結論から言えば、日本は混迷を極めていた。
まず、超特捜課が公安管轄下に移籍になったその直後に
悪魔保護法なる法案が制定された。
これはフューラーによって公にされてしまった悪魔を始めとした三大勢力が
迫害を受けないようにするため、との触れ込みでスピード採決された法案である。
……しかし、それによって政府の後ろ盾を得た人間界の悪魔は増長し
不当な悪魔契約や神社仏閣への不法侵入、反社勢力との取引等
「悪魔の力」を利用した犯罪の増加につながり
また抑止力たる超特捜課の足並みが乱れている事や「本来の抑止力」たる
天使勢力が沈黙を続けている事から、悪魔の力を利用した犯罪に対しては
政府は手をこまねいている状態が続いており
日本では制定されていないにも関わらず「禁酒法以来の悪法」という声も上がるほどだった。
また、もう一つの悪魔の抑止力たる堕天使も、悪魔と同様の事を繰り返しており
さらにこの二勢力は「原則相互不干渉」の立場を取っており
時折縄張りに触れてしまったがために抗争が起る状況となっており
その無法っぷりは、かつて駒王町をリアス・グレモリーが
統治していた頃以上のものとなっていた。
中でも目を見張るものは、元は同じ組であった
この二つの組は、フューラー演説で悪魔の存在が公になり、ディオドラ・アスタロトと組むも
そのディオドラが討たれた事を機に、悪魔の力に頼らず発展を試みる八十曲津組と
引き続き悪魔の力を利用しようとする曲津組に分裂した経緯を持つ。
本来はこうした大規模な暴力団同士の抗争には警察も介入する、というか
暴対法の存在からこうした抗争は映画の世界だけの話と思われていたが
警察の弱体化や悪魔と言う超常の力が、法の抑止力を弱めてしまっていたのだ。
これには
アーマードライダーシステムがこうした組織に横流しされていたことも大きい。
曲津組は悪魔の力を、八十曲津組はアーマードライダーシステムを。
それぞれ抗争の力として用いていたのだ。
抗争は元々フューラー演説による悪魔の弱体化を受けて曲津組が不利になっていたが
ここに来て悪魔保護法の影響で悪魔が勢いを吹き返した事もあり
状況は再び膠着状態に陥ってしまい、それも混迷の原因の一つとなっていた。
もう一つが、同じくユグドラシルから販売された「ディアボロス・クロニクル」。
最新型ARMMORPGであるこれは、ゲーム会社でないユグドラシルから販売されたことに
不思議がる者も少なくなかったが、いざ販売されたとなると
驚くべき大ヒットを飛ばしたのだ。
この混迷を極めた世に、自らが英雄として降り立つことができるというゲーム性は
JOKER呪いのより直接的な手段としても用いられることも少なくなかった。
自ら手を下す勇気の無いものは引き続きJOKERに頼り。
破滅に近い英雄願望を持つものは蛮勇と共にディアボロス・クロニクルに
嬉々として参加したのだ。
……βテストで行方不明者を出した、曰くつきのゲームという噂を抱えたゲームに。
――ここでディアボロス・クロニクルについて簡単に説明しよう。
プレイヤーはこの混迷を極めた世を平定させるための英雄という触れ込みだが
その実、プレイヤーの行動の自由度は高い。攻略の順番も、誰と戦うかも全てが自由なのだ。
勿論、丸腰でフィールドに放り出され、ヤクザや世を脅かす怪物と戦う訳ではない。
プレイヤーには1個「
さてこの神器、何が支給されるかはランダムだが、初期キャラメイクの自由度が低い代わりに
武器の自由度は融通が利いており、自分の気に入った神器が出るまで何度も試す事が出来るのだ。
所謂リセマラが可能となっており、公式もそれを推奨してすらいる。
さらに、ナビゲーターAIの「レヴィアたん」によるヘルプや
無限コンティニュー機能など、混迷を極めた世を戦うために必要なものは一通り揃っているのだ。
当然、敵を倒せば倒すだけその分強くなるし、何なら神器目当てのPKすら可能なのだ。
怖い位に至れり尽くせりの環境が、このゲームの人気の秘訣となったとも言われている。
折しも、JOKER呪いの副作用も広まりつつあった時期でもあったのが追い風となり。
JOKERに願いを告げる勇気が無いものも、ディアボロス・クロニクルに手を染めたのだ。
そう言うゲームが流行るほどには、日本は、世界は混迷を極めていた。
無論、このゲームもまたヤクザの抗争の武器として運用されている事は
言うに及ばない。
そしてここで、更なる混沌の種が蒔かれたのだ。
悪魔保護法を制定し、隣人として迎え入れたはずの悪魔が
突如として人間界に宣戦布告を行ったのだ。
新たに魔王に就任したジオティクス・ルシファーの掲げる政策は
反人間思想そのものであったのだ。
それには人間界の全ての悪魔が同調している訳では無いことからも混乱ぶりが伺え
特に曲津組と組んでいる悪魔からは反発の声も少なくなかった。
それに対しジオティクスは制裁を行うでもなく、放置と言う回答を示していた。
これが意味するところは、人間に明確な敵対組織が一つ増えたという事である。
全世界規模で悪魔・アインスト・インベスによる人類への被害が増大し。
局地的に反社会勢力同士の抗争による混乱が相次ぐ中。
実質弱体化した超特捜課や国連軍では彼らの抑止力としては力不足になりつつあったのだ。
ラスト・バタリオンと言うネオナチの組織に頼らねばならない程度には。
そんな中、戦うでもなく、願いを告げるでもない人々はあるものに縋っていた。
宗教である。
――「黒の
教祖とされるのはシスター風の少女、と噂されている。
ここも黒い噂の絶えない宗教組織であるが、救済を求める人々はこうした者にも縋っていく。
しかし、それを誰が責められようか。明日をも知れぬ生活を強いられている人々にとって
救済と保護をちらつかされれば、誰でもそこに縋りつく。
反社勢力が勢いを増しているのも、そう言う背景があってこそなのだ。
……この黒の菩提樹のご神体たる白い巨人像には
神々しくも邪悪な雰囲気が纏わりついてはいるが。
――――
これらの出来事は、セージ達が岩戸山へと向かってから
およそ半年の間に起きた事である。
その間、セージ達は終ぞ、戻ってくることは無かったのだが……
――A.M. 11:36
駒王学園・旧校舎跡。
上空に現れた次元のひずみから大勢の少年少女がどさりと落ちてくる。
組体操のピラミッドが崩れたような状態で、下敷きになった赤い髪の少女――リアスが怒鳴る。
「ちょっと、どきなさい! 特に黒歌! あんたにだけは足蹴にされる言われはないわよ!」
「文句はチェックマンに言うにゃん。ってか、ちゃんと転送できたみたいでよかったにゃ……
ん?」
猫らしくひらりとリアスを足蹴にしつつ着地する黒歌。
しかし、そこから見える風景が少し異なっていることに気づく。
「……君達、一体どこから出てきたんだ。俺に説明しなさい」
「ケイスケ!? ケイスケこそどうしてここに!?」
旧校舎跡にいたのは、NPO法人
声を聞くなり今度はゼノヴィアが人間ピラミッドから飛び出してくる。
曰く、次元のひずみが発生したことから調査に来ていたのだが
そこにゼノヴィア達が落ちてきた、のが事のあらましである。
さらに深掘りすると、少し話が長くなる。
自動翻訳の出来るアーシアが、ここからの説明を代わりに行う事になった。
聖女解説中...
「成程……俄かには信じがたいが、現に君達が消息を絶ったと聞いてから
こちらではもう半年の月日が経っている。
駒王学園は今仮説の避難所として開放されているから
より詳しくはそこで話を聞くことにしよう……ところで。
……あの物々しい鎧も、君達の所有物か?」
慧介が指さした先には、なんと
セージと共にカドゥム・ハーカームを抑えるべく残ったはずの魔神剛の鎧。
それがどういうわけか、こっちに流れ着いてきていたのだ。
「あれは……という事はセージも!?」
リアスの声に一瞬色めき立った黒歌と白音だが、その期待はいとも容易く裏切られてしまう。
魔神剛の鎧に込められたアモンの意識は、まだ生きている。
そのアモンから、否定の声が出たのだ。
「……期待に添えなくて悪かったな。
俺も最後の最後で、弾き飛ばされる形であの空間から追い出されたんだ。
セージとあの神気取りの巨人がどうなったのかは……俺にもわからん」
「ちょっ……あなたがいながらなんてザマよ! あなた、冥界の勇者とも言われたんでしょ!?」
「わっ……バカ! 揺さぶるな! 今の俺は……」
ガラリガラリ。
リアスが魔神剛の鎧の襟元にあたる部分を掴んで揺さぶると
魔神剛の鎧はいとも簡単にバラバラになってしまった。
今の魔神剛の鎧は、アモンの魂を入れるだけの入れ物に過ぎないのだ。
それと言うのも、魔神剛の鎧はセージの力があって初めて実戦に通用する力を発揮できていた。
そのセージがいないため、形こそ維持できるものの
今の魔神剛の鎧はハリボテも同然だったのだ。
「直せよ。あ、別に接着剤とかは要らんぞ。そこは俺が魔力で繋ぎ留める。
それ位は出来るというか……逆に、今のこれはそう言う作りだ」
「わ……わかったわよ……」
パーツ自体はそれほど細かく分割されてないのもあってか、修復はすぐに終わった。
しかしこれで、セージが未帰還のまま終わってしまったというのは明白になってしまったのだ。
(全く……後味の良くねえ話だ。
何とかしようにも、今この鎧はこと戦いにおいては使い物になりゃしねえ。
フリッケンはセージと一緒に消えちまった。手掛かりは……うん?)
ふと、修復の済んだアモンが上空を眺めると
そこからアインストが転移して来た。
……そう。まだオーフィスは討たれていない。アインストも健在なのだ。
「くっ……おい! 俺は戦えねえ! お前らが何とかしろ!
……我ながら情けない事を威張って言ってるもんだ」
「OKにゃん。ちょうどむしゃくしゃしてたのよ……八つ当たりさせてもらうにゃん」
「……同感です。体動かしたい気分ですし」
アモンの号令でいの一番で前に躍り出たのは黒歌と白音の姉妹。
アインストを迎え撃とうと飛び出そうとするが
……その直後、何者かにアインストが討たれたのだ。
「あん? あの方の命令でアイ公を蹴散らしに来たと思たら
こいつら……あー、そーかそーか、あの方の……」
「だ、誰にゃん!?」
「それ」は緑の甲冑に身を包んだ骸骨のケンタウロスと言った姿で
その右手には鋭い騎乗槍が、左手には円盾が握られている。
一人納得した様子で円盾を外した左手を顎の部分にやり、只管に頷いている。
「誰って聞いてるにゃん!」
「にゃんにゃん煩ぇなワレ、昔のアイドル気取りかっちゅーの。
ワイはここの次元のひずみの様子を見に来たんやが
アイ公……アインストがおったさかいな。ついでにいてもうたったんや。
せやからおどれらに名乗る名前は無いで。
ワイはあのお方とちゃって、おどれらに興味はあらへんからな」
「……アインストとは、敵対してるんですか?」
情報の欲しい白音が、骸骨の騎士にくらいつくように問いかける。
色々な事が起り過ぎていて、少しでも情報が欲しいが故の行動であった。
「なんやワレ。今のがデモンストレーションに見えるっちゅーんか?
見りゃわかるやろ。ワイらにとってアレは邪魔な奴なんや。
せやけど、勘違いしたらあかんで。おどれらとつるむ気なんか
更々ありゃせんわ。事と次第やったら、串刺しになるんはおどれらやで」
「ワイ『ら』? 君達は徒党を組んでいるという事なのかい?」
骸骨の騎士の言葉尻を捉えるかのように、木場が追撃で質問を投げかける。
これを聞いた骸骨の騎士は「しもたわ」と零しながら
渋々と言った様子で木場の質問に答える。
「よう話聞いとったなワレ。
その洞察力に免じて教えたる。ワイらは……」
「スカルナイトぉ~、この周辺の掃除はぁ、終わったぞおぉ~」
次に現れたのは、スフィンクスの頭にピエロの顔をしたような巨漢。
左手にはコブラを模した杖を持っている事から
その体躯に似合わず魔術師的な立ち位置であることが窺える。
(あかん。おしゃべりなのがきよったわ)
「んん~? なんだぁ? この小さい奴らの群れはぁ~?
もしや、オーバーロード様のおっしゃっていたあぁ~?」
「フン。仕事済んだんやったら帰るでデブ公。
ああ、ワイはそこのデブ公が言った通り、スカルナイト、っちゅー名前や。
別によろしゅうする気もあらへんし、覚えんでもええで。
オーバーロード、ちゅう名前もな。ほなな」
巨漢を置き去りにする形で見た目通りの素早さで空の彼方へと駆けていくスカルナイト。
置き去りにされた巨漢は不機嫌そうに地団駄を踏みながら
捨て台詞を吐くように後を追うように魔術を使うのだった。
「スカルナイトめぇ~、俺様を置いていくなあぁ~!
俺様はオーバーロード軍団の最高幹部、デブデダビデ様だぁ~!
今度会う時は、お前達もオーバーロード様の……」
『デブ公! 余計な事は言わんでええから、はよ戻ってこんかい!』
「ぐぬぬぅ~、最高幹部は俺様だというのにぃ~!
お前達を捻り潰してやりたいのは山々だがぁ、俺様達にもやることがあるぅ~!
というわけでさらばだぁ~、ぶわっはっはっはっはぁ!!」
自身の身体を砂に変えて、そのまま地面と同化していったと思えた
次の瞬間には、その巨体は影も形も無かったのだった。
「名前とか態度とか口調とか色々ふざけてるけど……
あいつら、実力は本物よ。アインストをああも簡単に片づけられるし
そもそも、私達がこっちに来ることも知ってたみたいだし」
「……見逃された、ってわけですか」
白音の言葉に、黙って頷く黒歌。
少なくとも、転移したばかりで右往左往していた自分達で勝てていたかどうかは怪しかったであろう。
「オーバーロードって名前だけなら、プロフェッサー凌馬づてに聞いた事がありますが……
多分、同じ名前の別の存在でしょうね。オーバーロード――超越者、って意味なら
固有名詞でも何でもないでしょうし。
だから僕には、あれがインベスの仲間には思えません。特にあのデカい方は」
「実際にサーゼクス様やアジュカ様が超越者とも噂されているという話を聞けば
確かにそう言えるね……ここに来て、また別の勢力の登場か。
あいつらが何者なのか、慧介さん知ってますか?」
「いや……俺も初めて見る奴らだった」
オーバーロード軍団を名乗る怪物二人は、この場にいる誰も知らない、未知の軍団だった。
ただし、手下を引き連れていない辺りは少数精鋭の軍勢と言えるのかもしれないが
それだけに、各々の力は計り知れない。
「それよか……さっきからやけに静かじゃない?」
「……言われてみれば」
それに加え、黒歌とそれに追随する形で白音には気になっていた点がある。
いや、黒歌のみならず、木場やギャスパー、アーシアと言った
リアスの主だった眷属である者達にも共通して気になっていた点だ。
――リアスの覇気が無さすぎる。
アモンに掴みかかった時はそれほどでも無かったが、そのアモンの現状を知るなり
さっきまでの覇気が何処かに消えてしまったかのように、静かになってしまったのだ。
「何にせよ、今が好機だ。駒王学園に行こう」
「……それしかないな」
慧介に促される形で、旧校舎跡から避難所として開放されている
駒王学園へと向かう事になるのだった。
転移による時間のずれ。これこそ、クロスゲートによる影響そのものであり
それが齎す影響は、こうして大きなものとして突き付けられることとなったのだ。
ここに来ての新勢力の登場と共に、人類は、悪魔は、大きな転機を迎えることとなったのだ。
半年すっ飛ばしました。
建前:クロスゲートあんな状態だったしまともに転移できるわけねーだろ
本音:クリスマスとかバレンタインとか本編でやる気ないし邪龍戦役や真D×Dも拾わないし
これ位ぶっ飛ばしてもいいだろ
流石に真女神転生Iよろしく30年は自粛しましたが。
なお、世情がこんなですので留年とかその辺の問題は棚上げになっちゃってます。
学級崩壊とはよく言ったもので。
そもそもサーゼクス左遷された&ジオティクスがああなのに
駒王学園の経営がまともに行われているかって点はかなり怪しい。
>ディアボロス・クロニクル
北欧に亡命する前にきちんとこっちの収録は済ませていた辺り
本職以外では有能だった……?
誰でも神器貰ってヤクザからJOKER、果てはアインスト、インベスと
好きな相手と戦えるゲームに仕上がってます。神器の奪い合いも出来るよ!
神器の出所? ……知らない方がいいと思うよ。ネタバレだし。
>アモン
着ぐるみイマジンと似たような状態になってます。
格好こそ物々しいですが、戦闘では全然役に立ちません。
光子力ビームもファイヤーブラスター(違)も撃てませんし。
>オーバーロード軍団
何故この名前なのか? についてはグレイトバトル4のラスボス
皇帝オーバーロードの正体はアイツ説を取り入れたが故に。
顔ぶれが何時ものアイツらなので、まるっきり隠せていませんが。
名前ニアミスもミッチの「いやこれインベスじゃないでしょ」の一言で論破できますし。
スカルナイトはともかく、デブデダビデのどこがインベスに見えるのかと。
巨大化したインベスはいましたけど。
OGMDの設定で持って来たらお笑い軍団にしか見えなくなった罠。
ただこいつら、原典もOGも笑えないレベルの強さ発揮するのが困りもの。
勿論、もう一人もいます。
流石にジオングだのメフィラスだのシャドームーンだのは出てこない(はず)。