ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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リンクは張りませんが、R-18も掲載しました。
興味のある18歳以上の方は私のマイページから飛んでください。

今回、一応そこを踏まえた描写もありますが
見て無くても問題ない程度には押さえてある……つもりです。


Will22. 紅い悪魔と黒い堕天使の確執

俺は宮本成二。

駒王学園の2年生になって以降、色々と大変なことが起きた。

今思い返しても吐き気がするほどめまぐるしいことこの上ない展開の連続で、今なお続いているが

ここに来てようやく高校生らしいことができるようになった。

 

今俺達がいるところは珠閒瑠(すまる)市。駒王町から離れた、政令指定都市だ。

俺達は今、修学旅行の互換として七姉妹学園の生徒と合同学習会――と言う名の疎開で来ている。

疎開と言っても、2泊3日位のスケジュールのため本格的なものではない。

合同学習会は合同学習会であり、疎開ではないのだ。

 

今日は自由行動という事で、グレモリー先輩の我儘で蝸牛(かたつむり)山に行くことになった……のだが。

 

 

――――

 

 

「何も無いってどう言う事よ!?」

 

「はい、到着しましたよー。てっぺんですよー。偉い偉い。

 よかったですねー、グレモリー先輩」

 

ありったけの嫌味を言ってやることにした。

これが「クロスゲートを制御するための遺跡があるから調査しよう」じゃなくて

「折角だから山登りをしよう」だったら俺もここまでは言わない。

まさか、こんな荒唐無稽にもほどがある話に弄ばれて山登りをするとはあまりにも、だ。

そこに山があるから登るのだ、の方が余程納得できる。

 

そもそもさっき俺が検索した時にカラコルなんて建造物は全然ヒットしなかったのだ。

一応、それっぽいものが見えるが……これ、どう見ても……

 

「むかっ……セージ! あれを調べなさい! 出来るでしょ!?

 あれこそ『カラコル』の入り口に違いないわ!」

 

「はいはい。まあ、調べるまでもないと思いますがね……」

 

COMMON-SCANNING!!

 

一応、記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)で調べる。

そこにあったのは……なんと!!

 

 

……なーんてことは無く、本当にただのコンクリートで作ったそれっぽいドーム状のオブジェだ。

公園によくある奴、と言えばわかりやすいか。それをご丁寧にそれっぽく塗っただけの……

 

(……なあフリッケン、アモン。グレモリー先輩、さっきからめっちゃくちゃ

 このありふれたオブジェをキラキラした目で見てるんだけどさ)

 

『……本当の事言わなきゃ始まらないだろ。言え』

 

『真実は得てして残酷なものだが……こりゃ真実と言うか事実だしな……』

 

凄くめんどくさそうだが、言わないわけにもいかない。

白音さんの相手してる方が余程……

 

……っとと。なんでここで白音さんが出て来るんだよ、まったく。

とにかく、咳払いをして俺は記録再生大図鑑で得た情報を出力させながら伝えることにした。

 

「……グレモリー先輩。浮かれてるところ悪いんだが、検索の結果……」

 

 

「……わかってるわよ。わかってるわよ!

 私だって伊達や酔狂でオカルト研究部の部長名乗ってないわよ!

 『メー』だって毎月部費で購読してるわよ!

 クロスゲートの成り立ちと矛盾していることくらいわかってるわよ!

 けれど……けれど! 未知の場所に思いを馳せたいわよ! この目でしかと見たいわよ!

 そうでなくとも珠閒瑠市は『メー』で特集組まれたときから行ってみたいと思ってたのよ!

 

 ムー大陸のムッシー! 廃工場のタンスばばあ! この山にもいるっていう200kmじじい!

 こんな荒唐無稽な妖怪がいるのは日本狭しと言えどここだけよ!」

 

堰を切ったように、思いの丈を吐き出すグレモリー先輩。

俺はアイコンタクトでアーシアさんやゼノヴィアさん、光実(みつざね)、白音さんを

先にロープウェイ乗り場まで行かせることにした。

今いるのはグレモリー先輩以外は俺と祐斗、姫島先輩だ。

 

「リアス……そこまで思い詰めていたなんて、ごめんなさい。気づいてあげられなくて……」

 

激昂するグレモリー先輩を、姫島先輩が宥めようと抱き寄せようとするが

グレモリー先輩はその手を払いのけたのだった。

これには、俺も祐斗も驚きを隠せなかった。

 

「リアス……!?」

 

「あなたはいいわよね朱乃! イッセーの寵愛をどんな形でも受けられて!

 私が気付いていないとでも思ったの!?

 ナイア先生が来て、沢芽(ざわめ)市に行って以降のあなたの様子がおかしかった。

 極めつけはナイア先生と一緒にいたイリナよ! 彼女を見て私の疑惑は確信へと変わったわ!

 私をのけ者にして楽しいの!?」

 

……おい、どこで知ったんだ!?

確かに兵藤は見方によっちゃグレモリー先輩を蔑ろに

それこそのけ者にしている素振りが最近見受けられる。

それは兵藤に入れ込んでいるグレモリー先輩からしたら、面白くないことくらい俺だってわかる。

だが、今姫島先輩は本気でグレモリー先輩を心配してる風に見えた。それを……!

 

「……どう言う事なんだい、セージ君」

 

「グレモリー先輩が何処で情報を手に入れたかは知らん。

 だが、彼女が言っていることは大体事実だ。詳しくはここで言いづらい話もあるから後で話す。

 今回は、ちょっと俺も知らぬ存ぜぬはできないかもな……」

 

多分、今俺は物凄い苦い顔をしていると思う。

祐斗も困惑しているし、姫島先輩も驚きを隠せていない。あのポーカーフェイスの彼女がだ。

 

……あれ? 姫島先輩の瞳、あんなに赤かったっけ……?

それに、さっきからなんか部屋でヤってた姫島先輩と

全然雰囲気が違う気がするような、しないような……

 

そんな俺の疑惑をさらに深める事態になったのは、次の姫島先輩の行動を見た瞬間だった。

 

「……ごめんなさい! 本当にごめんなさい! 私、リアスに負けたくない一心で……!

 それで、リアスを裏切って、イッセー君と……! ごめんなさい!

 リアスのイッセー君を……ごめんなさい!」

 

……なんだよ、これ。

その言葉しか、出てこない。

姫島先輩は、額を土に擦り付け、グレモリー先輩に向けて膝をついて謝っていた。

しかし、この言動は俺の中ではあまりにも違和感があった。

 

 

――あんなに嬉々として兵藤と盛っておいて、ここで土下座か?

 

 

いや、涙声で明らかに平静じゃない声色だからこの土下座が芝居じゃない、とは思うんだが……

と言うか、俺にちょっかいをかけてきていた姫島先輩とも違いすぎる。これは一体……

 

「眷属から除外してもいい! はぐれにしてもらってもいい!

 もう一度堕天使に堕ちても構わない!

 リアスの宝物で勝手に遊んで、リアスの心を傷つけて……私、私……!

 あなたの眷属として、友達として、私、許されないことをした……!」

 

「部長……」

 

そのあまりの行動に、祐斗も思わず声が出てしまっているようだ。

俺も、俺の記憶にある姫島先輩と、目の前の土下座している姫島先輩が

同一人物だとは、とても思えなかった。

いや、身体の特徴とかは一致してるんだが。瞳以外。

 

……まあ、なんというか。見てられない。

この姫島先輩が本物か偽物か、この言動が本心か演技か。そんなのは後で判断すればいい。

そう思い、俺は前に出ることにした。

 

堕天使が泣き落としをはかるのはレイナーレって前例があるから何とも言えんが。

 

「……姫島先輩、頭を上げてください。

 いきなり言われても、多分グレモリー先輩も困惑している」

 

「うっ……ううっ……セージ君……私、私……!」

 

泣き顔を見せたくないのか、俯いたまま姫島先輩は辛うじて俺に返事をする。

だめだ、こりゃ話せそうにない。

にしてもグレモリー先輩がキレたと思ったら、姫島先輩が泣きじゃくるとか……

世情的なものもあるとはいえ、かなり追い詰められすぎだろ……

 

 

「……朱乃。駒は取らないわ。だけど……」

 

 

絞るように声を出すグレモリー先輩。この先に言わんとする言葉を察した俺は

その言葉を遮ろうとするが、それより一瞬早く、祐斗が喋り出した。

 

「部長、副部長。ラーメンを食べに行きましょう。

 大丈夫、部長も、副部長も本気でお互いを憎んではいないと僕は思ってます。

 副部長も、部長を心から心配しているからこそ言おうと思っていたんだと思いますし

 部長が指摘されたことは、僕にはわかりませんが

 副部長が本気で悪いと思っていることくらいは、僕にだってわかります」

 

ナイス! 俺の言いたい事、ほとんど言ってくれた! ナイスだ祐斗!

でもバナナチャーシューとかは勘弁な。

 

「……祐斗の言う通りだ。ここはレーティングゲームの会場でもないし

 今は互いに敵同士じゃなく、駒王学園の2年と3年だ。俺達に刃を交える理由が無い。

 

 ……つまり、だ。たまには……皆で食事をするのも、悪くないのではないかと思って。

 はっきり言って、俺から見ても今のあんた達2人は心配だ。

 ことグレモリー先輩に関しては、俺のせいもあるかもしれないしな」

 

だが眷属に戻るのは無しな、と付け加えて俺達は2人を食事に誘う。

無論、先にロープウェイ乗り場に向かったチームと合流するためだ。

 

「……そうね。セージにはいつも、取り乱したところを見られているものね。

 あなたのせいもあるのだから、ラーメンの1杯くらいは奢ってもらわないとね。

 超特捜課の手当、そこそこあるのでしょう? 期待しているわよ」

 

……案の定、たかるつもりか。まあいいが。白音さんほどじゃあるまい。

グレモリー先輩は、飯で釣った形にもなるがとりあえずは持ち直してくれた。後は……

 

そのもう1人の方には、グレモリー先輩が歩み寄っていた。

 

「……朱乃。私の方こそ、ごめんなさい。

 あなたの気持ちも知らないで、私の事ばかり……

 ……いいえ、考えてみたらあなただけじゃないわね。アーシア、ギャスパー、祐斗。

 それに小猫、セージ……そして、イッセー」

 

グレモリー先輩もまた膝をつき、姫島先輩に対し頭を下げる。

どうやら、とりあえずは一安心……か。

 

「考えてみれば、私はイッセーに対してきちんとそういう事を言ったことが無いわね。

 あっても未遂だし。それだったら、朱乃に先を越されても仕方が無いわね。

 ……でもそれはやっぱり悔しいわ。

 

 あ、だからって別に朱乃を恨んだりはしないわよ。

 そうね……今度、聞かせてちょうだい。イッセーのどこを気に入ったのか。

 あなたは手を出したんですものね。きっと、面白い意見が聞けると思うわ」

 

「うふふ……ええ。そういうお話なら、いくらでも致しますわ」

 

ガールズトークが始まろうとしていた。

何にせよ、落ち着いて仲直りも出来たみたいでよかった。

 

……ただ……

 

(……今はこれでいいかもしれんが、兵藤の奴少なくとも紫藤にも手は出してるんだよな……

 そこを当事者の姫島先輩はともかく、グレモリー先輩が許容できるかどうかだが……

 なんか、問題の先送りをしただけのような気がしてならんぞ)

 

『気がするっつーか、そのものだろうな。

 まあこの場に当事者がいない以上、どうにもならんがな』

 

……俺、やっぱり面倒な問題に首突っ込んだ気がする。アモンの指摘も尤もだが、こればかりは。

兵藤のの側に問題があり過ぎる気がするので、素直に2人を応援できない。

姫島先輩だって、兵藤とヤってた姫島先輩とは人となりが違いすぎる。別人かって位に。

だが、全くの別人とも言い切れないんだよなあ……

 

軽くため息をつきながら祐斗の様子を見ると

心なしかニヤニヤしているような気がした。なんだよ。

 

「フフフ、たまにはセージ君にも僕の役割を代わってもらおうかと思って。

 いいだろ別に。さっき話を纏めておいたんだし

 セージ君にも少しは僕の苦労を知ってもらいたいからね」

 

……ぐっ。色々オカ研関係で無理難題吹っ掛けてるから強気に出られん。

ツケを溜め込み過ぎたか……不覚。

等と俺達もふざけ始めたところ、ガールズトークの花が咲き乱れていた。

興味はあるが、これ以上花を咲かされても困る。興味はあるが……こういうのは男子禁制だろう。

 

そのため、またしても俺は咳払いで2人に移動を促す。

 

「……こほん。話中すまないが、そろそろ……」

 

「あら、それもそうね。それじゃセージ、『しらいし』ってラーメン屋だったわよね。

 そうね……あなたのおすすめを聞いてみたいところだわ」

 

「うふふ、私も興味がありますわ。確かみんな待っているはずですから、行きましょう」

 

ご機嫌取りに奔走した気もするが、不必要に悪感情のまま動き回るのもよくないし

3年という事は学校行事も残りわずかだ。それではいくら何でも……だ。

確かに俺はリアス・グレモリーと言う存在に対してあまりいい感情を持っていないが

だからって必要以上に露悪的に接する必要もあるまい。場の空気を悪くするよりマシだ。

完全なとばっちりな光実って例もあるんだし。

 

 

……あまりいい感情じゃない、っつーか……世話が焼ける、になってる気がするんだよなあ……

 

 

その後、無事に先行してロープウェイ乗り場に向かったチームと合流し

収穫があったのかどうかわからない蝸牛山を後にし、珠閒瑠市は平坂(ひらさか)区へと向かうことになった。

 

一応、移動中もグレモリー先輩と姫島先輩――特に姫島先輩――を注意して観察していたが

別段、おかしなそぶりは見せていない。何だかんだで他人をいい意味で(?)甘やかしたり

面倒見のいいところはあるから、そういう振舞いする分には

別段平常運転のはずなんだよなあ……

 

……まさかと思うが、兵藤とヤってた姫島先輩の方が?

 

ちなみにこの時、あまりにも注意深く観察しすぎたせいで2人に会釈を返されたのはいいんだが

その際に白音さんにあらぬ疑いを持たれたようで

彼女の分のラーメンも奢ることになってしまった。何故だ。

 

――これは、サングラスをつけて活動すべきかな。ガラが悪くなりそうだけど。

と言うか、これではあまり兵藤の事を言えないな……

 

 

そしてたどり着いた平坂区にあるラーメン屋「しらいし」では

俺達はある驚くべき人物と遭遇することとなったのだった。




―ベルベットルーム―

「おや……? どうやら、タロットに動きがあるようですな。
 『女帝』のカード……なるほど。そういう道を選ばれましたか。
 しかし人生において、ずっと平坦な道など存在いたしませぬ。
 この選択が、どのような変化をもたらすか。
 私にもわかりかねますが……その旅が良いものであることを願うばかりでございます」


――――


と言うわけで蝸牛山には何もありませんでした。
ですが山に登ったら叫びましょうという事でリアスと朱乃が叫びました。
違う、って? いやいやまさか。

>リアス
原作では伊達や酔狂でオカ研部長名乗ってそうですが、まあ。
イッセーにはあまり構ってもらえない。朱乃は行動が不審。
そこで朱乃に激励されても……という事で激昂。

ただ、自分が悪いという事はある程度認識を始めたようです。
悪魔の価値観だけはまだどうにもなりませんが。

>セージ
少しずつリアスに対して当たりが甘くなってます。
何せ「ゴースト」時代の枷や因縁はもう全部取っ払ってますから。
(ただし仕打ちも忘れてないのでそこで悪印象、お互い様だけど)
オカ研の部員でも、眷属でもないのでそういう飾り気なく
「リアス・グレモリー」を個人として見られる貴重なキャラになったような。

「ゴースト」とは違う意味で女難の相が出始めてますが
ここからが匙加減の難しいところ。凡百なハーレム主人公なんて望むところではありませんし。

>朱乃
さて、この豹変ぶりはどうしたことか(棒)

……まあ、ペルソナ(特に1・2)履修者は恐らく察しがついたと思われますが。
木場は困惑しセージも芝居を一瞬疑いましたが、目薬用意したりする暇なさそうなので
芝居の線は速攻で打ち消してます。つまり本気の土下座。
ただし錯乱していたとはいえイッセーとヤったと暴露。おいおい。

原作を考えると、微塵も悪いと思ってなさそうなムーブかましてそうなのがアレなんですが……

>木場
ある意味セージ以上においしいところ持って行った。
いや、これ位の気配りスキルはあって然るべきかと。こと拙作ではセージに諸々無茶振りされてますし。

>しらいしで遭遇した人物
ヒント1:HSDDから
ヒント2:ラーメン屋
ヒント3:過去登場済み
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