ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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Will54. プレイバック・フェニックス Bパート

「シーグヴァイラ様の無念は、この私が晴らさせていただきますわ!」

 

俺達人間チームとレイヴェル・フェニックス率いるフェニックスチームの戦いは

今のところ、俺達が優勢だった。

 

しかし、ここに来てまたしても俺の籤運が悪い方向に転がり。

神器(セイクリッド・ギア)のコスパが絶望的に悪い(金銭的な意味で)安玖(あんく)巡査と

攻撃力は申し分ないが機動力に不安の残るアーマードライダー・龍玄(りゅうげん)光実(みつざね)という組み合わせで

兵士(ポーン)」のニィ、リィという双子の猫又を相手取ることとなり。

そして「兵士」である以上「昇格(プロモーション)」も当然できるわけで

案の定、「騎士(ナイト)」へと「昇格」されてしまい窮地に立たされる。

 

 

そんな劣勢に追い込まれた俺達だが、反撃の兆しは思わぬところから来ることとなった。

 

 

「おい。あいつら猫の悪魔だっつったよな」

 

「そうですけど……それがどうかしたんですか?」

 

「なら……こいつは効果覿面だよなぁ?」

 

安玖巡査の神器「欲望掴む王の右手(メダル・オブ・グリード)」が青と黄色の光を放ち輝く。

それと同時に、安玖巡査は物凄いスピードで動き回りながら

相手に先回りするように水流を放った。

これには俺も光実もだが、相手も面食らった。何せ。

 

「ぎにゃっ!? み、水が来たニャ!」

 

「い、いきなり水ぶっかけるとか何考えてるニャ!?」

 

「精々逃げ惑いやがれ。こいつは火吹くより金かかるんだ。

 何の効果もありませんでした……って訳には、いかねぇからな!」

 

……猫虐めって考えると物凄く言いたいことはあるんだが、別に猫そのものな見てくれでは無いし

何なら媚びが見え隠れする、ともすれば隠そうともしないネコミミネコシッポのコスプレは

正直、好きではない。主観だが。

それに、いくら相手が猫でもゴミ箱荒らすような猫に制裁を加えるのは致し方無かろう。

警官たる安玖巡査が暴徒鎮圧用の放水能力持ってるのは不思議じゃないし。

 

――などと言う俺の主張など一切気にも留めずに、安玖巡査は水を撒き続ける。

この水で相手の動きを誘導して、そこに光実の攻撃を重ねる形か。

 

「あれは魔力を帯びた水でも聖水でもありませんわ!

 あなた方の実力ならば怯まずに突破できるはずですわ!」

 

「なーんだ」

 

「それなら怖くないニャ!」

 

「何っ!?」

 

なんと。やはり見るものからすればバレてしまうか。

アドバイス通りに水に濡れるのをものともせずに突っ込んできたではないか。

……やっぱりあの時マタタビが効いたのはまぐれだったのか?

こうなると水で誘導する作戦が使えない。そうなればそこまで機動力に秀でている訳でもない

マスカットアームズは不利になる……どうするんだ、光実!?

 

「このっ……! さっきから余計な出費ばかりさせやがって!」

 

光実のフォローから外れて攻撃に晒される形になった安玖巡査は

相手の攻撃を真正面からブロックしている。

いくら「騎士」はそこまで力を高める性質が無いとはいえ

転生悪魔の一撃を生身の人間がまともに受けて……

 

その俺の疑問に答えるように、安玖巡査の神器は鈍色の光を放っている。

さっきの水と高速移動同様、神器の力を使っているのだろう。

 

「こいつっ! 神器使ってるって言っても人間の癖にとんでもない硬さニャ!」

 

「ゴリラみたいなタフネスだニャ!」

 

「おい光実ェ! 押さえておくからさっさと攻撃しろ!」

 

「わ、わかりました!」

 

 

〈マスカットスカッシュ!〉

 

 

龍玄が必殺技の体勢に入り、飛び蹴りの着地点に合わせて安玖巡査が二人を押し出す。

ところが、ニィとリィも互いに押し出すようにして必殺技の着地点から飛び退き。

結果として、必殺技は不発に終わってしまった。

 

「……駄目です、相手がすばしっこくて攻撃が当たりません!」

 

「チッ、これ以上は赤字だぞ! 光実、俺が合図したら跳べ!」

 

悪魔が優勢のまま運ばれる試合展開に、観客はかなり沸いている。まぁわかっていた事だが。

だが、こちらとしてもこのままむざむざとやられるわけにはいかない。

赤字になった事を愚痴りながら、安玖巡査が次の手を打ったのか。

その証拠に、神器は再び鈍色の光を放ち出した。

 

「今だ光実!」

 

「……今度こそ!」

 

安玖巡査の足から、地面に衝撃波が走る。

地響きで足元を不安定にさせ、そこで動きを止めて仕留める戦法か。俺も以前やった事がある。

揺れる地面に足元を取られている間に、光実が上空に跳ぶ。

 

 

〈マスカットスカッシュ!〉

 

 

回避運動がが取れないところに、悪魔特効のマスカットアームズの必殺技。

これならいける――!

 

 

「「ぎにゃああああああっ!?」」

 

 

――しょ、勝者は人妖チーム! ここまで三連勝!

  シーグヴァイラチームを破った実力は、まぐれではなかったのかァ!?

 

 

思わぬ苦戦を強いられた「兵士」相当のタッグマッチは

なんとかこっちが勝ちを収めることが出来た。

だが、その代償はかなりのものであった。

 

「光実。後はお前が何とかしろ。俺はもう神器が使えねぇ。

 ……くそっ、今月も厳しいってのによ……おまけにここで使った分は申請出来ねえじゃねえか」

 

「……そう言われましても、こっちも……」

 

神器を収納し、安玖巡査は後ろに下がる。その一方で光実も変身を解く。

こちらはロックシードのエネルギー切れだろう。

試合に勝って勝負に負けた。今回の戦いは、そんなところだ。

次の次の戦いには安玖巡査も出られるが、神器は使えないだろう。

メカニズム的に借金で使えるのかどうか知らないが、使えたとしても借金を強いるのは。

光実も特効のロックシードがガス欠を起こしている。

まだ使えるロックシードがある分、こっちはまだマシか。

 

 

「……どうやら。チーム戦と言う点におけるスタミナではこちらに分があるようですわね。

 ジリ貧に追い込んでの勝ち……華には欠けますが、勝利と言う事実に変わりはありませんわ」

 

向こうでレイヴェルさんが勝ち誇ってるが、まだ決着ついてないだろ。

勝った気になってるのは悪魔の……いや、貴族故の慢心か。

そう考えながら、まだ半数程度は控えている相手をこっちの残りの戦力でどう攻めるか。

その方向に考えをシフトしていたら、突然バオクゥに工面してもらった冥界用の端末が鳴り響く。

 

『セージさん! ちょ、ちょっと大変なことになったみたいです!

 サイラオーグさんの件なんですが……』

 

サイラオーグ。その名前が出た途端嫌な予感が過ぎるが

この情報は向こうにいるレイヴェルさんにも伝わったようだ。

そして、アナウンス席にも若干の混乱が見られるようで

少し遅れて試合開始のアナウンスが流れる。

 

 

「……少し。貴方に問い質したいことが出来ましたわ。

 ここからは本気を出させてもらいますわよ!」

 

そう意気込んだレイヴェルさんの出目は「3」。

悔しそうに地団駄を踏んでいるが……おい貴族のご令嬢。

その一方の俺の出目はと言うと……「4」。これなら猫姉妹も出られるから何とかなる。

……そう思ったのだが、出てきた相手は「僧侶(ビショップ)」相当の奥瀬秀一(おくせしゅういち)

振る舞いは寧ろ「女王(クィーン)」かもしれんが。

確か、以前戦った時は飛び道具を中心に攻めてきた。

となると猫姉妹は相性が今一だ……仕方ない。

 

「……すみません。氷上(ひかみ)巡査、お願いします」

 

「わかりました。聞けば、飛び道具主体の相手とのこと。ゲシュペンストで戦う算段ですね」

 

「ちぇ。出番だと思ったのに……仕方ないにゃん。ここはセージの顔を立ててやるにゃん」

 

 

サイラオーグに関する一報に、互いにざわつく中での一戦。

見回せば、観客席の中にも少しだが困惑の様子が見え隠れしている。

 

「そもそも俺戦いとか好きじゃないけど……お嬢の頼みだからさ」

 

「公務執行妨害……じゃ、ないですよね。

 自分も私用でゲシュペンストを使うのはやはり気が引けますが……コール・ゲシュペンスト!」

 

転送されてきたゲシュペンストを纏い、氷上巡査の戦闘態勢は完成する。

片や奥瀬弁護士も、フェニックス領で製造されたと思しき銃を持っている。

そういや、あの時あの火器何処から出したんだ? 神器持っているって話は聞いてないが。

 

妙に機械的な奥瀬弁護士の銃火器とゲシュペンストの攻防は

シーグヴァイラ目線ではともすれば凄い魅力的に映るのではないか? などと思いながらも

その戦いの行方は、ゲシュペンストが不利になっていた。

単純に、奥瀬弁護士の武器の射程がゲシュペンストの射程を上回っていたのだ。

……高性能レーダーとか積んでないのか。

 

射程で劣勢に追い込まれたゲシュペンスト。

その射程と言うアドバンテージを投げ捨てるかのように

奥瀬弁護士はゲシュペンストに肉薄してきた。

その戦術をガン無視したかのような行動を不思議に思っていると

突如として氷上巡査から無線が入って来た。

 

『……ものは相談なんだけどさ。ここで負けてくれない?

 見ればわかるんだよね。それ、壊したりしたらマズいもんでしょ。

 これ以上無駄に壊してダメージ残すよりは

 負けて損傷を最小限にした方が賢明だと思うんだよね』

 

『……八百長をしろと言う訳ですか』

 

なるほど。弁護士らしく交渉で勝ちをもぎ取りに来たわけか。

確かに、ゲシュペンストに要らんダメージを残してこの後の戦いを迎えるのは避けたい。

いくら薮田先生が整備に関しては受け持つとは言っても、ここはアウェーもアウェーだし

そもそも公安の眼を掻い潜ってるって現状、完全な整備が出来るって保証もない。

そう考えれば、相手の提案をのむのも一つの手ではある。

ただ、負けることのデメリットも無いわけではないからなあ……

 

「……構わん。白星を奴らにくれてやれ」

 

口をはさんできたのはビナー・レスザン。お前、いつからそこにいたんだよ?

曰く「あまりにもうちのチームが全勝で勝ち進んでいると逆に怪しまれる」とのことだ。

レーティングゲームはエンターテイメント。一方的な試合は好ましくない……だとさ。

俺は一応スポンサーから滅茶苦茶にしてくれ、って言われてた気がするんだがね。

 

「確かに、無理してゲシュペンスト壊されるのも問題だからな。

 それに、氷上が出られなくとも俺がゲシュペンストを動かせばいい話だ」

 

ビナー・レスザンの意見に安玖巡査も同意する。

取り立てて負けることへの反対意見も出ていない。

一応立場的に「(キング)」である俺が負けるよりは大事にならない、と言うのもあるのだろうが。

如何せん、うちは人数が少ない。ただでさえ少ない人数が減るのは避けたいところでもあるが……

 

『話は決まったかい?』

 

無線越しで俺達と相談していた氷上巡査の返事を待たずして奥瀬弁護士の攻撃は続く。

このままじゃゲシュペンストを破壊されるだけで終わってしまう。

それだけは避けないと……!

 

「氷上! ゲシュペンストには煙幕を積んである!

 適当に流れで戦って、頃合いを見て引き上げろ!」

 

『了解しました!』

 

安玖巡査の提案を受け、氷上巡査のゲシュペンストの動きの方向性も決まったようだ。

牽制射撃からおもむろに飛び上がる。あの構えは……!

 

 

――究極・ゲシュペンストキック!!

 

 

氷上巡査の必殺キックを迎撃するように奥瀬弁護士は対物ライフルを持ち出す。

あんな長物で近接攻撃の迎撃などかなり難しいと思うが……

 

キックが決まると同時に、対物ライフルの攻撃が炸裂したのか。

フィールド上は物凄い煙に包まれ、状況はわかりづらくなっている。

……フィールドの煙が晴れた時、そこにいたのは。




世界観的にはハイスクールD×Dで合ってるはずなんですがねえ。
サイラオーグ絡みは不穏分子しか生まれない……

>カザリVSアンク(違
安玖巡査の神器、能力を行使するたびに費用が発生するタイプです。
支払えなくなった場合はどうなることやら。因みに踏み倒しは効きません。
能力モチーフはお察しの通りオーズのコアメダル。
今回はシャチ、チーター、ゴリラ、ゾウ。
課金してメダルを買う、思えばこの頃から転売は社会問題だったかもしれません。
因みに四足動物だと悪路に強い……らしいのですが、彼女らは二本足なので
地響きによる足止めが有効だったりします。

>ゾルダVSゲシュペンスト(違
FのゲシュペンストMk-IIRなら対応できたかもしれない長射程。
レクタングル・ランチャーがあれば話は変わったかもしれないカード。
因みに元ネタ通りだと本当にシーグヴァイラさんがハッスルしそう。
ゾルダをロボットと言うのは暴論もいいとこですが、見た目的に。

八百長持ちかけてるのもほぼ元ネタ通り。
カーラマインが正々堂々戦った後にこれだよ!

……セージ側に八百長に乗るメリットがあるあたりがまた何とも。
原作が原作だから仕方ないけど、人間がアウトローだなあ……
(警察って法の体現者がいるのにアウトローとはこれいかに)
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