ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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ご無沙汰してます。
引っ越しが完全未定になり、それに伴って持病も悪化と
どん底では無いものの低空飛行が続いてますが、なんとかやれてます。

ジョンストンとの再会こそ叶いませんでしたが
御蔵以外の主だった子はお迎え出来ましたし。

呉行きを控えながら(なおライブのチケットは取れなかった模様)
ゼロワンもちらほら見ながら
そんな感じで物凄くゆっくりと執筆している次第です。


Will12. 「かつて」に挑む「創世」 Aパート

外にアインストがいる。

こうなった以上、即座に外に出るべきだが……

 

そう言えば、祐斗との電話の後またものすごい音が聞こえてきたが……大丈夫なんだろうな?

まぁ、腐っても悪魔だから丈夫さに関して言えば心配無用だが……

何か別の、よからぬ問題が起きてないかって事は心配だ。

まかり間違って神仏同盟や北欧神話の一団と遭遇しようものなら……頭が痛い。

 

まぁ、向こうは気にしても仕方がない。俺にできることはとうに超えてしまっている。

祐斗には気の毒だが、俺にだってできない事はある。

だから、今なすべき事――アインストの撃退をすべく、俺は外に出ようとしたが

その間際、俺は凰蓮(おうれん)軍曹に呼び止められた。

 

Excusez-moi.(ちょっといいかしら?) ここを襲ってきた連中から、こんなものを分捕ったのだけど……

 あと、これは落ちていたから拾ったの。ここのものかしら?」

 

凰蓮軍曹の手には、黒影(くろかげ)のベルトのバックル――戦極(せんごく)ドライバーと

ドリアン? が描かれたロックシードが握られていた。

使い方は恐らく黒影の例を考えれば同様の仕組みだろう。

こんな珍妙なデザインの代物をユグドラシル以外が作ってるとは考えたくないのもあるが。

 

「恐らくはそうかと……使うつもりですか?」

 

non, non(まさか). 公的機関で解析できないかと思っただけよ。

 これを作ったのはユグドラシルなんでしょう?

 だったらユグドラシルにデータを渡してもらうってのが筋なんでしょうけど……

 

 ワテクシの見立てではこの会社、優良企業とは言い難いわね。

 雇用体系の白黒までは、わからないけれど」

 

ふむ。凰蓮軍曹もこのユグドラシルって会社の怪しさを見抜いていたのか。

そもそも、なんでユグドラシル製の道具を使ってる天道連がユグドラシルを襲うんだ。

狙いはユグドラシルそのものじゃなくて、会談の方だって考えるのが妥当かもしれないけど

それにしたって、それに伴う被害に目が行ってなさすぎる。

安全装置的なもので止められたらどうするつもりなんだ。

何と言うか、天道連の動きはまるでヤクザの鉄砲玉どころか、それより酷い気がする。

まるで、使い捨てを前提にしているみたいで……

 

考えがまとまりつつある中で、再び衝撃音が走る。

誰かが強引にドアなり外壁なりを破ったか!?

内側からならともかく、外側からそれをやられたとなると危険すぎる!

 

「凰蓮軍曹!」

 

「もう避難誘導は終わっているわ。だからボウヤは急いで外に出なさい。

 ワテクシは逃げ遅れた人がいないかどうか見て回るわ。

 けれどいいこと? ボウヤもいつでも逃げられる準備だけはしておきなさい。

 戦場で最も優秀な兵士は、生き残る兵士よ。comprendre(お分かり)?」

 

いうや否や、凰蓮軍曹は駆け出してしまう。

避難誘導が終わっているのならば、外のアインストにさえ注意すれば何とかなるか?

いずれにせよ、外に出なけらばならないことに変わりはない。

祐斗が気になりはするが、アインストが中に入ってこられたらそれこそ手に負えなくなる。

このタワーがアインストの支配下に置かれたら

沢芽(ざわめ)市全体がアインストの影響下に置かれることになりかねない。

アインストにそんな能力があるかどうかはわからないが

割と何でも影響下に置いてしまう連中だ、このタワーだってやりかねない。

本当に、インベス並みに性質が悪い!

外の被害が大きくならないうちに、俺は外に駆け出すことにした。

 

――――

 

ユグドラシルタワー前。

そこには、予想通りアインストの大群が空から降りて来ていた。

陸にいるのは蔦で全体を覆ったアインストグリート。

そして確か冥界にも現れた紫の鎧のアインスト、アインストゲミュート。

しかもよく見ると剣や弓で武装している。つまり、強化されてるって訳か。

おまけに、空には骨だけの翼でどうやって飛んでいるのかわからないが

骨のアインスト、アインストクノッヘンが骨だけの翼を広げ飛んでいる。

だが、アインストが相手ならアレが使えるはずだ。

 

SOLID-NIGHT FAUL!!

 

ナイトファウル。対アインスト用弾丸、アルギュロスやアントラクスを運用する

多目的銃剣として試製モデルがディオドラとの戦いの際に投入された。

今俺が実体化させたのは、そのコピーだ。

クロスゲートが稼働している=アインスト出現の恐れがあるという事で

量産に成功したアルギュロスの方を携行していたのだ。

これをアインストのコアに叩き込めば――!

 

アルギュロスを装填し、ナイトファウルを手にアインストに突撃する。

だが――

 

『セージ、蔦が!』

 

フリッケンの指摘と同時にアインストグリートの蔦の先端が開き

そこから細いビームが何条も撃ち出される。

なまじ分散している分、回避は難しい。

被弾は避けたいため、慌てて俺は着弾予測地点から飛び退く。

 

「くっ、これじゃ近づけないな……」

 

『今度は矢が飛んでくるぞ!』

 

しかも飛び退いた先には、アインストゲミュートが弓で狙いをつけてきていた。

これでは思うように近づけない、どうすればいい?

まず数を減らすことだ、ゲミュートの方は中身が無い癖に硬いし剣を持った奴が控えている。

無策の接近戦は危険だ。となると、一番最初に対処すべきはグリートか。

ディフェンダーで弾きながら、接近して攻撃するのがよさそうだ。ならば――

 

EFFECT-HIGH SPEED!!

 

加速して突っ込む。単純だが、効果的な攻撃だろう。

相手の数を考えれば、分身して各個撃破も考えたが

クロスゲートが稼働中という事は、アインストはまだ後詰めがいる可能性がある。

そうなると、あまり激しく消耗する分身を濫用することはできない。

アモンにやってもらうのも考えたが、アインスト相手ではアモンは決定打に欠ける。

不可能ではないだろうが、結局アモンに無駄な力を使わせることになる。

フリッケンの力も、アモンの力も無駄に使うわけにはいかない。

 

(やはり、一人でこのアインストの軍勢を相手にするには限界があるか。

 だが、応援が来るまでに何とか抑えなければならないし

 警察や自衛隊の装備でもきついのは事実。

 祐斗らは足止めを食ってる……やるしかないか!)

 

コカビエルとの戦いでやったように、相手のビームをディフェンダーで弾きながら突撃。

ビームによる攻撃から蔦による攻撃に変わった段階で、ディフェンダーを横薙ぎにして蔦を斬る。

そのままスピードを殺さず、懐に潜り込みナイトファウルをコアに突き立てる。

銃剣を突き立てたアインストグリートに向かって、容赦なくナイトファウルの引鉄を引き

アルギュロスの弾着の衝撃が伝わると同時に、アインストグリートは塵となった。

だが、無数にいるアインストの一体を潰したに過ぎない。

そんな俺の不意を打とうと、空からアインストクノッヘンが突撃して来た。

不意打ちの回避には成功するが、空を切った爪が肌を掠める。

 

「……くっ」

 

SOLID-REMOTE GUN!!

 

FEELER(触手)GUN()で触手砲を生成、空を飛ぶクノッヘンに対抗する。

飛行能力に限って言えば、霊体だったり悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だのが必要になるが

別に人間は飛べないのが当たり前だ。無いものねだりをする気はない。

……今は飛ぶのならアモンというズルが使えるが。

 

触手砲は攻撃の角度を自在に変えられるが、触手の動き自体はそれほど速くない。

故に、触手で縛り上げて撃つというのは素早い相手には向かない。

まして、飛ぶ相手ならなおさらだ。なので縛り上げて動きを封じて撃つ、ではなく

相手の軌道に合わせて触手を動かし、狙いを定める。

クノッヘンを触手砲が封じている間、俺はゲミュートの方に向き直る。

正直言って、こいつはかなり厄介だ。装甲が厚いという点なら冥界で出くわした

赤いアインスト、アインストアイゼンも大概だがこっちも硬い。

おまけに中身が無いから神経断裂弾で動きを止めることもできない。

コアに対するアルギュロスやアントラクスの特効は生きているが

逆に言えばそれ以外の有効打が無い。

兵藤の神器(セイクリッド・ギア)ならば、力で突破できるのかもしれないが……これこそ無いものねだりだ。

 

……うん? そう言えば、あのゲミュートの持っている剣、鎧と同じ材質か?

同じ材質ならば、力次第では或いは……!

 

SPOIL

 

SOLID-SWING EDGE!!

 

クノッヘンを粗方片付けたことを確認した後、俺はゲミュートの剣を奪うべく触手を伸ばす。

矢を払えるよう、刃を持たせた上で。

しかし当然、簡単に盗めるようなもんじゃない。いくらアインストに人格らしきものが全然見られないと言っても

それは機械的に動いているのとはわけが違う。そんな奴が敵が武器を奪おうと仕掛けてくるのだ。

そんなもん、抵抗するに決まってる。

 

『遠くから横着しようったって無理じゃないか?』

 

……だよな。

フリッケンの至極尤もなツッコミに意を決して、俺はゲミュートの懐に潜り込むことにした。

攻撃の一点集中を避けるため、やむなく分身を一体生成した上で。

 

分身にゲミュートの矢とグリートのビームと言った飛び道具を防がせ

俺は(どっちも俺だが)グリートの剣を奪うべく接近戦を仕掛ける。

至近距離ならナイトファウルよりは……これだ!

 

SOLID-PLASMA FIST!!

 

プラズマフィスト。超特捜課が初期に開発したナックル型の装備。

最大5億ボルトの電圧を発生させることが出来るため、人外の存在にも高い威力を発揮できる。

ノウハウのない時期に作られたもののため、少々オーバースペック気味かもしれないが

元々人間と比較してオーバースペックな連中を相手取るんだから、丁度いいだろう。

 

「フリッケン、頼む!」

 

『ああ、大体わかった』

 

BOOST!!

 

プ・ラ・ズ・マ・フィ・ス・ト・ラ・イ・ズ・アッ・プ

 

プラズマフィストがゲミュートの右腕に接触した瞬間

俺は紫紅帝の龍魂(ディバイディング・ブースター)を発動させた上でプラズマフィストのグリップを思いっきり握る。

電流による攻撃だが、そもそもゲミュートには中身が無いため感電による麻痺は狙えない。

単純に、電気エネルギーによる攻撃だ。それも魔力雷じゃない、物理的な雷だ。

 

右腕の装甲がエネルギーに耐え切れなくなったのか、破裂を起こし一瞬だが右腕部分の鎧が外れる。

右腕の欠けた鎧になっただけだが、俺の狙いはそれじゃない。

 

「取った!」

 

鎧の右腕部分が外れた拍子に、ゲミュートが右手に握っていた剣を奪い取り

自分の右手に握る。さらに――

 

DIVIDE!!

BOOST!!

DOUBLE DRAW!!

 

COLOSSION SWORD-DEFENDER!!

 

ディフェンダーの刃先に腐食剣の特性を持たせた。

お陰で、ディフェンダー自体の防御性能は落ちているが右手にゲミュートの剣を持っている以上

左手でも難なく扱えるのはこれしかない。俺は二刀流は学んでない。

 

……そういや、これは記録されなかったな。単純な属性の付加は記録されないのだろうか。

我が神器ながら、今一特性が把握しきれん。

 

だが、今そんなことはどうでもいい。

ゲミュートの鎧を腐食させた上で、同じ材質の剣で叩けばただでは済まないはずだ。

出来ればこれを解析したいところだが、アインストは倒せば塵になる。無理だろう。

それに、まだ続々とアインストが来ている以上、そんな悠長なことは言えない。

 

「だあああああああっ!!」

 

左手のディフェンダーで薙ぎ払いながら、腐食した部分をゲミュートの剣で叩き切る。

同じ材質ならば、腐食作用のあるディフェンダーで殴った方は脆くなる。

そこを元来の強度を持つ剣で叩けば、崩れるという寸法だ。

 

……腐食剣で叩いた後に普通に殴れば済む話だったかもしれないが。

だが、この戦法は硬いゲミュートには有効だったらしく、優位に戦いを運ぶことが出来た。

 

……空のアインストに増援が来るまでは。

 

『セージ、ロックされた! 上だ!』

 

「上!?」

 

フリッケンのアドバイスに従い、その場から飛び退く。

上を見上げると、灰色の蝙蝠の翼を生やした騎士のようなアインスト――

アインストリッターがいた。

奴が持つ槍のような銃、シュペーアカノーネから放たれるのは実弾とビームの複合弾。

……ダメだ、今持っている武器じゃ空の敵は相性が悪すぎる!

ディフェンダーで防ごうにも、そのディフェンダーの防御能力は

腐食剣を合成させたことで犠牲になっている。ままならんものだ。

ここは、とにかく下がるしかないか!

 

飛び退きながら攻撃を何とか躱していくが、相手の機動力はかなり高いために

あっという間に壁際に追い詰められてしまう。

壁とはもちろん、ユグドラシルタワーの外壁。これを下手に避ければ、被害が出かねない。

仕方なく、焼け石に水と感じながらも紫紅帝の龍魂でディフェンダーの性能を倍加させ

防御能力の向上を図る。こうすることで、攻撃に耐えながらアインストリッターに接近し

再度実体化させるつもりの触手で空の相手を引きずり下ろす腹だ。

 

……だが、劣化したディフェンダーはいくら倍加をかけようとも

シュペーアカノーネの最大出力の攻撃に耐えうることはできなかった。

 

「うぐぁっ!?」

 

強力なビームにディフェンダーを弾かれ、そのまま勢いで壁に叩きつけられ、地に伏してしまう。

その衝撃で、意識が飛びかけた……ま、マズい……!

 

『セージ、起きろ! ロックされてるぞ!』

 

「ぐ……!」

 

フリッケンが必死に呼びかけるが、俺の身体の方が動かない。

動かなきゃいけないのはわかってるんだが、動いちゃくれない。

 

『こうなったら……アモン、いいからセージの身体を動かせ!』

 

『しかねぇな、文句言うなよセージ!』

 

遠のきつつある意識の中、アモンが俺の身体を勝手に動かそうとするが……

それとは別に、アインストに何かが当たって落ちるような音が聞こえた。

 

〈メロンエナジー!〉

 

〈ピーチエナジー!〉

 

これは……戦極ドライバーの……?

でも、何か……違う……ような……

 

不可思議な音声が、俺が最後に聞こえた音だった。




ゲネシスが既に少数生産されてる件について。
まぁ、原作斬月も登場してまもなく上位モデルが出ましたけど
(こっちは後に再登場しましたと言うか斬月・真が斬月・偽になる始末)

>ドリアンロックシード
ドサマギで凰蓮軍曹が拾ったようです。ベルトは以前予想のあった通り
天道連に渡ったものを回収して使う形になりそうです。

……今回触れてませんが、これも仄かにこの世界(特に鎧武関連)の根幹にかかわる暗示が……

>セージ
いや、チートスペックには違いないんです。
無制限に武器増やせてしかもアレンジもできる自由度の高すぎるロックマンですから。
ただ、それを揮う本体が普通の人間に毛の生えた程度なので
ひとたび異形の軍勢に攻勢に出られると雲行きが怪しくなります。
なので、戦闘をイッセーに任せてセージはそのアシストをするという
当初のリアスの目論見はそれほど間違ってないんです。

……それ以前の価値観とかを完全に読み違えたが故にここまで拗れましたが。

>アインスト
今回この場にアイゼンがいなくてよかったね、としか。
ダウンした時点でランページ・ネクロム食らってたら間違いなく即死事案なので……

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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