ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

168 / 178
Will61. 異界冥界 Aパート

……一体、何が起きたんだ。

レーティングゲーム閉会式の最中、ブーイングともどよめきともつかない

観客からの野次の中、サーゼクスが閉会の挨拶をしていたが

心なしか、顔が窶れているような気がした。

悪魔ってそんなすぐに顔に出るものか? と思いながら

一応真面目に聞いていた時、それは起こった。

 

突如上空にクロスゲートが現れ、アインストが大挙して押し寄せてきたのだ。

それを迎え撃たんとイェッツト・トイフェルやラスト・バタリオンも出てきたが

アインストにしては、タイミングが良すぎる。

 

今この時を襲撃するのは、悪魔にとって大打撃なのは間違いないのだ。

まあ、今アインストを構成しているのって元悪魔だったりするから

そこからの情報かもしれないが。

 

逃げ惑う観客と、アインストを撃退すべく放たれる魔力弾や銃声の音。

俺達も迎撃に出るべきかと身構えたその時。

 

 

――空間そのものが、歪みだした。

 

 

……その結果が、今俺の目の前に広がっている光景だ。

いや、クロスゲートそのものに空間転移能力があるのは知っているし

何なら、その能力で以て俺は沢芽から駒王まで飛んだこともあるし

直近でもこれのせいで俺達は冥界に飛ばされた。

 

……だが、今の現状はどれとも関連しない。

何か、建造物を材料にでたらめに迷宮を作り上げたような……

しかも屋内だし、今いる場所は窓が無いので外の様子もわからない。

少なくとも、俺はこんな場所を知らない。

記憶の中で強いて言うなら、レーティングゲーム会場屋内部分か。

 

『異界化か。人間界でしか起こらない現象だとばかり思ってたがな』

 

アモンが気になるワードを寄越してきた。異界化。

人間界でしか起こらない……つまり、俺達がさっきまでいた冥界では

起こらない現象である、そうアモンは言いたいようだが。

 

『起こらない、というか起こりようが無いんだ。

 冥界を形成する空気を無理矢理人間界にねじ込む……

 まあ要するに、人間界に無理矢理冥界のルールを持ち込むようなもんだ。

 その「歪み」が空間に対して作用する。それが異界化……だと言われている』

 

うん? だとすると、冥界でその異界化とやらを起こすには

冥界に別の世界の空気……と言うか空間だろうな。

それを持ち込んで発生させる……って解釈でいいのだろうか。

 

そして、それが可能であろう物が一つ、思い当たった。

ついさっき俺達の目の前に現れた、クロスゲートだ。

あれは異なる時間や空間を繋げる門、だと専ら言われている。

異なる世界の空間を持ち込むことなど、造作も無いだろう。

 

だとすると、今起きているのはクロスゲートが原因で

レーティングゲームの会場が異界化した、ってところだろうな。

……ん? って事は、もしかすると……

 

『ああ。恐らく会場にいた全員、巻き込まれているだろうな。

 しかも、異界化にあたって持ち込まれた空間は恐らく……』

 

――アインスト空間か!!

 

だとしたら、とにかく早いところここを脱出しなければならない。

そして、会場の中にいたはずの他のメンバーの保護もしなければならないと来た。

 

「……もしもし? もしもし!?」

 

『何やってる。スマホがこんな時に使えるか。

 そうでなくとも、こっちじゃそれは使えないだろ。

 他の連絡手段を使え』

 

通信は……そもそも冥界じゃ人間界のスマホは使えなかった。

軽くパニクってる俺にフリッケンが内側からツッコミを入れてくる。

気を取り直し、俺は正式に契約している白音さんに呼び掛けてみる。

 

「白音さん、聞こえるか?」

 

『……あ、セージ先輩。こっちは無事ですが、これは一体……?』

 

やはり、白音さんの側でも要領を得ていないようだ。

俺はアモンから得た情報を伝えつつ、出口がまだ見つかっていないことと

現状アインストの勢力下にいるという事を追加で伝え

探索には細心の注意を払うように呼び掛けた。

まさか、こうも早く正契約が功を奏するとは。

召喚するのも考えたが、それは向こうに危険が迫った時にしよう。

向こうが先に出口を見つけた状態で遭難状態の俺が呼びだしたら

二重遭難になってしまう。そんな真似は避けたい。

 

とにかく、俺達も出口を探そう。そう考え、慎重に歩みを進める。

襲撃してくるアインストの種類は、今まで戦った事のあるものが殆どだったのが幸いした。

今更手の内の読めてる相手に後れを取る、なんてことは無い。

中には典型的な亡霊のような布切れだけが浮いているようなアインストもいたが

これはあっさりと沈められてしまった。伊達に長いこと霊体やってない。

威張って言う事でも無いが。

 

 

ある程度歩いている中で、誰かの声が聞こえる。

アモンに交代し、声の主の居場所を確認してもらう。

感覚については、やはりアモンの方が鋭いのだ。

 

「声の主は……グレモリーの嬢ちゃんだな。こっちだ」

 

よりにもよって……か。だが、贅沢は言ってられないか。

とにかく今は誰かしらと合流して行動する方が大事だろう。

……たとえそれが、兵藤だったとしても。

 

アモンに道案内される中、お目当ての相手はすぐに見つかった。

もう俺との戦いは終わったとのことで、駒王学園の制服に既に着替え終わっていた。

……のだが、その制服は妙に煤がついていたり傷んでいるように見えるし

当の本人もまた、やけに息が荒い。

 

「くっ……セージとの戦いのダメージが残っていなかったら

 あんた達なんかに……!!」

 

どうやら、俺との戦いのダメージが回復しきっていないようだ。

まあ、それを言ったら俺もなんだが。

俺の場合は、俺自身と言うかゲシュペンスト・タイプFR(ファイター・ロア)の補給が済んでない……

と言った方が的確か。

 

何にせよ、今苦戦している原因は俺にもある。

背後から、アインストを相手取るような形でグレモリー先輩に加勢する。

今までも数が多いだけで苦戦するような相手でも無かった上に

今回は背後を取っていた。後れを取る要素が殆どない事もあり

グレモリー先輩を追い詰めていたアインストは瞬く間に一掃できた。

 

「…………イッセー?」

 

「兵藤で無くて悪うござんしたね」

 

……やっぱりな。本人はやっぱり兵藤に助けてもらいたがっていたんだろう。

だからこうして、名前が出てくる。現実は残酷なもんだがな。

俺はわざと、不機嫌そうに返答を返す。実際少しは不機嫌ってのもあるが

言う程かと言うと、別にそうでもない。だから半分は意地悪だ。

 

「せっ……セージ! セージね! 貴方も無事で何よりだわ」

 

「今更取り繕わなくてもいいですって」

 

このままいても気まずい空気が流れるだけなので、早いところここを出る算段を付けるよう

俺はグレモリー先輩に話を振った。

無論、今レーティングゲーム会場が異界化して、その原因はクロスゲートやアインストである。

そうした情報も付け加えた上で。

 

「確かに、皆と合流した方が良さそうね。それじゃあ……つっ!!」

 

歩き出そうとしたところで、グレモリー先輩の足がもつれたのか、転んでしまう。

流石に受け止めるのは反射神経が追いつかなかったが、起こそうと手を伸ばすが

その前にグレモリー先輩は左足首を擦っていた。

まさか……

 

「ついてないわね。どうやら挫いたみたい。

 飛んで移動するって手もあるけど、それじゃアインストに見つかりやすくなるでしょ?

 おまけに疲れるし」

 

確かに。天井もそんなに高くないから飛ぶメリットもあまりない。

こうなったら仕方ない。持って来た2枚目になるが……

 

俺は仕方なく、ハンカチを取り出して足首の固定に使おうとするが

それをグレモリー先輩は制止したかと思ったら

なんと、ただでさえ長くないスカートの裾をおもむろに引きちぎるなり

適当な瓦礫の上に腰かけて

 

「セージ。膝貸して」

 

「あ、ああ」

 

と、俺の膝の上に足を乗せてきたのだ。

有無を言わさぬ勢いに、つい生返事だが許諾してしまった。

この上で作業をするつもりらしい。おい、異性の眼。

固定作業自体は俺も手伝ったが、お陰でグレモリー先輩のスカート丈が

怖ろしいことになっている。色々な意味で白音さんや黒歌さんと合流しづらくなってしまった。

 

「ハンカチはいくらあってもいいけれど、さっきあなたに貰ったばかりよ。

 じゃ、セージ。今度は肩貸して」

 

「……それは高くつきますよ、没落貴族」

 

悪びれもせず今度は肩を貸せと言ってくる始末。

こんなことなら回復(HEALING)のカードを他人にも使えるように訓練するべきだった。

アーシアさんのお株を奪うようで自粛していたが、そんなこと言ってる場合じゃないな、これ。

 

「これから成り上がるからいいのよ、ほら」

 

「はいはい。出世払いならトイチ、一魔っ貨三千円相当の何かでお願いしますよ」

 

「……吹っ掛けてない?」

 

ここで必要以上に俺達がいがみ合っても得るもの等何もない。

幸い、兵藤がここにいないのでそう言うトラブルも避けられる。

白音さんや黒歌さんは……身から出た錆だ。諦めよう。

が、一応伝えておくか。

 

結果。「……そうですか」とだけ返って来た。

危惧してるようなことは起こらんと思うし、起こす気も無いが。

ただ、向こうに黒歌さんがいなかったっぽいから、合流した時伝わったら面倒だな……

そう、思わずにはいられない。

黒歌さんがグレモリー先輩を目の敵にする理由もわかる手前、宥めるのも難しい。

かと言ってここでグレモリー先輩を放り出す選択肢も無かったりするしな。

遭難時にいがみ合ったところで、得るものなんざ何もない。

 

大体、向こうはどうだか知らんがこっちは人命救助以外の何物でもない。

要らんことを意識するよりも先に、脱出を優先するべきだ。

ちなみに吹っ掛けたかどうかについては、実際吹っ掛けている。

足元見られまくったルキフグスのレートよりもだ。

本当に取るつもりは無いので、そう言う意味も込めた吹っ掛けではあるが。

 

「……セージ。あなた意外とお金にセコいわよね」

 

「生活かかってるんで。諸事情で進級ヤバいのに

 留年できない位には学費ギリギリですし。

 お陰で今結構どうしたもんか頭抱えてるんですよ。

 というか先輩が浪費しすぎなんだと思いますがね」

 

グレモリー先輩にトイチの意味が通じたかどうかはわからないが

言外にケチと言われた気がする。

別に今俺の置かれている生活環境を考えたら間違っても無いので否定はしないが。

 

……あ。そう言えば超特捜課クビになってたんだった。収入どうしたもんか。

 

「そう言う事なら……」

 

「そう言う契約ならお断りです。悪魔との契約で得たお金なんて怖くて使えませんよ。

 ヤクザから報奨もらうようなもんです」

 

あんなのと一緒にしないでよ! と、恐らく曲津組(まがつぐみ)の事を想い出したのだろうか。

ムキになってヤクザと同等扱いを否定しにかかる。

 

……グレモリー先輩にゃ悪いが、悪魔契約なんてヤクザの、それもかなり指定暴力団系の

取引とそう変わらないような気がするんだが。

現に堕天使と縄張り争いっていう名の抗争があった位だし。

 

「って。そう言えばあなたユーグリットと取引したって言ってたわよね?

 私はダメで、ユーグリットはいいって言いたいの?」

 

「そうじゃなくて。お金以外の……こっちにいる間の人間用の食料と身分証明だけ

 協力の見返りに貰った形ですよ。

 それに……本人の前で言うのは憚られるんですがね。グレモリーってとこは……」

 

実際頼れるところがそこしかなかったんだから仕方ない。

アモンは現アモン家とは何の関係も無い。

アバオアクーは幻獣とも呼ばれるほど冥界のどこに実家があるのかわからない。

フェニックスは目の敵にされてる。

バアルとはそこまで関係を作れていないし、方針を考えると人間と関係を作れる可能性は無い。

グレモリーは……言っちゃなんだが、行ったら最後。な場所だ。

 

「……はあ。あなたもあなたなら、お父様もお父様ね。

 ああ、アモンに関してはお兄様は一応ルシファー。グレモリーとは関係ないわ」

 

『そんな言い訳が通らない位、あいつはあんたに肩入れしてると思うがね』

 

「アモンの言う事もなんですが、本当は人間にとってこの冥界は住みにくい場所なはずなんです。

 以前、俺がこっちに来た時に気分が悪くなったでしょう?

 あれ、今にして思えば悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が俺の方にはほとんど作用してなかったのが

 その原因だったんでしょうね。

 だから、早いところ冥界を出られるんなら正直どこでもよかったんですよ」

 

……世間話一つとっても空気が悪くなる。選んだ話題をしくじったのも事実だが。

ああもう、だから悪魔と人間が契約以外で関わると碌なことにならないんだ!

俺にも原因が無いとは言わないが、そうなったのも元はと言えば……!!

 

「……ごめんなさい。本当に知らなかったのよ。あなたがイッセーの中にいたことは」

 

「……もうそれは止しましょう。その際のアレコレ考えると許したわけでも無いですが

 今ここでほじくり返したところで、何かが解決するわけじゃない。

 ほら、さっさと安全な所……」

 

と、言いかけたところで俺は気づいてしまった。

その気になれば、アインストは何処にでも現れることが出来る。

そうなれば、この異界化した会場において安全な場所など何処にあるというのか。

グレモリー先輩が気休めで満足するタイプとも思っていないので

俺は迂闊な事を言った、と後悔した。

 

「セージ。ちょっと疲れたわ。休憩しましょう」

 

前言撤回。何をほざいてるんだこの駄肉姫は。

今さっき動き出したばかりだろ。まあ、それまでのダメージが残ってるのなら

休みたくなる気持ちもわからんでも無いが……こういう時に無理も出来んな。

それに、グレモリー先輩が指示している先は何かの部屋みたいだ。

中に何かあるかもしれない。そうなれば、強ちただの我儘でもないか。

 

うん、駄肉姫は撤回しよう。

俺は提案に同意し、ドアを開けて中に入る。

立て付けが悪くなっているとかそう言う事も無く、すんなりと中に入ることが出来た。

異界化は建物の構造そのものがごっそり変わるため

扉を開けたら壁だった……なんてケースもあるらしいから

油断せずにドアを開けたが……きちんと部屋だった。

何の部屋かは、中に入らないとわからないが。




悪口のセンスがムゲフロ化してる。
多分クロスゲートの影響。

それより本来イッセーがやるべきイベントをセージが掻っ攫う。
そのイッセーは変なのに捕まって篭絡されてる。
セージは別にリアスと如何こうするつもりは無いし
なんならイッセーがリアスに向けてる(一応の)感情は知ってる。
だけどリアスの比重は……

うわベタな修羅場
これはこれであいつの好きそうな……

ま、まさかP3以降の修羅場イベもあいつが影で糸を引いて……!?(違

ちなみにセージがカネに五月蠅いのは昔から。
気前よくイッセーにバーガーセット奢ったかと思いきや
スーパーの総菜売り場でにらめっこしてたり。
でもヤクザや悪魔のカネには手をつけない辺り、分別はしてます。

……ファミリア作ったらヤンロンとチカを足して二で割ったようなのが出てきそう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。