ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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そろそろ書きたい場面に近づいてきたので一度筆が乗りさえすれば


Will25. 帰らぬ白猫

「……そんなガキは見てねぇ。とっとと帰んな」

 

「白髪の女子? それがし、とんと見てござらぬが」

 

「おうっ、悪いねぇ兄ちゃん。そんな子はうちには来なかったぜ」

 

…………珠閒瑠市をくまなく探したが、白音さんの行方は全くつかめなかった。

これ以上は集合時間もあるので、先生や警察に任せるよりほか仕方がない。

異郷の地で迷子になる。その心細さに思うところはあるが……くそっ。

 

 

――――

 

 

P.M. 08:44

珠閒瑠(すまる)市鳴海区 ホテルプレアデス・ロビー

 

 

「まだ戻ってきていない!?」

 

「そうなんだ……警察にも話は伝わっているからすぐに見つかるとは思うけど」

 

夜、ホテルのロビーに戻ってきた俺を待っていたのは

白音さんが戻ってきていないという事実だった。

この時間になっても戻ってきていないとなると、確かにただの入れ違いではあるまい。

事件性も、考えうる可能性としては否定しきれまい…………チッ。

 

――次の瞬間。俺の左頬に拳が突き刺さった。

事態を把握するのに少し時間がかかったが、犯人はすぐにわかった。

 

「セージてめぇ! てめぇがいながら小猫ちゃんが誘拐されるなんてどういう事だ!」

 

……参ったな。言い返せない。

まだ厳密には誘拐されたって決まったわけじゃないが

この状況では誘拐されたって考えるのも無理はない。

俺だってその可能性が高いと見てるし。

 

……俺がいながらこのザマってのは、本当だよ。

 

「やめなさいイッセー。まだ小猫が誘拐されたって決まったわけじゃないわ」

 

「だけど部長! 現に小猫ちゃんは帰ってきてないし!」

 

「……誘拐は断言できないにしても、俺がいながらっていう意味では

 兵藤は然程間違ったことは言って無い。その件については面目次第もないな……すまん」

 

まさかグレモリー先輩に助け船を出されるとは思わなかったが

兵藤の言う事もそれほど間違いじゃない。

そりゃまあ、どう注意しろって話はあるにしてもだ。

ヴァーリとの戦いで、注意が散漫になっていたのかもしれないし。

それにヴァーリが言うには禍の団(カオス・ブリゲート)がこっちに来ている。

奴らが白音さんを誘拐するという事は考えうる話だ。

簡単に手に落ちる、ってのもそれはそれで考えにくいが。

だが聖槍騎士団はともかく、他の英雄派はその構成員をほとんど知らない。

能力的に相性が悪ければ起こりうるか。

 

「……ヴァーリの挑発に乗らなければ、こうはならなかったろうな。

 その点において俺の判断ミスだ。すまない」

 

「謝る相手が違うよ、セージ君。その言葉は白音さんに取っておくといい」

 

俺の謝罪は、祐斗に窘められた。これもまた祐斗の言う事が正しい。

まあ、仲間を危険な目に合わせてしまったという事でここの皆に謝るのも道理だとは思うが。

……まあ、案の定と言うか兵藤はさっきから俺を睨んでいるが。

 

「言い合いはその位にするんだ、君達。

 特にイッセー君は手を上げたことについてはセージ君に謝るべきだね。

 夜も警察が捜索を続けてくれるそうだ。

 だから明日の七姉妹学園(セブンス)での授業については予定通り出てくれ。

 心情的にそれどころじゃないかもしれないけれど、学生として果たすべき役割は果たしてくれ」

 

「うっ……だけど先生……」

 

何か言いたそうにする兵藤を、目力だけで黙らせる布袋芙(ほていふ)先生。

一応、兵藤から心のこもってない形だけの謝罪は受け取ったので

こっちも相応の態度で返すことにしたが。

それに、布袋芙先生の言う通り今回は一応合同学習会と言う名目だ。

それをサボるわけにもいくまい。

 

……学籍のない兵藤は、ともかくとして。

 

「それじゃあ、そろそろ消灯時間だ。各自部屋に戻るように、いいね?」

 

布袋芙先生の号令で、俺達はバラバラとそれぞれの部屋に戻ることになった。

俺も、同室の兵藤を見張る形で部屋に戻る。相変わらず、向こうはいやな顔を見せているが。

 

部屋に戻るなり、兵藤は部屋を出ようとしたが流石にそこは俺が止めた。

グレモリー部長の部屋にでも夜這いに行こうとしたんだろ。させるか。

 

……などと思っていたら、まさかその逆でグレモリー先輩が俺達の部屋に来た。

おい待て。本当に何考えてやがる、どいつもこいつも。

 

「イッセー、セージ。起きてた?」

 

「ぶ、部長!? お、起きてましたとも!」

 

「……疲れてるはずなんですが、寝付けなくて。何ですかね?

 白音さんを探しに行くというなら、悪いですがお断りさせていただきます。

 現状でまともに動けないのに、万が一返り討ちに遭うような事態は避けたいですし。

 それにさっき祐斗に聞きましたよ。また変な奴らと遭遇戦したそうですね。

 そいつらが出てこないとも限りませんし」

 

我ながら薄情だが、さっきからどうも本調子じゃない。ディーン・レヴの影響だろうか?

皆目見当もつかんが、そんな状態で出歩くのはリスクが高い。まして、禍の団もいるってのに。

 

「セージ! てめぇ小猫ちゃんが心配じゃないのかよ!?」

 

「消灯時間だ、声がでかい」

 

「てめぇっ……!!」

 

また殴られそうになるのを覚悟するが、それをグレモリー先輩が制止する。

妙にグレモリー先輩の物分かりがいいな。失礼かもだが偽物じゃあるまいな?

 

「やめなさい。セージの言う事も一理あるわ。

 セージが来てくれれば心強いは心強いのだけど

 本人にその気がないのを押し切るわけにはいかないわ。特にセージはね」

 

「フン! こんな奴がいなくても俺がいれば……」

 

やけに物分かりがいいな、グレモリー先輩。

話が早いのはこっちとしても助かるからいいが。

それにな、俺だって一刻も早く白音さんは助け出したいんだよ。

手掛かりゼロで闇雲に動いてもしょうがないからじっとしてるだけだ。

 

「まあ、小猫の件は話半分だから気にしないで頂戴。

 探しに行けるに越したことは無かったのだけど。

 それよりイッセー。あなたに聞きたいことがあるの」

 

俺が首を縦に振らなかったから話がぽしゃったか。それはちと悪いことをしたかもな。

だが、ミイラ取りがミイラになる様な事態は今は特に避けたい。

一応夕方に探しているときにレーダーで探知は試みたが、全然反応示さなかったし。

 

……いや、これだけでかなり事件性疑えるよな。

事件性疑えるからこそ、慎重にならざるを得ないというのもあるが。

ヴァーリの証言とか色々考慮に入れると、最悪禍の団と真っ向勝負、それも人質付き

なんて事態が起こりうる。

 

だがそれよりも、俺はグレモリー先輩が兵藤に聞きたいことがあるという

その内容の方が気になった。

 

「…………?」

 

「あなた、朱乃の呼び出しに答えなかったそうね? 一体どういう事かしら?

 あなたには言ってないけれど、確かに私はおざなりにされることに怒りはしたわ。

 だけど、朱乃の呼び出しを無碍にしていいとは言って無いわ。

 答えなさい。場合によっては、然るべき対応を取らざるを得ないわ」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ部長!? 俺、こっちで朱乃さんと一緒にいたんですよ!?

 俺、てっきり朱乃さんの呼び出しってその件だと思って……」

 

なに? こいつが嘘をついていないとなると姫島先輩が二人いるって事になるのか?

俺はその大変な場所に居合わせてはいなかったが、話が全く噛み合って無いぞ。

 

「おい兵藤。俺はヴァーリと戦っていたから姫島先輩の動向までは知らんが

 お前、ホテルで姫島先輩と何やって……ま、まさか……!」

 

「そ、そ、そんなわけねーだろ!?」

 

ビンゴかよ。しかしそうなるとますます解せん。少なくとも今日行動を共にした姫島先輩は

こいつとヤることに後ろめたさを覚えていたはずだ。だのにここでヤったと?

 

「……イッセー。嘘ならもっとマシな嘘を……」

 

「嘘じゃないっすよ!? 俺は間違いなくここで姫島先輩と…………その…………」

 

「や、言いたくないなら無理に言うな兵藤。

 お前は間違いなく、姫島先輩といたんだな?」

 

俺の予想なら、無理に聞き出したら聞き出したでまた不具合が起きそうだ。

だったら、いっそ伏せておいた方がいいだろう。

出来れば姫島先輩といたって確かな証拠が欲しいが、ちと無理臭いな、これ。

今日一緒にいた姫島先輩はやけに瞳の色が赤かったが

まさか兵藤がそんな細かなところ見てるとは思えないし。

 

俺の記憶では、姫島先輩の瞳は赤くなかった気がするが……これだってうろ覚えだ。

どっちの姫島先輩が本物か、立証できない以上平行線で話を進めるよりほかない。

 

 

……もう一つの可能性として、もう一人の俺がいるであろうように

もう一人の姫島先輩がいる、って事だがこれだって推測に過ぎない。断言ができない。

そもそも、もう一人の――だってそれによる弊害がまるで分らんし。

 

 

「そう言ってるだろ。とにかく、俺は朱乃さんといたんですよ」

 

「……はぁ。私だって朱乃といたし、ラーメン屋に入るまではセージも一緒にいたわ。

 そういう意味ではアリバイを証明できるって点において私が優位よ」

 

「じゃ、じゃあナイア先生に聞いてくださいよ!

 先生なら俺が朱乃さんと一緒にいたところを知ってるはずですし!」

 

布袋芙先生の名前が出た途端、またグレモリー先輩の表情が険しくなる。

しかし、すぐに表面上は平静を取り戻して念話で布袋芙先生に問い質しているようだ。

 

 

「…………疑ってごめんなさい、イッセー。

 確かにナイア先生もあなたが朱乃といるところを見たと言っていたわ。

 だけどそうなるとおかしいのよ。私達も朱乃と行動を共にしていたし」

 

「ああ、それは途中までだが俺がグレモリー先輩の証人になれてしまう。

 俺がその点において嘘を吐くメリットも理由もない。

 いや、俺でなくとも祐斗や光実、アーシアさんやゼノヴィアさんが証人になれる。

 

 ……腑に落ちんが、今は兵藤も俺達も姫島先輩と行動を共にしていた。

 とするより他仕方ないな。グレモリー先輩。難しいかもしれませんが

 今後兵藤を呼び出す際には姫島先輩以外が行っては?

 またこんなおかしなことになりかねない」

 

俺の提案に、グレモリー先輩も黙って頷く。その方がいいだろ。

今回、何故か二人いる姫島先輩が呼び出したもんだから混乱の原因になったみたいだし。

 

……本物がどっちかを見つけ出すのも、重要になるって事か?

 

「……ふぅ。ちょっと疲れちゃったわ。さっきナイア先生に念話使ったことで

 私がこっちにいる……と言うか、部屋の外に出てるのがバレちゃったし。

 セージ、私達の部屋に来て肩もみなさい」

 

「お断りします。兵藤に頼めばいいでしょう。それに俺も疲れてるんだ」

 

グレモリー先輩の要求に対して、俺は秒で即答した。

相変わらず過剰なスキンシップを持ち出してくるな。肩もみがそうだとは……難しいところだが。

そしてそういうのは兵藤に…………

 

…………といつもの癖で言ってしまったが、こいつは確か…………

しかし一度発した言葉を飲み込むこともできないし、撤回するのも変な話になってしまう。

案の定、兵藤はやる気になっている。のだが。

 

「あら残念。ならいいわ。アーシアにでも頼むから」

 

「え……っ。そんなぁ~」

 

一瞬驚いた表情を見せた兵藤だが、すぐにいつもの調子に戻る。

触れないことに駄々をこねてる様子だが

お前、姫島先輩や紫藤に肩もみどころかもっと凄いことしておいて今更だぞ……?

あとグレモリー先輩。兵藤への当てつけか何か知りませんが俺を巻き込まないでくれ。

 

投げキスをして、俺達の部屋を後にするグレモリー先輩の背中を、俺達はただ見送った。

兵藤が部屋まで送ろうとしていたが、消灯時間後という事と

俺の監視から外れる事は認められない事と、まさかとは思うが送り狼になられても困るので

当然のことながら制止した。

 

「なあセージ。俺、部長に何か悪い事したか?」

 

「一番大きな心当たりはあるがな。言ったところでお前止めないだろ」

 

言うまでもない、俺も立ち会う羽目になった姫島先輩や紫藤との一件の事だ。

まさかと思うが、布袋芙先生まで……となると本当にこいつは

よくそんな態度でグレモリー先輩に対して気があるような素振りができるもんだ。

スケベとは思っていたが、よもやここまでとは思わなんだ。

 

……これ、グレモリー先輩は諦めた方がよくないか? 姫島先輩や紫藤とヤりまくっておいて

その上グレモリー先輩とヤるなんて、虫が良すぎるだろ。

ヤることを目的としないプラトニックなお話なんて、こいつにできるとは思えないし。

 

ま、だからって俺がグレモリー先輩と……なんて、世界が滅亡してもあり得ん話だが。

 

「け、けどそれは部長とのために!」

 

今思わず兵藤の顔面をグーでぶん殴ろうとした。

殴らなかった俺をマジで褒めてもらいたいもんだ。

流石に、これはグレモリー先輩が可哀想になってきた。

まさか他の女とヤることのダシにされてるなんて。

言って聞くとは思えないが、一応忠告だけはすることにした。

 

「それ本気で言ってるなら、考え直せ。お前は性欲満たすのに惚れた女をダシにするのか?

 そもそも、何で他の人とヤるのがグレモリー先輩のためになるんだよ。

 俺には理解できない発想だな。さて、さっきも言ったが俺も疲れてるんで寝るぞ。

 

 ……だが俺が寝たからって妙な気は起こすなよ?

 俺が席を外してる間の監視も頼んであるんだからな?」

 

「…………チッ」

 

なんだその舌打ち。こいつまさか、姫島先輩か紫藤辺りに

夜這いかけるつもりじゃなかったろうな?

警察の人にも監視は頼んでいるが、一応俺も目を光らせておいた方がいいかもしれない。

そう思いながら、俺は表面上は兵藤に背を向けて寝ることにした。




R-18部分の話がちらほら出てますね。
まだ投稿はしてませんが、案の定以前来なかった理由は……でしたし。

そして噛み合ってない話。やはり朱乃もシャドウが紛れ込んでるみたいですねえ。

>冒頭の三人
ペルソナ2より、東亜ディフェンスの口笛店主と
ピースダイナーのアルバイト(当時)、がってん寿司の板さん――ミッシェルの親父です。
やる気のないボーイとか罰ではリストラされたアニマムンディのマヌカンとかも
出そうと思いましたがだらだらしそうなので却下。

因みに口笛店主は二代目、時代劇口調の店員はバイトからチーフマネージャーに出世してます。

>合同学習会
忘れてるかもしれませんが、一応これが名目です。
ただ、学校にテロリストが来る~なんて妄想は多くの人がしたかと思います。
禍の団がテロリスト扱いなのも、そこからかもしれませんし。

……でもなんで、奴ら珠閒瑠市に来たんでしょうかね。

>リアス
イッセーとセージの間で揺れ動き始めてますが、セージに対してはまだ憎しみも抱いてます。
愛憎入り混じった感情、って奴です。

……イッセーがだらしなさすぎる、ってのが大きな要因かもしれませんが。

>イッセー
曰くホテルで朱乃といたらしいですが。何をしていたかはR-18のお話ですのでご容赦を。
彼にしてみればセージのポカで白音が誘拐された(?)ので怒るのもさもありなん。
相変わらず手が出るのが早いですが。

でも実は何気に、ナイアに忠告されたことあまり守れてないような……
ナイアの側も守らせる気は無いっぽいですけど。
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