ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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Bパートです。
やや短い(?)です。


Will17. 暴かれつつある虚憶 Bパート

報道されたD×D首魁とされる人物の写真。

それはどう見ても「赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)」であり

即ち兵藤一誠であると思われた……ある一点を除いては。

 

そのある一点、それは「宝玉の色が緑ではなく、金色である」点のみであり

これを証拠とするには、些か弱い気がする。

さらに悪いことに、覇龍(ジャガーノート・ドライヴ)とのデザイン上の類似点も指摘されている。

覇龍と兵藤の関連性は、実しやかに囁かれている。

そうでなくとも、駒王町の住民の間では公然の秘密みたいなものだ。

 

つまり、だ。

この報道を以て、駒王町の住民の間には

「兵藤一誠がテロ対策チームを自称するテロ集団のリーダー」

という不文律が生まれかねない。

どう見たって、これは追い打ちというか死体蹴りだ。

まるで、この人間社会から兵藤一誠という存在を締め出そうとしているかのような報道だ。

今までのあいつの行動から顧みても、露骨すぎる。

ここまでする必要があるのか、と思えてならない。

 

これは、かなりマズいかもしれない。

もしかしなくても、追い詰められた奴がどう出るかはまるで読めない。

性的衝動以外はまるで読めないあいつのことだから、なおさらだ。

それでも絞り込んだとして、兵藤が動くパターンはおおよそ三通り考えられる。

 

一つ。我武者羅に報道を否定する。

 

二つ。報道に我関せずの態度を通す。

 

そして三つ。開き直り、テロリスト紛いの行いに走る。

 

どう動くにせよ、気を付けなければならないかもしれない。

なまじ、力だけは強いのだ。それが何の制御、統制もされてないとなると……

安全装置のない核兵器みたいなものだ。

爆弾の信管だけ取り除くみたいに、兵藤を殺すとかじゃなく

ドライグの力だけ引っこ抜くとか出来ればいいんだが……

 

今俺ができる方法はどれも、兵藤ごと殺しかねない方法だけだ。

命に別状なく、神器(セイクリッド・ギア)だけを引き抜く方法なんてものは、無い。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だけを引っこ抜くのならいざ知らず。

 

全く、D×Dか……面倒なものが出てきてくれたもんだ……うん?

俺についてきていた黒歌さんが、何か言いたげな顔をしてのぞき込んでくる。

なんなんだ、一体?

 

「セージ。その様子だとD×Dって……知らなさそうね。

 いや、前にテレビでやってた時、D×Dって単語に白音が尋常じゃないリアクションしたのよ。

 それで、あんたなら何か知らないかと思って。

 なんでも……『D×Dはテロ集団なんかじゃない』みたいなことを口走ってたわね」

 

「ユグドラシルが出すゲームがそういう名前だったらしいってことまでは知ってます。

 しかし今話していたのはゲームじゃなくてテロ組織の名前ですしね。

 そういや……ゼノヴィアさんも知ってそうな素振りを見せてましたね。中身は知りませんが。

 

 ……しかし白音さんもか。本当に解せないな。それに報道と真逆の事を言っている……

 あの時は調べなかったけど、やっぱ調べてみるべきか」

 

「……ごめんなさい、セージ先輩。疲れているところに」

 

BOOT!!

 

肩を叩き白音さんを宥めつつ、俺は記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を展開する。

検索キーワードは……「D×D」……だけだと、ゲームの方もヒットしてしまうか。

ならば除外キーワード……「ゲーム」「ユグドラシル」。これでどうだ?

 

……ダメだ。いまいち絞れないな。

というより、要領を得ないな。テロ組織、って記述が大半だが

テロ対策チーム、って記述もちらほら見受けられるな。

閲覧権限が無いから、無限大百科事典(インフィニティ・アーカイブス)を出さないと読めないものばかりだが。

 

……うん? 無限大百科事典でないと読めない方に、テロ対策って記述?

今読める方にテロ組織であるD×Dの記述があるのは、不思議じゃない。

どんな形であれ、実際にタワーを爆破して声明を出している。

それが直近の出来事であったとしても、記録再生大図鑑のサーバーに上げられていたってことだ。

 

ところが、テロ対策チームとしてのD×Dは、記録再生大図鑑じゃ読めない。

それはつまり……「この世界にはテロ対策チームとしてのD×Dは存在しない」ってことになる。

記録再生大図鑑で読めなくて、無限大百科事典で読めるってのは、そういう事だ。

 

記録再生大図鑑の禁手(バランスブレイカー)たる無限大百科事典は、別の世界の事柄も精度は兎も角調べられる。

対して、記録再生大図鑑は別世界のものは調べられない。それが答えを導き出している。

 

……ってことは、白音さんの反応は……

 

「……大体わかった。というより、報道の言っていることが正解というべきか。

 白音さんの言ってたことについても、記録自体はあった。

 ただ……『記録再生大図鑑では読めず、無限大百科事典を要求された』。

 

 つまり、白音さんの思い描いたD×Dってのは……何かしらのデジャヴみたいなもんだと思う。

 少なくとも、残念ながらこの世界のD×Dはテロ集団と見て間違いないってのが俺の見解だ。

 無限大百科事典でしか読めない事柄ってのは、そういう事になる」

 

「……そう、ですか……」

 

落胆したように、白音さんが返答を返す。

D×Dという単語に反応していたゼノヴィアさんも、俺の話を興味深そうに聞いていた。

その上で、ゼノヴィアさんからも質問が飛んできた。

 

「デジャヴか……そこの白猫妖怪がどんなものを思い描いたのかは知らんが

 私が思ったのもデジャヴという事になるのか?

 もっとも、私はD×Dについては『聞き覚えのある単語』程度にしか思わなかったが……

 

 ……テロ対策チーム、そういわれるとなんだかそんな気がしないでもないな。

 勿論、今報道にあったD×Dと、私が思い描いているそれが同一だと言うつもりはないが。

 それにそもそも、構成員が違う。私の頭を過ぎったD×Dに、ミツザネはいなかった。

 いずれにせよ、ミツザネがテロリストだというつもりも無いがな」

 

アーシアはいたが、と小声で付け足しながらゼノヴィアさんが見解を述べる。

アーシアさんねぇ……アーシアさん……アーシアさん!?

 

……ちょっと待て。もう一度公表されたメンバーを思い返してみよう。

 

リアス・グレモリー

 

姫島朱乃

 

木場祐斗

 

アーシア・アルジェント

 

呉島光実

 

そして……兵藤一誠らしきもの。

 

光実の代わりに白音さんを入れれば、俺らが入ったころのオカ研――ギャスパーを除く――と

驚くほどに酷似する。ブローどころか、ヒットが多数入っている状態だ。

まるで、それを見透かしているような感じがしてならない。

というか、ピンポイント過ぎる。何故駒王学園オカルト研究部が?

 

いや、そうじゃない。何故リアス・グレモリーとその眷属が?

もう一度、構成員について調べてみよう。キーワードは……「D×D」「構成員」。

 

……ダメだ。報道されたもの以外は載っていない。

デジャヴの向こう側を調べれば……いや、デジャヴはあくまでもデジャヴか。

光実の存在と言い、何から何まであてになるわけじゃないし、余計な先入観が生まれかねない。

向こう側のD×Dの事については、これ以上は調べるのはよそう。

 

……多分、あまり関係ないと思う。

考えがまとまったところで、左頬に冷たいものが押し付けられる。

思わず声を上げながら当たってきたものの正体を見ると

黒歌さんが買ってきてくれた缶コーヒーが差し出されていた。

 

「やっぱセージいい声出すにゃん。ほら、お疲れ様にゃん」

 

「ありがとうございます……てか、普通に渡してください」

 

銘柄はこだわらないが、比較的好きな奴だ。ありがたい。

思わず出た声に恥ずかしがりながら、俺は照れ隠しに缶を開封し、コーヒーをあおる。

 

次の瞬間、不意打ちで黒歌さんが後ろから抱き着いて腕を前に回す形で胸元に指を這わせる。

こっちはコーヒー飲んでるのに、そんなことしたら……

 

……当然。咽る。苦くて咽るんじゃなくて、驚いて咽る。

 

「!? ……げほっ、げほっ、げほっ!」

 

「……姉様」

 

じと目で黒歌さんを睨んでる白音さん。そりゃそうだよな。そうでなくともここ警察だし。

今回はやられたってことを考慮に入れなくても黒歌さんを擁護する気は全くない。

家に帰ったらどついてやろうか。このクソ猫。人のコーヒータイム邪魔しやがって。

 

「警察ではめ外すとはいい度胸だな? セージ?」

 

「……す、すんません……」

 

案の定、安玖(あんく)巡査に怒られた。理不尽だが、仕方がない。

俺も警察でいちゃつくのはマズいと思うし。

TPO弁えられるように、一度叩き直してやる必要があるだろうか。

なんにせよ、話もまとまったところで一度家に帰るべきか。疲れたし。

 

「さて……それじゃ俺達はそろそろ帰ります。話す予定だったことについてはまた明後日に」

 

「そうですね。D×Dとか想定外の事態が起きましたけれど、また明後日にお願いします。

 僕の方も、沢芽市絡みで何か起きたらすぐ伝えに来ますので」

 

「私も、帰らせてもらおう。あの報道で、アーシアが心配だ。

 慧介にも話は伝わっているとは思うが、慧介とも協力しないとこれはまずそうだ……

 ただでさえ、アーシアはヘイトを稼いでいるんだ。

 アーシアが暴行の対象になって、それであいつが暴れだしでもしたら……!」

 

ゼノヴィアさんの言う通りだ。彼女、戦い方こそ力任せだが

状況を把握する力はそれなりにあるんじゃないか?

彼女の言う通り、アーシアさんが対悪魔の暴動の標的となり、最悪の事態になったら

また兵藤が暴れだしかねない。アレをまたやるのは御免被る。

アーシアさん絡みは、ゼノヴィアさんに任せるべきか。

俺とてそこまで手が回るとは思えん。

 

沢芽市での戦いを無事終えたのもつかの間。

突然の襲撃から逃げるように駒王町に戻ってきた俺を待っていたのは

デーモン族の襲来と、正体を現したD×Dというテロ対策チームを名乗るテロ組織。

そして、そのD×Dが晒した正体が齎すであろう、混乱が待ち受けているのだった。




完全にミッチはとばっちり。
オカ研がかなり疫病神じみた扱いになってますねこれ。

>D×D
これをこの扱いにしたのは、この一連の作品の方向性を決めた(「ゴースト」連載開始後少ししてから)後の話です。
原作のノリだと、スパロボ自軍のイメージなんでしょうが
それにしては各方面との折り合いのつけ方が杜撰な気がしますし
後ろ盾がまともに政治的な話してるとは思えないですし

とはいえ後ろ盾の話にリソース割いたOGMDがあまり……だったので(私は好きですが)
そんなんやってられるか、ってのが今の受け手側の心情なんでしょうね。

とどのつまり、個人的には原作D×Dって何がしたいの? に帰結してしまうんです。
全世界を巻き込んだ正義の味方ごっこだとしたら、とんでもない話ですし。

拙作でD×Dがテロ対策チーム気取りのテロ組織、としてあるのは完全に嫌味というか皮肉というか、ですが
これって寧ろ原作英雄派じゃね? とも少し思ったり。

寧ろ、スパロボ自軍というかソレスタルビーイングとかラクシズとかそういう色が濃いかも……
ソレスタルビーイングにせよスパロボ自軍(一部除く)にせよある程度は批判的な語られ方もしてるのに対して
ラクシズや原作D×Dは……ですから。
アンティラス隊みたく開き直るのも一つの手かもしれませんけどね。
(正直、数あるスパロボ自軍の中でもアンティラス隊は戦力は兎も角運営方針としてはかなり……だと思ってます)

>オカ研
今回それほど触れてませんが、完全に当てつけな公表ですので
セージは一誠の暴走を危惧してましたが
寧ろリアスのが暴走の危険性あるのでは? とか思ったり
で、発表したのはユグドラシル、リアスが何言っても知らぬ存ぜぬ。
本当にミッチカワイソス。貴虎ニーサンの胃も大変だ。
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