ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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近況
少し糸が切れています。


Will24. ディスの兆し Aパート

珠閒瑠(すまる)市・平坂(ひらさか)区。

ここのラーメン屋で食事をとっていた俺達の前に現れたのは、なんとそこでバイトをしていた

ヴァーリ・ルシファーだった。

 

偶然にも出会ったヴァーリからの挑戦を受けることになった俺は

辛うじて、この挑戦を退けることができた。

 

 

……しかし、そのために俺は禁じ手ともいえる

アキシオン・バスターを使用してしまったがために……

 

 

――――

 

 

P.M. 15:22

平坂区・カメヤ横丁 コーヒーショップ

 

 

「何故私達に呼び出されたかわかっていますね?」

 

「…………はい」

 

店の一角で、俺は天照様と大日如来様に詰められていた。

圧がすごすぎる。いつぞやの会談の時なんて比べ物にならない程に圧がすごい。

 

「使う時には私か大日如来様に出来うる限り承認を得て欲しいとも言いましたよね?」

 

「…………はい」

 

天照様の顔は笑っているけれど、和気藹々なんて空気は何一つとしてない。

俗にいう圧迫面接って、こういうものの事を言うのか?

 

「私共は何一つとしてあの力が揮われるという話は伺っておりませんが?」

 

「…………はい」

 

震えが止まらない。歯がカチカチ鳴っている。

生きている心地がしない。神の怒りを買ったのだ。どうなることか。

しかも向こうの言っていることは何一つ間違っていない。

無断で力を行使した俺が悪いのだ。相手がああだとしても。

 

「では何故、あの力を行使したのですか?」

 

「…………それは、あの後白龍皇と戦う話になってしまい

 あの力を使わなければ対応できないと判断したために…………」

 

しまった! 何を言っても言い訳にしかならないけれど、これじゃ本当に言い訳だ!

事実だけど、言い訳にしかなってないぞこれ!

我ながら何という失態、やらかしにも程がある!

 

……しかし実際、アキシオン・バスターやガン・レギオン抜きで

ヴァーリが倒せたかと言うと、怪しい。

被害を出さないようには工夫したつもりだけれど、足らなかったという事なのだろう。

 

「私共は起きてしまったことを責めているのではありません。

 あなたが軽率にあの力を使ったわけではないという事も理解しています。

 

 ……ですが、あの力で死者を出してからでは取り返しがつかないことになります。

 あの後、お母様や閻魔様にも協力していただいて、あの力の性質を調べたのですが

 あの力は――」

 

「――あの力の根源は『死』だ。いや、厳密には『死』そのものでは無いが

 極めて限りなくそれに近いと言える。それもただの『死』ではない。

 少し話が脱線するが少年。お前は死生観についてどういう風に理解している?」

 

へ? 死生観? 生きて終いにゃ死ぬってあの死生観?

あまり深く考えたことは無いのだけれども……

 

「生物学的な意味で生きて死ぬってのは大体理解してますが

 死んでからどうなるとか、そういう宗教やスピリチュアル的な意味は全く……」

 

「ま、そうだろうな。と言うか、この日本ならばお前のような考えの人間が大半だろうし

 それはそれでいいと思っている。少なくとも、お前が生きた20年弱でそう学べる程度には

 そういう観点が文化として根付いているって事だ。

 それに、同じ仏教でも宗派によって教えが違うなんてざらだ。

 だからお前のその意見は正しいし、そもそも死生観に明確な正解なんてものは無い」

 

「あの、大日如来様……その話は、長くなるといけませんから要点だけで……」

 

説法が始まりそうになったのを、天照様が制止にかかっている。

それはそれで聞いてみたい気がするのだけれども、あまり話がおして時間を喰うのもなあ。

なるべく早く白音さん達と合流したいし。

 

「む、確かにそうだな。では要点だけ話そう。輪廻転生と言う単語は聞いたことがあるか?」

 

「死んだ後、何かしらに生まれ変わるってアレですよね?

 最近じゃ、転生ってところを拡大解釈した読み物が多く出回っているようですが」

 

そういや、兵藤に勧められたラノベがもろにそういう話だったな。

事故で死んだ主人公が、転生して何かとんでもない力を手に入れる話。

俺の肌には全く合わなかったが、兵藤は挿絵が気に入っていたようだが。

まあ、ラノベなんて挿絵で9割位決まる部分があるとは聞くが……

 

「……一応言っておく。全く違う。そんな都合よく人間は死なないし

 何故死んだ人間に力を寄越さなきゃならないんだ。

 それに魂は人間の特権ではない。『一寸の虫にも五分の魂』など文字通りの意味だ。

 あんなのが罷り通るなら、人間以上に理不尽に死んでいる

 動物や虫、植物なんかどうなるというんだ。

 それに転生は閻魔の正当な裁きを以て……」

 

「大日如来様、また外れてます。おっしゃりたいことはわかりますが……」

 

天照様の冷静なツッコミに、咳払いを返す大日如来様。

いくらか、さっきまでのピリピリした空気は成りを潜めはしてくれたのが助かるが。

しかし天照様もああいうラノベには物申したいのね。そこは不敬ながら安堵。

 

「こほん……すまん。とにかくだ。死んだ後、魂は閻魔の裁きを以て転生の手続きを踏む。

 ……と言う風に、うちではなっているな。つまり、よほどのことが無い限り魂は転生できる。

 生まれてばかりでは世界は腐り落ちるばかりだし、かと言って生まれなければ世界は滅ぶ。

 転生と言うのは、そのバランスを担っている面もあるんだ」

 

「ですが……あなたの持つそのディーン・レヴ。その力の性質を調べさせていただいたところ

 その性質はあまりにも強く『死』に偏り過ぎています。

 それこそ、取り込まれた魂が正しく転生できなくなってしまう程度には」

 

正しく転生できなくなる魂? そう言えば聞いたことがあるような。

そう言う魂は輪廻転生の道から外れた、要するに怨念にしかならなくなるって……

 

 

…………え。ま、まさかそれって…………

 

 

「魂が本来あるべき道から外れるんだ。よくハーデスに目をつけられなかったものだな。

 まあ、こっちもお前の力の話を閻魔や伊邪那美に振ったらいい顔をされなかったがな」

 

「言うなれば、悪魔の駒などで強引に生かしている魂と同じって事になります。

 あれは悪魔の性質を加えることで安定を図っていると推測していますが

 あなたの持つディーン・レヴ。それに取り込まれた魂は

 そういう安定化が一切されていないようなので……」

 

その話を聞いた途端、俺は多分顔面蒼白になっていたと思う。

それに合わせるかのように、背筋はさっきから寒くて仕方がないし

さっきとは別の意味で震えが止まらない。

 

……そりゃあ、ガン・レギオンがあんな禍々しい姿をするはずだし

アキシオン・バスターも撃つときにも物凄い嫌な感じがした。

凰蓮(おうれん)軍曹の言っていたことも、事実とはかけ離れていたけれど

本質として強ち間違いじゃなかったって事か。

 

「もう一度聞くが、お前それをどこで手に入れた?

 それは、俺が思うにこの世に……いや、この世界にあってはならない物だぞ」

 

「ベルベットルームにいる、悪魔絵師です。

 彼もまた、別の世界でこれを手に入れたと話していましたが」

 

「その方から『ディーンの火が、ディスの目覚めを促す』と言う言葉をお聞きになったのでしたね。

 恐らくですが、既にそのディス……そうですね。『ディス・レヴ』としましょうか。

 その兆候は、既に表れているのではないかと思っています。切欠まではわかりませんが」

 

ディス……アモンが言うには、死の神の事だったか。

そう言えば昔、暴走した時にグレモリー先輩に「そのままじゃ怨念になる」等とは言われたが……

まさか、怨念を行使する側になろうとはね。とは言え、話を聞いてる感じでは俺も危ういが。

 

「……悪魔絵師に、これを返しましょうか?」

 

「いや……もうここまで来た以上は引き続き持っていてくれ。対策は俺達も何とか考える。

 前にアモンが触れていたと思うが、もうこの力を記録しているのだろう?

 ただ、これだけは言っておく。その力に依らないお前の力を、なるべく早くものにするんだ。

 そのディーン・レヴとやらが、さらなる進化をするとなれば

 その時こそ、お前の手にも負えなくなる危険性は高い。その抑止力も兼ねてだ」

 

ちょっ……何気に無茶振りしてません大日如来様!?

今の俺の力で、ディーン・レヴ以上を地力で持てだなんて!

思い当たる節は……外的要因の力だけか。精々、白音さんや黒歌さんに教わってる

霊力コントロールが軌道に乗ってくれれば……ってところだが

これでも赤龍帝に勝てるかどうか怪しい代物なのに

それ以上はありそうなディス・レヴ対策になるかと言うと……

 

『セージ。一応言っておくが、俺でも現時点でギリギリだ。

 天照の言うディス・レヴとやらになったら、俺でも対処できるかどうかはわからんぞ。

 

 ……そうなったらフリッケン。お前が何とかしやがれ』

 

『お前も無茶振りするな。だが、大体わかった』

 

急遽呼び出された俺に突き付けられたのは、ディーン・レヴの使用に関する釘刺しと

ディスの目覚めが近いという推測だった。

この状況の打開の一案として、俺はある一つの事を試してみることにした。

 

「そうだ。お二方にお越しいただきたい場所があるのですが」

 

「はい、何処でしょう?」

 

俺は、二柱をベルベットルームに同伴させてみることにした。

ここに来る途中、ベルベットルームの扉が見えたのだ。

確か、俺がいれば鍵のないものでも同伴は可能だったはずだ。

そこで、俺はディーン・レヴの取り扱いについて改めて悪魔絵師に問い質したい。

 

そう思い、ベルベットルームの扉を叩くことにしたのだ。




切りがいいところですので短めです。
次回も多分短いです。

>コーヒーショップ
少なくとも罪罰原作の時点ではない(行けない)お店です。
イメージとしてはド〇ールみたいな場所を想定してます。
なので2000年前後の罪罰時点じゃなくても当たり前。

何故ス〇バじゃなくドト〇ルか、ですって?
スタ〇でこういう話は普通にしづらいかと。〇トールも大概ですが。

>死生観
主観入ってますが、こういう認識で話を進めています。

>転生
セージが触れてるのは、まあ、言わずもがな。
ここでイッセーが悪魔転生に抵抗が無い下地としてこういう話を。
一応パチモンボール以外にもサブカルは広く浅く触ってる感じですし。
現実世界の技術や文化に合わせて原作(特にHSDD)を改変している部分がありますので
HSDD序盤頃に異世界転生が流行っていたら取り入れられていたかもしれませんね。

……やたら無節操にパロの多い原作ですが、ここに来てヒットしてるからって鬼滅パロ入れたら
流石にドン引きするかも……
あれ明らかにHSDDとは真逆の作風だと思いますし。

因みにまた異世界転生に対して思う所は大日如来様に代言させてしまってます。
異世界召喚に対するシラカワ博士の言葉は是非頭の片隅に入れていただきたく。

>ディス・レヴ
偶然の一致ですが名前出ました。
まだディス・レヴそのものでは無く、クロスゲートで負念取り入れた結果
疑似ディス・レヴになった程度ですが危険性に変わりはなく。
HSDDがやたら神器関係でヤバさを謳ってますが、こっちも対抗策としてヤバいものが続々と。
図らずも、血を吐きながら続けるマラソンになってしまってる気はします。

一応セージの修行の促しもありますが、この辺マジで匙加減難しい。
あんまり強化しすぎて原作イッセーみたいにするのも不本意ですし。
一応白音とミッチは強化フラグ立ってますけれど。

……セージの味方にアタッカー少なすぎる問題。
なんで指揮官役がアタッカー兼任してるんですかね。

……比較対象が赤龍帝って時点で、色々おかしいかもしれませんが。

パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)と戦極ドライバー(黒影)、使うならどっち?

  • パーソナル転送システム(ゲシュペンスト)
  • 戦極ドライバー(黒影)

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