今回は短めでお届けします。
ちなみに章タイトルも原作法則外れましたが
いよいよ崩壊が始まった……という事になります。
え? 既に崩壊してた? そう言われると。
Escape from Underworld
異界化アグアレス・レーティングゲーム会場
ターミナルフロア。
無理矢理ライリィに運ばれる形でここまで戻って来た
アーシアとリアス。
矢継ぎ早にアーシアが転送装置の起動を待機していたメンバーに指示を出す。
「ちょっ……セージは!?
あんた達がいながら、なんて体たらくなのよ!?」
「…………姉様」
無論、その指示に反対する者もいた。
そのうちの一人、黒歌は白音に窘められ、その言葉を撤回せざるを得なかった。
そもそも帰ってきた二人とて、未だにこの決断には納得していない。
「転送を 開始する。
座標は 既に 入力されている。
しかし 次元交錯線が ひどく 不安定だ。
転送を 行うなら 今しか ない」
「くっ……まだ見つかっていない子達もいるのよ!?」
「そこは……別のルートから脱出したと信じましょう!
僕達も脱出しないと、何処に飛ばされるかわからない、って事です!」
チェックマンからも、木場からも転送装置の起動を促される。
ギリギリのタイミングで、リアスは最後の質問をチェックマンに投げかけた。
「チェックマン! 他にもあなたみたいな転送装置はあるのよね!?」
「我々は オンラインでは 繋がっていない。
しかし プチ・デヴァは 量産 されている」
「……それが聞ければ十分よ!
ここにいる私達だけでも、急いで脱出するわよ!
白音、スイッチ押して!」
「はい」
「ちょっ……勝手に仕切らないでよ!」
結局、セージの帰還を待たずして転送装置は起動。
その場にいたメンバーのみが、駒王学園へと転送されることとなった……
転送装置の起動と、異界化の解除はほぼ同時のタイミングであった。
別ルートで異界化に巻き込まれていたイェッツト・トイフェルや
その他のメンバーも各々の脱出ルートを用いて脱出に成功した者もいたが
少なくない数の悪魔達が、異界化の解除に巻き込まれ
次元の彼方へと消え去ってしまうという未曽有の事態となってしまったのだった。
――――
異界化が解けた後のアグアレスは、クロスゲートの存在もあってアインストの傘下に陥り
悪魔が迂闊に立ち入ることのできない領域となってしまった。
シーグヴァイラ・アガレスを始めとしたアガレスの関係者も
異界化騒動に巻き込まれ行方不明となった事もあり
アグアレスは実質、グラシャラボラス等と同じくアインストの領地となってしまったのだった。
これに対抗すべく、イェッツト・トイフェルと
ラスト・バタリオンの連合軍が動く手筈だったのだが
ラスト・バタリオンは既に軍を撤退。事実上の同盟解消となってしまっていたのだった。
これを受け、殉死したギレーズマ・サタナキア司令に代わりイェッツト・トイフェル司令兼
魔王に就任したジオティクス・グレモリー改めジオティクス・ルシファーは
首都をグレモリーへと変遷。ここを足掛かりにアグアレスを奪還する事を宣言した。
結果はどうあれ、クーデターは成功したのだ。
四大魔王のうち、サーゼクスは緊急時に軍を動かせなかったことから
結果として不信任とされ
本人はルシファーの肩の荷が下りた、と言っているが、その表情は酷くやつれている。
セラフォルーは、妹であるソーナ・シトリー以下眷属が行方不明となってしまった事で
コネの在る北欧へと亡命。現地で今も妹を探している。
アジュカはこの事件をいち早く察知し、イェッツト・トイフェルが蜂起する少し前に
人間界へと亡命。現地で手掛けていたプロジェクトに没頭している。
ファルビウムは軍事に携わっていたことから、引き続き軍事顧問として就役させようとするも
本人から「めんどくさい」の一言で拒否され、現在は隠居状態となっている。
これらの情報を聞いたハマリアは「ほとんどが勝ち逃げか……」と独り言ちていた。
実際のところ、サーゼクス以下旧四大魔王に使命感はともかく
責任感があったかと言うと怪しい部分がある。
役割を果たしていないわけではないのだろうが、結実しなかったのだ。
対話を成せなかった事を「相手に対話の意思が無かった」とする声もあるが
そもそも相手に「対話しよう」という気にさせなかった時点で、彼らは失敗していたのだ。
声を奪った相手と、どうやって対話しようというのか。
人間とのパイプを繋いだことは褒められることかもしれないが
当の人間に及ぼしている被害を考えると「厄介事を押し付けた」とも言える事態なのだ。
――そして今。
その繋いだパイプを基に、悪魔は人間に対し本格的に牙を剥こうとしていたのだ。
――――
冥界
イェッツト・トイフェル基地。
「ゼクラム殺しの犯人が人間と言う風潮が産まれた事でサイラオーグ・バアルのマークは外れ
無事が確認されたフェニックス家も我らの召集には応じず。
アガレスとシトリー、グレモリーはチーム全員が行方不明。
……いやあ、散々な結果になりましたなあ」
肩を竦めながらウォルベンが冥界の現状を口にする。
サイラオーグの嫌疑も近いうちに晴れるのだが、再編成などで動けないであろうことや
フェニックス家の非協力的な姿勢に、ウォルベンは「我々も嫌われたものですねぇ」と
ジオティクスの耳に届くか届かないかの大きさの声で呟く。
「……ジオティクス司令。暫くは我々も大規模作戦は行えません。
混乱している指揮系統の立て直しと、再編成が急務であります故」
「魔王直属を僭称する割には、大した体たらくだな」
ギレーズマに代わりイェッツト・トイフェル司令の座に就いたジオティクスだが
その実、ハマリア以下部隊との折り合いはあまりよくはない。
ハマリアはサーゼクスとの過去の因縁もあってか私的なものもあり
ウォルベンは露骨に中途半端な親人間派を気取っていたグレモリーを嫌っていた。
それが掌返しの政策を打ち出したことに、単純に不信を抱いていたのだ。
「何にせよ、アグアレスを取り戻さんことには
直ちにアグアレス奪還作戦を……」
『そう急くことはありませんよ、ジオティクス様』
無茶な命令を出そうとした矢先、人間界からの通信が入って来た。
一足先に人間界へと亡命した、アジュカ・ベルゼブブ……
現・アジュカ・アスタロトからの通信である。
「おお、アジュカ君か」
『俺のプロジェクトがいよいよ完成しそうでしてね。
そうすれば、今まで程悪魔の駒を必要としなくなります』
悪魔の駒が必要ではなくなる。
それはつまり、転生悪魔の衰退を意味するものである。
そう、ジオティクスをはじめその場にいた全員が思っていたのだが
アジュカの答えは全くの別物だった。
『俺のプロジェクトは、全人類をも悪魔化出来得るものであると豪語できますよ。
そのためのデバイスは、既に全世界で大流行しています。
少しだけ時間を頂きますが、悪魔の滅亡回避もこれならば……』
「待て、アジュカよ。我々は曲がりなりにも人間と契約して糧を得ているという建前がある。
全人類を悪魔化したら、それは本末転倒なのではないか?」
ハマリアの投げかけた疑問。それは同時にジオティクスの掲げる
人類絶滅計画にも当てはまるものであった。
ハマリアはあまり意識していないが、悪魔は建前上人間との契約で糧を得ている。
という事は理解している。
その大前提が崩れれば、悪魔と人間の共倒れは間違いないだろう。それが故の疑問であった。
『そんな事か。確かにそう言う意味では全人類は大仰だったな。
「必要な人間」だけ「人間として」残しておいて、後は全部転生悪魔にしてしまえばいい。
どうせ放っておいても、人間の方から転生悪魔にしてくれと言ってくるはずさ』
口角を上げるアジュカの表情に、ハマリアは渋い顔を崩さない。
彼女は知っているのだ。JOKERと言う横槍を。
JOKERの問題も解決していないのに、全人類転生悪魔化計画などうまくいくものだろうか。
ましてや、絶滅など。
(ギレーズマ司令もある意味俗物であったが、彼奴等はそれ以上の俗物か……
悪魔の未来、長くはないかもしれんな……)
――――
人間界。
昨今、人間界では「JOKER呪い」に代わる新たなブームが産まれていた。
――「ディアボロス・クロニクル」。
ARMMORPGの一種で、プレイヤー自らが戦う力を得て
この混沌に満ちた世界を救う英雄となれるゲーム。
かつてβテストで不審な噂が流れもしていたが、ここにこうして完成を見た。
アインストやインベス、果てはJOKERと言った怪物相手に身を守れる
ないし倒せる可能性があるという事から、全世界的なヒットを飛ばし
銃社会のアメリカでは9割近いシェアを誇っていた。
その際のプレイ感覚としては、まるでFPSゲームのようである、とは
とあるゲームライターの発言である。
では日本ではどうか、と言うと。
…………治安の悪化に、劇的な加速をかけていたのだ。
寧ろリアスが絶望して闇堕ちしそうな展開(冥界事情的に)
セラフォルーの北欧のコネはforXのネタ。
若干時系列おかしいけれども。
元ネタ知ってる人は「ああ……」ってなるアレ、いよいよ本格稼働です。