ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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気付けば元号が変わってますね。
前回がパート跨ぎで元号変更と相成りましたが
それほど話が進んでないという……

かと言ってブレンほどネタに振り切ったわけでもなく。
というか誰が想像できるんですか数年前のエイプリルフールが実現するなんて。


……最近、エイプリルフールって嘘企画を当日に出しておいて
それを実現させてサプラーイするための企画になってません?

いや、どことは言いませんよ? 戦後70年以上経って1/1瑞雲作ったり
スケート界の重鎮やらロックバンドメンバーやら呼んだり
今度シャア専用よろしく車作ろうとしてるところなんて知りませんよ?


Will8. セージ沢芽市を歩く Aパート

今日は、凰蓮(おうれん)軍曹による訓練は無いそうだ。聞けば――

 

「いいこと? 明日はいよいよ本番よ。だから今日はコンディションを整えなさい。

 明日本調子でなかったら、今までの訓練は全て無駄になってしまうわ。

 そういうわけで今日の訓練は行わないけど、羽目を外し過ぎないように。いいわね?」

 

凰蓮軍曹にそう言われたこともあり、そして当の本人が勧めて来る洋菓子店があるという事なので

今日はそれに付き合う事にする。

 

――シャルモン。それがその洋菓子店の名前である。

開店前という事で、他にお客さんは見当たらない。

聞いた話だと、結構な有名店らしいのでそりゃあ普通の営業時間に入るわけにはいかないか。

 

ともかく、俺は凰蓮軍曹に案内されて店内に入る。

流石に厨房には入れなかったが、中では俺より少し年上の男性二人が菓子作りにいそしんでいた。

凰蓮軍曹が何か語っている辺り、店員――それも、凰蓮軍曹のパティシエとしての

弟子かなにかだろうか。

本人から聞いた話だが、凰蓮軍曹はフランス外人部隊出身という一面の他に

世界でも有数の腕を持つパティシエであるという。

その経営している店が沢芽市にある、シャルモンだとか。

話を円滑に進めるため、俺はこっそり記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を起動させた。

 

――いや、お前は何をこの一週間弱で特訓してたんだって話もあるかもしれない。

だが、屁理屈だが今は戦闘中じゃない。凰蓮軍曹に語ったら鼻で笑われそうだが

神器(セイクリッド・ギア)は何も軍事利用するだけのものじゃない。

その代替案がこうしてプライバシー侵害とカンニングってのは些か、アレだが。

 

……ふむ、粗暴な感じの方が初瀬亮二(はせりょうじ)さん、眼鏡の方が城乃内秀保(じょうのうちひでやす)さんか。

二人とも、このシャルモンでパティシエの修行をしているらしい。

そして、軍人としての訓練も同時に受けているとのことなので、考え方によっちゃ

この二人は俺の兄弟子という事になるのか。

 

水を飲みながら待っていると、奥からシュークリームを持って凰蓮軍曹がやって来た。

見た目だけなら、コンビニのそれとそう大差ないが……これは口に出さない方がいいだろう。

 

Je t'ai fait attendre(お待たせ), 特製のシュークリームよ。

 今日は特別におごりという事にしておくわ」

 

「いただきます……これは、うん、うまい」

 

思わず声が漏れた。そういえば大日如来様――天道寛(てんどうひろ)

デザートはあまり作らないイメージがある。

彼にゴチになったのは鯖味噌やカレーと言った料理だ。

それでも料理人としての腕は確かだし、料理評論家もしていたはずなので

凰蓮軍曹と料理対決とかしたら集客効果が見込めそうだ、と

テレビ局関係者みたいなことを思いながら、シュークリームに舌鼓を打つ。

 

「そういえば、沢芽(ざわめ)市にはユグドラシル以外で何か観光名所的なものってあります?」

 

「ユグドラシル以外……となると難しいわね。

 何せこの町はユグドラシルの企業都市みたいなものだし。

 ワテクシも普段はお店が忙しいから観光までは手付かずなのよ。ごめんなさいね」

 

凰蓮軍曹はパティシエで元軍人だ。沢芽市にいるのだって成り行き上だろう。

さて、そうなると沢芽市について知ってそうな人となると……

 

シュークリームについていた紅茶を飲みながら考えていると、厨房から二人の男性が顔を出す。

城乃内さんと初瀬さん、だったか。

 

「だったらドルーパーズってところに行ってみたらどうだ?

 また甘いもので被っちまうけど、果物とパフェならうちにも引けを取らないぜ?」

 

「……そうね、確かにあそこの果物とパフェに関して『だけ』は

 ワテクシも認めてあげてもよくってよ。

 けれど! ケーキに関してはうちの方が上手よ! それはお客様が証明してくださってるわ!」

 

初瀬さんの提案に、凰蓮軍曹は難しい顔をしながらも同意していた。

あー……こっちはケーキ、そっちはパフェとスイーツで被ってるもんな。

そりゃあ、多少は意識するか。凰蓮軍曹も大人げなく張り合っている。

 

「俺らもビートライダーズやってた頃は世話になったしな、あの店。

 そういう意味では客層もうちとはちょっと違うんじゃないかな。

 他のお客さんは凰蓮さんの方がうまいって言ってるけど

 お前もそうなのかどうかは食べてみてから決めてもいいんじゃないか? なぁ弟弟子君?」

 

眼鏡を直しながら、城乃内さんがドルーパーズを勧めて来る。

なるほど、客層の話か。それなら、沢芽市って場所を把握するにはいいかもしれない。

それに、食べ比べは非常に興味がある。

よし、では折角提案されたことだし、ドルーパーズに行ってみるとしよう。

 

「ありがとうございます。では凰蓮軍曹、また明日に」

 

Au revoir(またね). 明日は訓練の成果を存分に見せてやりなさい」

 

それは立ち振る舞いの意味だろう、と自分に言い聞かせた。

腕っぷしの意味で成果を披露するって事は、即ち問題が起きたという事だ。

そんな事態、起きないに越したことは無い。

……んだけど、クロスゲートってもんがある以上なぁ……

こうして沢芽市観光する上でも、警戒はしておくべきか。

 

とりあえず、今はドルーパーズだ。

凰蓮軍曹や初瀬さん、城乃内さんに別れを告げて、俺は沢芽市の市街地に繰り出した。

 

――――

 

……結論から言おう。軽く迷った。

 

店の名前は聞いたが、場所を聞きそびれたのだ。

そしてさらに土地勘のない沢芽市。迂闊にバイクを出したら悪目立ちすると考え

徒歩で移動したのも仇になった。ひたすらうろうろ似たような場所を歩き回っていたのだ。

 

ある程度歩いたところで、諦めて記録再生大図鑑をナビにして移動することにした。

聞き込みを行ってもよかったが、ビートライダーズのたまり場って聞いてからは

この町におけるビートライダーズの立ち位置を考えると、少々躊躇われた。

なにせ、「カラーギャングの拠点のお店を教えてくれ」なんて言ってるようなものだ。

流石にそれは問題があると思い、聞き込みは控えた。

 

……たとえ、ビートライダーズの事情を詳しく知らない外部出身とは言え、だ。

 

そうこうしているうちに、ドルーパーズに到着。

朝早く出た割には、もう営業していた。それだけ道に迷ったのか。

俺は決して方向音痴ではないと思うが……まぁ、いいか。

 

店内で目を引いたのは、うず高く積まれた果物の塔。

いや、この店がフルーツパーラーだってのは聞いてたけど、それにしたって。

早速注文を……と思ったら、でかでかと張られている写真に目が行った。

 

――「世界の破壊者」パフェ、挑戦者求ム。

 

なんだこれ。話のタネに頼んでみるか。

俺はさっそく勤務態度の無茶苦茶悪い店員さんに注文をする。

奥にいるマスターらしき人はいい人に見えるのに

なんでこの人はこんなに勤務態度が悪いんだろうか。

 

パフェが出てくるまでの間、俺は水を飲みながら歩き疲れた足を投げ出しながら寛いでいた。

すると、今までいろいろな理由で黙っていたフリッケンが口を開く。

 

『あのパフェ、何かすっごく見覚えがあるんだが……』

 

お前もそう思うか。以前見たお前の風貌に似てるっちゃ似てるんだよな。

でも俺以外にフリッケンを目視した奴なんてそれこそフリッケンのある意味生みの親な

異世界の龍、白金龍(プラチナム・ドラゴン)以外にいないはずだしな?

マシンキャバリアーや俺の昇格した際の装備は、面影を残すだけでそれそのものではない。

だから偶然だろう、で済ませることにした。変な偶然だが、説明がつかない。

 

『……それより。窓側の席見てみろよ』

 

今度はアモンが店の片隅にある窓側の席を指し示し――頭の中に情報が入ってくるのだ――

注視するように促される。すると、そこには髭の生えた男がアタッシュケースを片手に

何やら商談をしている。

この時、悪魔だったならば話している内容を聞き取る位は出来たのかもしれないが

今の俺にそれは出来ないし、別段悪魔でないことに後悔はしてない。

 

「……見るからに怪しい商談だが、アレがどうしたんだ?」

 

『あの男が持ってるの、インベス呼び出す奴じゃないか?』

 

何っ!? そんな危険なものを往来で取引していいのか!?

俺は思わず立ち上がったが、さっきの勤務態度が無茶苦茶悪い店員さんに制止させられた。

 

「店内での揉め事はご法度なんで」

 

……それもそうか。すみませんでした。謝った後、俺は改めて着席する。

だが、目の前でインベス呼び出す道具の取引が行われているというのに

何もできないのもな……クソッ。

 

歯噛みしていると、注文した「世界の破壊者」パフェが出てきた。

てんこ盛りの苺にバーコードのように並んだチョコ、それに緑色の……ライムか?

縦に切れ目の入ったライムが2個飾られた、やはり何かの顔にも見えるパフェ。

 

……それにしてもでかい。世界じゃなくて胃袋の破壊者じゃないかこれ?

これは、今度白音さんを連れてくるといいかもしれな……

 

……べっ、別にデートしたいとかそういう意味じゃなく!

いつぞやのケーキバイキングみたくこういうの興味ありそうだからと思っただけで!

 

『……何も言ってないぞ、セージ』

 

……ぐぬぬ。

こういう時に心を読み透かすのはやめてくれないか。フリッケンも、アモンも。

出てきたパフェと格闘している間に、例の男はどこかに行ってしまったらしい。

味は確かにシャルモンの方が客観的に見て上だが

ボリュームと店のとっつき易さではドルーパーズに軍配が上がる……かもしれない。

まぁ、接客もシャルモンに軍配が上がるが。

 

……世界の破壊者パフェ。

辛うじて完食できたが、暫くその場から動けなかった。

そして、何故だかこう叫びたくなった。

 

――おのれ〇。〇〇〇!!

 

声にならない叫びを心の中で上げながら、俺は店内を眺めていた。




……すみません。
今回あまり筆が乗ってません。
なので一際短いです。

>木の実組
城乃内が指摘するように、セージは彼らの弟弟子です。
パティシエではありませんが。
プルガトリオで軽く触れたかもしれませんが、初瀬ちゃんも存命です。
さながら鎧武劇場版みたいなことになってますが。

因みに、パティシエ修行が忙しすぎてビートライダーズ活動に関してはほぼ休止状態です。
一応、顔はききますが。

>ドルーパーズ
出てきたパフェは映画「仮面ライダー大戦」からディケイドの顔したあのパフェ。
セージは一応一人で完食している辺り
士と同程度の胃袋は持っていることになります。
規模から白音の名前を出してますが、考え方によっちゃちと失礼なセージ。
白音=大食いなイメージが確立しつつあります。姉に比べたら有情かもしれませんが。

……それより堂々とロックシードの取引やってる辺り
鎧武原作より店内治安悪くなってるかも……?

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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