ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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……活動報告ではイベントレポートはかなりきついですね。
まさかイベントレポートと称して艦これ二次創作するのも……
いや、リプレイという体にすればありか?

あ、ちなみにイベントはまだE1です。目途は立ってますけどね。

閑話休題。

フィレモンと、そしてイゴールと出会ったセージ。
さらなる試練を突き付けられつつ、悪魔絵師からは
ただならぬ気配を漂わせた「ディーンの火」なるものを受け取るのだった……


Will10. 世界の樹に神仏は集う

いよいよ、会談の当日がやって来た。

凰蓮(おうれん)軍曹のタライが降って来る前に身支度を済ませ、いつでも出られるようにしている。

これも訓練の賜物かと思うと、少し微妙だが……まぁ、いいか。

 

今日は本番という事で、出し惜しみなしの体勢をとれとも言われている。

つまり、神器(セイクリッド・ギア)だろうがアモンだろうがフリッケンだろうが自由に使える。

勿論、TPOを弁えた上で、だが。

 

クロスゲートがある以上、何が起きてもおかしくない。

警備には、万全を期して皆が臨んでいる。

物々しい警備体制、そんな中で……

 

……本当に、企業見学なんてやるのか?

 

「……駒王学園が、今日企業見学を……ねぇ」

 

「何事も無ければいいんですが」

 

氷上さんに報告をするが、聞いた氷上さんも半信半疑だ。

俺だって何の冗談だよ、と思いたい。

しかも来るのはオカ研の面々。話が出来過ぎているにも程がある。

そのせいかどうかはわからないが、俺はタワー内部の警備に回されることになった。

こっちならば、駒王学園の生徒が迷い込んできても対応しやすいだろうという事だ。

……正直、出来ることなら関わり合いになりたくないのだが

事が起きてはマズい。わがままを言っている場合ではないだろう。

 

Bonjour(おはよう). 皆さん、今日の準備はよろしくて?」

 

タワー前に集まった俺達の前に、凰蓮軍曹が現れる。

身なりも、普段のパティシエルックとは違う、フランス外人部隊にいた時のような服装だ。

……あれ? そう言えば、警官や自衛隊はともかく、ユグドラシルの人間って

銃を携行してていいのか? 銃刀法とか……今更な気がするが。

 

「神器を持っていない皆さんには、既に超特捜課から

 銃と専用の弾丸が支給されているはずですわ。

 勿論、これらは万が一に備えた抑止力。不用意に発砲してはNon, Non, Non. ですわよ?」

 

何というか、言ってることはすごく真面目なんだけど風貌と口調がミスマッチで凄いカオスだ。

タワー正門を自衛隊を中心とした部隊、両翼に警官隊。

そして裏口をユグドラシル民間警備会社が警備するようだ。

これは日本という国が霊的な国防にも力を入れている事のアピールも含まれているのだと

宮内庁の人の言っていたことを加味すると、俺には何となくそう思えた。

 

凰蓮軍曹はユグドラシル民間警備会社の雇われだが、通訳として自衛隊に同行するらしい。

タワー内部はフロアごとに自衛隊と警官隊とで担当フロアが異なっている。

俺は研究室のあるフロアに回されることになった。ここが例の企業見学の会場とのことだが……

幸いにして、会議の会場とはフロアが異なっている。

そうそう問題は起きないだろう……起きてたまるか。

 

「先方は転移魔法陣で来られるそうですわ。既に予定の場所には自衛隊員が待機していてよ。

 そこからは車でこのタワーまで移動。今日はまっすぐ会場入りよ」

 

本当に要神待遇だな。魔法陣で移動してくることを除けば

それこそ大統領とかと変わらない印象を受ける。

魔法陣なのは、空路も海路も封鎖されているからだろう。

インベスはともかく、アインストは転移してくるからあんまり関係ない気もするが。

 

とにかく、後は神仏同盟と北欧神話の会場入りを待つのみだ。

それまでの間、俺はタワー内部で監視に入ることにした。

 

……のだが、割と暇なのも事実。

こっそりと、分身を利用してユグドラシルタワーの内部を調べてみることにした。

 

そもそも、俺はユグドラシルという企業に対して疑念を抱いている。

黒影とかいうシステムにしたってそうだし、それが台湾マフィアに流れている時点でクロだ。

まぁ……マフィアに転売した連中がいるって考えるのが自然なのだろうが……

それがユグドラシルの人間じゃないって保証は、どこにもない。

 

『……セージ。こんなことしてていいのか?』

 

「侵入経路の確保だ。想定されるコースを可能な限り押さえておけば、対処しやすいだろ」

 

嘘だ。そもそもアインストは転移してくるから

通常のコース確保が意味が無いという事は、さっき自分で思った。

因みに見つかっても面倒なので、行動する分身には

予めINVISIBLEのカードで姿を消してもらっている。

こういう余計な行動を出来る分には、体力は有り余っていた。

勿論、これが特訓の成果などと言うつもりもないが。

 

『ユグドラシルが怪しいのは俺も同意するけどな……いや、ちょっと待て。

 なんで俺はユグドラシルが怪しい、なんて思ったんだ……?

 そもそも、ユグドラシルにしたって、あの黒影にしたって俺は何か知ってる気がする……』

 

『またそれかピンクの。この企業がヘンテコなものを作ってるってのは事実だとしても

 そんなのは日本の企業にはよくあることじゃねぇのか?』

 

まただ。どうも最近――ユグドラシル絡みの話に首を突っ込んでからというもの――

フリッケンの様子がおかしい。

 

アモンはアモンで、日本という国に関してあらぬ誤解を抱いているし。

いや、ある意味間違っちゃいないけどさ。

 

『ピンクじゃないマゼンタだ……だが、俺もその理由がわからない。

 「ユグドラシルを危険だと」知っている理由。それを「何故知っているかは覚えていない」。

 ただ、知識として有しているに過ぎない』

 

『ハッ。そんなあやふやな話で大丈夫なんだろうな?』

 

お前ら……俺の頭の中で喧嘩するのはやめてくれないか?

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)でみっちりとユグドラシルの事を調べるのもアリなんだろうが

今それやって本番で動けなくなるのもマズい。

なので、俺は分身にユグドラシル社内の様子を見てもらうことにしたのだ。

 

――――

 

……と、言うわけで俺は持ち場を離れてタワー内部をうろうろしている。

いや、「本体」は持ち場にいるから持ち場を離れた訳ではないのだが……

見回すと、物々しい警備態勢で警官や自衛隊員が立っている。

俺はというと、姿を消しているので見つかる心配はないのだが。

 

そんな俺が向かう先、それは研究室。

今日、オカ研が企業見学でやって来る手筈になっている場所だ。

 

別にもう俺がオカ研、もっと言えばリアス・グレモリーのために

何かをする義理など持ち合わせてはいない。

だが、よりにもよってこんな時期にオカ研がユグドラシルにやって来るというのが気になった。

オカ研が、リアス・グレモリーがわざわざ出向くようなものが

このユグドラシルにはあるという事か?

 

……最悪は、今日の会談にちょっかいかけられることだが。

まぁ、これは俺の権限で追い払えるだろう。

その為の俺なのだと、思う事にはしている。

 

ふと、向こうから歩いてくる白衣を纏った白メッシュの男性がいる。

まぁ、こっちは姿を消しているから見つかる心配はしてないが……反射的に隠れてしまった。

 

「フンフフフ~ン、今日はいい実験日和だ。そう思わないかい、湊……ああいや、光実(みつざね)君」

 

「……わかりません」

 

付き従っているのは、少々幼めな顔立ちながらも、俺とそう年は変わらなさそうな少年。

着ているのは普通にスーツなので、駒王学園の生徒とかでは無さそうだ。

 

「恰好の実験日和だよ。何せ何もしないでも向こうからモルモットがやって来てくれるんだし

 日本や北欧の神々に、インベスの力と私の発明の力を知らしめてやりたいからね!」

 

「……はぁ」

 

テンションの高い科学者風の男に、スーツの少年は興味無さそうに相槌を打っている。

姿を隠しているなら……これが使えるか。

 

COMMON-LIBRALY!!

 

科学者風の男は戦極凌馬(せんごくりょうま)、それにつき従っているのは呉島(くれしま)光実……

戦極凌馬はユグドラシルきっての科学者、呉島光実はここの開発主任の血縁者……

光実はともかく、戦極凌馬ってのは相当問題がある風に見受けられるが……

 

「光実君には特別に見せてあげよう、このスイカロックシード!

 以前駒王町で確認されたという大型のアインストや巨大怪獣。それにも対応できるように

 従来のものよりもアームズを大型化させたんだ。それに伴って生産性は落ちてしまったが……

 これが量産された暁には、アインストだろうとインベスだろうとあっという間さ!

 

 ……あ、そうなると新型のドライバーの出番が無くなってしまうかい?」

 

嬉々として語る凌馬を他所に、光実は冷めた様子で応対していた。

このやり取りだけで、人となりが何となく見えて来るな……

 

「新型のドライバーやロックシードは、貴虎や湊君に渡してしまったからな……

 君の分は確保してないんだよ。

 すまないね光実君! 新型のゲネシスドライバーは三人分なんだよ! ハハッ!」

 

……多分、俺はあの光実って少年と同じことを思っていると思う。

 

――ウザい。

 

それ以外の感想が、浮かんでこなかった。

だが、俺はこの手合いをどこかで見た気がする。はて何処だったか?

 

「それより、今日来るって言う駒王学園の生徒達への案内はどうするんですか?」

 

「決まってるさ! 私の発明のいくつかを見てもらって、必要とあらば持って帰ってもらう。

 未来を担う若者ならば、私の発明がきっと必要になるはずだからね!」

 

あ。光実が呆れたような顔で凌馬を見ている。

自分が作ったものに絶対の自信を持ち、それが正しいと盲目的に信じて疑わない。

 

……やはり、どこかで見たような気がするな……

それも、昔の話じゃない。

 

「さて。光実君、そろそろ時間だろうから彼らを迎えに行ってくれたまえ。

 沢芽駅に来ているはずだから、よろしく頼むよ。

 ああ、君なら大丈夫だと思うけど、今日来る生徒は私の知己の友人の妹だ。

 粗相のないように……とは言わないが、それ相応の対応を頼むよ?」

 

……あん? 来るのは間違いなくオカ研で、リアス・グレモリーと金魚のフンだ。

そして彼奴は魔王の妹で、その魔王は身内人事を敷いている。

そしてここでそういう形でリアス・グレモリーの事が示唆された。

……つまりだ。この戦極凌馬って奴……

 

 

……魔王に繋がっている!!

 

 

俺は慌てて、「本体」と「本体」にいるアモンに連絡を取ることにした。

 

――――

 

「……アモン。俺の予想の斜め向こう側にビンゴだった」

 

『今こっちでも聞いたぜ。まさか魔王とここのえらい人間が繋がってやがったとはな』

 

このまま会談が行われたら、とんでもないことになりかねない!

三大勢力の、悪魔の勢力下ではないという事で選ばれたであろう

このユグドラシルタワーは、思いもよらぬ形で悪魔の手に落ちていたのだ。

 

『……おい、セージ。そろそろ時間だぞ。身なりを整えろ』

 

フリッケンに促され、俺は背筋を正す。

向こうから歩いてくるのは着物の女性に僧衣を纏った男性――天照様に大日如来様。

そして、並び立つように帽子をかぶった老人と、フードの男がいた。

 

代表として、まずこの4柱が先に会場入りされるという事か。

一応、この場には警官の一人として来ているので警官式の敬礼をしながら

やって来た神様(と仏様)に対し、無礼のないように振舞う。

うまくできているか、わからないけど。

 

その後にやってこられたのは、見るからに力自慢な方々。

そして、銀髪の鎧を纏った女性達。

後になってわかったことだが、神仏同盟から須佐之男様、不動明王様。

北欧神話からトール様、そしてヴァルキリー隊の皆様とのことだ。

戦力、という意味では過剰気味な気がするが、ここに戦争しに来たわけではないんだし。

対話のテーブルに立つには思兼様とかそのあたりの神様の方が適任かもしれないが……

俺が口を出す事ではないだろう。

 

その後もぞろぞろと、神様や仏様が入ってくる様は

ユグドラシルタワーの近未来的な風景には似つかわしくなく

その光景自体が非現実感を漂わせていた。

 

暫くして、会場の扉の前に物々しい結界が張られるのが見えた。

後は、この場に近づくものがいないように見張るのが俺達の仕事だ。

 

……なのだが、俺にはもう一つ仕事が出来てしまった。

祐斗に忠告しなければならない。

 

 

――ユグドラシルの戦極凌馬は、魔王に繋がっている――

 

 

と。




今回Bパートは無しです。

会議がいよいよ始まりますが、セージの特訓の成果はまだ発揮されてません。
それ以上に不穏な空気ばかりが漂ってますが。

>フリッケン
いつもに増してディケイド要素が強まってます。
「何故知っているかは覚えていない」は、かつてガンバライドで一世を風靡した
あの悪魔ディケイドのスキルから。

……小説版には出てますけど、ジオウの時みたく直接関与はしてないんですよね。
鎧武の世界には。

>戦極凌馬
ウザさ増量中。
ロックシードの開発経緯が順不同になったので、ゲネシスと同時開発で
スイカが出るというちとちぐはぐなことに。
本編で言及している通り、対巨大戦力用という要素もありますけどね、スイカ。

>光実
今のところ黒化要素は無いです。
いい具合に凌馬が反面教師になってますからね。
ただ、今から合流するであろうのがアレなのばっかなので
「黙ってろよクズが」状態には、内心なるかもしれません。

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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