ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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今までならAパートBパート分けしたような話でしたが
今回は流れの都合上。


Passionate naked

「……セージ先輩をあそこまで追い込んだんです。ただで帰れると思わないでください」

 

「小猫ちゃんなんだろ!?

 その恰好は嬉しいけど、あんな奴のためなんかに戦う必要なんか無いぜ!

 君のお姉さんも、俺達が保護するから……」

 

闘志が、妖気がコスチューム越しに溢れ出している自称「マスク・ザ・ハチワレ」。

もうその正体を隠す気も無いのか、既にイッセーには正体がバレている。

それでも、頑なにマスク・ザ・ハチワレ以外の名前を名乗らないのは

覆面レスラーとしての矜持だろう。

 

「……リアス先輩の影がちらついてる状態で、何の冗談言ってるんですか」

 

「ぶ、部長は俺が説得する! 俺の言う事なら、部長は聞いてくれる!」

 

「……何を根拠に言ってるんですか。口先だけなら、何とでも言えます」

 

このイッセーの態度を見た瞬間、マスク・ザ・ハチワレこと

白音の態度と考えは決定的なものとなった。

何故ならば、布袋芙(ほていふ)ナイアに操られ「向こう側」の記憶を植え付けられた際。

向こう側にいたこの青年は、もう少し誠実さと言うものを持っていた。

尤も、姫島朱乃を説得する際に得体の知れない神の力を借りている時点で

「向こう側」でもどっこいどっこいだったのかもしれないが。

 

とどのつまり、彼の言葉には、彼の心が篭っていなかったのだ。

彼の言葉の端々には、自分以外に起因する何かが常に纏わりついていた。

今回も姉――黒歌を保護するというその提案でさえも

立場上問題を無視できないリアス・グレモリーの問題を解決すらしていないのに

引き抜きの条件として提示してきたのだ。

そもそも、リアスがイッセーの言葉で動く保証など何処にもない。

逆ならば命令という形で再現できるが、眷属が主に願い事をして

それが確実に通る保証など、いくらグレモリー家でもそんなものは無い。

 

仮にここで引き合いに出されたのが

姫島朱乃や紫藤イリナであれば、確かに彼の言う事は聞くだろう。

だが、彼女らが黒歌の安全を保障する理由はもとより、権利など何処にもない。

では、布袋芙ナイアならどうか。答えは同じである。

こちらは黒歌の存在を保護し、秘密裏に保護することなど造作もないのは

国際テロリスト(禍の団)の一人として指名手配されているにもかかわらず

何不自由なく日常生活を送れている(ただし、彼女目線での話ではあるが)

紫藤イリナの現在の立ち位置から見ても明白である。

 

しかし、これはどの道白音が首を縦に振らないだろう。

布袋芙ナイアの得体の知れなさは、宮本成二に関わる人物ならば共通認識として凡そ持っている。

だから白音もナイアの名前は「問題外」として出さずに、まだ僅かでも可能性のある

リアス・グレモリーの名前を出したに過ぎない。

実際には、黒歌がリアスの保護を受けることなどあり得ない、とした上で。

そもそも黒歌は、リアスに対し白音の件で恨みを抱いている。

 

――なに勝手に他人の妹を隷属させているのか、と。

 

これはリアスの側にも言い分はあるのだろうが、黒歌は聞く耳を持たない。

そもそも、持てるような状態では無いのだ。

それが他種族から見た悪魔の駒(イーヴィル・ピース)による眷属契約なのだから。

黒歌自身が詐欺紛いの契約を受ける羽目になったのだ。

リアスがいくら(比較的)良心的だと言っても、それを信じるに値する実績がない。

あまつさえ、大失敗をやらかしたセージと言う事例すら知っている。

悪魔の駒を奨励する立場にいる限り、リアスは黒歌を説得することは金輪際できないであろう。

 

それが互いにわかっているからこそ、黒歌と共に生きることを選んだ白音はリアスの眷属を降り

その黒歌がセージについているため、セージに白音を託したという背景が存在するのだ。

その事情を知らないイッセーでは、どう足掻いても白音の引き抜きは無理なのだ。

それこそ、布袋芙ナイアに「向こう側」の記憶を強引に植え付けてもらうなどしない限りは。

 

因みに、この件もありリアスはナイアどころかイッセーにも微妙な不信感を抱き始めている。

今は試合だから力を合わせてはいるものの、その心はイッセーが望む物とは

明らかにかけ離れ始めているのだった。

 

 

……だからこそ、兵藤一誠は起死回生の一手に出る。

その一つが先程の女体化(セクシャル・リバース)洋服破壊(ドレスブレイク)であり

それは確かな手応えとなり、セージの戦意を喪失させた。

しかし、それは彼のタッグパートナーとして名乗り出たマスク・ザ・ハチワレ

――に扮した白音の怒りを買う結果となったのだ。

 

 

「だったら小猫ちゃん! 悪いけど、ここで勝たせてもらうよ!」

 

「ハーレム……いいえ、お人形遊びのために。ですか。

 そのために私も、アーシア先輩も、リアス先輩もお人形にしようとするんですか。

 姫島先輩や、紫藤イリナみたいに」

 

白音から見ても、今のイッセーは狂った人形遊びに興じている風にしか見えていなかった。

自分でやっているのか、やらされているのか。

その境界も曖昧で、それがイッセーに対する怒りが爆発しきれない要因……だった。

だが、今は違う。明確に、目の前の悪逆非道を討つ理由があるのだ。

姉を救い、自らをも救った大恩ある青年を辱めたのだ。

怒りが爆発しないわけがない。

 

今さっきのアモンの指摘通りに、挑発されたイッセーの頭には血が上る。

ここで確実に勝つのならば、真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)で真っ向から討てば

楽勝の相手なのだ。実際、これに対抗できたのはセージ

……と言うかアモンの魔神剛(まじんごう)の鎧しかなかった。

何だかんだで、そこまで赤龍帝は育っていたのだ。その育て方に問題はあったかもしれないが。

 

ところが。

体力の消耗もあったのか、イッセーはそれを使わずに赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)のまま

マスク・ザ・ハチワレへと突っ込んでいく。

普段なら軽々と躱すマスク・ザ・ハチワレだが、今度は逆に彼女があり得ない動きを見せた。

 

 

「……えっ!?」

 

「……どうしたんです? 触りたいんでしょう? 見たいんでしょう? 脱がせたいんでしょう?」

 

なんと、わざと洋服破壊の予備動作とも言える「接触」を許容したのだ。

これには、両陣営も観客もどよめきを隠せない。

この後に続く展開がわかっている分、観客のボルテージは急上昇。

イッセーのセクハラ行為に対し、以前から制裁を担当していたはずの

白音がそれを受け容れるような行動をとったことに対する

オカ研メンバー――リアス眷属達の困惑。

まだ正気を取り戻せていないセージはともかく、普段の白音を知っている人間チームも困惑。

黒歌も一瞬取り乱しかけるが、彼女の「眼」と漂っている妖気から、何をやるのかを察し一人

 

「……あーあ。あの赤龍帝ちんもかわいそうに。怒らせたらマズい子怒らせちゃったからに……」

 

周囲に聞こえないよう、ふと零したのだった。

 

 

「……いいですよ。見せてあげます。あなただけと言わず、この会場にいる全員に」

 

この言葉に、今更ながらに中継カメラが慌ただしく動き始める。

セージの時からやれよ、と来賓席の一部は思ったそうだが

幸か不幸か、中継カメラよりも早く洋服破壊は発動したのだ。

 

「…………!! セージ先輩、見ててください!!

 あなたの怒りと恥ずかしさと悔しさ、私も同じものを背負った上で、戦います!!」

 

リングコスチュームの早着替えを習得した甲斐あってか、覆面だけは再び纏うことが出来た白音。

衆目に一糸纏わぬ姿を晒す羞恥心が彼女の心を支配しそうになるも

それ以上の怒りが彼女を突き動かしていた。

その証拠として、あふれ出る闘志と妖気。そのお陰か、身体も普段の幼い姿では無く

姉にも匹敵しかねない成熟したものへと変化していた。

 

その光景に、一瞬我を忘れたイッセー。

しかし、そのただならぬ気配を感じ取ったのか、すぐに距離を取ろうとするが

ある一点……いや二点に視点が釘付けになってしまい、全く身動きが取れなかったのだった。

 

まず一点。それは彼のフェチシズムであり、個性と言っても過言ではない乳房。

黒歌と遜色ない状態になった白音の肢体から彩られるそれは

イッセーではなくとも釘付けになる代物であることは想像に難くなく

実際、観客席では格差が生まれていた。

本人は見せる、と言ったがそこまでサービスをする義理は無い。

 

……そして二点。これが問題だ。間違いなくいくら悪魔の報道倫理とは言ってもこれは止める。

白音も棒立ちで自らの覆面以外一糸纏わぬ肢体を晒したわけでは無いのだ。

イッセーの動きが止まったのを確認するや否や、顔目掛けて飛びあがり……

 

 

(ああっ!! かつてデーモンにケッコーって奴がいたが……

 まさかあいつの必殺技をこの目で拝めるとは!

 こ、こりゃまたけっこう……!!)

 

(…………ノーコメントとしておく。

 だがセージ。変な意味じゃなく、あの白猫の戦いは目に焼き付けておけ。

 お前のために、彼女はあれだけの闘志と思いを乗せて戦ったんだ。

 それだけは、決して忘れるな)

 

 

アモンの言うかつてのデーモンが披露した必殺技。それは身も蓋も無い言い方をすれば

異性の局部と言う、思わず注視するか目を逸らすかの二通りしか行動が出来なくなる命がけの技。

いつからか、その必殺技には

 

 

――おっぴろげジャンプ

 

 

等と言う、後の兵藤一誠でさえもつけないような名前が付けられていたという。

 

デーモンの習性故か、その技は何時しか忘れ去られていったが

今ここに、知ってか知らずか再現されたのだった。

 

そしてさらに、ここからがおっぴろげジャンプの真骨頂である。

必然的に、両太腿で相手の首を挟み込む形になる。

抵抗しようにも、五感に与えられる情報がそれを阻害する。

視覚、触覚、嗅覚、ともすれば味覚。

振りほどこうにも、元々体術では昔から白音に分があったのだ。

それを黒歌のプロレス趣味に付き合ったお陰か、さらに強化されていた。

ここから繰り出される必殺技は――

 

「……最初で最後の、あなたに見せる観音扉です!!」

 

フランケンシュタイナー。闘気と妖力で増幅された力で

太股の力だけで、イッセーの首を捻じ曲げた。

アモン曰く、おっぴろげジャンプの本来の締めとは違うらしいのだが

これでも十分にイッセーへのダメージにはなった。

事実、イッセーはピクリとも動かないまま10カウントを迎え。*1

 

 

マスク・ザ・ハチワレと宮本成二の勝利になる…………

 

 

「只今の試合についてご説明します!

 人間チーム、マスク・ザ・ハチワレは局部露出による

 レーティングゲーム公式規定違反のため反則負けと判定!

 しかしながら、グレモリーチームの『兵士(ポーン)』兵藤一誠も試合続行不可能と判断!

 従って、これより『兵士』の代わりに『女王(クィーン)』を……」

 

 

「いい加減にして頂戴!!

 イッセーが負けたのは彼の実力不足のせいよ!

 これ以上、私達に余計な手出しをするような真似はやめて頂戴!!

 そんなものが無くとも、私達は十分セージを倒せるわ!!

 

 それとも、いつから私達悪魔は弱い者虐めを是とする

 下卑た根性をするようになったのかしら!?

 そんなのが悪魔の正義だというのなら、私は……」

 

 

物言いに、物言いが入った。

判定を告知したサーゼクスも、リアスの今までにない気迫に気圧され

彼女の最後の言葉を言い切る前に物言いを撤回せざるを得なくされていた。

そんな後ろからセラフォルーが文句を言おうとしているが、それをユーグリットが押さえに来た。

曰く――

 

「ソーナ・シトリーは、悪魔の駒の所有数に関して不正を働いている疑惑がある。

 悪魔の駒推奨派がこぞってこのような不正を働くような事態が起きているとなれば

 レーティングゲームの根幹を揺るがす事態となるだろう。

 他人の試合にケチをつける暇があったら、身内の潔癖を証明したらどうだ。

 マスコミも嗅ぎつけているから、急いだほうがいいぞ」

 

そう。匙が影人間と化したことで有耶無耶となったソーナの悪魔の駒の所有数。

その情報を、イェッツト・トイフェルのリー・バーチに売ったものこそ

ユーグリット・ルキフグスだったのだ。

彼は悪魔の駒否定派であり、本気で悪魔の駒にまつわる問題を洗い出すつもりは無い。

ただ、この場でセラフォルーを抑え込むための餌を用意したに過ぎないのだ。

 

目論見通り、血相を変えてシトリー家へと走っていくセラフォルー。

尤も、その肝心の悪魔の駒は持ち主が影人間と化してしまった事で

永遠に見つかるはずの無いものと化してしまったわけだが。

 

(アモンと肩を並べ、僕をも唸らせた人間の小僧が。

 たった一度の無様を見せて、そこで終わりになどさせるものか。

 戦え。戦って、勝て。それがお前が僕に見せることを許す唯一の結果だ)

 

多様な思惑が巡り合い混迷を極める中、本当の最終決戦が始まろうとしていた。

しかし、気迫十分なリアスに対し、セージは……

 

「…………だ、大丈夫だ。白音さんに、あそこまでさせたんだ。

 ここで、俺がやらなきゃ……姉さんがどうこう以前に、男が廃る」

 

(よく言ったセージ! 今なら、俺が憑いても大丈夫だ!)

 

白音に保護された際に纏っていたアウターを脱ぎ捨てると

そこには、黒い毛で象られたビキニスタイルのセージが立っていた。

まだ、イッセーの能力の影響は消えてはいなかったのだ。

今のこの姿は、アモンが表に出た状態ではあるのだが

先程までとは違い、アモンにその心と体を乗っ取られている状態ではない。

普段よく使っている、アモンを表に出した状態だ。

 

「アモン。私はセージと戦いたいのだけれど。

 それに、この戦いにあなたが出たら人間との戦いにならないじゃない」

 

「悪いな、その人間はまだリハビリ中だ。そこでかつての勇者が前哨戦の相手を務めるんだ。

 名誉だとでも思っておけ。それとも勇者アモンは超大物では無いと言うか?」

 

「……まあいいわ。こちらもイッセーの非礼の侘びとして、その戦いを受けて立つわ!

 そして、今の悪魔の力を、あなたにも教えてあげるわ!!」

 

赤髪の滅殺姫(ルインプリンセス)と持て囃された今を生きる冥界の少女。

かつての悪魔、デーモンの勇者と称されながらも裏切り者として封印されていた

古の超大物悪魔。

 

アモンは肉体が本調子ではないとはいえ、ここに新旧悪魔の対決が

人間対悪魔の前哨戦として幕を上げることとなったのだ。

*1
永井先生、石踏先生ごめんなさい!




女体化(セクシャル・リバース)
原作で数多く見せたセクハラ技の「あり得た可能性」。
なおリアスや朱乃等に対して使った場合、男体化するかどうかは不明。
多分不発で終わるでしょうけど。

問題はこれが刺さることで洋服破壊や乳語翻訳が実質相手を選ばずに通る技になること。
……やっぱ碌な事しねえな!

ケッコー
アモン旧知のデーモン族。TVアニメ版だと妖獣ケッコーとか言っちゃうそう言うパターン。
ちなみにTVアニメ版で度々EDに出てたり本編描写(と懐かしのアニメ特番で拾われたりして)
子供達の性癖になにかを植え付けた妖獣イヤモンの遠い親戚……らしい。
披露した技と言い、元ネタは言わずもがなけっこう仮面。
サタン(当時いたかどうかは不明瞭、いたとしても自称か?)の右腕の爪というよくわからない役職を名乗り、予測可能回避不可能の必殺技を駆使して戦ったデーモンの一人……らしい。
何分デーモンに関する情報は焚書されてしまったのでよくわからないのでがす!(炎天下冷奴風に)

……いや、洋服破壊を真っ向から破るって「おっぴろげジャンプ」しか思い浮かばなくて。
脱がす服が(覆面以外)無いのだから洋服破壊もへったくれも無い。
原典だとそこから繰り出されるのは所謂「それは私のおいなりさんだ」ですが(仮面違い)
流石にそれは色々抵抗があったので、フランケンシュタイナーで一発KOって形にしました。

形はどうあれ戦意を取り戻したセージが見せた姿は、こちらはデビルマンレディーが元ネタ。
魔神剛の鎧ではない(=アモンの強さに制限がかかっている)状態ですが
ここからリアスとの最終決戦と相成ります。
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