ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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年内投稿間に合いました。
今回からレーティングゲーム開幕……ですが
いきなりダイジェストです。


Will51. ダイジェスト・アガレス Aパート

ダイス・フィギュアルールと言うもはや演習じゃないよなこれ、と言わんばかりの

只の道楽であろうレーティングゲームは、思いのほか恙なく進んで行った。

目に見えた罠も無い、と言うよりはむしろコスト制度が追い風になったのだ。

と言うのも。そもそも俺達のチームに課せられたコストについて説明せねばなるまい。

 

2個のサイコロを振って出目の合計以内のメンバーが出場できるらしい。

それに伴う人数制限は無い……が、連続出場は出来ないので

数の暴力はうまくできないようになっている。ゲームとしちゃあ、まあ悪くない落としどころだ。

実戦には何の役にも立たない縛りだと思うが。

今回はどちらにせよ、人数の都合上人海戦術を立てにくいのではあるが。

で、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を持たない俺達のコストがどうなっているのかと言うと。

 

俺こと宮本成二、ビナー・レスザン:9

 

ゼノヴィアさん:5

 

白音さ……もといカムカム・ミケと

黒歌さ……もといマスク・ザ・ハチワレ:3

 

光実(みつざね)安玖(あんく)・氷上巡査:1

 

 

俺の評価は神器(セイクリッド・ギア)とアモンを踏まえてのものだろう。

アモン単体なら12になり得たかもしれないが、俺が転生悪魔でない生身の人間

……って事でこの数値なんだと思う。

ビナー・レスザンは「女王(クイーン)」相当って事らしい。こいつの事全然知らないけど。

ゼノヴィアさんはデュランダルってあからさまな悪魔特効持ち。

猫姉妹は気功術ってところの評価だろう。

 

だが光実や氷上巡査、安玖巡査はやけに低く見積もられている。

これは安玖巡査以外神器を持っていないことが影響しているのだが

そもそもこの評価値にアーマードライダーシステムやゲシュペンストが加味されていない。

安玖巡査の神器だって、兵藤はともかく祐斗と比較しても言っちゃなんだが、使い勝手で劣る。

そりゃあ、悪魔にとって未知の技術であるアーマードライダーシステムやゲシュペンストを

正確に評価しろって方が土台無理な注文ではあろうが。

 

……ん? いや、ゲシュペンストはともかく

アーマードライダーはアジュカ経由で伝わって無いのか?

そこは戦極凌馬(せんごくりょうま)が情報規制したのだろうか?

 

ともかく。甘く見られていることが、今回思わぬ追い風となったのだ。

それは、今さっき行われた俺達の初戦――シーグヴァイラ・アガレス戦において発揮されたのだ。

 

 

――――

 

 

〈ハイーッ!〉

 

〈マスカットアームズ! 銃・剣! ゴー! ゴー! ゴー!〉

 

まず、光実のマスカットアームズ。これはパッと見ブドウアームズの色違いにしか見えないが

その正体はデュランダルもかくやと言わんばかりの悪魔特効。

シャイン銃剣と名付けられた銃剣付きのマスケット(……ダジャレか?)は

戦極凌馬が悪魔の駒の研究の中で手に入れたデータを基に反映された悪魔特効が働いている。

そして基礎スペックはブドウアームズと大差なく、つまり防御力は高い方になる。

得物こそ連射が効き取り回しやすいブドウ龍砲とは全く異なる運用を要求されるが

それを補ってこの場においては余りあるアドバンテージになったのだ。

 

……だから、あの時光実はゼノヴィアさんと特訓していたわけか。

 

その結果、俺達はアガレスの「女王」さえも打ち破れたのだ。コストを決めた審査委員会は

人間――と言うかアーマードライダーとゲシュペンスト――の力を過小評価していたが

シーグヴァイラ・アガレスはそんな相手にさえも「女王」をぶつけてきたのだ。

そりゃあ、戦力の小出しは戦略眼的に下策も下策と言うのは有名な話だが。

……俺がピンゾロ、即ちファンブルをしたことでどうなることかと思ったが

短期間で新アームズの力を会得した光実には頭が下がる思いだ。

ファンブルでペナルティがかかる仕様でなくて安心したのもあるが。

 

とは言え、あいつ銃砲系武器を使ったかと思ったら

でかい輪っか――光実曰く「乾坤圏(けんこんけん)」らしい――とか

使ったりしてるから、武器を問わないスタイルなのかもしれないが。

と言うか、アーマードライダーの武装が多岐に渡り過ぎてる。

 

 

その後、「女王」が倒されたことでアガレス陣営は「(キング)」である

本人自らが出陣するというとんでもない事態になった。

戦力の小出しはさっき言った通り愚策とは言うが、今回に関しては

最強の戦力が倒されるという不測の事態という事で後がなくなったが故だろう。

他の眷属を用いた人海戦術も出来たろうが、結果はこれだ。冗長になるから止めたのか?

一方の俺はと言うと、ダイス運に恵まれず(ある意味恵まれているのかもしれんが)

ピンゾロをだしてしまった。まただ。

二連続という事で細工も疑ったが、試行二回で細工を疑うには回数が足りない。

同じ選手は連続で出せないというルール上、光実を出すこともできないため

止む無く氷上巡査に頼んだのだ――

 

 

――――

 

 

「コール・ゲシュペンスト!」

 

ゲシュペンストを出した時の反応が凄かったが、相手のガン・レギオン……のような挙動をする

ダンプラ――ダンガムのプラモデル。輸入品だとは思うが密輸じゃなかろうか――もものともせず

次々と撃破して行った。どっかからクレームが来そうだと思ったのは内緒だ。

と言うのも。ダンガムは基本的にビーム兵器を使う(と言う設定)で

それを踏襲してご丁寧にビームを撃ってきたが

ゲシュペンストには標準でビームコートが施されている。何を想定してたんだ。

ダンプラの数で攻めてきたとしても、スプリットミサイルやスラッシュリッパーと言った

ミサイル、遠隔操作武器で次々と撃破できてしまったのだ。

 

……操作してた本人は「やっぱリアル系じゃ装甲薄いかぁ……」とか

「ビームに頼らない奴持ってくればよかった」なんて意味の分からないことを言っていたが。

装甲無いなら避けりゃいいだろ。大きさ的に難しそうだったが。

何せ、スラッシュリッパー一枚がシーグヴァイラのダンプラの

大体二~三倍くらいの大きさなのだ。

人間だけを殺す機械、と銘打って出てきた円盤電鋸でもそこまででかくなかったってのに。

 

また、シーグヴァイラ・アガレスは時間操作能力を持っていたようだが……

時間を弄っても、とどめを刺せなかったら意味が無かったという事らしい。

これはギャスパーの時も似たようなものだったし

俺がギャスパニッシャーや「TIME」のカードを使った時も陥りがちな事態だ。

時間操作は補助では比類なき威力を発揮するが、フィニッシュホールドには通常、ならない。

タキオン粒子をうんたらとかそういう方向性の力にしない限りは。

 

しかし、それはこちらから仕掛けるにあたっても決定打に欠けることを意味していた。

何せ、こちらの攻撃も時間操作で躱されてしまうのだ。まあ当然か。

その打開策として、氷上巡査はなんと。

 

 

――咆哮一閃、ゲシュペンストで飛び蹴りを見舞ったのだ。

それも面ドライバーもかくやと言わんばかりの。

 

今まで散々ロボット、パワードスーツらしい攻撃を繰り出していたゲシュペンスト。

それが急に生身っぽい徒手空拳で戦いだしたので

相手はそのギャップに面食らってしまったらしい。

そう言えば、ダンガムにも格闘技で戦う奴がいた気がするんだが。

まあ、ゲシュペンストはあれほど格闘一辺倒ではないか。

 

この一部始終を見ていた薮田(やぶた)先生は

 

「確かにゲシュペンストによる格闘戦は仕様の想定内ですが

 整備手段が限られている場では程々にしてほしいものですね」

 

……と、ぼやいていたそうだ。そりゃ精密機械だしなあ。

その点ではプラモデルをトンデモパワーで動かす方がメンテが楽そうだ。

見たところ、随分精巧に作られているのがウリの1/100スケールシリーズみたいなので

それを戦闘に駆り出すことに思わないところが無いわけでも無いが。

だって勿体なくないか? 子供が無理に動かすことを想定して作られてる

超合金のおもちゃとかならともかく、プラモデルって壊れやすいし。

俺だって変形・換装可能なプラモデルを何度壊したことか。

 

とにかく、ゲシュペンストの装備から射撃戦重視の機体と見たシーグヴァイラの裏をかく形で

氷上巡査の飛び蹴りからの一本背負い。

そしてとどめのジェット・マグナムが見事に決まったのだ。

 

 

――――

 

 

――そんなわけで、今会場内は物凄いどよめきが巻き起こっている。

何せ若手四王の一角とも呼ばれたシーグヴァイラ・アガレスが

二連続でファンブルをかました相手に返り討ちに遭い、それが神器すら持たない

ただの人間相手だというのだから、とんでもない騒動になってしまったのだ。

控室にいても、外の喧騒が聞こえてくる始末だ。

 

「おい……これ、ちょっと派手にやり過ぎたんじゃないか?」

 

「無理ですよ。こっちだって加減のわからない相手だったんですから。

 警察での訓練ならいざ知らず、自分としては鎮圧と同じくらいの心構えで挑んでましたからね」

 

「実際プロフェッサーは、笑いが止まらなかったみたいですよ。

 アーマードライダーシステムをさも自慢げに語ってました」

 

この空気には、普段横柄な態度を隠そうともしない安玖巡査でさえも

ただならぬものを覚えたようだ。

俺としては、審査委員会の悪魔が人間嘗めすぎってのが今回の問題のとどのつまりだと思うが。

でなきゃ、光実や安玖巡査、氷上巡査にコスト1なんて割り振られない。

 

「と言うかだ宮本。お前が二連続でファンブルしたのも問題じゃねぇのか。

 ファンブルしておいて勝つとか、そっちの方がインチキ疑われても文句言えねぇぞ」

 

「サイコロの出目に文句言わんでくださいよ。

 丁半賭博じゃないんですから、サイコロ振る技術なんてありませんって。

 奴らがゲシュペンストやアーマードライダーを過小評価しすぎたんですよ」

 

下馬評を覆すどころの騒ぎじゃない番狂わせ。

観客は俺達がなすすべもなく叩きのめされるところを見たかったのかもしれないが

実際はほぼその逆だ。氷上巡査にせよ、光実にせよ無傷で勝ったわけでは無いが

ギリギリの勝利と言う訳でも無かった。氷上巡査は相手の都合上苦戦を強いられてはいたし。

 

……で、そうなると俺達にヒーローインタビューが来るのが筋、だと思っていたのだが

冥界のマスコミはこぞってシーグヴァイラに詰め寄っている。

 

安玖巡査が「まあ見てみろ」と言うのでテレビをつけてみると……

 

 

――今回の試合について、何か一言!

 

――相手はただの人間だったという事ですが、そのただの人間に二連敗を喫したことについて!

 

――ただの人間のチーム、それも致命的な出目をだした相手に、何故負けてしまったんですか?

 

 

「……な? 言った通りだろ」

 

「……どこの世界も、マスコミがクズってのは変わらないもんですね」

 

クズでないマスコミも知ってるが、今回は光実に同意する。

そこで繰り広げられていたのは、インタビューと言う名の死体蹴りだ。

その死体を作った側が言うのもなんだが、これはひどい。

安玖巡査が顔を顰めるのも、わかる気がする。

警察って職業柄、そう言う場面によく出くわしているのかもしれないが。

 

 

――相手チームが不正を行ったという噂もありますが?

 

 

『……それはありません。今回の試合の結果は、全て私の慢心が招いた結果です。

 未知の力に油断し、人間の技術に見惚れ、成すべきことを成せなかった。

 アリヴィアンは、よく戦ってくれました。今回の無様な敗北は、全て私の責任です』

 

 

その死体蹴りにも負けず、シーグヴァイラは淡々と答えている。

敵ながら大したメンタルだと思うが……

それにしても、敗者に対するリスペクトが足りて無くないか?

不正を疑われるレベルで勝った俺達が言うのも、なんだが。

 

因みに当然だが、不正を働いた覚えはない。

 

 

会見を打ち切り、シーグヴァイラは会場を後にする。

それでも食いついてくるマスコミは……何と言うか、ワイドショーでよく見る光景だ。

まさかと思うが、悪魔はこれが会見の定番スタイルだと思っちゃいないだろうな?

人間の技術や文化の模倣がよく見受けられるが、これもなんかそんな気がしてならない。

気のせい、かもしれないが。




シーグヴァイラがこういう役回りになった理由。
単純に、セージとの接点がほぼゼロだったからです。
新アームズやゲシュペンストのお披露目になる以上、かませは避けて通れませんし。
となると、接点のあるサイラオーグやレイヴェルをかませにするのは些か問題ですし
ソーナは別問題でかませにできない事情(匙絡み)がありますし
リアス(と言うかイッセー、ナイア)は論外。
そのお披露目を地の文ダイジェストにしてしまったのは、まあ……ですが。
他の試合ならともかく、セージの試合までダイジェストにしたのも
この後まだ試合続きますし、全体通すとそこまで重要な試合でも無いですしで……

>マスカットアームズ
シャイン銃剣と言う銃剣付きのマスカットもといマスケットを装備したアームズ。
悪魔の駒の研究で得られたデータを基に戦極凌馬が作成した、対悪魔用アームズ。
何故対悪魔用のアームズにマスカットなのか。シャイン(光)マスカットだから。
あと、ブドウの色違いが欲しかった。

>ゲシュペンスト
ヒーロー戦記モデルですが、スラッシュリッパー積んでます。
スラッシュリッパー自体は換装可能武器なので問題ありませんが
地の文で述べている通り、バグ(F91)みたいな描写になっちゃってます。
いくら相手がガンダムモチーフだからって。

ビームコートに関しては第四次で対モビルスーツのアドバンテージになっていた印象強かったので。
セージは何を相手取るのを想定していたんだ、と思ってますが
この世界の仮想敵が仮想敵なので……

氷上巡査が繰り出したのは勿論例のアレ。
そう言えばこの世界のゲシュペンスト、アレの元ネタに照らし合わせると(&氷上巡査のキャラモチーフ的に)
G3-Xに該当するんですが、ガンバライドやガンバライジングとか以外でG3-Xがライダーキック見舞った事例ってありましたっけ。
後発の装着系ライダー以上にメカメカしい動きが目立っているので……

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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