ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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あんまり強くなってる気がしない超特捜課の強化パートですが
ここ強化パートばっかりやな

まるで原作みたいな強化の仕方だ
あんまり強化されてる気がしない点と言い、事あるごとに強化されてる点と言い


Archetype

――駒王警察署。

 

ユグドラシルの技術供与の結果完成した新型特殊装備――を転送させるための

パーソナル転送システムが超特捜課に優先的に配備されていた。

既に超特捜課はちょっとした治安部隊並みの戦力を保持していた。

それほどまでに、禍の団(カオス・ブリゲート)からの攻撃は激化の一途をたどっていたのだ。

 

「……すみません、我々としたことがしくじりましてね。

 転送システムは完成したんですが、肝要の装備――『G』はまだ未完成なんですよ。

 特殊強化スーツのデータ取り自体は、うまくいっているのですが……」

 

ばつが悪そうに超特捜課の装備開発を担っている薮田(やぶた)博士が告げる。

曰く、特殊強化スーツの問題点であった装着の手間と、取り回しやすさを解決させるため

転送システムを採用することとなり、その結果運搬の手間がクリアできるという事から

パワードスーツ型を採用したのだが……動力の問題がクリアできていないのだ。

転送の際に、ユグドラシル製作のアーマードライダーシステムの技術が応用されており

安玖が光実に話した一件は、ここに起因する。

 

「薮田博士。自分にはこの装備は過剰だと思うのですが……」

 

「私もそう思いますよ。ですが、禍の団の聖槍騎士団。

 彼女らの艤装の威力を目の当たりにした議員が、こぞって軍拡を推し進めたのですよ。

 普段理由をつけて軍拡反対と言っている人らがですよ?

 マキ博士は知りませんが、私も過剰装備という事で反対したんですがね。

 ですが、採用の賛成の声が多くて……正直、『G』1機配備するより

 特殊強化スーツの配備数を増やした方がいいと思うのですがね」

 

氷上(ひかみ)巡査の疑問に、薮田が賛同する形で答える。

実際、「G」1機のコストで特殊強化スーツが10着は配備できるのだ。

これだけあればかなり変わるというのが、薮田の見解だ。

 

「薮田博士。『G』の開発は、どれくらい遅れているのですか?」

 

「実のところ、OSや装備、外装は全部クリアしているんです。

 動力問題さえクリアできれば、すぐに稼働させられる状態なんですが……

 特殊強化スーツと違い、パワードスーツ型ですので動力がないと動かせません。

 その動力の問題が、いまだにクリアできないんです」

 

蔵王丸(ざおうまる)警部の質問に対しての薮田の答えは

未完成と言っていいものかどうか判断に迷うものだった。

だが、動力の無い機械――それも重機クラスの代物――を人力で動かすのは酷な話だ。

古代文明方式でピラミッドを作るのとは、わけが違う。

 

「動かすのに日本中の電力が入用になるとかそういう代物なのかよ?」

 

「巨大怪獣を撃退するならいざ知らず、等身大の装備を稼働させるのに

 そこまで大それたエネルギーはいりませんよ。

 ですが、100%で稼働させるのならば電気自動車の何十倍もの電力は必要ですね」

 

「それだけの電力、一体何に使うんですか……」

 

安玖(あんく)巡査の質問に対する薮田博士の答えに対し、霧島(きりしま)巡査が疑問を呈する。

等身大のパワードスーツならば、大きさ自体は一般的なフォークリフトと同じくらいか

それよりやや大きくなるはずだ。開発に携わった薮田の言では、3メートルクラスという。

それなのに、電気自動車の何十倍の電力――バッテリー。一体何に使うというのだ。

 

「駆動補助と、フィット性能向上のための所謂OSの補助が一つ。

 それに加えて内臓兵装のエネルギーですが……むしろ、ほとんどこれに割いてる形ですね」

 

「ならそれ止めりゃいいじゃねぇかよ」

 

半ば呆れた様子で、安玖が改善策を提案する。

薮田の言葉では、内臓兵装を止めれば動力問題が解決するかもしれないのだ。

しかし、そうもいかない事情があった。

 

「……それなんですがね。内臓兵装の無い『G』は精々現行の特殊強化スーツの

 2割増し程度の性能しか発揮できません。

 動かすことはできますが、聖槍騎士団と正面切って戦うには、些か力不足と私は見ますね。

 聖槍騎士団の相手を、宮本君らに任せるというのであればこの案も通しますが……

 我々は良くても、議員の皆さんは納得しないでしょうね。

 宮本君とて、彼の本職は学生。つまり、非公式の非常勤扱いですから」

 

「……あいつが活躍するのを、快く思わない連中もいるって事か。ま、いて当たり前か」

 

薮田の答えた理由に、蔵王丸が納得する。

警察上層部。彼らにしてみれば、超特捜課のお陰で面子は保てているものの

その活躍の大半は非常勤である宮本成二によるものである。つまり、正規の職員ではない。

そんなセージの活躍が成果の大半を占めては、超特捜課の存在意義が危ぶまれてしまう。

本郷警視総監や薮田博士らの口添えで不自由は起きない程度には動けているが

その地盤が危ぶまれたのが、先の兵藤一誠による天野夕麻殺害事件絡みだ。

 

この時、セージが「犯人は兵藤一誠」と名指ししてしまったため

証言の握り潰しと同時に、名誉棄損が発生してしまったのだ。それを庇い立てるために

本郷警視総監も地位が危ぶまれ、実際に超特捜課の前任課長だったテリー(やなぎ)警視が

左遷された形となっている。

 

セージに悪気はないし、むしろセージは真実を話しているのだが

こうして真実が容易く捻じ曲げられてしまうのも往々にしてある話である。

それ以外にも、超特捜課がセージにおんぶにだっこというわけにもいかない事情がある。

いくらセージが多芸とは言っても、一人の少年にできることなどたかが知れている。

それをフォローするための戦力として、「G」ないし特殊強化スーツの量産は命題だったのだ。

 

「蔵王丸警部がここに配属になったのがその証明ですしね。

 宮本君の神器(セイクリッド・ギア)は確かに強力ではありますが、あれでも完全無欠の万能ではありません。

 これは彼の神器に限った話でもないのですが。

 そのフォローのためにも、やはり力は必要ってことになりますね。

 私個人としては、些か納得はしかねる部分もありますが……個人的な感情ですので。

 

 ……ああ、話は変わりますがこれからパーソナル転送システムの稼働テストを行います。

 ご覧になりますか?」

 

一通り話し終えた薮田は、おもむろに表の開けた場所に出る。

それについていく形で超特捜課の主だったメンバーは全員薮田について行くことにした。

 

 

――――

 

 

薮田の左手首に装着されているもの。よく見ると、それは腕時計ではなく、何かの端末であった。

コンソールが開き、そこに向かって薮田が話しかける。音声認識のようだ。

 

「……コード・クリア。メインタームアクセス……

 モード・アクティブ!」

 

コンソールが緑色に輝き、小さな文字が打ち出される。記された文字は――

 

 

――CODENAME[G] IS GREEN――

 

――SHOUT NOW!――

 

 

「コール! 『G』!」

 

 

薮田の背後に、光と共に3メートル級の黒いロボットが現れる。

ユグドラシルが開発した、クラックを利用した転送システム。

この応用で作られた、転送システム。これがパーソナル転送システムの正体である。

 

「……どうやら、転送システムは正常に稼働するみたいですね。

 見ての通り、『G』に関してはまだ改善の余地がありますが」

 

薮田が指し示した3メートル級の黒いロボット――「G」は

ただ薮田の背後で静かに佇むのみであり、動く気配がない。

元々パワードスーツであり、人が入らなければ動かないのだが

「G」はそもそも動力炉に必要なエネルギーがが無い状態なので

仮に人が入ったとしても動かないだろう。

 

「改善の余地どころか……これだけのもん、いつの間に作りやがった?

 少なくとも、まだ特殊強化スーツが出来てそんなに経ってないだろう?

 データ取りが順調ってだけじゃ、説明がつかねぇぜ?」

 

「おや。流石家電オタクとでも言うべきでしょうか、安玖巡査。

 ええ、いくら私やマキ博士、ユグドラシルのプロフェッサー凌馬(りょうま)が総力を挙げたと言っても

 設計図のないものをこの短期間で作ることなど不可能ですよ」

 

さらりと家電オタクであることをばらされてしまった安玖の質問に対し

薮田は元々「G」の設計図があったことをあっさりとばらす。

設計図があったからこそ、短期間での製作が可能であったのだろうが――

 

「設計図……ナイトファウル同様、クロスゲートから得たのですか?」

 

「いえ。あなた方が戦ったアインストの中に、赤い角つきのアインストと

 灰色の蝙蝠の羽を付けたアインストがいたでしょう?

 あれらは、元々冥界で悪魔と堕天使が作っていた式典用のハリボテロボットが原型でした。

 外装に関しては、その設計図を応用させてもらった形ですよ。

 

 ……入手ルートについては、『伝手があった』とだけ言っておきますよ。

 少なくとも、人類が不利益を被るような取引はしていませんし

 万一不利益が生じた場合は『私』が動きます」

 

アルトアイゼンとヴァイスリッター。

冥界で悪魔と堕天使の和平のために作られるはずだった二体のロボット。

今やアインストの尖兵と成り下がってしまったそれらの設計図を薮田が入手したのだ。

この2枚の設計図から、華美な装飾や趣味的なデザインを撤廃し

それでいて求心力を最低限維持できるようなデザイン。

その平均値を導き出した結果が「G」のデザインコンセプトとなったのだった。

 

「おいおい、ハリボテを新型装備に使うつもりだったのかよ?」

 

「デザインの問題ですよ。最低限の兵装は完成していますので

 やろうと思えば動かせるだけの火を入れればすぐにでも稼働させられますよ。

 ですが何度も申し上げた通り、それでは万全な性能を発揮できません。

 カタログスペック上は、現時点での稼働率でも今まで確認できたアインストとは

 五分にに戦えるとみていますが」

 

「五分、つまり現行の装備とほぼ同等の性能ですか……

 それではあまり投入の意味がないんじゃないんですか?」

 

氷上の疑問通り、今までのアインストと五分五分程度では特殊強化スーツと大差ない。

これでは、コストパフォーマンスに見合わない。つまり、投入の意味があまりない。

氷上や霧島は生還を果たしているが、それはあくまでも彼らの身体スペックの問題だ。

シミュレーション上の数値では、薮田の話した通りである。

 

「予算は無限ではないですからね。作っておいて言うのもなんですが

 また国会が混乱することにならなければいいのですが」

 

「……全くだ。超特捜課だけでどれだけの税金吹っ飛ばしてるんだか。

 また国家公安委員会がうるせぇことにならなきゃいいがな」

 

超特捜課の装備は、過去導入例があり長野県警を中心に全国の警察に配備された実績のある

神経断裂弾(しんけいだんれつだん)を除き、きわめて高価である(神経断裂弾も決して安価ではないが)。

アーマードライダーシステムの導入の見送りも、本をただせば予算の問題に起因する。

アーマードライダーよりも安価なドローンを作ったり、特殊強化スーツを開発したのも

全て少ない予算で回すための苦肉の策であった。

 

しかし、敵性集団の戦力を目の当たりにした政府は、超特捜課の装備だけでは不足と判断。

自衛隊の動員や、公安警察のフル稼働などして当たっていたが

ここに来て、限界が生じ始めたのだ。

何せ、オカルトもフルに投入し近代化改修を終えたナチスの軍隊や

未知の要素の多い人類にとっての敵性生命体。

これらを相手にするには、如何に警察や自衛隊の練度が優秀と言えども限度がある。

 

(……アーマードライダーを使えないのは、既に横流しされた製品だからでしょうね。

 まさか、正規の国防や治安維持を担う部隊が

 既に反社組織で使われている装備を使うわけにはいかないでしょう。

 ユグドラシル……獅子身中の虫にならなければいいのですが)

 

暗雲は未だ晴れず。されど平和は人の手で掴み、守らねばならない。

そこに異議はないのだが、薮田はふと思う。

 

――己の行いは、さらなる災厄を招いているのではないか。

 

――これでは、無節操に神器を撒いていた聖書の神と同じではないか?

 

今はまだ、炉が未完成であるため動かない「G」。

炉が完成した暁には、今までにない戦力になるであろうと同時に

人類の、行き過ぎた発展を促すのに過ぎないのではないか。

 

だが、異界からの侵略者や人類を支配下に置かんとする神話勢力を抑止するためにも

力を示さなければならないのも事実。

現に、神器持ちを悪魔に作り替える技術は完成し、導入されているのだ。

 

「『G』に関しては、私も手を打ちます。ですが……努々、忘れないでください。

 力とは、それを扱う者の心次第で如何様にでも変わるものであるという事を。

 誤った方向に向けられた力は、その大小の如何を問わず、破滅を招くという事を。

 

 ……そして、身の丈も知らずに闇雲に力を求めても、滅びを早めるだけだという事を」

 

薮田の懸念は、心からのものであった。

いつからか、聖書の神が齎した神器は争いの道具に成り果てていた。

人の可能性として託したそれは、三大勢力に体よく使われるだけの道具に成り下がっていた。

人のために、神器は揮われない。恩恵を得ているのは、三大勢力だけだ。

むしろ神器があるからこそ、人は三大勢力に狙われるようになったとさえ言える。

力が無ければ、三大勢力が態々人間を狙う理由を作らなければ

こんな悲劇は起きなかったのではないか。

薮田は、そうも考えていた。

 

既に起きた事象は、神とて変える術を持たない。

薮田はただ、今作っている装備が神器の二の舞にならないことを切に願うばかりであった。




G……もう、おわかりですよね
本当に「なんでゴーストの時に出さなかったんだよ」ってお叱りもらっても仕方ないレベルです、はい
そんなわけで今更感がありますが……
燃料がないという一点がものすごく不穏なフラグですが

そういえば警察で採用されてるアレもGシリーズでしたね
自衛隊……はGフォースでしたっけ


>設計図
原作ではアルトアイゼンとヴァイスリッターは一つの機体から生まれ、機体シリーズの一機として有名ですが
拙作ではそれを逆手に取り、逆にたどることでGが生まれたとしてあります。

この2枚の設計図を薮田博士は「伝手」で手に入れたと言ってますが
シーグヴァイラはアルトやヴァイスの設計図をどこで手に入れたんでしょうね

……あるいは、偶々得たインスピレーションがアルトやヴァイスのものだった?
まさかそんな偶然……

>神器問題
……いや、神器持ちの転生悪魔だの神器持ってるからって堕天使に殺される人間だの見ていれば
何のために神器撒いたんだよ、としか思えてなりません
特に神器持ちの転生悪魔、これって悪魔が神器を不正利用していることになる気がするんですが
(悪魔は神器を使えない→半悪魔か転生悪魔なら使える→不正利用?)
抜け穴というか、ガバというか、悪魔にばかり都合がよすぎる気がしてならんのですよね
少なくとも、人間のまま神器使いであるメリットがほぼ無いってのは如何なものかと
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