アンケート期限も次々話投稿、と言いはしましたがまさかこうなるとは思ってもみませんでした。
本業の多忙と提督業でエイプリルフールネタがやっとでした。
大変お待たせしました。
アンケート期限は報告で述べた通り次話投稿までといたします。
遅くとも2週間以内には投稿の予定です(予定は未定)。
こちら投稿の目途がつき次第改めて報告します。
シーグヴァイラ・アガレスの棄権。
それは宮本成二対レイヴェル・フェニックスの試合の前に突如として飛び込んできたニュース。
そうなるに至った背景には、その前に行われたソーナ・シトリーと
シーグヴァイラ・アガレスの試合において、シーグヴァイラ自身が負傷したことが挙げられる。
その突然の事件に、他の参加者も驚きを隠せなかった。
シーグヴァイラの負傷自体は、彼女に送り込まれた負念が原因で生じたものであり
その負念を取り除くことによって、快方に向かった……はずであった。
ところが。
――――
「そうそう。シーグヴァイラちゃんだけど、大事を取って以後の試合全部棄権扱いにしたから♪」
「何ですと!? それでは、我が方のシーグヴァイラは負けっぱなしではありませんか!」
この突然の発表に対し、シーグヴァイラの父である現アガレス当主は
セラフォルーに対し抗議を行った。ところが……
「そんなこと言ってもねぇ。人間、それも
そんな子の試合なんて以後盛り上がらないと思うし?
華ならソーナちゃんのチームにもいっぱいいるし?
消化試合をサイラオーグちゃんや赤龍帝ちゃんにさせる位なら
もういっその事ここでリタイアした方が賢明かなって♪」
セラフォルーの台本ではこうだ。人間チームとの戦いでのダメージが残っていたシーグヴァイラは
ソーナ相手に善戦するも、力及ばず敗れた。
そしてソーナが擁する「
表向きは匙との激戦を物語るものとしつつも、その実は
「人間如きに負けた情けない悪魔」の淘汰とも言えた。
「……しかし! あのゲシュペンストとか言うマシンとの戦いにおいては
シーグヴァイラのプラモはまだしも、自身はそこまでのダメージを受けていなかった。
寧ろ、容態が悪化したのはその後のソーナ戦の後ではないですか。
それも、あの「兵士」との戦いの後に!」
セラフォルーの采配を糾弾するアガレス。
しかしそれは、魔王である彼女に対する叛意とも取れないことも無く。
意見されたことで気分を害したセラフォルーは、口調こそ普段と変わらないものの
その声色は、彼女が得意とする冷気の魔力を彷彿とさせるほど底冷えのするものであった。
「……アガレスちゃんは、魔王少女の私に対してそんな口聞いちゃうんだ~♪
『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』の敵キャラのオーディション、いつでも受けてるよ♪」
「魔法少女マジカル☆レヴィアたん」に出てくる敵は、天使や他神話の神々
並びにそれに準ずる者達。つまり、現悪魔政府の政敵と言える存在である。
ちなみに噂されている限りだと、今放映されているシーズンでは
かつての悪魔の裏切り者と手を結んだ亡霊の賢者が敵ボスである……らしい。
それが意味するところを察したアガレスは、それ以上何も言えなくなってしまった。
「……それからね。かわいいソーナちゃんの眷属の事を悪く言う奴は
たとえ大公であったとしてもタダじゃ置かないからね♪」
噂では、かつて若手悪魔の会合がグレモリー家で行われた際。
そこで彼らの意思表明も行われたのだが、その際にソーナの夢を嘲笑った悪魔達は
その全員が、その後謎の事故に遭ったと言われている。
表向きには昨今冥界を賑わせているJOKERの仕業として始末されているが
その真実は定かではない。
(あのアモンとつるんでる人間……かねてから気に入らないと思っていたが
匙君にまで手を上げるなんて……アモンの事を抜きにしても、一度思い知らせてやらないとな。
私のソーナの所有物を傷つけるなんて……だから人間は気に入らねぇんだよ)
アガレス大公に聞かれないように舌打ちをしつつ、セラフォルーはその場を後にする。
大公もまた、セラフォルーに聞かれないように嘆息し、娘の下にこの顛末を伝えるべく
重い足取りで病室へと向かって行った。
――――
ところで、このレーティングゲーム。
裏でのきな臭い話とは打って変わって、民衆は普通に盛り上がっている。
昨今謎の人気を集めている「乳龍帝おっぱいドラゴン」を受けて
グレモリーチームが注目株になっていたり、バアルチームもその実力から優勝最有力候補だ。
他にもシトリー、フェニックス、アガレスもその王をはじめ綺麗どころが集まっている。
また、人間チームに所属しているマスク・ザ・ハチワレやカムカム・ミケの二大妖怪は
本人たちの意向を他所に、悪魔達の注目をこれでもかと集めている。
試合前から、そのルックスは既に非合法のブロマイドが作られるほどだ。
その盛り上がりぶりは、サーゼクスの思惑通りと言えた。
――アインストやJOKERと言った、恐怖から目を逸らすという意味においても。
その様子を見て、サーゼクスは満足そうな笑みを浮かべているが
それを同席していたユーグリットは怪訝そうな目で見ていた。
「ふう。ようやくレーティングゲームを開催することが出来たよ。
これも君達が協力してくれたおかげだ、心から礼を言うよ」
「……そいつはどうもありがとうございます、兄上様」
白々しい。そう心の中で吐き捨てながら思ってもいないおべんちゃらを述べる
自分に辟易としながら、ユーグリットが応対する。
そう思っているのは、ユーグリットだけではないのかもしれないが。
「他の来賓の皆様も、今回ご用意したこの場は
我々にあなた方に対する敵意が無い事を示すための場でございます。
どうか、我らが誇る若手悪魔達の試合を心行くまでお楽しみくださいませ」
「だったら女の一人でも付けてくれてもいいじゃねえかよサーゼクス。
てめぇ、まさか既婚者だからって調子に乗ってやしねぇだろうな?
自分はこれ見よがしに嫁にそんな恰好をさせて侍らせやがって。
俺だって美人の悪魔に酌されながら観戦したいんだがよ」
サーゼクスの社交辞令に対し、本音半分からかい半分で返答をするのはアザゼル。
失った片腕は義手という形ではあるものの、ようやく動かせる形にまでは復元できた。
今回はリハビリと言う体で、シェムハザに内政の職務を押し付けてこの場に来た形だ。
アザゼルのこの指摘には、ユーグリットも内心では大きく首を縦に振っていた。
勿論、「嫁にこれ見よがしにそんな恰好をさせて侍らせている」の一点のみであるが。
本来ならば、アザゼル以上に「ルキフグスを辱めるな」と言いたいところなのだが
この場には堕天使のみならず、北欧神話やギリシャ神話と言った他神話勢もいるために
辛うじて踏みとどまっているに過ぎない。
外交の場で、ルキフグスの代表たる自分が取り乱すことは出来ないのだ。
歯噛みし、下唇に血を滲ませながら「あの場にいるのはグレイフィア・グレモリーである」と
自分に言い聞かせているのだ。
「……フン。ここは娼館では無いのだぞ。カラスの発情期は見境が無いと見えるな」
その一方で刺々しくアザゼルの冗談を糾弾するのはハーデス。
彼らの陣営は、以前堕天使陣営によって戦力を奪われ、勝手に堕天使陣営の戦力として扱われた他
その首謀者であるコカビエルを勝手に自陣営に収監させられたのだ。
元々三大勢力に対し好印象を持っていなかったが、この事でより印象は悪くなったのだ。
この場に出ているのも、単なる外交上の理由に過ぎない。
「ヘッ、枯れてる骨野郎に言われたくはねぇな。
そんなんだから嫁さん……ペルセポネーだっけか?
そいつに逃げられるんだよ。そいつだって骨のものよりかは肉がパンパンに詰まった方が……」
「貴様……カラス風情が我が妻を侮辱するか……!!
ペルセポネーは外遊に出ているだけだ。我が下から逃げたわけではない。
彼女には豊穣の神としての役割があるのだ。
生誕を祝福する場に、死の神たる儂が出向くわけにはいくまい。
鳥頭ではその程度の事も理解できんと見えるな」
「堕落を促すのは俺ら堕天使のお家芸だからよ、侮辱も何も無いんだわ。
それに生誕とあらば、尚の事しっぽりヤってるんじゃねえのか?
俺もご相伴に肖りたいぜ。腕一本取られてからうまく処理できなくてよ」
アザゼルの場の空気を読まない冗談……と言うよりは、明らかにハーデスを挑発している。
だが流石にそんなアザゼルの言葉は度が過ぎたのか
彼の(元)上司とも言えるヤルダバオトから冷徹な一言が下される。
「アザゼル、言葉が過ぎますよ。その手の冗談は場を選んで貰いたいものですね。
この場にガブリエルを呼ばなくて正解でしたが
オーディン殿のお付きのヴァルキリーに対しては、立派なセクハラですね。
我々は人間ではありませんが、人間ならば出るところに出れば処断されますよ。
ちょい悪親父を気取っているつもりかもしれませんが……
私から見れば、今のあなたはただのウザい中年にしか見えませんね」
「てめっ……会議以来で顔合わせた元部下に対する言葉がそれかよ!?」
「私の下を去ったのはあなたの側でしょう。
そうでなくとも今更堕天する前の事を持ち出されても、私の関与するところではありませんね。
……ですが、皆様にはこの不肖の元部下に代わり、私が謝罪いたします。すみませんでした」
サーゼクスの努力も虚しく、一瞬で張りつめてしまう空気。
アザゼルが空気が読めていないのか、よりにもよってハーデスと同席させた
運営側のミスか、或いはその両方か。
いずれにせよ、周囲の者はいい迷惑である。
ヤルダバオトの謝罪でさえも、空気を和らげるのには何の役にも立っていない。
彼の言葉に謝意が込められていない
――アザゼルが謝意を見せなければ意味がない、と思っているからなのだが――
と言うのも、理由としては込められてはいるが。
「偽神よ、一先ずはその言葉を当事者の言葉として受け取ろう。
だが魔王よ。我らの喧嘩はただの喧嘩では無いという事、理解していような?
故にアザゼルもハーデスも止せ。我らの立場を鑑みれば、ここで事を構えることは
それ即ち、戦争の種火を切るが如き行いだぞ」
「ロキが仲裁に回るとはのう。それほどまでに、今の喧嘩は見苦しいものであったぞ。
ハーデス殿も奥方を侮辱されて憤る気持ちはわかるが、今は控えてもらえまいか」
「……む。ペルセポネーを引き合いに出され、思わず頭に血が上った。
場の空気を穢して、すまなかった」
「へいへい、悪うございました」
ハーデスが矛を収めたことで、アザゼルも矛を収めざるを得なくなった。
ロキが仲裁に入ったのはただ単に「ここで巻き込まれては敵わん」という理由からだが
オーディンが指摘するように、見苦しい喧嘩であったのは間違いない。
ハーデスという神は、職務に忠実であり、身内を愛する神なのである。
ただ、管轄や普段の陰気な立ち振る舞いから誤解を与えているだけなのだ。
(ところでロキよ。貴公の提案もあってやって来たこのレーティングゲームの観戦じゃがの。
これは意外な収穫があるやもしれんぞ)
(ほう。オーディンにこういう趣味があったとはな。
我が言うのもなんだが、このレーティングゲームとか言う遊戯。
決して良い趣味とは言えんぞ。何せ盤上遊戯を気取ってはいるが
やっていることと言えばローマどもの蛮族の考え付いたことだ。
奴らの敵対する神が禁じた行いだからこそ、重んじる面もあるかもしれんがな)
(そうではない。あの人間チームを見よ。
あの
オーディンもロキも、かつて沢芽市でユグドラシルを訪ね
その際にオーディンもロキも呉島
オーディンに至っては、光実にも出会っているのだ。
(兄の影に隠れる童ではない、という事か。
エインヘリャルではないにせよ、戦う者は老いも若きも須らく重責からは逃れられん。
ノブレス・オブリージュ……言うは易いが、呑まれるでないぞ)
オーディンはかつて僅かながらに面を合わせた、呉島の次男を待ち受けるであろう運命。
それをどこまで見据えているかはわからないが、帽子の鍔を弄りながらその行く末を案じ。
彼に付き添っていたヴァルキリー、ロスヴァイセは。
(た、確かにあの時アインストとも戦って見せた光実君だけど……
あんな子供を勧誘するってやっぱ流石に無いわよね……無い。
そもそもエインヘリャルって……だし、いきなり光実君をそっちの道に連れて行くのもねぇ。
彼だって学校ある……学校! そういえば!!)
あることに気づいたロスヴァイセ。そこから口に出すのは早かった。
「お、オーディン様! あの光実君もなんですが、参加者には学生と思しき者も見られます!
学校は、学校は一体どうなってるんですか!?」
「何をいきなりとぼけたことを言っておるんじゃロスヴァイセ。
……と言うが、確かに妙じゃな。儂の調べによれば、規模が縮小されているとはいえ
人間界の学校は普通に開かれておる。
冥界の学校に通っているであろう悪魔どもはよいにしても
光実や彼の所属するチームにも学生はおる……サーゼクスよ。そこはどうなっておるのじゃ」
「……その点は、既に話をまわしております。
幸いにして、我が妹のチームもソーナ君のチームも同じ学校――駒王学園に籍を置く身。
それに、かの人間チームに在籍している者達も駒王学園に在籍しているとのこと。
根回しは、既に済んでおります」
(……根回しとは名ばかりの、一方的な話ですがね。
素性のわからない
駒王学園の学園運営体制には疑問を抱かずにはいられませんがね。
ま、私が言えたことではありませんが)
オーディンの質問に対するサーゼクスの答えにも、その裏側を知っているヤルダバオトは
どうしてもその眉を顰めざるを得なかった。
そもそも、駒王学園と言う舞台自体が「都合がよすぎる」のだ。
まるで悪魔が人間界で活動するための前線基地であるかのような存在感を見せているのだ。
そうした前線基地は、他の場所にも点在しているという説もあるが、定かではない。
そして、ロスヴァイセはこの会場で気になる人影を見かけたのだ。
それは呉島光実ではなく、以前訪れたユグドラシルタワーの地下に潜入した際に見かけた影――
――
「オーディン様。光実君もなんですが、私はこの会場で以前ユグドラシルタワー……
それも、私が調査を行った区域で見かけた人物。
それと同一人物と思しき人影を見かけたのですが」
「今は止せ、ロスヴァイセ。下手にその点を突いては我らのみならず、神仏同盟……
ひいては何の関係もない人間達にも影響が出かねん。
儂も呉島の坊がいることを踏まえれば、今回もユグドラシルが一枚噛んでいるのは
ほぼ確定事項と睨んでおるがの。
あるいは、事故に巻き込まれて流れで参加せざるを得なくなった、か」
だが、ユグドラシルと悪魔の接点は、北欧勢力が非合法に得た情報しかない。
この場でそれを指摘するのは、徒に北欧勢力への風当たりを強めるだけなのだ。
如何に悪魔が無法を働いていたとしても、それを糾弾するのに非合法な手段を用いたのでは
今度は北欧勢力に対する評価に昏い影を落としかねないのだ。
それどころか、余計な混乱さえも生み出しかねない。フューラー演説の時のように。
サーゼクスの思惑とは裏腹に、列席している各勢力の代表勢は
その心が一つになろうとする兆しは一切、見受けられなかった。
――ただ唯一、悪魔と堕天使への警戒心と言う点においては
各々の勢力以外の歩調は合いつつあったが。
表向き普通に盛り上がっているのに運営側・来賓が癖あり過ぎる件について。
ルキフグスやフェニックスが表立って協賛している以上、色々なものが潤沢に使えますので。
あと、やっぱり市民悪魔も鬱憤たまっていた様子。
>非合法なブロマイド
ローアングルとかそう言う奴。
>セラフォルー
四大魔王の中でも随一の過激派かもしれません。妹のために戦争起こそうとしたり
自分の主演番組の敵役を政敵にしたり、なんか……
いや、フィクションに現実の政治・外交・文化問題を持ち出すのは止しましょう。
>サーゼクス
ファーストレディとしてグレイフィアを扱っているのかもしれないけれど
その恰好がああでは当然ユーグリットも心中穏やかではありません。
一応今回ユーグリットはスポンサーとしてこの場にいます。出なければなりません。
それが責任と言うものです。
>アザゼル
ちょっと改悪したかも。何をいまさらですが。
独身貴族なのでファーストレディがいません。だからって相手先にコンパニオンを出させるのはどうなんでしょ。
そりゃあ、用意するのももてなす側の役目かもしれませんが。
>ハーデス
そういやHSDD原作で嫁さん(ペルセポネー)の話って……無かったような。
まあそれ言ったら星矢にもマジンガーにもハーデスの嫁さんはいなかったわけですが。
一応拙作では原典意識した夫婦関係。役割上アザゼルの言った通りになっている事もある……かもしれませんが
それについても神の役割として容認している様子。
それだけに今回のアザゼルみたく侮辱とも取れる言われ方すると二重の意味でキレる。
>薮田先生
アザゼルのカウンターキャラとして創作したはずなのにブレーキしてない件。
>北欧組
前に一度接触しているからか、表にこそ出していないものの人間チーム(特にミッチ)推し。
ロスヴァイセが持ち帰った情報からこの中ではハーデスとは違う意味で悪魔を信用してませんし。
ロキがローマに関して言及してますが、ここでは単なるご近所さん程度の認識。それも大昔の。
※05/24修正
ソーナが6チームリーグ戦なのに2回戦で2試合とか言う酷いことになりそうだったので訂正