで実際に問題として浮き出て来るとは。

鍛え直しが必要だな、これ。

 

魔神激弩鉄拳(デビルスマッシャーパンチ)!!」

 

飛来してくるアインストクノッヘンが打ち止めになり

次に襲来してきたのは強固な装甲を誇る、アインストゲミュートやアインストアイゼン。

それらに対抗すべく、アモンも一撃の威力が重い

あのコークスクリューロケットパンチを繰り出して攻撃する。

光実とバオクゥは、アインストの動きを止めるべく牽制のための射撃に専念している。

あれらには、ブドウ龍砲もバオクゥの砲も決定打にはなっていないのだ。

 

(今は何とかなってるが、流石にあの規模をこれ以上の密度で来られるときついな……)

 

アインストの何が厄介か。それは単に、その底が知れない部隊の展開力だ。

インベスも一応元が存在する生物である以上、ある程度の限界はあるし

反社勢力などの人間を主体とする軍団は言わずもがな。

酷い話だがJOKERだって基になる人間には限りがある。

例外は、その兵力の出所が未だにわからないラスト・バタリオン位だが

それだって元英雄派構成員は打ち止めになり得る。

 

だがアインストはそのあたりが全くの不透明で、どうやって殖えているのかすらわからない。

何せ、生物かどうかすらの判別が未だについてない連中なのだから。

アインスト絡みの問題を解決するには、禍の団のトップであるオーフィス。

――もとい、ウンエントリヒ・レジセイアを斃さない限り

末端のアインストは無限に沸き続ける。

今まで撤退しているのだって、向こうが戦略的に戦闘続行する理由がなくなったから

それに伴って攻撃の手を止めただけで、結果として見逃されているようなものだ。

生き残れば勝ちだが、それではジリ貧は間違いない。

 

 

……だが。今回に関して言えば、どうやら俺達は勝てたようだ。

少なくとも、ジリ貧の戦いをこれ以上する必要がなくなったのだ。

レーダーに、アインストとは違う軍勢が映ったのだ。




今更ですが、セージの僧侶形態の装飾モチーフは仮面ライダーイクサだったりライブだったり。

>魔神剛の鎧のルビ
悪ノリ。無駄な原作再現とも言いますが。
絵面的にはマジンカイザーVSアインスト……なんですが、この組み合わせって
家庭機スパロボでは無いんですよね。インパクトにマジンカイザーは出てませんし。
精々、イベントでアインストが出た時にカイザーを出撃させられるDDくらい?

>逃げ惑う一般悪魔
いくら相手が下手な悪魔より強いとは言っても
人間よりは強いはずの悪魔が何故。
原作においても「自分達の力で冥界を守ろう」という気概は
あまり感じられなかったです。

で、そんな奴らを尻目に外部の存在が防衛戦闘を繰り広げる、ってのは
どういう風に映るのか……

セージが(いくら力を持っているとはいえ)持ち合わせている常識が
人間のそれなのだから、悪魔とは比べるべくも無いので
そこで齟齬が起きているってだけの話かもしれませんが。

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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