ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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お待たせしました、Bパートです。
手を加えていたらこんな時間に……


時間が無いのを言い訳にはしたくない。
のですがねぇ……ままならぬものです。

因みに感想への返答は今しばらくお待ちください。


What the press has done for them Bパート

――シトリー邸。

 

駒王学園と珠閒瑠(すまる)市にある七姉妹学園(ななしまいがくえん)の合同学習会を前に

ソーナ・シトリーら駒王学園生徒会はシトリー邸に集まり計画を練っていた。

ここに集まっているのは、単に駒王町の近隣住民とのトラブル回避のためである。

既にリアスらが沢芽(ざわめ)市への企業見学会から戻ってきているため

ソーナらの守備範囲は駒王学園内に戻っている。リアスらにあらぬ疑いこそかけられてはいるが。

そしてソーナらが守っている駒王学園も、戦略的価値が無くなったのか

積極的な攻撃には晒されていない。最初から戦略的価値などなかったかもしれないが。

超特捜課や自衛隊による警らだけでも、十分に守れる状態だ。

事実、散発的に禍の団(カオス・ブリゲート)――というかアインスト――やインベスが現れたり

人外勢力を快く思わない天道連(ティエン・タオ・レン)の襲撃位なもので

フリードなどの大物が現れることは、無い。故に超特捜課や自衛隊のみで守ることができ

出動によって住民との軋轢を生みかねないリアスらオカルト研究部は干されている状態だ。

 

そんなリアスらでさえ干されている現状、遠回しにソーナらは戦力外通知を受けているのだが

ソーナ自身は眷属が守れることに安堵していた。

……もう一つ、眷属の一人である匙元士郎の言動による

近隣住民とのトラブル回避という意味でも安堵していたが。

そんな匙の家族だが、冥界に転居してきている。

以前、匙の家族が狙われたことを受けての対応だが当事者は人間界と冥界の違いに

強いカルチャーギャップを覚えているため、ストレスのかかり具合という意味では大差がない。

ただ目に見えた被害が無くなったことで、匙は手放しで喜んでいるが。

 

そんな彼女等も、リアスらにかけられたあらぬ疑いの元凶たるD×Dの報道については

冥界で放送されている人間界のTV――余談だが、国がかりでの立派な不正視聴である――で

当然知ることとなった。

 

「リアス達が……テロリスト!?」

 

「それにイッセーの奴がグループの首魁だって!?

 リアス先輩ならともかく、何であいつがてっぺんなんだよ!?」

 

メンバーを見て、驚きを隠せない一同。ソーナとリアスは旧知の仲であり

とても信じられない風にソーナは驚いていた。

表向き平静を装うが、その指先は震え、額には汗が滲んでいる。

 

「会長、このメンバーなんですが……オカルト研究部とほぼ一致します。

 この呉島光実(くれしまみつざね)という者についてはわかりかねますが……

 小猫ちゃんも、歩藤――宮本君もオカルト研究部を退部していますし

 ギャスパー君はこのところ学校に……グレモリー邸から外に出ていないとのことです。

 このことも考えれば……」

 

副会長であり「女王(クイーン)」の真羅椿姫(しんらつばき)の見立てと進言に、ソーナは合点がいったように息をのむ。

しかしそれは同時に「オカルト研究部――リアスとその眷属こそがテロリストである」と

ピンポイントな報道をされていることになるのだ。

 

「そんな……リアスが、オカルト研究部がテロリストだなんて……!」

 

「な、何かの間違いですよ会長! イッセーはともかく

 リアス先輩やアーシアちゃんがそんなことするはずが無いですって!

 イッセーはともかく!」

 

感情的になりながらも、匙がソーナや椿姫の出した結論を否定する。

そしてそれは、思いもよらぬところから同意が得られることになったのだ。

 

「匙君の言う通りですよ。今回の報道、全てとは言いませんが

 ある程度歪められた報道ではありますね」

 

「薮田先生!?」

 

シトリー邸に現れたのは、生徒会の顧問教師でもある薮田直人(やぶたなおと)

しかし彼は同時に聖書の神の影武者たるヤルダバオトとしての貌も持っており

おいそれと冥界――悪魔領に入れる身分ではないはずなのだ。

 

「私がここにいることの疑問を聞く前に、あなた方……

 特にソーナ君は自分の胸に聞いてみてはどうです?

 私にその質問をするという事は、つまりそういう事ですよ」

 

「……それもそうですね」

 

薮田の先制に、納得したかのように答えるソーナ。

匙はわからなかった様子で食ってかかっているが、即座にソーナに窘められている。

 

「……こんなようなやり取りを、リアス君はおろか魔王(サーゼクス)熾天使(ミカエル)堕天使総督(アザゼル)にもしたのも

 ついこの間の話のように思えますよ。しかし、私はその話をしに来たわけではありません。

 顧問としてあなた方の活動を見に来たのもありますが……先ほど匙君が話した通り

 例のD×Dとやらに関する報道について、私の所見を述べに来たのですよ。

 ソーナ君。君とて友人がテロリスト疑惑をかけられていては、やりづらいでしょう?

 明日は我が身、という言葉もありますし」

 

「おい! そりゃどういう意味だよ!?」

 

明日は我が身。それはつまり、リアスらだけでなく

ソーナらもテロリスト認定される可能性があるという事。

薮田のその指摘に、匙は相手が教師であることも忘れて食ってかかっていた。

 

「やめなさい。先生、先生の所見をお聞かせください」

 

「いいでしょう。私はこのD×Dに関する報道については、悪魔……

 特にリアス君らに関わりの強いサーゼクス・ルシファー周りの炙り出しや

 挑発を狙っているものと見ています。

 映像の出所は沢芽市にあるユグドラシル・コーポレーションという会社の社ビル

 ユグドラシルタワーの映像に違いはありません。

 オカルト研究部はそこに企業見学に行っていますからね」

 

「ユグドラシル、ですか。聞いたことがあります。

 確か医療や福祉に重きを置いた世界規模の製薬会社だとか……

 ですが何故、オカ研がユグドラシルの見学に?

 私には、リアス様がそのような場所に興味を抱くとは思えないのですが」

 

ソーナの希望通りに、見解を述べ始める薮田。

そこに出たユグドラシルという名前に、聞き覚えのあった椿姫が指摘を入れるが

それは薮田も同様に感じていたことであった。

 

「そこです。私も、言っては何ですが彼女がユグドラシルに興味を抱くとは思えません。

 強いて言うならば、北欧神話の世界樹と同名であり

 当日ユグドラシルタワーでは神仏同盟と北欧神話の対談も行われていましたが

 それを理由にユグドラシルタワーに赴くのは、些か理由づけとしては甘い気がしますね」

 

「確かに、その程度の理由でリアスがそういう所に行くとは考えにくいですね。

 では、一体何故リアスはそのような場所に?」

 

ソーナには、どうしても腑に落ちなかった。

リアスがユグドラシルに向かう理由が、どうしても説明出来ない上に、思い浮かばないのだ。

薮田もまた、リアスの今までの振る舞いを顧みても

彼女がユグドラシルに行くとは思えなかったのだ。

 

「……一つだけ、思い当たる節があります。と言いますか、これしか考えられないでしょう。

 

 布袋芙(ほていふ)ナイア。オカルト研究部の顧問にして、リアス君の新しい『戦車(ルーク)』。

 彼女が引率としてオカルト研究部をユグドラシルに案内しています。

 彼女が何らかの思惑を以て、リアス君らをユグドラシルに招いた。

 私にも、彼女が何故そんなことをしたのかは推測しかねますが……

 

 この一連の報道と、リアス君らをユグドラシルに招いた布袋芙ナイア。

 この二つには、何らかの関連性があると私は見ていますね」

 

「じゃ、じゃあナイア先生がリアス先輩らをテロリストに仕立て上げたって事かよ!?」

 

「そこまでは。ですが職員会議で顔を合わせた時にも感じましたが

 彼女からは、得体の知れない何かを感じます。オカルト研究部の顧問だからと言っても

 くれぐれも、油断しないようにお願いしますよ。

 何せ、彼女の素性を調べてみたのですが……どれもでたらめな個人情報でしたから」

 

薮田も万物の知識を得ることのできる「創世の目録(アカシック・リライター)」という神器(セイクリッド・ギア)を持っているし

それでなくとも全能の神の影武者である。

オカルト研究部の顧問一人調べ上げることなど造作もない。

 

……はずなのだが、彼を以てしても布袋芙ナイアの素性は謎に包まれていた。

これでは、彼女が一連の報道の裏にいるという疑惑も頷ける。

だが、証拠がない。ただの個人的な憶測だけで話は進められない。

 

布袋芙ナイア。オカ研の顧問として、駒王学園の教師としてソーナも、眷属らも

彼女と少々の会話は交わしたことがある。

しかし、今回ナイアの得体の知れなさが露呈したことで一際声が震えている者がいた。

 

「匙君……どうしたの? 顔色が悪いよ?」

 

「や、な……何でもねぇ……何でもねぇんだ……」

 

匙元士郎。ここに来る前、彼は個人的にナイアと接触していた。

正しくは、向こうからコンタクトを取ってきたと言った方がいいか。

用件は――

 

(ま、まさかナイア先生……俺の神器を強化するなんて言ってたけれど……

 その見返りとして、俺にテロリストをやらせようってんじゃねぇだろうな……!?

 

 け、けれどナイア先生が言うには俺の神器の龍――黒邪の龍王(ヴリトラ)は分割させられている状態。

 それを集めれば俺だってイッセー位、いやそれ以上にだってなれるかもしれないんだ。

 ナイア先生の提案は魅力的だ……俺は、ナイア先生の提案に乗っかる!

 会長を、ソーナ会長を守るために!)

 

布袋芙ナイア。混沌を体現したかのような彼女の振る舞い。

ここに来て黒邪の龍王を復元しようとする、その目的は何なのか。

 

そしてその思惑は、ソーナにも、他の眷属にも知られること無く

ただ、匙の胸の奥深くしまわれてしまったのだった。

 

 

――――

 

 

「納得できません! この期に及んでこのような作品を発信するなんて

 世情が読めてなさすぎます!」

 

冥界のテレビ局。かつてサーゼクスが持ち込んだ企画を蹴った課長が怒号を上げている。

それもそのはず、自分が蹴ったはずの企画が、なんと通ってしまったばかりか

冥界全国ネット放送まで行われることとなったのだ。

 

「しかしだね君、今冥界は疲弊している。

 そんな時だからこそ、夢や希望を与えるものは必須なのだよ」

 

「それはわかりますが、だからと言ってこんなふざけた番組を流すことはないでしょう!」

 

番組の内容は、悪魔に転生した少年が、秘められた力を使い強敵を倒し

多くのヒロインを娶っていく、人間世界においては粗製濫造された作品の

テンプレートをなぞった作品そのものであった。

しいて個性を挙げるなら、主人公の強化パターンがヒロインの乳首を押すこと……という

何とも不条理なものであることくらいか。

 

「それにだね。私はこれからは転生悪魔の時代だと考えている。

 悪魔もまた、新しい在り方を模索してもいいのではないのかね?

 現に今、冥界ではJOKERが受け入れられている。

 あれもまた、悪魔の新しい形だと私は思うよ。

 

 悪魔は確かに超常の力を以て願いをかなえる存在。ではその悪魔の願いをかなえるのに

 JOKERなる超常の力を用いたとて、何らおかしな点は無いと思うがね。

 人間は我ら悪魔と契約したり悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を用いる。

 悪魔は契約した人間を扱うか、JOKERに願うか。

 それに人間は我ら悪魔以外にも、占い等と言った自分の力以外のものに縋る。

 自力で願いをかなえる人間など、一握りに過ぎないよ。

 

 だったら悪魔が他力に頼っても、それをやってはならない道理はないであろう?

 無論、我ら悪魔は人間を使役する側なのだから、人間よりうまく使えばいいだけの話だよ」

 

「これは夢や希望を与え、可能性を示すものではありません! ただの現実逃避の推奨です!」

 

なおも上層部の悪魔に食いつく課長だが、取り付く島もない。

まるで、何か強い力で強引に推し進められた、いわばゴリ押しの企画である風にも見えてしまう。

 

「とにかくそういうわけだから、放送に向けてのスケジュールとかよろしくね。

 もう主演俳優とかはオーディション済ませてあるから」

 

一方的に用件だけ伝える形となった上層部の悪魔の背中に対し

課長はただ毒づくことしかできなかった。

 

(既にオーディションまで……? まるで、あの時企画が持ち込まれた時点で

 制作や放映まで既に決定していたようなものだ。

 いや、それでもこんなに早く番組制作どころか放映まで決まるとは思えない。

 まるで、何か超常的な願い……まさか、JOKER呪い!?)

 

はたと気づいた課長は、ジャケットを担ぎ忙しなく社屋を後にしようとする。

そんな課長に、以前立ち会った若手の悪魔が声をかける。

 

「課長、どちらに!?」

 

「JOKER呪いに関する取材だ。

 暫く取材で席外すから、後のことはお前らで何とかしろ、わかったか?

 

 ……それと、この間グレイフィア様が来られた時のテープと、あの後で来たリーの原稿は

 金庫の中にしまってある。何か起きたら、それを出して公表しろ。

 今の冥界でどれだけの効果があるか、わからんがな」

 

JOKER呪いの取材と銘打って、飛び出した課長。

この時、若手悪魔には嫌な予感がしていた。

 

 

――JOKER呪いで呼び出されるJOKERには、殺しを何とも思わない黒JOKERがいる

 

 

人間にとっての非日常である悪魔もまた、彼らにとっての非日常であるJOKERに

彼らの日常は翻弄されつつあったのだ――




今回は解説ありです。

>匙の家族
設定変更疑惑があるんですよね。まあ、その程度の価値なんでしょうけど。
拙作風に言えば、噂で書き換えられたんでしょう。実際それくらいできますし、噂。

さておき。
今回冥界に越してきた(これも確か原作同様)んですが、環境がなじめるとは思えないんですよね。
まず悪魔と人間の価値観の相違、水や食べ物などの問題、日照、空気などの天候。
思いつく限りこれだけ問題あるのに、人間引っ越させていいとは思えません。
拙作では序盤でセージが露骨に冥界の空気に嫌悪感示してましたが。

>テレビの不正視聴
拙作における須丸清蔵か、駒王町長みたくおえら方から番組輸出されてるのが真相でしょうが
どうやって人間界のTVの文化を学んだのか、そう考えるとちょっと。
まさか魔王ともあろうお方が人間界にお忍びで……くるわ、あいつらなら。

>匙
ナイア先生八面六臂ね。多分匙も食ってる。別にイッセー以外とヤらないなんて
先生一言も言って無いですし。で、ナイア先生がやるんだから
ヴリトラの神器の集め方が碌な方法にならなさそうな予感。
で、結局原作でこの問題どうしたんでしたっけ?
神器は引っこ抜いたりしたら死ぬはずなんですがね。

>薮田先生
まさかのナイア先生に黒星つけられることに
聖書の神の影武者と人類の悪意の集合体(の化身)の戦いは後者に軍配が上がりました。
生徒会に忠告をしますが、時すでに時間切れ。
ソーナ眷属は匙から瓦解していくことになるんでしょうか。

>テレビ局の課長
「プルガトリオ」から久々の登場。まさか蹴ったはずの企画が通ってるどころか
既にオーディションどころか撮影も始まってて放映秒読み段階という
ポルナレフもびっくりの状態。

ネタバラシしますとこの事件、睨んだ通りJOKER絡んでますが……
地味に死亡フラグ立ててる危なっかしい課長。

因みに話してた相手はフェニックス家の方ではありません。

>おっぱいドラゴン
というわけで「非常に不本意ですが」拙作でも放映されることに。
これもn……おっと、これは少し、ネタバレになる情報でしたね。

この本によれば、「レッツ・ポジティブ・シンキング!」なる謎の単語が
深くかかわっているようですが……
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