夏風邪・多忙・モチベ低下。
なんとか投稿にこぎつけましたが、短めです。ご容赦を。
「聞いた話ですと、貴方本来の肉体を奪還出来たとか。
ここは敢えておめでとう、と言って差し上げますわ」
「……ご丁寧にどうもありがとうございます」
レーティングゲーム、第二試合。
俺達の相手は、この通りレイヴェル・フェニックスのチームだ。
練度はともかく、人員の層はこちらよりも確実に上手だ。
これでもライザーが率いていた時から減っているんだから
もしこれがライザーのフル動員だったらと考えると、数の暴力で潰されていた可能性が高い。
なんだかんだ言っても戦いは数だよ。
……結論から言えば、シーグヴァイラ戦よりも苦戦したと言える。
シーグヴァイラが努力を怠ったなどと言うつもりは無いが、レイヴェルの勝負への執念は
それをはるかに上回っていた。振り返ってみれば、そう感じられたのだ。
初戦の相手はミラ。それに対してこちらは白音さ――じゃなくて、カムカム・ミケ。
前回俺がファンブルしまくった反動か、相手がファンブルを出して
こっちが出目に(ある程度)恵まれた形だ。
出目の上では黒歌さ――マスク・ザ・ハチワレも同じで、ゼノヴィアさんも出られる出目だ。
この三人が出られるのなら、デメリットも少なくない
ビナー・レスザンはそもそも出目的に出られない。
ではこの三人でどうやって決まったかと言うと……
「じゃーん」
「け、けーん」
「……ぽん」
マスク・ザ・ハチワレの鶴の一声(猫だけど)でじゃんけんで決まることになった。
グダグダやられるよりはマシだが……まあいいか。
ただ一人、じゃんけんという遊戯に慣れていなかったゼノヴィアさんが出遅れて
そこだけ多少グダグダしてしまったが。
「そこ。後出しするんじゃないにゃん」
「……ずるはダメです」
「し、仕方ないだろう! 私は君達よりこっちの文化に慣れてないんだ!
……色々ケイスケやメグに教わったつもりだったが……私もまだ修行が足らないか……」
相手側からは「まだ決まりませんの?」な目つきでレイヴェルさんがこっちを見ている。
戦う相手のミラも、準備運動をしてやる気万全と言ったところ。
そしてこっちから出る面子は今決めてる最中だ、急かさないでくれ。
こんなことなら、即席でくじを作っておけばよかっただろうか。
「むぅ……」
「負けたにゃん……でも言い出しっぺだから強く言えないにゃん……」
「……じゃ、行ってきます」
多少ぐだ付きながらも、結局カムカム・ミケが戦うことになった。
最初に戦った時の棒から、槍に武器を変えて攻撃的になったミラ。
その身体能力も、かつてライザーに一番弱い、などと称された時とは比べ物にならない……だが。
「……ライトニング、フィンガァァァァッ!!」
カムカム・ミケ(と言うか白音さん)の必殺技、ライトニングフィンガー。
槍が相手では身体事情も相俟ってリーチ的に苦しい技だが、槍の柄の部分に飛び乗り
そこから猫走り、頭上を飛び越して背後を取った形だ。
猫ならではの軌道で優位に立った形だ。
「なるほど。一度前に突き出したものを引き戻すのは大変ですしね」
「……使う技は考えなさいってお姉ちゃん言わなかったかにゃん?
面倒な奴に正体が割れたかもしれないにゃん」
正体隠す気が無いマスク・ザ・ハチワレのぼやき。
とは言え、ライトニングフィンガーでの正体割れで面倒な事態なんて……
……いたわ。あいつだ。
だが、こればかりは遅かれ早かれな気もする。警戒するに越したことは無いが。
見る奴が見ればバレる程度ではあるし、元浜だったらスリーサイズでバレかねない。
……今ほど、あいつに元浜のスキルが無くてよかったと思ったことは無いが。
――――
「ミラをやられたのは痛いところですが
あの手強い猫一匹の足止めや手札晒しができただけでも良しとしますわ。
さて、次に行きますわよ」
「……ああ」
レイヴェルさんの掛け声と同時に賽を振る。
今回は互いにファンブルは無かったようだ。
第二戦はゼノヴィアさんと確か以前祐斗に矢鱈絡んでいた剣士の……カーラマイン、だったか。
向こうにしてみれば、ゼノヴィアさんのようなタイプの同僚がいたらしく
そう言う意味でゼノヴィアさんは御しやすい相手だったようだ。
――その似たタイプの同僚ってのが、俺が光の槍でぶち抜いて再起不能にした
「
……そして、肝心の勝負の行方はと言うと。
結論から言えば、得物の優位性でゼノヴィアさんが勝った。
そりゃあ、悪魔特効の聖剣持っておきながら悪魔に負けたとか悪魔祓いの沽券に関わるか。
「フフッ、君は随分とスピードタイプの剣士と戦いなれているようだが……
見たところ、君の仲間にそう言うタイプの剣士がいる風には思えない。
一体、何処で鍛錬を積んだんだ?」
「木場祐斗――リアス・グレモリーの『騎士』だったか。
彼と何度か刃を交える機会があってね。
私のかつての同僚のようなトリッキーなタイプの剣士とも違う
速さと技術に重きを置いた剣士だった」
「……! そうか、彼か!
なるほどな。君は剣の腕もだが、人を見る目もあるようだ。
そして自分とは正反対のスタイルの剣術に触れながらも、自身の剣術のスタイルを見失わない。
君のような剣士と仕合えた事、誇りに思うよ。
悪魔の身分で聖剣使いにこうした感情を抱くのは不思議なものだが……
改めて、名前を聞いてもいいか?」
ゼノヴィア・
彼女が名乗ったと同時に、システムによってカーラマインは退場させられた。
俺が知らないだけで、しっかり鍛錬してるんだな。
そりゃあ、ゼノヴィアさんも祐斗も逐一動向を観察している訳でも無し。
俺の与り知らぬところで繋がりが出来ていたって不思議じゃない。
随分と爽やかな結末を迎えた二回戦。
人間が悪魔を下したってのに、観客席からは歓声が飛んでいる。
……あの刃が、自分達に向けられるかもしれないって考えは無いのか?
人間だって普通は自分の事を善良な一般市民だと思って生活しているが……
まさか、悪魔もそうじゃなかろうな?
そうならば、ルキフグスでアインストに対して逃げ惑ったのも納得がいくが。
前回の光実や氷上巡査の時があそこまでの歓声で迎えられなかったって事を考えるに
単にゼノヴィアさんのルックスで誤魔化されてるんじゃないかって考え方もできるが。
何分、兵藤の欲望を具現化したような話が流行になる位の精神構造なんだ。さもありなん。
――――
「……カーラマインの騎士道かぶれにも困ったものですわね。
最初の戦いの時も、そういえば……」
独りごちり始めたレイヴェルさん。
あいつのあの考え、騎士道って言うかスポーツマンシップとか武士道じゃなかろうか。
騎士道ってのとは、何処か少し違う気がするんだが。
俺はその辺に詳しくないので、言わないでおくが。
「……こほん。さて、そろそろ白星を挙げたいところですわね。
次、行きますわよ!」
続いて、その光実の二回戦。相手の出目は良好だったものの、運用と配分を考えてか
出てきたのは「
ならばとこっちも白音さんと黒歌さん……じゃなくて
カムカム・ミケとマスク・ザ・ハチワレで対抗しようとしたが
こんな時に限ってファンブルするんだよなあ。やっぱただの籤運の問題か?
で、ファンブルとなると相手が機動力に優れる以上
小回りの利かない(全く利かないわけでも無いんだが)
ゲシュペンストは不利になる、そんな理由で光実を出すことになってしまった。
そして。相手が二人となると……安玖巡査も出さねばなるまい。
「これでファンブル率6割かよ。お前、学校卒業したらギャンブルやれ。一攫千金狙えるぞ」
「安玖巡査。学生にそう言う事を薦めないでください」
安玖巡査の嫌味に氷上巡査の窘めが入りながら、俺は光実と安玖巡査を見送る。
そうだ。次ファンブルしたら氷上巡査一人で戦わなければならない羽目になってしまう。
それは避けたい……うっ、そう考えたら少しプレッシャーが……
「また悪魔特効に期待させてもらうぞ」
「……今回は厳しいかもしれませんね。
さっき使って分かったんですが、マスカットアームズは機動力はブドウと変わりません。
なので、相手がスピードで来られたら折角のシャイン銃剣も役に立ちませんよ」
安玖巡査は渋々と言った様子で
光実も龍玄・マスカットアームズへの変身を果たす。それと同時に、ゴングは鳴った。
光実の懸念は当たる形となってしまった。
基が猫の妖怪だからか、動きの速さたるや言わずもがな。
……って事は! 「騎士」にでも昇格されたら手に負えなくなる!
「奴らの『
「遅いですわ! ニィ! リィ! 『昇格』して格の違いを見せてやりなさいな!」
「勿論だニャ!」
「行っくニャ!」
――おおっと、ここでニィ選手、リィ選手! 「騎士」への「昇格」を果たしたァ!!
素早い動きで翻弄する作戦かァ!?
ご丁寧に実況が入ってくれるので、レーティングゲームのルールに疎くとも
戦況はなんとなく理解できるはずだ。
一応、「
転生悪魔との交流はともかく戦った経験の浅い
こういう時キツいか……
超特捜課ではぐれ悪魔を倒した経験のある安玖巡査だとしても
そのはぐれ悪魔が駒の性質を使ったって話はあまり聞かないし。
だから奴らはデーモン族化してると言えるのかもしれないが。
案の定、「騎士」への「昇格」で機動力を上げた相手に対し
こちらの攻撃は有効打とならなくなった。いくら特効武器とは言え、当たらなければという奴だ。
不幸中の幸いは、光実に対してはアームズの防御力のお陰で決定打を受けていない事だが
実質生身の安玖巡査はそうもいかない。光実が攻撃を庇っているから何とかなっているだけだ。
これはまずい。
「シーグヴァイラ様の無念は、この私が晴らさせていただきますわ!」
……ま、そりゃそうだわな。同じ悪魔なんだから、そう言う仇討ちに来る可能性は大いにある。
これがライザーの仇討ちなどと言ってきた日には
俺の相手を見る目が節穴だったと言わざるを得ない事になる。
あの時に関わっているのはこの場にいる限りじゃ俺以外だと白音さんだけだし
その白音さんだって今は(一応)カムカム・ミケだ。
俺の旗の下に集ったって意味では仇の対象になるかもしれんが
言っちゃなんだがそれは八つ当たりに過ぎないと思う。
そう言う点において、今回の相手の闘志は真っ当なものであり
故に苦戦している部分もいくらかはあるだろう。
そんな劣勢に追い込まれた俺達だが、反撃の兆しは思わぬところから来ることとなった。
どうしてもいいところに恵まれないミラと、イイハナシダナー?してるカーラマイン。
出番に恵まれない&キャラ被りとかを懸念してライザー時代からリストラした眷属組ですが
ここでも端折られる形に相成りそうです。というかなります。
ゼノヴィア戦の顛末で突っ込んでますが、これ彼女が悪魔になったからこうした事態回避されてるだけ……だと思うんですよね。
図らずも原作におけるイリナみたいな立ち位置になりつつあるゼノヴィア。
観客の側に危機感が足りてない、と思ってますが
この辺も暗黒武術会の観客の妖怪どもを意識していたり(冒頭のじゃんけんも)。