ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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演出上、読みにくくなっているかもしれません。
悪しからず、ご了承下さい。


Will64. 虜囚

…………どこだ、ここは?

俺は……カドゥム・ハーカームを止めようとして……

 

…………ダメだ、頭が割れそうに痛む。

何も、思い出せない…………

俺は……宮本……成二で……ッ!!

 

 

――ああ、そのまま楽にしていたまえよ。その方が都合がいいし。

 

 

……その声は……布袋芙ナイア……?

 

 

――そう。布袋芙ナイア先生さ。君はカドゥム・ハーカームに教化される

  一歩手前の状況にいたんだ。

  そこを間一髪、僕が助け出したってわけ。

 

  ……君が教化されると、僕としても都合が悪いからね。

 

 

俺が教化されるのが、こいつにとって都合が悪い……?

相変わらず何を考えているのかわからないが

何か目的があって、俺を助け出したのは間違いないだろう。

目的如何じゃ、素直に喜べない。

 

…………そうだ! グレモリー先輩やアーシアさん!

それに、あの異界にいた人達はどうなったんだ!?

 

 

――落ち着きたまえよ。異界は消失したけど、異界化に巻き込まれた人は

  全員無事だ。カドゥム・ハーカームも、とりあえずは異界と共に消えたけど……

  まあ、遠くないうちにまた出て来るだろうね。アレもクロスゲートを使える存在だし。

  それにしても……ヴェネラナ様は気の毒な事になったけどね。

 

 

……何でこう厄介な存在は皆してクロスゲートないしそれに準ずるものを使えるんだ。

だから厄介な存在なのかもしれないが。

だが布袋芙先生はそこまで知っているのか。なら話は早い。

あの異界化はアインストが引き起こして、それに対抗するためにフューラーがいた。

そこまではいい。

 

……問題は、なんでそのフューラーがヴェネラナ・グレモリーを

殺害する必要があったんだって事だ。

 

 

――僕も悪魔の世情を全て知っている訳では無いよ。

  ただ、フューラーはイェッツト・トイフェルと組んでいて

  そのイェッツト・トイフェルはラスト・バタリオンを使って

  自分達にとって邪魔な悪魔を消している……ここまでは僕でもわかるよ。

  僕だって、悪魔を確実に殺せる武器を持つ相手と組めば、そう言う考えに至るだろうし。

 

 

本命であろうサーゼクスを考えると随分と回りくどい気がするが

ヴェネラナ・グレモリーも、イェッツト・トイフェルには邪魔な悪魔だったって事か。

イェッツト・トイフェルも聖槍を手に入れてやりたい放題しているな。

……いつ、自分達が刺されるか分かったもんじゃないってのに。

 

……じゃあ次の質問だ。何故俺を助けた。というかここはどこだ?

言っておくが、俺が生徒であんたが教師だから、なんてのはナシで頼むぞ。

そんなおべっかを聞きたいわけじゃないしな。

 

 

――……やれやれ。君は本当に可愛げが無いねぇ。リアス君の苦労も分かるよ。

  まずここが何処か、ってのは「普遍的無意識の世界」と言えばわかるだろう?

  君も足を踏み入れた事があるはずだからね。

  そして君を助けた理由だが……簡単な事さ。僕の目的に、君が必要だからさ。

 

 

普遍的無意識……フィレモンのいた世界……いや、この場合は……!!

 

 

――おっと、身構えないでおくれよ。別に君を如何こうするわけじゃないんだから。

  ……まあ、この後君が如何こうなってしまうかどうかについては、責任を持てないけどね。

 

 

なんてこった。完全に敵地に落ちてしまったわけか。

しかもある意味、冥界よりも性質が悪いぞ、これ。

……何せ「奴の領域」なのだから。

 

 

――ま、種明かしをするとクロスゲートを使わせてもらったんだけどね。

  異なる時間、異なる空間に繋がると言うのは、その先が普遍的無意識の世界も例外じゃない。

  逆に寧ろ、そう言う場所こそクロスゲートが繋がりやすいとも言えるね。

  或いは……この世界そのものがクロスゲートの中、だったりしてね。

  僕もクロスゲートについて詳しく知ってるわけじゃないから、こんな答えしか出来ないけど。

 

 

なんか、妙に納得できてしまった。

ここが「奴の領域」だとしたら、ここに漂っているのはフィレモンの領域とは真逆の

所謂「負念」って奴だ。そしてクロスゲートの中には「負念」が多く渦巻いているというのは

自身の身体を以て経験済みだ。

 

……うん? そういや、ディス・レヴが何も反応しないな?

まあサイブレードに変化したってのもあるし

さっきカドゥム・ハーカームなんて大物を召喚する触媒になったんだ。

恐らく吸収した負念を全部吐き出し…………

 

 

…………あがっ!? がっ……ぐぐっ…………!?

な、なんだこれは!? 俺の内側から、何か……どす黒く……気持ち悪い……

 

 

――ああ、今の君には少し刺激が強すぎるかな。

  君のお察しの通り、この普遍的無意識の世界に漂っているのは「負念」でね。

  それもあらゆる時間、あらゆる世界のものが漂っているんだ。

  君は三つの負念を生贄にカドゥム・ハーカームを顕現させたと思っているようだけど

  それには少し語弊があってね。

 

  ……カドゥム・ハーカーム自体は、既に復活していた。

  君が成したのは、その復活していた存在に影を与え、受肉させたことだ。

  確かに三つの負念が影を成したけれど、それ以外の負念についてはまだ君に残ったままだ。

  そして、ここからが大事だ。

 

  カドゥム・ハーカーム。あれは神を名乗ってこそいるが、その実ただの怨念の塊に過ぎない。

  聖書の神と言う存在の怨念だよ。

 

 

なんだって!?

聖書の神は消えて、薮田先生が影武者を務めていたところまでは知っていたが

まさか怨念になってまだ存在していたなんて!?

そんなものを……俺が……!?

 

 

――別に君がカドゥム・ハーカームを復活させたと責めるつもりは無いし

  そもそもカドゥム・ハーカーム自体は天界に神霊としてずっと前から存在していた。

  天界に似つかわしくない、怨念と言う形だったけれども

  その大元が聖書の神で、天使もアレでいい具合に腐っているからね。

  自分達が仕えるものが怨念だったとしても、問題は無かったんだろうね。

  何せ「システム」なんてものに神器(セイクリッド・ギア)の管理やら何やら丸投げしてた位だし。

 

 

よく知ってるな……紫藤イリナの入れ知恵とはとても思えない。

いち信徒に過ぎないあいつがこんな深いところまで知っているはずが無いし

そもそも知っていたらミカエルに反逆するなんて凶行に走ったりしないだろう。

 

 

――クック……その気になれば僕はこの世界の全てを知ることが可能なのさ。

  だからこそ、君と言う存在に興味があってね。

  本来ならばいるはずの無い君。

  何かの間違いで人間が力を手に入れたら発足するだろう超特捜課と同じ理屈じゃ

  説明がつかない存在……「特異点」なんだよ、君は。

 

  だからこそ、その「特異点」を利用してこの世界があるべき方向に向かうようにする。

  それこそが、僕がイッセー君に肩入れしている理由さ。

 

 

ふと、指示した方向を見ると。

そこには悪魔と人間が手を取り合っている姿が見えた。

これが……世界があるべき方向?

 

だが、その子細を知るや俺の中に黒い「怒り」が沸々と湧いてきた。

 

 

――わっはっは! この悪魔の力と言うのは便利なものですな!

  これさえあれば、連続当選も容易いもの!

  私の、私による、私のための政治のためならば、私の魂何ぞ安いものですわい!!

 

――毎度ありがとうございます。人間は皆あなた様のように素晴らしい方ばかりで

  我々としましても、人魔融和政策法案が通ることを楽しみにしておりますよ。

 

 

絵に描いたような悪徳政治を行う政治家と悪魔。

まさか……これは本当に起きている事なのか!?

人魔融和政策法案なんて、サーゼクスが考えそうなことじゃないか!

しかもこの政治家……自分の魂を安売りしていることに気づいてない……

こんなレートの契約が罷り通ったら、人間界は悪魔の天下になってしまうじゃないか!!

 

 

――……なんで……なんで私達がこんな目に遭わなきゃいけないの……?

 

――はぁ? 俺達の背後には悪魔様がついているんだ。

  いいからさっさと今月の分払えや。払えないなら……

 

そう言って、やくざ風の男がみすぼらしい女性の腹に何かを埋め込む。

あれは……悪魔の駒(イーヴィル・ピース)!? 量産体制が整っていたのか!?

 

悪魔の駒を埋め込まれた女性は、うずくまり倒れ込んだと同時に

インベスのような、そうでないような異形の姿へと変異していった。

 

――チッ、ハズレかよ。最近ハズレばっかで嫌になるな。

  あーあ、赤龍帝様のところに献上できれば、一生遊んで暮らせるってのによ。

  おい、このゴミクズ片付けておけよ。

 

そう言って現れたのは、黒影トルーパー。

火炎放射器で変異した女性を何の躊躇いもなく焼き払って行った。

 

 

……なんだよ。何なんだよこれは!?

これが、こんなのが世界の「あるべき方向」だっていうのかよ!?

 

 

――きょ、今日からあなたの眷属になった者です!

 

――そうかそうか、では精々私のために盾となれ。

  君ら転生悪魔は、いくらでも替えが利くのだからな。

  我等貴重な純血悪魔を守るための、優秀な盾となってくれたまえよ。

 

――…………は?

 

悪魔同士の勢力争いや、他神話勢力との戦いの最中。

転生悪魔を盾に安全な場所へと避難する貴族悪魔。

赤龍帝の治世でも、これは変わることは無かったらしい。

 

 

生き残っていた人間にしても。

なまじ転生悪魔と言う存在が、人間の姿形ほぼそのままであるため

隣人同士が疑い合う、そんな最悪な様相を呈していたのだ。

その疑心暗鬼は、ついには殺し合いにまで発展し……

 

 

やめろ……

 

 

やめてくれ……

 

 

こんなの、こんなこと人間がしていいことじゃない…………!!

 

 

行政も機能しない。

 

良心は喪われ。

 

ただ、欲望と自己顕示の行きついた先の世界。

 

 

…………その世界で、俺は見てしまった。

 

赤龍帝に、兵藤に靡く見知った少女、女性達。

その傍らには…………

 

 

 

…………俺がよく知っている人「だったもの」が転がっていた。

 

 

 

それを見た瞬間。

悪魔に対する憎悪と、人間に対する失望、世界に対する怒り。

それらが濁流となって、俺と言う存在を飲み込んできたのだ。

 

 

――我らは知的生命体の痛み、苦しみ、悲しみ、憎しみ、蔑み、妬み、怒りを糧とし……

 

 

「これが! こんなものが!!

 俺が命を懸けて守ろうとして来たものの正体だったのか!!」

 

 

――夢、希望、心、勇気、優しさ、善、想い、信頼、絆、友情、願い、愛を塗り替える。

 

 

「俺は悪魔になっても尚、人間になろうとした!!

 だがそこに意味は無かった、そう言いたいのか!?」

 

 

――光在る所に闇が在り、闇在る所に光が在る。我らは闇……負の存在。故に光を駆逐する。

  然れども、どんな闇にも必ず光が差す……然し、古の賢者はこうも云った。

 

   "最初に闇ありき”と。

 

  故に、我らは光を否定しない。ただ、闇に回帰するための存在だからだ。

 

 

「悪魔になろうとしたあいつが正しくて!

 俺は……俺のしてきたことは一体何だったんだ!!

 その悪魔も腐り果てた存在で!

 

 だったら……だったら全部ダメだったってことじゃないか!!」

 

 

次の瞬間。

この普遍的無意識の世界にある負念と、俺の記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)が呼応を始めた。

そう言えば、フリッケンもアモンもさっきから何も言わない。

というよりむしろ、気配を感じない。

 

無意識に手を伸ばした先。その手を掴んだのは……

 

 

…………でかい脳みそを持った、怪物の姿だった。

 

 

「……っ!?」

 

 

――……古の賢者達は云った……“闇在れ”と。

  我らは暗邪眼にて世界を看破し、開明脳にて叡智を集積す……

  我らは闇黒の叡智……至高の想念集積体……

 

  お前もまた、開明脳を持つ存在……故に新たな我らとなる。

 

 

 

…………俺の記憶は、ここで途絶えている。

 

 

 

――これでいい。これで後は……クックククク…………




Q:アモンがいたら止めた(はず)なのに、何でいないんだよ!
A:ここはナイアの領域ですから

で、実はなんでロア・アーマーを模したもの出したのか、ってフラグを
ここで回収したわけなんですね。
というかこれだけアレコレ出してたら何かしらの因子は揃っちゃいます。
今回はコイツだったって話なわけで。
一説にはネオ・グランゾンよりも強いアイツ。
(あの当時のネオ・グランゾンはわざとやられようとしていた説すらありますが)


とりあえず問題点としては思考誘導の結果とは言え
セージ闇堕ちしちゃったんでセージ一人称が書けなくなることですか。

Q:こんな描写原作にねーだろ!
A:あらゆる時間、空間の負念を集めた結果ですのでその過程で観測されました。以上。
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