ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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短編のネタが浮かんだのですが、今後のネタバレ含んでいたので泣く泣く中断

腹いせ含めて書きましたが、今回Aパートという事もあり短めです


Will14. 世界樹が生み出す影 Aパート

病室のベッドを借りて眠っていたが、目が覚めたら既に陽は傾いていた。

どうやら、相当眠っていたらしい。

 

『相当疲れていたようだな』

 

「……ああ。にしても、俺の影か……」

 

フリッケンに指摘された通り、憑かれていたのはあると思う。

だがそれよりも、ベルベットルームで言われたことがまだ引っかかっている。

正直、アキシオン・バスターの件よりもよほどでかい。

しかも、ただ力でねじ伏せればいいってもんじゃないらしい。

言っては何だが兵藤とかは力はともかく戦術でどうにかできないことも無いレベル。

だが、自分が相手となれば戦術なんて何の役にも立たないだろう。

今まで神器(セイクリッド・ギア)の性質上、似たような能力持ちとは幾度となく戦っているが

それはこちらが猿真似しているだけだ。向こうが猿真似するパターンなど、未体験だ。

 

『それは後で考えろ。それより時間が経っているから、また状況が変わったかもしれんぞ。

 いったん外に出て調べてみたらどうだ?』

 

アモンのアドバイス通り、俺はベッドから体を起こし病室を出ることにした。

慌ただしく看護師さんが動いているようだが、別段騒がしいって程には見えない。

俺が歩いていても、別段不思議には思われていない。

まあ、アモンが表に出てきたら話は別かもしれないが。

 

『出てやろうか?』

 

「やめろ」

 

冥界でもなければ、緊急事態でもない。アモンに代わる理由がない。

自分の意思で一挙手一投足出来るってのがこれほどありがたいとは

去年の俺なら思いもしなかっただろう。たとえ変な力があっても、俺は俺だ。

わけもわからず忠誠を誓わされたり、自由意志以外で誰かの玩具になる気はない。

 

 

……それにしても、ここまで悪魔の存在が明るみに出るってあり得るのか?

フューラーが露呈させたのは間違いないんだが、それに対してサーゼクスが

何のアクションも示していないのは気になる。

普通有事に備えて予防線の一つくらいは張るだろうに。

 

或いは、事を荒立てぬために魔王クラスは動けないのかもしれないが……

不祥事が起きた時、責任者が出て来て説明ないし謝罪を行うのが少なくとも人間の筋だ。

悪魔にそれを期待するのが間違いなのかもしれないが、だったら人間に関わってほしくない。

結局、耳障りのいいことだけ言って人間を引きずり込んで、それ以外の事には目を向けない。

それが連中のやり方なのか。はっきり言って、付き合いきれない。

 

『……ん? おいセージ、前見ろ前!』

 

「え……うわっ!?」

 

考え事をしていた俺は、アモンの警告に対しても反応が少し遅れてしまった。

その結果として曲がり角に差し掛かった時、駆け寄ってきていた白衣の男とぶつかってしまった。

病院内で走るのはマズいと内心悪態をつきつつも、考え事しながら歩いてた自分も大概だ。

自分で言うのもなんだが運動部では無い癖にガタイはいい。

そのお陰か、俺はよろめきはしたものの突き飛ばされずに済んだ。

向こうはしりもちをついてしまったようだが。

 

ぶつかった拍子に、相手が持っていたと思しき書類が宙を舞って散乱してしまっている。

俺のせいでもあるし、書類を拾うのを手伝う事にした。

 

 

……なのだが、それは後になって思うにやってはいけなかったのかもしれない。

 

 

「――――!?」

 

「!! すみません、部外秘の書類なので!」

 

「おい、何をやっている! 早くしろ!」

 

俺が思わず読んでしまった書類を白衣の男にひったくられ、奥にいた同僚か上司に呼ばれるままに

書類をかき集めてこの場を走り去る白衣の男。

その間は十秒程度とあっという間だったが、俺にとってその十秒は果てしなく長く思えた。

いや、記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)に記録してある力を使ったとかじゃない。完全に自分の体感だ。

 

『どうした、セージ』

 

アモンに呼び掛けられるも、俺の中では書かれていたことが見間違いではないかという疑念と

あの時見たのは見間違いではなかったのではないかという疑念。

様々な思いが複雑に絡み合い、満足な返答が出来ずにいた。

 

「…………んで」

 

『あん?』

 

「……なんで、なんで姉さんの名前がユグドラシルの名簿に載っているんだよ!?」

 

――――そう。

 

俺が目にした書類は、ユグドラシルの試薬被験者の名簿。

詳しくは読めなかったが、他にも十数名の名前が載っていて、間違いなく

 

 

牧村明日香(まきむらあすか)

 

 

と記された欄があったのだ。

 

確かに姉さんは駒王町を出た。その後、沢芽(ざわめ)市に来ていたっておかしくは無い。

そこで生活費を稼ぐためにユグドラシルの試薬モニターに応募した……

なるほど、辻褄は合う。

 

『セージ。これを言っていいのかどうかはわからんが、お前はそいつに……』

 

「わかってる、わかってるよ! けれどな、俺は……俺は……っ!!」

 

なんで、なんでだよ!

忘れたくても、忘れられない。

そんな俺の気持ちを分かっているかのように、姉さんは俺の行く先々にその姿をちらつかせる。

まるで、俺は姉さんからは離れられない、忘れてはならないと言っているかのように。

 

……忘れるつもりは、ないけれど。

 

 

『……感傷に浸ってるところ悪いが、ここ一応病院だぞ?』

 

「…………」

 

 

フリッケンの至極当然なツッコミに、俺は我に返ると同時に顔から火が出る思いだった。

余りの出来事に、思わず声が出てしまっていたのだ。

牧村明日香。俺にとっては忘れ得ぬ唯一無二の大切な人である。

彼女から手紙で実質上の別れを告げられたが、それなのにこうして俺の目の前を過ぎっていく。

見ないふりをするのが正しいのかもしれないが、それが出来るほど向き合えていない。

 

……まさか、俺の前に立ちはだかる影ってのは……

 

偶然見つけてしまった記録。

それが物語っていたのは、いつぞや見かけた後姿は見間違いじゃない、本物だったという事実。

 

今の俺にできるのは、ユグドラシルという不審な点の多い企業の試薬モニターという

とんでもない不審の山積みの中、姉さんが無事であってほしいと願うことくらいだろうか。

 

『深呼吸でもして落ち着け。折角寝て休んでたのが元の木阿弥は洒落にならんだろ。

 流石にもうこれ以上寝る時間は無いと思うぞ。寝られないとも思うが』

 

フリッケンに言われた通り、深呼吸を済ませる。

そうだ。俺がここで狼狽えたところで姉さんの動向が変わるわけじゃないし

そもそも今姉さんがどこにいるのかなんてわからない。

無限大百科事典(インフィニティ・アーカイブス)を使えばわかるかもしれないが。

 

須丸清蔵(すまるせいぞう)の前例があるんだ。無限大百科事典での検索は許可しないといったぞ』

 

考えてたことが筒抜けだったのか、フリッケンに釘を刺された。

無限大百科事典は記録再生大図鑑よりも少ない単語や情報での検索でもデータが出せる。

だが、それだけ負荷も大きい。それが原因で一度意識を飛ばしたことだってある。

フリッケンの意見は正しい。心に靄を感じながらも、俺は忠告に従うことにした。

 

となれば、後は病院を出て超特捜課(ちょうとくそうか)なり凰蓮(おうれん)軍曹なりに合流すべきだが……

こういうものの検査結果は、すぐに出るわけでもないだろうし。

やることも無くなってしまったので、俺はとりあえず待合室に向かう事にした。




なんでセージの人間関係はこう……
未練がましく追ってるセージも大概ですが。

ええ、DJサガラに会う前に見つけた後姿は本物でした。
そしてユグドラシルの試薬モニターとか胡散臭さMAXの被検体に参加。

もう嫌なフラグしか立ってませんね。
幸い現時点でレデュエがいないので、変な機械に繋がれる事は無いと思います(無いとは言ってない)

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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