今回、昨年ハワイで失踪したジョンストンが小笠原諸島で発見されました
同様にかねてから捜索していたタシュケントが千鳥列島で
サラトガと天照……じゃなくて大和が沖縄で
五島列島沖で伊14で
それぞれ発見できました。
これで執筆に専念できる……とはいかず
今度はリアルで住民トラブル発生。
私の平穏な暮らしはいずこ。
駒王学園は、今ちょっとした騒ぎになっている。
何せ、生徒からテロリストが輩出されたかもしれないと報道されているからだ。
冤罪扱いになったとはいえ殺人犯が出て、退学処分になったのもついこの間の話だろうに。
……だが正直、俺自身としてはこの報道に疑問を抱いている。
いや、動かぬ証拠を突き付けられている以上、フューラー演説の時同様信じざるを得ないのだが。
兵藤の時みたくもみ消すにしたって、映像が出ている以上はそうもいかないだろう。
それからもう一つ、オカ研関係でまた別の噂も聞いている。
――巨大生物オルトロスや、赤い怪獣から駒王町を守ったのも駒王学園のオカルト研究部――と。
これは完璧なマッチポンプだろと突っ込まざるを得ない。
そもそも、オカ研が戦ったのは結界内のケルベロスの方で
オルトロスを倒したのは確か
おそらくは対抗神話として持ち出したつもりなんだろうが、いくらなんでも弱すぎる。
そう思うのは、俺が実情を知っているからなのかもしれないが。
何も知らない人からすれば、一応そう見ることもできるのかもしれないし。
だが、嘘をついてまで対抗神話を広めようというのは相当焦っている証拠か?
それともわざとぼろが出るように仕組まれたか? わからん。
報道のお陰で、オカ研は自宅待機が命じられている。
にもかかわらず、
と言うかだ。このおかげで
「事件や騒動が起きないよう、オカ研の顧問教師共々監視についてくれ」と
そりゃまあ、確かに正式に駒王学園の籍がある俺や白音さんは
今回の話にはうってつけではあるが。
「……大変なことになりましたね」
「だな。それより白音さん、体の方はいいのか?」
今は休み時間。喧騒を離れるのと、こういう聞かれると面倒な話をするために
俺と白音さんは校舎裏で飯を食っていた。
祐斗やアーシアさんらがいない以上、こうせざるを得ない。
ゼノヴィアさんや
それでも一応、ばらばらで合流するようにはしている。
元浜を始めとしたほかの生徒に目を付けられると面倒臭そうだからだ。
「……おかげさまで大丈夫です。それよりセージ先輩、体のことはあまり学校では……」
「あっと。デリカシーを欠いたか。悪かった」
白音さんの体――すなわち、気の流れの方だが、おかげさまで安定傾向だ。
必要以上に接触しなくて済むのは、ある意味ありがたいような、心なしか寂しいような。
だがこれに関して、黒歌さんが気になることを言っていた。
――俺の気の性質が、変わったような気がする――と。
一応、心当たりはある。クロスゲートを潜った時
アモンに代わることなくアモンの力を使えた時だ。
俺自身に思い当たる不調は無かったが、黒歌さんに言わせば変化したらしい。
……あまり考えたくは無いが、嫌な予感もするな……
「……あの、セージ先輩」
「ん……なんだ?」
神妙な顔をして考え込んでいたのか、白音さんが俺の顔を覗き込んでくる。
……こそばゆいような、気まずいような。俺の考え事は癖みたいなもんなんだが。
「前も似たようなことを言ったかもしれませんけど
どうなってもセージさんはセージさんですから」
「…………そっか。ありがとう」
顔に出ていたか、としか言いようがない。
何せ、今俺が悩んでいたことは
「折角人間に戻れたのに、また悪魔になってしまったのか」なのだから。
しかも今度は原因がつかめていないと来た。難しい。
とりあえず、神様――日本のだが――に祈りを捧げたり
試しにあの後アーシアさんに聖水を貰って手をつけたり飲んでみたりしたが異常はなかった。
つまり、俺は悪魔になったわけではないらしい。
付け加えるなら、一時聞こえなくなったアモンの声もまた聞こえるようになったため
これらの症状は一時的なものだろうという事にしておくことにした。実際、今は自力で飛べない。
……原因については、やはりさっぱりわからんが。
クロスゲートが怪しいのはわかるが、やっぱり推測に過ぎない。
そもそもあれだって、わかってないことが多すぎる。そもそも――
「……ジ先輩、セージ先輩」
――であるからして、つまるところ――
「セージ先輩っ!」
「おわっ!?」
……驚いた。白音さんはあまり大声を出さないイメージだったので
急に近くで大声を出されたこともあり、素で驚いた。
「……お弁当。食べないならください」
「ダメだ。これは俺の分だ。俺に昼飯抜きで過ごせってのか」
食べ物に関しては、白音さんとは割とガチで戦争になることがある。
晩飯のおかずの多い少ないは、なるべく均等になるように盛り付けているが
どうしてもなってしまう事がある。そうなると、後は骨肉の争いだ。
しかも気を抜くと食いさしでさえ遠慮なく掻っ攫おうとする。
これは黒歌さんもやることだが。
もっとも彼女の場合、わざとコップの口をつけた側を嘗め回してくるので
違う意味で口がつけられなくなる。どっちも厄介だ。
……まあ、こういうトラブルも織り込み済みで家に招いたわけではあるけれど。
とにかく、俺の昼飯を取られてはかなわない。
むせない程度にかっ込みながら俺は昼飯を済ませることにした。
「……セージ先輩。ご飯はちゃんと噛んで食べてください」
誰のせいだ、誰の。
――――
その日も一日恙なく終え、自宅で寛いでいる。
俺は自室で珠閒瑠市について調べるため、動画サイトで予習することにした。
すると、おもむろに白音さんが膝の上に座ってくる。見づらい。
「……珠閒瑠市の予習ですか? 私にも見せてください。
合同学習会、一応疎開の名目もあるとのことで1年も対象ですから」
「……構わないけど、俺が見づらい。椅子持ってきて座るのはダメなのか?」
「ここが一番座り心地いいですから」
尻尾で俺の脇腹を叩きながら、意地でも俺の膝から退こうとしない。
いや、だから見づらいんだってば。
仕方ないのでこのまま俺は珠閒瑠市について調べるために
動画サイトにアクセスすることにした。
SUMARU-TUBE。地方局の珠閒瑠TVで放映されている番組を
アーカイブ配信している、珠閒瑠TVの公式サイトである。
結構幅広く配信されているらしく、中には10年前のアニメだったり
ゲームクリエイターのインタビュー番組だったり本当に色々配信しているようだ。
だが今の目当てはそれではない。
「……この芸人、結構長いんですよ。珠閒瑠TVの番組でブレイクしたらしいんですけど」
白音さんが指し示した先には、茶髪のベテラン芸人が映っていた。
ブラウンこと
年齢らしからぬ親父ギャグで攻めていたが
最近はそのトーク力を武器に振舞っており、白音さんに言わせば芸人仲間や共演タレントからは
慕われているとのことらしい。俺は知らないが。
とりあえず、せっかく白音さんがそう言うのでこの芸人が出ている動画から
珠閒瑠市を紹介する動画を探してみることにする。
ローカルだと、意外と地元の名物・名所を紹介する番組は多いらしい。
駒王町ではあまり見かけないのは不思議なもんだが。
そういえば美術館とか郷土資料館とかあってもよさそうなもんだが。
……まさか、グレモリー先輩か、あるいはクレーリアとやらが全部ぶっ壊したか?
とは言えそれはいくら何でも考え過ぎだろうと、動画探しをしつつ考えていたら
おあつらえ向きの動画を見つけた。
数年前から放映開始したらしい、珠閒瑠ジャーニーと言う動画だ。
この中の珠閒瑠市特集を見つけ、再生してみることにする。
「あ! りせちーですよりせちー!
最近また活動再開したアイドルなんですよ、セージさん、知ってます?」
「…………あー……」
目を輝かせて共演のアイドルに食いつく白音さん。
だが申し訳ない、俺は芸能関係は疎いんだ。
いつぞやグラビアアイドルに化けたレイナーレを探すのもそれで手こずった位だし。
しかし白音さん、こういうアイドルは守備範囲内なんだな。
まあ、グラビアアイドルに食いつくというのもあまり考えにくいっちゃにくいけど。
…………にしても。
「……セージさん。ちょっとは面ドライバー関係以外の芸能関係も勉強した方がいいですよ。
アルテルマンとか、フェザーマンとか屁理屈もダメです」
「……ぜ、善処する」
さっきから俺の答えが歯切れ悪いのは、図星を突かれたからというのもあるのだが
それ以上に…………
まず、今の俺と白音さんの状況について語らねばなるまい。
お互い、風呂上がりでパソコンの前に向かっているのでそれなりにラフな格好だ。
多少肌寒くなったとはいえ、家の中で厚着をするのは正直、主義ではない。
対する白音さんも同様なのか、俺に対して肌を見せることに抵抗が無くなっているのか
彼女もまた、ラフな格好である。自重してほしいような、そうでもないような。
で、そんな彼女が俺の膝に乗っている。しかも、尻尾を出した状態で。
尻尾を出すのに不自由しないような扇情的な格好はしてないので
結果としてボトムスがずり下がった、いわゆるローライズスタイルである。
そんな状態で俺に対し背後を見せていて、しかも座っている。となれば……
「…………まだまだりせちーには及ばないですか。もっと牛乳飲まなきゃ。
セージさんは、りせちーみたいな子はタイプなんですか?」
「…………よく、わからん」
よくわからない納得を一人でしている白音さんをよそに、俺は結構平静を装うのに苦労している。
そういう滾りとして言うならば、黒歌さんの方がよほど危険――
彼女の場合、それ以外の言動がアレだが――だし
必要でない限りそういう事はするべきではないと思っている。いるんだが――
「……んしょ」
「…………!!」
深く座りこまれた。こうなると何が問題かというと、彼女がさらに接近することになる。
しかもシャンプーの匂いは来るわ、来た時に比べると柔らかくなった気がする
彼女の体が、より密接する形になるのだ。
「うん、やっぱりこのくらいの方がいいです」
俺はよくない、が口にも出せないので必死で平静を装うことにした。
下腹部辺りが結構悲鳴を上げてる気がしたが、とにかく必死で黙らせることにした。
――結局、動画の内容はほとんど入ってこなかった。
幸いダウンロードはしてあるので、後で改めて見ておくことにしよう……
俺が眠れたのはその二時間くらい後だったが
夜の警邏を兼ねて走り込みをしたり色々した結果であった。
――――
翌朝。
既にどこかに行った白音さんと、まだ寝ている母を他所に俺と黒歌さんは
朝飯を食っていた。
「セージ、色々な意味で溜め込むのはよくないにゃん。白音みたく暴発しちゃうにゃん。
ただでさえあんた気の質が変わってるんだから――」
「……何のことだか返答に困りますな」
こればかりは放っておいてくれ。それに気の質が変わってるなら
それに慣らす訓練も必要だろう。走り込みはその一環だと一応の言い訳をした。
警邏は完全に後付けの理由だが、結果としてインベス数体やアインスト数体
それに不審な動きをしている
目先の平和はとりあえず守れた、と俺は思っている。
「…………ふーん。そう言って、ごまかすにゃん?」
「気の使い方に慣れろっつったのはそっちでしょうが」
白音さん同様、俺も魔力が無いのでそれに代わる力を行使する必要があった。
ディーン・レヴにばかり頼ってもいられないし。
そのため、人間と
――俺の場合、霊体だけで動いていた時期がそこそこあったせいか
霊力的な何かも複合されているらしい、とは黒歌さんの弁だが。
形はどうあれ、気の性質を読み取ることに長けている
黒歌さんの言い分なのだから、そこは正しいのだろう。
そのことを考えるとよくもまあさっきは屁理屈を言ってのけたもんだと思うが。
「ま、いつでもヤれるからそういう事にしといてやるにゃん」
「そうしてください。そういや、白音さんはどこに?」
「なんだ、聞いてなかったのかにゃん? 白音、今バイトしてんのよ」
そりゃ初耳だ。どこでバイトしてるんだろうか。
というか、こんなご時世でバイト雇う余裕なんかあるんだな。
事情がまるで異なるとはいえ、俺だってバイトほぼ辞めたようなもんだってのに。
「へぇ。一体どこで?」
「この近くに四川料理屋があったでしょ? そこでバイトしてんのよ。
そこのオーナーがなんたら不敗だか言う拳法の達人で、拳法と気は密接な関係にあるし。
白音、リアスのところにいた時は近接戦担当だったでしょ?
その時の癖が抜けないならいっそ、って思って紹介したにゃん」
俺も知っている。四川料理だからなのだが、中々に辛口な料理を出す店だ。
俺も危うくダウンしかけたことがある。
しかしあそこのオーナー……
老けて見えるが、気配が四川料理屋のオーナーにしては堅気じゃないとは思ってたが。
まあ、黒歌さんにしては的確な理由だ。やっぱ妹のこととなるとマジなんだな。
なら、俺も何とか頑張らないとな。
「……それからセージ。見られるとまずいものの隠し場所はもっと考えておくべきにゃん。
私が白音にそのバイト先紹介した理由、もう一つあるのよね。
…………制服、セージ好みだと思うにゃん」
そう言って黒歌さんが俺の目の前に突き付けたのは、以前付き合いで買った本。
その付き合った相手が松田や元浜なので、内容は推して知るべしだ。
表紙には、チャイナドレス姿の扇情的な女性がでかでかと写っている。
「スタイルは将来有望なのは確約してるにゃん。セージ、ここは先行投資と思って……」
「返してくださいつか返せ。
他人に見せるのを憚られるものだけど私物なんだ、勝手に持ち出すな」
行儀が悪いと思いながらも飯を一気にかき込み
朝っぱらから黒歌さんと追いかけっこをする羽目になった。
――そして、寝ぼけ眼の母に二人そろって怒られたのは言うまでもない。
あれ? 日常パートだ()
>対抗神話
罪であった「5人組は仮面党から街を守るヒーロー」的な対抗神話です。
拙作の場合、嘘じゃないけどマッチポンプだろ的な背景があるので
中々浸透してません。噂広めるのに有効なオカ研の契約先の人々は軒並み死亡ないし行方不明ですからね。
>校舎裏、二人きりで飯
ゼノヴィアを囮にするあたり、やっぱりセージはセージだった。
この間ゼノヴィアは松田、元浜、光実と飯食ってます。
エンゲル係数上げるほどの白音のお弁当に対し、セージは普通(ただし、一般男子高校生のそれ)だったりします。
>考え込む癖
過去何度か披露してますと同時に、記録再生大図鑑を使う上では重要になったり、足かせになったり。
この時聖水について触れてますが、初期案では飲み干そうとしたけど
それは流石にアウトだった場合とんでもないことになると考え、表現をマイルドに。
>食べ物の競争
健啖家が二人もいればそうなるよね。
因みにうちでも刺身食う時はねこに狙われました。喰われたことも。
>珠閒瑠TV
原作同様ですが、時世を考えオンデマンド配信も行ってます。
DD原作当時はオンデマンド配信は盛んではなかったですがまあそれはそれ。
因みに配信番組でセージが地の文で触れているのはPS版罰の特典ディスクのムービー。
>ブラウン
異聞録からもう25年近いのに、彼のスタンスは今でも通じると思うんです。
マークやアヤセとは違う意味で等身大の高校生。というか、周りがアク強すぎます。
拙作では流石にP2からも時間を経ているという事でベテラン芸人枠。
親父ギャグは色々笑えなくなってきたけれど、トークでつなぐという
割と生々しい芸人ムーブかましてます。
>りせちー
まさかのP4からの参戦。原作では引退状態でしたが、拙作では普通に芸能活動してます。
拙作時系列的にはタルタロスかマヨナカテレビ辺りに当てはまるはずなんですが
彼女はバリバリの現役です。さてこれが意味するところは……
(※本編にはあまり関与しないお話です)
>積極的な白音
血は争えない部分というか、なんというか。
黒歌と違って無自覚ですが余計性質が悪い。
ちなみにこの時セージが地の文でやけに冷静なのは「作っている」からです。これも一種のペルソナ。
因みに、白音がサブカルに精通しているという事はりせちーも知ってるだろうという事で
若干ドルオタじみた言動してますが、単にかわいいもの好きなだけです。
どっかの心火を燃やして推しと付き合いそうなドルオタじゃないんですから。
>霊的な力とか
魔力が使えないなら、別のものを使えばいいじゃないという事で。
ディーン・レヴは危なっかしすぎますし。
そう言う意味でもセージの指南役としても黒歌は適任でした。
>白音のバイト先
ウォルベンさん逃げて―!
というわけでつべでGガン見てたら無性に出したくなった方。
いつぞや、白音強化案として感想欄でソウルゲインが挙げられましたが
まさかの流派東方不敗。これは私でも予想だにしなんだというか過剰パワーアップ。
十文字→クロス 修司→シュウジ
というわけでシュウジ・クロスです。
ただ、彼が四川料理を得意とし詩を嗜むって設定は新スパロボの図鑑(当時のスパロボの図鑑の正確性は……)なので
wikiにも載ってないことですが、そこはそれという事で。
>セージが隠していた本
薄くはないです。無いですが、完全にセージ(と赤土)の好みが出てしまってます。
※09/05修正
オカ研戦ってたのはケルベロスやん……
読者に指摘されるとかまるで初期ドラゴンボール……
クオリティは雲泥の差ですが。