ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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私信
リクエストについてはもうしばらくお待ちください。


Will61. 異界冥界 Bパート

……中に入って見ると、サーバールームか何かみたいだった。

見たことの無い機械からケーブルが何本も生えている。

とりあえずこれの正体を突き止めない事には、ここが何の部屋かはわからないな。

俺は一旦アモンに交代し、適当な材料を集めて魔力モーフィングで椅子を作る。

一応怪我人を立たせておくのも悪いしな。

 

「……めんどくさくなったわね、それ」

 

「今までが便利過ぎたんですよ」

 

『大事に使えよ。このためだけに態々呼び出される俺の身にもなれ』

 

アモンのツッコミも尤もだ。とりあえずグレモリー先輩を椅子に座らせて

俺はこの部屋が何の部屋かを調べることにした。

とりあえず、あのサーバーのような何かの機械が怪しいが。

 

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)で調べようかとも思ったが、激戦の疲れが抜けてないし

迂闊に神器(セイクリッド・ギア)を起動させてそれにアインストが反応してやって来た……とかは笑えない。

ここで戦うのは怪我人を庇いながら、かつサーバーらしき機械を壊さないようにする必要がある。

つまり、今まで戦ってきた中よりも面倒な戦いを強いられるのだ。

なので神器は最後の手段にして、とりあえずサーバーらしき機械を調べてみることにした。

 

 

…………。

 

 

いや、もうちょっと所属とか色々隠せよ、とか思ってしまった。

何せ、この機械にはでかでかとハーケンクロイツが描かれていたのだ。

このご時世でこんなものを使うのはあいつらしかいない。

そしてそれは同時に、この中にはアインスト以外にも敵がいることの証明になってしまった。

 

ラスト・バタリオン。一応アインストは共通の敵なのだが、こいつらを味方にできるかと言われたら

できない、と即答せざるを得ないだろう。

つまり、勢力が一つ増えただけ……と。

 

他にある情報は……

 

「P e t i t - D e v a ……プチ・デヴァ、って書いてあるわね」

 

「座ってなくていいんですか」

 

俺の指摘に対し「暇なのよ」と一言だけ返してきたグレモリー先輩は

機械に描かれている文字をすらすらと読み上げた。

そう言えば成績が悪いのは国語分野だけで

それ以外は聞くところによると普通に優秀だったっけか。

 

……今考える事でも無いが、やはり駒王学園って場所は

リアス・グレモリーにとっての箱庭だったんじゃないか、って思えてならない。

箱庭と言うか、人間界に再現した自分にとっての楽園。

フューラー演説以前はひたすらに持て囃されていた辺りも、楽園の条件は満たしているだろう。

フューラー……と言うか、ある意味では俺にも水を差された形になったわけだが。

まあ、俺自身は持論として楽園なんざ何処にもない、と思っているが

別に他人の楽園を態々否定するつもりは無い。ただ……他人を巻き込みさえしなければ、だが。

そこで引っかかってしまったため、俺はグレモリー先輩の楽園を否定せざるを得なくなったのだ。

 

「プチ、は小さいって意味ね。デヴァは……何かしら? セージ、知ってる?

 ……じゃなくて。セージ。聞いてる? 私の話、聞いてる?」

 

考え事をしていた俺が悪いのもあるが、だからって耳を引っ張って

耳元で怒鳴らないでくれ。痛いし煩い。

聞いてたよ。今日の晩飯どうしようかと同じ程度のレベルには!

 

……ってのは冗談だが。

デヴァ、って単語で思いつくのはセベク・スキャンダルの時に重要な役割を果たしたという

デヴァ・システムのことだろうか?

これについて調べるとなると、いよいよ記録再生大図鑑の出番になるが

さっき思った通り、迂闊に神器は使えない。

考え込んでいると、グレモリー先輩がおもむろにプチ・デヴァのスイッチを

適当にポチポチと押してしまった。

 

「ちょっ!? 何やってるんですか!?」

 

「いや……押したくならない? こう言う意味深に付けられたスイッチって」

 

ならないよ!

そういや噂で聞いた乳龍帝おっぱいドラゴンとかってあの(低俗極まりない)番組の登場人物に

スイッチ姫ってのがいて、そのモデルが……だったが

まさか、そういう意味かよ!?

本来の意味は本人の名誉のために伏せるが……知ってるだろうな。

 

スイッチを押された事で起動したのか、重低音を上げながらプチ・デヴァはピカピカと光り出す。

暫くして、コンソールにトーテムポールのようなキャラクターが映し出された。

デヴァ・システムだってパソコンでいう所のOS入れて動いている代物だろうが

こんなトーテムポールのキャラクターを使ってるOSなんて聞いたことが無い。

 

『Welcome. わたしは プチ・デヴァの チェックマン。よく来たな』

 

チェックマンを名乗るそのキャラクターが、プチ・デヴァへのアクセスを担っているようだ。

ラスト・バタリオンにこんな遊び心があるとは思えないが

まあ、実際目の前にこうして動いている訳だから否定も出来ない

 

「チェックマンね。あなたは何が出来るの?」

 

『わたしの 大元となった デヴァ・システムは 人の心から 世界をも 作り出せた。

 だが わたしには そのような チカラは 無い。

 任意の 別なる空間に お前達を 転送させることが 出来る』

 

不躾なグレモリー先輩の質問にも、チェックマンを名乗るプチ・デヴァのOSは淡々と答える。

さらっとデヴァ・システムについても答えているが、今俺が知りたいのはそんな事じゃない。

だが、その次にチェックマンが答えた機能。それこそが……

 

任意の別なる空間……これって!

 

「グレモリー先輩。別なる空間に飛ばせる、って事は

 ここから脱出することが出来るかもしれないですよ」

 

「ほ、ほら言ったでしょ! 私がこの部屋に入ろうって!」

 

……いや絶対それは結果オーライだろ。結果オーライだからいいけどさ。

とりあえず、俺は転送先の座標を設定する……前に、ふと気になった。

 

――こんな大事なものを、警備もつけずにほったらかしにしてた?

あのラスト・バタリオンが? イェッツト・トイフェルもついてるのに?

 

「転送座標軸設定の前にもう一つ質問だチェックマン。

 

 ……お前の製造元はどこだ?」

 

『佐伯エレクトロニクス&バイオロジカル&エネルギー・コーポレーション

 ――セベク とも呼ばれている』

 

そう言えば、セベクの神取支社長がデヴァ・システム製造の音頭を取っていたって

記録にはあったっけか。

そう言う事なら、チェックマンの返答には何らおかしなところは無い。

――ただ一つ。セベクは既に存在しない企業である、という一点を除いては。

 

「それはおかしい。セベクは既に事業を休止、事実上の倒産状態だ。

 従って、デヴァ・システムの後継機とも言えるお前を作ることは不可能なはずだ」

 

『わたしは デヴァ・システムの 機能と駆体を 小型簡略化し

 量産向けに 改良された』

 

「その改造は、誰が行ったの?」

 

俺達の会話に興味が湧いたのか、グレモリー先輩も話に入り込んできた。

確かに、それは俺も聞こうと思っていたところだ。

 

『ラスト・バタリオンの フューラー・アドルフが

 わたしを このような駆体に 改造し

 転送機能を 設定した』

 

……ま、あんなでかでかとナチ印入っていればな。

他に誰がいるんだ、って話になる。

この段階でラスト・バタリオンの新幹部とか言われても、反応に困るぞ。

そんな1クールで退場しそうな後発の敵幹部みたいな奴が出てこられても。

 

冗談はさておき、そうなると本当に使っていいのかどうか。

こうなると、それが問題になってくる。

 

「チェックマン。現在転送先に設定されている座標は?

 数値で設定されているなら、その周辺の施設や設備――

 もっと言えば、地域名がわかるなら尚ありがたい」

 

『設定座標軸は X000 Y000 Z000……何も 設定 されていない。

 従って わたしの 転送機能を 利用するならば

 まずは 転送先を 設定することが 必要だ』

 

何も設定されてない? あいつらは、これを利用している訳じゃないのか?

自前で転移が出来るアインストにはこう言う装置は必要無いはずだし

そもそもあいつらにはクロスゲートがある。これは要らないだろう。

 

或いはまさか、これそのものが転送機能以外を目的に設置された――

例えば、アインストないしクロスゲートの呼び水……とか、か?

それは流石に考え過ぎか。

だが、考え過ぎかどうかの前に、最後にこれだけ聞いておこう。

 

「チェックマン。『クロスゲート』は知っているか?」

 

『わたしの データには 存在しない 名称だが

 わたしと 似たような 機能を持つ 装置や 現象は 記録が ある』

 

ふむ。フューラーはプチ・デヴァにはクロスゲートのデータは入れなかったのか?

入っていたら入っていたで、ややこしいことになったかもしれないから

それはそれで助かった……かもしれないが。

 

「……セージ。結論を話して。

 これ、使えるの? それとも使えないの?」

 

少し苛立った様子でグレモリー先輩に問い詰められる。

どうやら俺達の問答は彼女にとって利にはならなかったようだ。

ま、今はここから出るのが最優先だからな。俺が話し込んだと言うべきか。

 

「……使いましょう。転送先設定はグレモリー……

 いや、駒王学園にしましょう。

 こうなる前、イェッツト・トイフェルはクーデターを起こしたと言っていた。

 グレモリー家にも奴らの手が伸びてる可能性は高い」

 

「だったら尚の事よ! グレモリーの領民を助けに行かないと!」

 

「気持ちはわかりますがね……これ幸いにととっ捕まえに来て

 ここであんたが敵の手に落ちたら、もう四大魔王に勝算はなくなりますよ」

 

俺やアモンとしてはその方が都合がいいんだが、流石に親族の目の前で

そんな事を言うのはやはり、憚られる。

悔しそうに歯噛みするグレモリー先輩に、俺はかける言葉がなかったため

多少強引だが、プチ・デヴァの設定を進めることにした。

 

「……心配しなくとも、一応政府軍を名乗ってた連中ですから

 無益な略奪なんかはしない……と思いますよ。

 チェックマン。転送先設定だ。場所は……人間界・日本国……駒王学園。

 そこに校庭があるから、そこを転送先に設定してくれ」

 

俺が言った気やすめだが、実は全く根拠がない。

少なくとも、正規軍を名乗る奴らが略奪を行った話なんて人類史では枚挙に暇がない。

それ位はグレモリー先輩も知ってるだろうから、本当に口からでまかせだ。

寧ろ言ったことを後悔するレベルである。

 

『転送先設定……X座標軸固定……Y座標軸固定……Z座標軸…………

 

 ……Z座標軸の 設定に 軽微な エラーあり。再設定…………

 

 

 …………Z座標軸固定完了。 直ちに 転送を 行うか?』

 

「いや、まだ全員集まっていない。彼らを集め次第転送を行ってくれ」

 

少し手間取ったようだが、設定は済んだようだ。

とりあえず、後ははぐれた人達を集めるだけだ。

 

「よし。もう出口を抑えたんだから遭難の危険性はほぼなくなっただろう。

 グレモリー先輩、オカ研のメンバーを呼んでください。

 俺は白音さんを呼びますから」

 

俺は自分のマグネタイトを媒介に、グレモリー先輩は少し大掛かりな魔法陣で

各々に縁のある悪魔や妖怪を呼びだすことに成功した。

すぐさま点呼を取るが……

 

「部長! ナイア先生と副部長、イッセー君がいません!」

 

「ええっ!? またあの子達なの!?」

 

それにこっちも仕方ないっちゃ仕方ないんだが、人間チームを呼べてない。

どの道、捜索には出なきゃならない状況だ。

とりあえずマッピングが出来て、かつ分身をここに置いておける俺は行くとして……

 

「私も行くわ。傷ならさっきアーシアに治してもらったし。

 それに、ここにいた悪魔全員が巻き込まれたって言うんなら……

 お父様やお母様もまだ、ここにいるはずよ」

 

……っ、そっちの可能性もあったか。

となると、駒王学園を転送先にしたのは失敗だったかもしれない。

だが、どの道救助は必要だろう。気乗りはしないが、仕方がない。

 

「わかりました。大勢で行っても仕方ないので、ここを見張ってる人も必要って事で

 グレモリー先輩と……白音さんに来てもらおうか。

 黒歌さんがまだ見つかってない以上、一番探すのに適任だ」

 

「……わかりました、ついて行きます。

 まさかと思いますが、警察犬代わりにしてないですよね?」

 

……少し思ったが、そう言う意味じゃない。

黒歌さんに関しては否定しきれないけど。

とにかく、俺達はアーシアさん、ギャスパー、祐斗と俺の分身を部屋に残し

俺、グレモリー先輩、白音さんと言う面子で残ったメンバーの捜索に出ることにした。




チェックマンはFC版メガテン2から。
旧約ではターミナルに置き換えられましたが。

ナチ印の転送装置。
こんなものが都合よく置かれているとか罠を疑われてもおかしくない……はずなのに。

出口が見つかったので後は簡単に行くかと思えば……そんなわけ、ないですよね。
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