そのせいか割とノリが良かったので、新年一発目とさせていただきます。
悪魔の若手軍団を相手取ったレーティングゲーム。
今までアガレス・フェニックス・シトリーと勝利を収め
警戒していたバアルは突然の辞退。
こうして、俺達は事実上の全勝を以て最後の相手である
リアス・グレモリーとの戦いに臨むことになったのだが
予想だにしないアクシデントと、グレモリーの底力を見せつけられる形となり
残されたメンバーは、俺と氷上巡査のみとなってしまった。
――そして、今から俺とグレモリーチームの
『……ここに来てあいつか。だが、これは逆に好機だぞ。
奴を倒せさえすれば、後は大まかに傾向の読める相手だ。
それからピンクのにも釘刺されたと思うが、奴を検索するなよ』
(自分が散々やっておいて言えた義理じゃないが、メタ張られるときついな。
それに倒せさえすればって……俺達が負けたら終わりだろ。
フリッケン。冥界のクロスゲートの位置は押さえているか?)
『大体な……まさかと思うが』
負けるつもりは無い。俺はフリッケンの言葉をそう制しながらも
最悪の事態は把握しておくに越したことは無い。
退路としてクロスゲートを使うのは、もう二度とやるまいとは思っていたが。
『……背水の陣どころの騒ぎじゃないな』
(今までは確実を期すために手段を選ばなかったが
今回は形振り構ってられない、が正確だな。
そう言う事態も今に始まった事でも無いが)
形振り構えない。そう、俺が負けたら全てが終わってしまう。
生き延びて、かつこの先に控えているリアス・グレモリーを倒さなければならない。
とは言え、今ここで目の前の相手に手札の全てを出すのも危険だ。
……布袋芙ナイアは、そう言う手合いの相手だ。
「さて。これ以上リアス君やイッセー君を待たせたくないからね。
彼女たちの出番は無くなってしまうが、優秀な眷属はそれ即ち優秀な悪魔の証。
僕が勝てば、何ら問題は無いと言う訳さ。
……と言う訳で、早速仕掛けさせてもらうよ。『
後ろで試合開始のアナウンスが響き渡ると同時に、布袋芙ナイアの影が姿を変えて人型を象る。
俺は、あの影の姿を見た事がある。
……
(JOKER!? だとすると、妖刀を使われたらアモンに代わる以外の手が無くなる!)
SOLID-SWING EDGE!!
俺は接近戦をなるべく避け、つかず離れずの距離からJOKERを攻略することにした。
布袋芙ナイア本体を狙ってもよかったが、JOKERがしっかりガードしているために
攻撃が本体に届かないのだ。
「フッ。まさか、サシで勝負をするのに
その言葉の意味を、俺はその身で体感することとなった。
飛び掛かって来たJOKERは、俺の目の前で突然黒ずくめになったかと思ったら
その身体を膨張させ、弾け飛んだのだ。
俺の記録していた戦闘データの中に、自爆するJOKERはいなかった。
それが仇になって、対応が遅れてしまったのだ。
自爆のダメージ自体はアモンが緊急ガードをしてくれたお陰か、軽くぶつけた程度で済んだが
この分だと、一体どれだけの手札を持っているかが想像もつかない。
……そもそもそれ以前に、布袋芙ナイアとJOKERの接点がまるで思いつかないわけだが。
「この程度でダウンしてもらっては興醒めだよ。
もっとイッセー君に僕のいいところを見てもらいたいんだ。
フフフ、年甲斐もなく彼の事を想うと熱くなるからね。
……それとも、君がイッセー君の代わりになってくれるかい?」
SOLID-GUN!!
俺は返答代わりに、実体化させた銃に込められた祓魔弾を見舞う。
やはり。好意などと言ってもその実、兵藤をいいように利用したいだけだ。
でなければ、簡単に乗り換えを示唆するような事を言うはずがない。
……それを冗談で言ってのけるタイプだと言えば、それまでかもしれないが。
「やれやれ、嫌われたものだ。本気で勧誘したわけでもないけどね。
だが、仮にも教師である僕にそんなものを向けるとは、聞きしに勝る不良生徒っぷりだね。
……いいだろう。ここからは、少し本気で指導させてもらうよ」
周りが眩しくなったのでふと見まわすと、飛び散ったJOKERの破片が白く輝きだす。
輝いているJOKERの破片が一点に集まると、再び人型を形成しだす。
そうして現れたのは……JOKERだ。だが、色が違う。
(聞いた話だが、JOKERには願いを叶える「白」と、殺人を主に行う「黒」がいるらしいが。
ここに来て、白い方のJOKERか? 何を願うんだ?)
「人間は願いを叶える存在を神や天使と呼ぶらしいね。僕達悪魔も願いを叶えているってのに。
そして願いを叶えるって意味じゃ、このJOKERも変わらない。
だからこそ、この姿で顕現するわけさ。
……だけど、無償の願いなど存在しない。悪魔は魂を、JOKERは夢見る心を。
それぞれ代償として貰い受ける。
対して天使は……従わぬ者に裁きを下す」
突如、白いJOKERが背面を向いたかと思えば天使の彫刻のような鎧を身に纏う。
その貌の部分には赤いドミノマスクが装着され
これが「
そもそも、大元のJOKERはペルソナそのものだ。
――我は裁きの大天使……穢れた人の子らの魂を、光の剣にて断ち割らん……
悪魔であるはずの布袋芙ナイアが天使を召喚した(風に見える)事に、両陣営も会場もどよめく。
中には、JOKERが発するオーラで消し飛んでいる悪魔もいるようだ。
今目の前に対峙しているのが本物のJOKERかどうかはわからないが
一般市民とは言え悪魔を事も無げに消し飛ばせるのは
それなりに格のある天使と同等、という事か。
『この悪寒……
だがなるべく向こうに手は回すなよ。俺が悪寒で酔う』
「僕も人間たる君にこのエンジェルジョーカーの破魔魔法が効くとは思って無いさ。
だが……これはどうかな?」
さらなる変異を遂げたJOKER――エンジェルジョーカー、がなにやら光の剣を周囲に放つ。
一つ分かるのは、奴が放った光の剣が周囲に刺さったと同時に
辺りから光の柱が立ち上った事だけだ。
対応するにも、攻撃の正体を掴まないことには……!
COMMON-SCANNHING!!
「なるほど。僕や僕の神器を調べるんじゃなく、僕の攻撃を調べに来たか。
だが、君も知っているはずだ。『知ったところで、手が打てなければ何の意味もない』とね」
布袋芙ナイア本体や神器ではなく、布袋芙ナイアが出してきた攻撃に絞って検索をかけてみた。
その案は功を奏したが、やはりと言うべきか行動は読まれていた。
それに対し何をするという様子は今のところないが……なめられているのか?
(……「アルファブラスタ」。光の柱を起点とする持続性の結界を張る。
この中では体力を徐々に奪われ、尽きた瞬間その肉体は消失し魂は浄化される天界の術法。
天界由来の魔法? そんなものが……いや、今はそれよりも)
持久戦って手はこれで無くなったな。まあ、持ち込むつもりも無かったが。
恐らくだが、別の要因で体力を失ってもその瞬間消されるだろうことは想像に難くない。
これまた、そうなるつもりは無いけれど。
アルファブラスタを形成する光の柱を破壊すれば解除できるかもしれないが、手段が覚束ない。
当初の予定通り、布袋芙ナイア本体を倒す方が早いだろう。
……だが問題は、俺の体力の事よりもフィールドの属性力場が変換された事で
うまく負念を集められず、ガン・レギオンを召喚できなくなってしまった事だ。
実質、また一つ手札を封殺されたに等しい。
こうなったら……
SOLID-GYASPUNISHER!!
EFFECT-CHARGE UP!!
「今問題なく使える手札で」、「正面から」、「力場を形成している張本人を叩き潰す」。
我ながら驚くほどシンプルで力任せな攻略法だが、手っ取り早いのはこれだ。
「――――っ!!」
エンジェルジョーカーに手ごたえはあった。感触自体はいつぞや戦った
アナザータナトスに近いものを感じる。やっぱこいつペルソナなんじゃ?
相手がペルソナなら……予定より早いが、こいつで仕掛ける!
INFINITY-ARCHIVES DISCLOSURE!!
MOTION!!
「――アポロ!!」
ギャスパニッシャーを放り投げ、
これまでも幾度か使った疑似ペルソナ、オルタ・アポロで戦う算段だ。
「……あっははは。まさか、そのペルソナを見ることが出来るとは思わなかったよ。
やはり君もまた僕を愉しませてくれる。教師冥利に尽きるってものだよ。
ああ、何故僕がそのペルソナを知っているか。僕が何時そのペルソナを見たのか。
――それを君が知る必要は、微塵も無い」
そう言い放った布袋芙ナイアの視線と口調は、普段のそれとは明らかに違う冷酷なものだった。
間違いなく指しているのはオルタ・アポロそのものでは無く
これの基になったペルソナ・アポロ……即ち、周防巡査のアポロの方だろうが。
「いいものを見せてくれた礼に一つ教えてあげるよ。
そのペルソナの必殺技――ノヴァサイザーは、このエンジェルジョーカーには通じない」
「布袋芙先生ともあろう方が、誰かと勘違いしてやしませんかね。
先生の言っているペルソナは、多分俺も知ってるペルソナですが
これは……そのペルソナじゃない」
一応警告には従い、ノヴァサイザーは出さないでおく。
ブラフの可能性も大いにあるが、いきなり繰り出したところで通るとも思えないからだ。
なので、オルタ・アポロから繰り出す攻撃は銃による牽制を加えつつ
盾を投げつけることでエンジェルジョーカーと布袋芙ナイアの双方を同時に攻撃する。
「くっ……なるほど、君はペルソナをそう言う風に使うわけか」
「そう言う風と言われても、俺はペルソナ使いに知り合いはいても
ペルソナを使った王道の戦い方なんざ知らないんでね!」
オルタ・アポロの飛来する盾に布袋芙ナイアが怯んだ隙を突いて
俺はギャスパニッシャーを回収して、上段で振り下ろす。
大振りの攻撃なので当然避けられるが、この一撃でエンジェルジョーカーの動きも一瞬鈍る。
あっちの相手はオルタ・アポロに引き受けさせつつ……と言いたいところだが
そこまでオルタ・アポロも自律した動きが出来るわけでもない。
おまけに、アルファブラスタの効果は健在であり、こうして振り下ろしたギャスパニッシャーを
再び構え直そうというこの瞬間にも、体力が奪われているのが感じられる。
「それより、先生の実力は完全な神器任せですか?
それなら、まだ兵藤の方がまともな戦い方をしますが」
「一つ教えてあげよう宮本君。
君も感づいているとは思うが、僕の神器は神器であって神器ではない。
いわば……僕の半身さ」
後ろを指し示す布袋芙ナイア。
つい後ろを振り向くと、オルタ・アポロの銃がエンジェルジョーカーの
ドミノマスクを撃ち抜いていた。
その瞬間、エンジェルジョーカーの身体は中心から真っ二つに裂けたのだ。
「な……!?」
あまりの光景に思わず息をのむ。いくらペルソナに近しいものだと言っても
人型のものが目の前で突然真っ二つに割れもしたら驚きを隠せない。
いや、そう言うヒーローいたけど。
それにこの展開には、グレモリーチームの側からもどよめきが起こっていた。
どうやら、本当に手の内を殆ど明かしていなかったようだ。
真っ二つに割れたエンジェルジョーカーは、再びこちらに向き直り(というのも不思議な表現だが)
その姿はエンジェルジョーカー、というよりはJOKERが真っ二つになった姿と言える。
そして、その真っ二つになった中心からは、JOKERになる前の
群像の追憶の姿のようなものが現れ、真っ二つになったJOKERの半身を繋ぎ留める。
丁度、JOKERの半身の中央から群像の追憶の影が現れているような形だ。
(……さっきのを天使と表現するなら、こいつはさしずめデビルジョーカー、か?)
――我は淀みし欲望より産まれし悪魔……人の穢れし御魂こそが、我が闇の刃とならん……
まるで「本物のJOKER」と対峙しているような感覚に襲われながらも
デビルジョーカー(仮)の繰り出してきた攻撃を何とか躱す。
それによって、再び布袋芙ナイアとの距離は離されてしまったが、仕方がない。
どうやらエンジェルジョーカーが変化したことで、アルファブラスタの力場は消えた……のだが。
別の理由で、ガン・レギオンはまだ使えなさそうだ。
『セージ。奴の力の源は「人の穢れた魂」と言っていた。
だとすると、下手に負念に起因する攻撃は出さない方がいいかもしれないぞ』
(最悪、倍になって返って来る可能性があるってわけか)
突如として性質を真逆に変えて来た布袋芙ナイアの群像の追憶。
これの攻略が出来ない限り、布袋芙ナイアは倒せない。
……ならば、俺の側も持てる手札の全てを出し尽くすしかなさそうだ。
と言う訳である意味ラスボス候補になってる人との戦い。
この後に控えてるリアスやイッセー、朱乃が消化試合になりそうな勢いですが
相手の格を考えるとセージも全力を出さざるを得ない。でも出せないけど。出させないけど。
正体を考えるとJOKER使ってくるのはある意味当然。
因みにセージは目の前の相手に意識を集中しているので全然気づいてませんが
リアス達もナイアがJOKERを出したことに驚いています。
能力は以前戦ったJOKERと同一ですが、当然オールドメイドは使ってきません。
実際達哉が一人でJOKERと対峙した時もいきなりJOKER発動でしたし。
今回それを拡大解釈してエンジェルジョーカーへの変異の前触れに。
>エンジェルジョーカー
原作ではジョーカーが変異した存在ですが、今回はペルソナとして再現。
正体を考えれば出来ないわけがない、として。
一応スリップダメージで済ませてくれる分、アルファブラスタは有情。
これがオメガクラスタ(似たような効果で時間差即死。対象全員)だった日には……
なお、展開の都合上固有技の聖王光臨剣はアルファブラスタの前座にされました。
今回オルタとは言えアポロと対峙してますが、原作ではこいつとの戦いの後にアポロ覚醒なので実現しようが無いカードでした。
>デビルジョーカー
そんなんいたっけ? って方、ある意味正解です。
何せ元ネタは没キャラ。知る人ぞ知るって状態です。
一応、悪魔絵師デザインとドット絵はあるらしい(検索すれば出る)ですが。
なので口上は完全な創作。能力も拙作独自のものとなります。
因みに見た目は本文で述べた通り。
似たようなものを挙げるとサイクロンジョーカーエクストリームのジョーカーバージョン。