ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

165 / 178
Will60. 赤き鎧の戦士の決着

ゲシュペンスト・タイプFR(ファイター・ロア)

これこそが、薮田直人が万一に備え用意していたゲシュペンストの予備機であり

超特捜課新装備コンペの競合相手だったロア・アーマーの性質を受け継いだ

新たなゲシュペンスト、ともいえる存在となった。

ただ、ロア・アーマーは特殊強化服の延長線上の装備であり

パワーにおいてはパワードスーツであるゲシュペンストに及ばず

それが原因でコンペに敗退していた。

そのロア・アーマーの性質を継承したことによるものか

このゲシュペンスト・タイプFRもパワーにおいては従来のゲシュペンストに及ばないのだ。

 

「プラズマ・スライサー!!」

 

「…………っ!」

 

音声認識はあくまで操縦補助のための装置であり

いちいち技名武器名を叫ばなければ作動しない、という事は無いのだが

(ただ、叫ぶことで効率よく武器や技が使用できるため叫ぶこと自体は推奨されているが)

つい、技名武器名を叫んでしまう。

そりゃまあ、カラオケでそう言う歌歌う事もあるけどさ。

 

このプラズマ・スライサーと言う武器も、従来のゲシュペンストにも搭載されており

手刀で相手を切り裂くように、手刀の刃に見立てた部分にプラズマ・エネルギーを乗せて

手刀を繰り出す武器だ。

特にタイプ・FRにおいては従来のゲシュペンストから軽量化された関係か

攻撃の出が早くなっており、これが攻撃速度の増加にも繋がり

こうして手刀や貫手を次々と繰り出すことが出来るのだ。

この攻撃速度を武器に、俺はグレモリー先輩に接近戦を挑むことにした。

ざっと見た感じ、このタイプ・FRに氷上巡査のゲシュペンストにあったような

ニュートロン・ビームだとかそう言う強力な光学兵装やスプリットミサイルのような

火器兵装も装備されていないようだ。

仕様の異なるファイター・ビームガンなどの光学兵装はあるようだが

悪魔に有効な武器、って訳でも無さそうなので撃ち合いだとこっちが不利だ。

そうでなくとも、弾速に難があるとはいえ

滅びの魔力を持っているグレモリー先輩相手に射撃戦は不利だ。

なので、俺は今のところ接近戦を選んでいる。

 

さて、このプラズマ・スライサー。当然、これがただの人間の攻撃である訳が無いので

あのやたら派手な勝負服――光沢の走った真紅のレオタード――さえも

容易く切り裂くことは可能、というか肉体そのものも切り裂くことは可能だろう。

ちょっと絵面的にアレだが。

幸か不幸か、そういうスプラッタな光景では無く兵藤が喜びそうな絵面になってる……

……つまりだ。

 

「ちょっ!? これお気に入りなのよ!? よくも傷つけてくれたわね!?

 どうしてくれるのよ!?」

 

「あ、ごめん……

 

 ……じゃねえよ! だったらんなもん着て来るな! ……目のやり場にも困るし」

 

理不尽な逆ギレに対して思わずノリツッコミを返してしまった。

仁王立ちの姿勢で正面からの攻撃を回避する際、バリアなどを発生させない場合

一番最初に当たり判定が発生する――即ち、接触するであろう部分は何処になるか。

 

……本人もある意味自慢しているその無駄に豊かな双丘である。

その部分で避けるのを失敗したみたいで、傷こそつかなかったが

勝負服自体は破けてしまったのだ。

幸い、洋服破壊(ドレスブレイク)程深刻なダメージを受けている訳でも無いのだが

本人が破れた部分を隠そうともしないため、却って目のやり場に困るんだが。

 

(…………セージ)

 

「わかってる。そんなの気にしていられる相手じゃないって事はな。

 だが、やっぱり予備機と言うべきか何と言うべきか

 氷上さんの使ってたゲシュペンストに比べて、速さはともかくパワーが足りてないな」

 

武装の問題か、このタイプ・FRは今までモニターしていたゲシュペンストに比べ

パワーが足りていない。機動力を生かしたゲシュペンスト・キックでも見舞えれば

それが決め手になるかもしれないが、軽量化されたこのタイプ・FRでそううまく行くか?

 

「セージ、本当にあなたは往生際が悪いわね!

 そのロボット、それは朱乃が完膚なきまでに攻略したって事を

 あなたが知らないはずは無いでしょう!?

 それなのに、私との戦いにおいてそれを持ち出してくる!

 それは、今の私にとっては侮辱とすら言えるわ!」

 

勝負服が破れ、豊かな双丘の谷間が露となったグレモリー先輩の胸元。

そこに今度は「女王(クィーン)」の駒が光り輝く。

女王、つまり――

 

「後悔なさい、己の迂闊さを。私のものにするにしても、この一撃だけは受けてもらうわよ!!」

 

グレモリー先輩の右手に、滅びの魔力では無く紅い雷光が迸る。

まさかと思ったが、やはりか。

確かに、転生悪魔(と堕天使のハーフ)と純粋な上級悪魔とじゃ魔力量が違い過ぎる。

そんな雷撃を受けたら、ゲシュペンストは一発でアウトだ。

 

 

……雷? そういや、薮田先生が寄越したマニュアルにはこう書いてあったな……

 

 

――このゲシュペンスト、以後タイプ・FRと呼称しますが

  これは従来のゲシュペンストとは異なり、ロア・アーマー同様

  神器(セイクリッド・ギア)などを研究した得られた超常の力を主に活用します。

  その中には、科学の基礎であり、こうしたマシンにおいて重要な要素を含む

  「電気・雷」をも含みます――

 

確か、そのための対策コードは……

 

「BMセレクト、モードGK!!」

 

音声認識がモードGKへの移行を認証。

すると、バックパックに搭載していたはずのスラッシュリッパーが展開し

回転を始めたかと思えば、円陣を組むように背部に接続され。

バックパックから大型のテスラ・コイルがせり上がり

これは俺の側からだと見えないが、タイプFRのツインアイが全体的に黒く染まり

さながらサングラスをかけたような状態になっている、とアモンが言っていた。

また、青い髪を思わせるエネルギー・フィールドも黄色くなっている、と。

 

「今更、そんなハッタリを使ったところでぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「……ハッタリかどうか、その目で、耳で確かめろ!!」

 

真紅の雷光が、タイプFRを貫く。

しかし、中で操縦しているはずの俺は何ともない。

あの時氷上巡査は負傷したというのに、俺は何とも無い。

マグネタイトの差とかそう言うレベルじゃなく、何とも無い。

……違う。パワーが上がっているんだ。タイプFRが、雷を吸収してパワーアップしたんだ。

 

(セージ、全体が赤熱しているみたいだ。そのパワーで押しきっちまえ!

 必殺パワーだ!!)

 

吸収しすぎての暴発。やはり電圧が物凄いからか、早いところ使わないとヤバい。

そうなれば、確かここからは……

 

「バーナゥ・ファー・サンダー……喰らえ、タミネサンダー!!」

 

テスラ・コイルに蓄えられた電気がスラッシュリッパーや

両手のプラズマ・スライサー発生部分、左手のプラズマ・ステークから

強力な黄金の雷となって放射される。その向かう先は、当然グレモリー先輩。

 

しかし、その向かった雷をグレモリー先輩は滅びの魔力で相殺を試みている。

このまま電圧を上げて力比べか? それとも……

いや、これだけのエネルギー、ただの力比べで終わらせるには勿体ない!

 

意を決し、俺は雷を放ったまま空中へと飛び上がる。

そして、右足に雷のエネルギーを蓄え、グレモリー先輩の頭上を取る。

赤熱したタイプ・FRのボディに、黄金のタミネサンダーの雷エネルギー。

 

雷を纏った、赤き戦士のキック。

タミネサンダーを抑えていたグレモリー先輩も、こっちの攻撃には対処が遅れたようだ。

 

「し、しまっ……!!」

 

「ぅうおりゃあああああああっ!!」

 

――マニュアルにはこう書いてある。

 

BMセレクト、究極・ゲシュペンストキックを繰り出す際には

モニターにSHOUT NOW!!と表示される。

そのタイミングで叫ぶそうだ。

だから、俺は叫んだ。

そう、俺は間違ってない……はず。はずなんだ。

 

だが「何か違う」と後に俺の戦闘データを閲覧した

超特捜課の面々には口を揃えて言われてしまった。

何故だ。面ドライバーのシリーズでも使われた由緒正しい必殺技の叫びのはずなのに。

 

 

なお、この一撃によりリングは爆発四散。

直撃こそ免れたものの、爆心地にいたグレモリー先輩は甚大なダメージを受けリングアウト。

結果として、最後に立っていた俺の勝ちとなった。

 

『こ……これは……これが人間の力だというのか!?

 あの赤髪の滅殺姫さえも吹き飛ばした!! 真に怖ろしいこの力!!

 我々は、この力を秘めた人間を御する事が本当にできるというのでしょうか!?

 

 ……し、試合は人間チームの宮本成二が立っていることにより

 (誠に遺憾ながら)人間チームの勝利となります!』

 

どこか引っかかるアナウンスを聞き流しながら、タイプ・FRを戻す。

物が飛び交ったり、歓声や怒号が鳴り響く中、俺は思わず腰を下ろしてしまう。

というか、立っていられなかったのだ。

 

「セージ!」

 

「セージさん!」

 

「セージ先輩!」

 

リング外から避難していたゼノヴィアさん、黒歌さん、光実(みつざね)、そして白音さんが駆けつけてくる。

皆一様に笑顔を浮かべている。そうだ。俺達は…………勝ったんだ。

 

「超特捜課もよくあんなものを隠していたものだな……」

 

「ああ、あれな。アレ言っちゃなんだが向こうの自滅だよ。

 こっちが雷吸収できることを知らなくて、それでも成功体験を基に撃って来たもんだから

 こっちが吸収、それを反射されてああなった……それが事の顛末だよ」

 

そう。ゲシュペンストには確かに雷は有効打だった。

だが、タイプFRのモードGKには、雷を吸収する能力があった。

というか、大元のロア・アーマーにも搭載されていたであろう、雷を専門に扱う力かもしれない。

元々超特捜課の装備には電気を利用したものは少なくない。プラズマ・フィストとか。

そう考えれば、ゲシュペンストにも雷耐性が着く日もそう遠くない話なのではとは思っていた。

今回はモードGKという、言うなれば先行実装型とも言える雷耐性装備がついていた。

たったそれだけの話で、勝負は雌雄を決してしまったようなものだ。

勿論他にも要因はあるだろうが、間違いなく今回の決め手ではある。

 

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を覆っていた靄が消えると同時に

グレモリーサイドに堆く積まれた瓦礫ががらりと音を立てる。

中にいるものの正体を察した俺は、どかそうと試みるが、生憎と体が動かなかった。

となれば、仕方ない。

 

「すまないゼノヴィアさん、あの瓦礫吹っ飛ばしてくれ」

 

「いいのか? 中にいるのは多分……だぞ?」

 

瓦礫吹っ飛ばすだけだから大丈夫だろう。そう考えた俺は、ゼノヴィアさんに頼み込み

デュランダルの剣圧で瓦礫をどかしてもらった。

その中から手が見えたので、木場やギャスパー、アーシアさんに加え

光実や白音さんも手伝って瓦礫の中の主を引っ張り出してもらった。

 

その姿は、とても公爵令嬢とは思えない程に顔は煤塗れで

レオタードは見るも無残なほどに破けているにもかかわらず

それでいてビキニスタイルを器用に維持しているあたりは

流石は勝負服と妙な納得をしてしまった。

 

漸く立てるようになった俺は、彼女の傍まで歩いて行き

未使用のハンカチをくれてやることにした。

 

「残念賞だ。それでまず顔でも拭いたらどうだ。凄い事になってるぞ。

 無論、未使用だし洗って返さなくてもいい」

 

「……どうも」

 

顔をハンカチで拭うなり何か言われるかと思ったが、思いのほかグレモリー先輩は大人しかった。

 

「……負けちゃったわね。そりゃそうよね。弱点をそのまま放置してるってのは

 慢心以外の何者でも無いわ。まさかこんな短時間でここまで完璧に対策されてるってのは

 本当に予想外だったけど。悔しいったら無いわ。

 

 ……予想外、か。だから人間って油断ならないし……面白いのよね。

 レイヴェルの言ってること、わかる気がしてきたわ」

 

いや、短時間は俺も同意見だ……ってのは心の中に留めておく。

それに、使うつもりが無かったタイプFRを持ち出さざるを得ない状況まで追い込まれた時点で

俺達だって一歩間違えば変なジャッジ関係なく負けてた可能性がある。

それ位、今回戦ったオカ研の面子は強かったのだ。

 

「あ~あ、残念ね。こんな面白い人間を手に入れるチャンスをみすみす逃す羽目になるなんて」

 

あんたの手元にいない方が、面白い結果が見られると思うがね、とは思ったが言わないでおいた。

これ以上傷口に塩を塗っても仕方あるまい。癇癪起こされても困るし。

弱点対策の話題の最中、おもむろにゼノヴィアさんが口を開く。

 

「弱点の放置と言えば……赤龍帝。あいつはどうなのだ?」

 

「……イッセーね。あの子は……難しいところね。アレが原動力みたいなところであり、弱点。

 今回はあそこまで正面から得意技を破られたってのもあって、割とショックでかかったそうよ。

 医務室のナイア先生から聞いた…………!?」

 

ふと、何かに気づいたようにグレモリー先輩の顔が青褪める。

何を思ったのかは俺にはわからないが、少なくとも兵藤と布袋芙(ほていふ)ナイアを一緒に置いておいて

いい結果になるとは思えない。

また何か、あること無いこと吹き込む可能性が高い。

 

「僕とギャスパー君で見てきます! アーシアさんは部長の治療を!」

 

「はい!」

 

「僕も行きます! あの女は……危険だ!」

 

祐斗、光実、ギャスパーが慌てて兵藤とナイアのいる医務室へと向かって行った。

俺達の戦いは勝利で終わった。

 

だが……本当の戦いは、まだこれから始まるのだろう。

その証拠に、来賓室の騒ぎは俺達のところまで聞こえてきそうな勢いだったのだ。




出すつもり自体はあったけれど、今回あまりにもはまり役だったので
1モードと言う扱いですが、決め手にまでなってしまったGKことグレート雷門。
図らずもまた朱乃が足引っ張った……
まあ今回は意図的に足引っ張った訳でも無し、まさかこんな短期間で
雷対策実装してくるとは思わない(セージも偶然気づいた)から
雷メタなんぞ持ってるどこぞの雷様が杵柄見せつけてくれた、ってことで。
回転したスラッシュリッパーは雷様の太鼓のイメージ。危うくプラネイトディフェンサーくっつけるところだった……
テスラコイル積んでるのはテスラ・ドライブの洒落として。

リアスとセージ。
ノリツッコミ返せる程度には関係修復できてます。
ただもし「そういう」関係に「万が一」なろうものなら白音以上に黒歌が黙って無さそう。
違う意味でペルソナ主人公じみてきてないかこいつ?
(ピアスもタッちゃんもそう言う兆候はあったし、3以降は言わずもがな)

ハーレム構成員同士は仲良くしてほしい、という石踏氏の意見はまあ同意しますが
実際はほぼ確で修羅場るよねえ……とも。

あ、リアスは紛うことなき原作ヒロインですが、拙作ヒロインとは一言も申しておりません故。
拙作では「リアスもハーレムが欲しい」と解釈してる部分はありますが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。