ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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前回のあらすじ

多勢に無勢、しかも各々の戦闘力は高め


Will15. 境界線上の遭遇戦 Bパート

〈チェリーエナジー〉

 

「変身!」

 

〈ロック・オン! ソーダァ……〉

 

〈チェリーエナジーアームズ!〉

 

錠前ディーラーが赤いバックルのベルトにロックシードを装填。

空から現れたサクランボを被って変身した姿は、北欧のバイキングを思わせる角兜に毛皮。

左側を重点的に防護した赤い鎧を纏ったアーマードライダー。

得物として斬月・真と同じ弓を携えている。

中身はともかく、外側のスペックは斬月・真と遜色ないとみるのが自然だろう。

つまり、手ごわい。

 

「プロフェッサーはこれの事をアーマードライダー・シグルドなんて呼んでたなぁ。

 俺がシドって呼ばれてるからって名付けたんじゃないだろうな?

 ま、なんにしてもてめぇも運がなかったな。取引現場を見なかったことにしてれば

 命だけは助けてやってもよかったんだがよ」

 

「……気に入らねぇ名前だな。俺はディーラーの旦那と違って、生かして返すつもりは無いぜ」

 

「……まぁそういうこった。運がなかったと思って諦めなクソガキ!」

 

クッ、相手の戦力がわからない以上は下手に仕掛けられない!

この状況を打開するには……

 

……いや、アキシオン・バスターはいくら何でも過剰すぎる。

周辺地域の被害を考えたら、避難勧告もなしに撃っていいものじゃない。

となると、禁手(バランスブレイカー)しかないか。

 

無限大百科事典(インフィニティ・アーカイブス)を使って打開を試みる、いいな?)

 

『しかなさそうだな。だがアキシオン・バスターは撃つなよ』

 

INFINITY-ARCHIVES DISCLOSURE!!

 

(アキシオン・バスターは撃たねぇよ。だがフリッケン、ちょっと手を――頭を貸してくれ)

 

『ああ、そういうことか。大体わかった』

 

COMMON-LIBRARY!!

FULL-SCAN!!

 

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)禁手化(バランスブレイク)させ、禁手である無限大百科事典を展開する。

これによる調べ物は、以前痛い目にあったが今は使わざるを得ないと判断した。

何せ、初見の相手が複数いる上に悠長に戦いながら調べている余裕なんざない。

アインストやインベスの大群を相手にするのとは、また違った意味でつらい展開だ。

 

そこで俺が打った手は、検索を一気に終わらせる方法だ。

記録容量は大幅に増しているが、処理能力――要は俺の脳みそに

えらく負担がかかる方法なので、多用はできない。

そもそも、前回痛い目にあったのだって処理能力を大幅に超えたから起きた事態だ。

で、今回はどうしたかというと――

 

『ピンクの。お前本当にうまい具合に回るな。全部わかって動いてないか?』

 

『いいや? 大体は大体だ。あとピンクじゃなくてマゼンタだ、何度も言わすな』

 

そう。フリッケンを補助CPUというか、フリッケンと組んで並列処理する形で

処理を加速させたのだ。別に俺は一人で戦ってる気はないしな。

誰かと組んで戦うのが苦手なだけで。

で、検索した結果だが――

 

まず大型魔獣、帰結する殺戮者(ユナイト・ジェノサイダー)。確かにパワーは其々のものよりも大幅に増しているが

機動性はサイの奴――鈍色の鋼角皮(アイゼン・シュラオペ)と同程度しかない。

が、菫色の猛毒蛇(パーピュア・サイドワインダー)の尾があるためそこでフォローされている。厄介な。

そして何より、腹部にブラックホールを生成することができるらしく

そこに吸い込まれたら間違いなくアウトだろう。逆に言えば、腹が弱点の可能性もあるが。

 

次に、大型の鎧――スイカアームズ。

これは元来アーマードライダーのロックシードだが

無人で稼働できるようにシステムを調整されたものらしい。

こんなもん無人で複数稼働させるなっつーの。

守りに秀でた大玉モード、空も飛べる上に機動力の高いジャイロモード。

そしてスイカ双刃刀と呼ばれる切り身のスイカを模した両刃剣を操るヨロイモード。

数が多い分、大型魔獣よりも厄介かもしれない。

 

それを補佐するように、チューリップホッパーと呼ばれるロックビークルも控えている。

こちらはジャンプによる立体的な起動と機銃による武装。

これもアーマードライダーの移動補助が元来の運用方法だが

こいつらも無人稼働できるようにシステムが調整されている。

これ、超特捜課に回されないかな?

これだけあればインベスはおろかアインストや悪魔軍団にも勝てそうだが。

 

最後にアーマードライダー、シグルド。

新型のドライバー、ゲネシスドライバーにチェリーエナジーロックシードを装填して変身した

新世代型アーマードライダー。

武器である創世弓ソニックアローは接近戦にも耐えうる刃を持ち、エネルギーの矢を放つ。

ゲネシスライダーはスペックは高いが、ロックシードによる拡張性はほぼ失われており

ソニックアローによる攻撃力を除き、その他に特筆すべき能力はない。

 

……つまり、中身次第では斬月・真よりは戦いやすい相手かもしれないってことか。

何の気休めにもならないけど。

フリードに関しては検索をかけたが、特別変化があるわけでもないので割愛とする。

まあ、エクスカリバーはあの時回収されてるから持ってないだろうし

精々今受け取ったであろうロックシードでインベスを出してくる位か?

スイカアームズを出してきたのはあいつだし、それくらいは警戒しておいた方がいいか。

寧ろ、大型魔獣との連携が気にかかるな。

 

さて。分身して各個撃破するのが定石かもしれないが、流石に初見相手にそれはリスクが高い。

そもそも分身しての戦闘自体、リスクと隣り合わせなのだ。

こっちが各個撃破される可能性だってあるのだ。下手は打てない。

 

EFFECT-CHARGE UP!!

 

SOLID-REMOTE GUN!!

 

SOLID-GYASPUNISHER!!

 

だが、手数は増やす。バフをかけた上で触手砲で手数を補い

接近してギャスパニッシャーを叩きつける。

これで各個撃破していくのがよさそうだ。というか、ほかに戦法が思いつかない。

 

触手砲でチューリップホッパーの足をもつれさせ、同士討ちさせながら

ギャスパニッシャーを大型魔獣に叩きつける。

その間、シグルド、スイカアームズ、フリードの十字砲火を掻い潜りながらだ。

もう国際指名手配犯になって開き直ったからか、フリードが持っている銃は

普通に実弾が入っていた。生きた心地がしない。かと言ってアモンに代われば

その瞬間フリードは祓魔装備に切り替えてくるだろう。油断も隙も無い。

つまり、結果として俺の手札はかなり制約されてしまった形だ。

 

「どうしたよ!? 多勢に無勢だなぁ、クソ悪霊よ!」

 

「聞いたぜ? ガキの癖にこの間のユグドラシルタワーの警備にいたんだってな?

 ……ガキが大人の職場に首つっこむんじゃねぇよ!」

 

シグルドのソニックアローから放たれた光の矢が、こちらを狙ってくる。

回避しきれず、無限大百科事典で受ける形になったが……

これは、もしかしなくともかなりヤバい。

とにかく、相手の手数を減らさないことには。奴の言う通り、多勢に無勢過ぎる。

 

……そういえば、フリードの魔獣。あれは魔獣製造(アナイアレイション・メーカー)って神器(セイクリッド・ギア)で作ってるって

奴自分が自慢してたな。もしかすると……

 

『ダメだ、セージ。フリード自身が魔獣製造を持っているわけじゃない。

 聖槍のコピーで消そうと思ってるんだろうが、フリード自身を攻撃したって意味がなさそうだ』

 

……チッ。聖槍で魔獣を消せればと思ったが、どうもダメみたいだ。

魔獣そのものを聖槍で攻撃しても、魔獣は一個の生命として存在しているため

異能とは見做されない。つまり、聖槍――コピーだが――の持つ異能封じは

今回の戦いに際して有効に働かないということだ。なんてことだ。

となれば、今ここに聖槍で動きを封じられる相手はいない。

アーマードライダーシステムは異能ではなく道具としてみなされるため、対象外だ。

 

今までの戦果は、チューリップホッパーを破壊できたことだが……

これは正直言って、大勢に影響を及ぼしたとは言い難い。

主力たるスイカアームズは健在だし、それ以外にも大型魔獣、シグルド、フリードと控えている。

……さて、どうしたもんか。

 

というか、作戦を練る暇がない。今だってスイカアームズのスイカ双刃刀を

ギャスパニッシャーで往なしつつ、大型魔獣の尾の攻撃を回避しながらも

回避した先にはシグルドのソニックアローの矢が待ち構えていて

受け身をとれずに吹っ飛ばされた俺の頭を、フリードが踏みつけている。

 

「ぐ……っ!」

 

「ざまぁねぇなクソ悪霊! 本物の悪霊にしてやるよ!」

 

冗談じゃない。俺は今、色々な理由から簡単には死ねないんだ。

帰ると約束した家もだし、姉さんのことを詳しく知りたい。

これらをどうにかするまで、おいそれと死ねるものかよ!

 

EFFECT-INVISIBLE!!

 

触手砲でフリードが怯み、足を離した隙に俺は透明化。

何とか抜け出すことに成功した……のだが。

 

〈ジャイロモード!〉

 

変形したスイカアームズが、こちらに狙いを定めている。

まさかとは思うが……確かにこのカードで消せるのは姿だけで、気配やらなにやらはそのままだ。

当然、位置さえわかれば相手から触れることだってできる。

となれば、相手が何らかの高感度センサーを搭載していた場合

姿を消すという行為は必ずしも優位に立てないのだ。

今までが優位に立ち過ぎていただけかもしれないが。

 

『避けろセージ!』

 

「避けろったって!」

 

SOLID-DEFENDER!!

 

ディフェンダーを生成し、スイカアームズからの攻撃を受ける。

ダメージこそ受けなかったが、これでは姿を消したドサマギで逃げるって手も使えない。

どうするんだよ、これ!

 

ふと、シグルドは誰かと話している様子だった。相手まではわからない。

だが、淡々と答え終わったシグルドは改めてソニックアローをこちらに向けてくる。

 

〈ロック・オン!〉

 

〈チェリーエナジー!〉

 

サクランボのついた光の矢(!)が飛んでくる。避けられないと判断した俺は

ディフェンダーで防ごうと試みるも、矢自体は防げたが……

アメリカンクラッカーの要領で攻めてくるサクランボのエネルギー体の直撃までは防げなかった。

二段構えの攻撃、だと……!

 

「ぐあ……っ!」

 

ダメージが大きすぎて、禁手を維持できない。分身をしまったのは正解だったかもしれない。

これだけのダメージを受けては、全滅は免れない……!

 

「……ああ、悪ぃ悪ぃ。俺としたことがムキになっちまったぜ」

 

「てめぇ、ただのディーラーじゃねぇな? こんなもん隠し持ってやがったなんてよ」

 

「こいつは非売品でな、悪く思わないでくれよ」

 

頭の上で談笑するフリードとシグルド。そう遠くにいないはずなのに声が遠くに聞こえる。

くっ……このままじゃ……

 

『チッ、セージ! 俺に代われ!』

 

『やめろアモン。お前が表に出た瞬間、今度はフリードがお前を狙ってくるぞ』

 

ダメージで神器は使えない。アモンは出られない。フリッケンも俺がこのざまでは……

つまり、万事休すだ。

俺がこの状態だからか、上で話している二人も俺より話に夢中になっているようだ。

 

「悪いついでにな、こいつの身柄を俺によこしちゃもらえねぇか?」

 

「はぁ? そりゃこっちのセリフだっつの」

 

「勘弁してくれよフリードさんよ。俺にだって事情――特別な依頼が入っちまったんだ。

 『宮本誠二ってやつの身柄を確保しろ』ってな」

 

……なんだ? フリードとシグルドの対話の雲行きが怪しくなってきたぞ?

うまく同士討ちしてくれれば、その隙に逃げられるかもしれないが……

だが今、回復させて動き出せば間違いなく集中砲火だ。しばらくは死んだふりか……

 

「……っざけんなよ! 俺ぁこいつに散々煮え湯飲まされたんだ!

 この手でボコボコにしてやらなきゃ気が済まねぇんだよ!

 なんでてめぇにこのクソ悪霊の身柄渡さなきゃならねぇんだよ!」

 

「……いきがるなよガキが! 大体そのロックシード、俺が寄越したもんだってこと

 忘れてねぇだろうな!? そっちのでかいバケモノはともかく

 てめぇ自身は俺に手も足も出ねぇだろうが!

 ロックシードのアクセス権限、初期化させる位わけねぇんだぞ!」

 

そう言うや、シグルドはスイカアームズの機能を停止させたようだ。状況を遠目に見る限りには

大きな緑色の鎧は掻き消え、ロックシードだけがぽとりと落ちた風に見える。

 

……ん? これって……

 

「てめぇっ!? 折角高い金出して買ったロックシードを!

 もの売っておいてこれはねぇだろうがよ! 不良品売りつけやがって!」

 

「言いがかりはよしてくれや。さっきまであれだけ活躍してただろうが。

 それに元々スイカロックシードは燃費が悪いんだ。

 あれだけ長いこと稼働させていれば、機能不全も起こすっつーの」

 

「…………チッ!」

 

いいことを聞いた。やはりあれだけの大型を維持するのは燃費が悪いらしい。

出来ればもっと早く知りたかったが。

 

「なぁ、大人になろうやフリードさんよ? 俺を敵に回したっていいことなんざ無いぜ?

 お前はロックシードの力が欲しい。俺はお前ってお得意さんがいて嬉しい。

 これ以上にいい関係なんざないと思うがねぇ? 賢明な判断を期待するぜ?」

 

はっきりとは見えないが、悔しそうにしているフリードが見える。

さっき言った通り、スイカアームズが起動する様子はない。

スイカアームズの件も含め、奴らの戦力はダウンしてるな?

よくわからないが、好機だ。だがこのまま奴らが同士討ちしてくれればというのは

さすがに楽観が過ぎるか。

 

「……いいや? よく考えれば、金なんざこれからケツ拭く紙が精々だってのに

 金にこだわる必要もねぇな。となれば答えは一つだ。

 てめぇを殺して、そのベルトごとロックシードを奪ってやる!」

 

「……そうかい。なら仕方ねぇなぁ……

 

 ――俺をなめるなクソガキが! 下手に出てれば付け上がりやがって!

 そもそも、ロックシードの扱いにはこっちに一日の長があるんだよ!

 大人に逆らったらどうなるか、徹底的に叩き込む必要がありそうだなぁ?

 危なっかしいテロリストを警察に突き出すのも、善良な市民の役割だからな!」

 

フリードの怒号に応えるように、シグルドも身構えたようだ。

しめた! 同士討ちに入ってくれた!

このまま戦況を見計らって、疲弊したところを隙を見て逃げる算段で行くか!

よし、流れが向いてきてくれたぞ……!

 

だが、これこそが俺の楽観であり、慢心であったことをすぐに思い知ることとなる。

その証拠は、空から聞こえてくるエンジンの駆動音が物語っていた。

遠目に見える青いスーツに黄色の鎧……まさか、あれは祐斗が言っていた

アーマードライダー、デュークではないか?

 

「そこまでだ。君たち二人が争っても何にもならないだろう?」

 

同士討ちを狙う俺を嘲笑うかのように、デュークは仲裁に入る。

まあ、とどめを前に同士討ちするのは三流のやることだから、仕方がないが……

 

状況を好転させる手札が、また無くなってしまった。




思った以上に長引いてしまいましたので、Cパートまで行かせていただきます。
と同時に、社会見学のユグドラシル編は次回Cパートで終わりになります

>フリード
長期連載の弊害には違いないんですが、登場当初シグルド機関の設定ってあったんですかねぇ?
ジークフリートを悪者っぽく、ってのがフリードの命名由来らしいですが……

宇門大介さんが何か言いたそうに見てる気がしますが、気のせいですよね

>シド
彼にかかればセージもフリードもガキ扱いなんですが
テロリストを突き出すって点に関してはマジでおまいう案件。
波岡氏には申し訳ないんですが、やはり個人的見解ですが小悪党が似合ってしまうんです。
でも、鎧武に味方するライダーの一人として活躍する場面もあるんです……

>デューク
ダンデライナーで飛んできました。

次回、オリジナルロックシードを出す予定です。

ヒント:レジェンドロックシード
    クロスゲートの反則技

    鋼のムーンサルト(あ、答え言っちゃったわ)
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