ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン   作:赤土

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お待たせしました。
ちょっと最近モチベが上がりにくい状態です。
踝剥離骨折したり、虫歯が見つかったり、ニキビが悪化したりと
医療費がぽこじゃか発生する現状。


Will29. 学園のJOKER Bパート

――JOKER呪いをしたものはJOKERとなる――

 

 

かつて、珠閒瑠(すまる)市で流行したJOKER呪いにまつわる噂であるそうだ。

JOKERとは願いを叶える怪人であると言われているが

それと同時に連続殺人鬼であるとも言われていた。

JOKERに願いを叶えてもらった者は、JOKERと化してしまう。

荒唐無稽な話であったはずのそれは

過去珠閒瑠市において現実のものとして席巻していたらしい。

 

そして今、語られなくなって久しく、風化したはずのJOKER呪いは

JOKERの存在ごと珠閒瑠市において復活した。

 

 

 

七姉妹学園に、JOKERの狂った笑い声が木霊する。

俺がいる教室にも、現に目の前にJOKERとなった生徒がいる。

それだけじゃない。外からも、悲鳴に混じって狂った笑い声が聞こえてくる。

ギャスパーのいた教室と、この教室の現状からもしや、とは思ったが

他にもJOKERのいる教室はあるようだ。ならば、ここで時間はかけられない……のだが。

 

「ぼ、僕は……僕は…………!!」

 

「落ち着け祐斗、お前のせいじゃない。お前が手を下したわけじゃ……!」

 

JOKERの能力だろうか、祐斗がJOKERとなった生徒を取り押さえようとした矢先に

祐斗の近くにいた生徒が影響をもろに受けて、負傷したようだ。

とにかく、ここは祐斗と負傷した生徒を下げないと……

 

そうなると、分身を出すしかなさそうだ。

まさかJOKERを放置してぞろぞろ外に出るわけにもいかない。

外はまだナチスの軍勢がいるし、最悪JOKERと鉢合わせになる危険性だってある。

光実(みつざね)やギャスパーを呼ぶ? 無理だ。二人だってJOKERと戦ってる。

ゼノヴィアさんも同様の理由で呼べない。

薮田先生は外でアインストの相手だ。そもそも、先生が外でアインストを押さえてくれているから

俺達は校内でJOKERの相手に専念できるってのに。

 

そうなると、グレモリー先輩や姫島先輩、あと生徒会も呼べないだろう。

うまいことJOKERを押さえてくれることを祈るしかない。不安だけど。

 

と言うわけで、分身を出すしかない状況に追い込まれたわけだが……これも正直不安だ。

JOKERの強さがどれほどかわからないが、手抜きは出来ないし

外に出る俺は護衛をしながらナチスの軍勢と戦わなきゃならない。

その影響がこっちに出たら、最悪共倒れだ。逆もまた然りだが。

 

「……宮本君。君は戦えるんだよね?」

 

「え? ええ、でなきゃ飛び出したりしませんよ」

 

JOKERの動きに警戒する中、不意に若流(わかる)先生が話しかけてくる。

思わず素で返してしまったが、JOKERが空気読んでくれることを願うしかないな、こりゃ。

 

「じゃあ、宮本君は怪我した人たちを連れて保健室に行って。

 大丈夫、あの子も私の生徒だもん。話せばわかるって」

 

…………は? わかる~……わきゃないだろ!?

確かに安全に届けるには、俺がついていた方がいいかもしれないが

若流先生がJOKERを押さえるのか!? 無茶にも程がある!

 

「しかし先生! あれはどう見ても普通じゃないです!

 逃げるなら、全員一緒に……」

 

『セージ、お前も落ち着け。この人数を、しかも怪我人まで抱えていて

 無事保健室までたどり着けるか? でもって、保健室にこんだけの人数匿える余裕あるか?』

 

思わず感情的になっていたらしく、フリッケンに突っ込まれてしまう。

フリッケンの言う通り、ぞろぞろ移動すれば見つかりやすくなるし

保健室は大抵普通の教室より狭い。そうでなくとも、クラス全員を入れる想定はしてないだろう。

それに、考えてみれば同じことを考えている奴らとぶち当たったら共倒れだ。

 

(……ぐ、ならどうするフリッケン。外で戦うと薮田先生の邪魔になる。

 かと言って教室の中で戦うには手狭だし、他の生徒がパニック起こしかねない。

 祐斗でさえ、かなり危険な状態なんだ)

 

「てめえええええっ!! なに若流先生と親しげに話してるんだあああああ!!

 その役目は、俺の役目だああああああっ!!」

 

俺が若流先生と話しているのを見て、JOKERが激昂する。

この沸点、まるで……

 

「宮本君!」

 

「くっ!」

 

突っ込んでくるところまで同じかよ!

……ん? 待てよ? JOKERになったって言っても、本質は元のこいつのまま、か?

元のこいつを詳しく知らないが、もしかすると……

 

……いや、ダメだ! この状況で祐斗も戦えなくなって

若流先生巻き込むのはいくら何でもあんまりだ!

 

『何を企んだ?』

 

「……ろくでもないことだ、忘れてくれ。

 それより、何とかしてJOKERを黙らせないと……

 奴の能力の事を考えると、アモンに代わるべきかもしれんが……」

 

『この状況で俺が出るのは、周りの連中を怯えさせるだけだと思うがな』

 

その通りだ。豹変した生徒に、突然負傷したと思しき生徒。

そこで俺も豹変したら、JOKERを倒した後の事態の収拾がつかないだろう。

となれば、ここでアモンの力は使えない。

 

だが、そうなるとオールドメイドや妖刀(ムラマサ)の影響をもろに受ける神器で戦うことになるが……

恐らく、祐斗もJOKERを取り押さえる際に神器(セイクリッド・ギア)を使ったことで

異能を暴走させるオールドメイドの対象に引っかかってしまい

この事態を招いてしまったと考えられる。

 

つまり、迂闊に挑めば俺も二の轍を踏むことになる。

 

『アモンもダメ、神器もダメ、多分だが俺もダメ。となると……』

 

「流石に銃の携行は認められなかったが、こいつなら許可が下りた。

 これが俺でも使える程度には、治安が悪くなってるって事だよな……」

 

そう言って、俺は電磁警棒を取り出す。記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を用いた装備の実体化は

オールドメイドに引っかかる危険性があることを考えると使えない。

そうなると、神器に依らない装備の使用をしなければならない。

 

……仕方のないことかもしれないが、神器も、アモンも使えない俺って本当に……

 

『卑下する場面じゃないぞ。

 いくらマグネタイト補強があるっつったって、神器も悪魔の力も使えない

 ただの人間、それも丸腰なんてたかが知れて当然だ。

 そもそも人間は道具を使って生きてきた生物だろうが』

 

ご尤もだ。アモンの至極当然のツッコミに、俺は冷静さをいくらか取り戻せた。ありがとう。

人間の歴史は道具の歴史でもある。

人間から産まれた怪物が相手なら、人間らしい戦い方で取り押さえてやる!

 

『だが神器も、俺の力も迂闊に使えないって事は忘れるなよ』

 

「勿論だ――若流先生! 怪我人と、祐斗を教室の隅に!

 祐斗は大丈夫です、もう危害を加えません! もっと言えば、今の行動は事故です!

 俺がJOKERを取り押さえますので、先生はその間に救急車を!」

 

「…………うん、わかった! 木場君はともかく、怪我人でてるもんね!

 みんな、教室の後ろの方に下がって! 怪我した人は先生に任せて!」

 

救急車がこの状況で来てくれるかどうかはわからなかったが

それでも呼ばないわけにもいくまい。

がなり立てながら襲い掛かってくるJOKERを、電磁警棒で怯ませながら足止めする。

とにかく、何が何でもJOKERの足止めをする!

祐斗の分も、俺がやらなきゃならないんだ!

 

「さっきから本当にてめぇは……邪魔すんじゃねえええええええ!!」

 

「うっせぇ。こっちだってダチのお礼参り控えてるんだ……覚悟しろよ!」

 

JOKERの能力をこいつがどういう意図で行使したかはわからないし

さっきの叫びから察するにもしかしなくても兵藤の同類になりうるかもしれないが

それでも、祐斗の心に傷をつけて、ただでさえテロリストなんて噂が立っているあいつに

噂の裏付けにもなりかねない行動を、結果としてでも起こさせたんだ。

 

 

――殴る権利くらい、ダチとしてはあるだろう?

 

 

JOKER化しているという事もあってか、やはり身体能力は常人の比ではない。

そりゃあ、俺も最近松田や元浜と取っ組み合いの喧嘩なんかしてないし

兵藤は既に悪魔なので何の参考にもならない。

黒歌さんを振りほどくのにしたって、彼女だって妖怪だし。やはり参考にならない。

 

それでも、俺が痛感できる程度にはこいつはただの人間じゃなくなっている。

メカニズムはわからないし、今それを調べる暇なんか無い。

もっと言えば、検索のための起動でオールドメイドが発動したら、目も当てられない。

 

……ん? そうなると、迂闊に検索もできない相手と戦うって事になるというか

よくさっき無事に検索出来たな。

もしかすると、まだ俺はオールドメイドの対象になってないのか?

しかし、それでもちょっとのミスで周囲に被害が出ることを考えると

やはり迂闊に神器やフリッケンは使えない。そうなれば、取れる手段は当然これだけだ。

喧嘩はあまり得意では無いしいっそ苦手な部類だが、今回ばかりは甲次郎達に感謝すべきか。

 

「――っらあ!!」

 

「ぎゃはっ!?」

 

掴み合いになって膠着状態になったため、状況の打開のために俺は頭突きをかました。

軽く頭がくらくらするが、向こうも怯んだようだ。畳みかけるなら今か!

電磁警棒を握り直し、JOKERに突撃する最中、ポケットに入れていたスマホが震えだす。

 

『セージ! 電源切っとけ!』

 

「警察関係からの連絡ツールだから迂闊に切れないんだよ! ……ったく誰だこんな非常時に……

 はい宮本です、ただいま立て込んでおりますので、折り返し――」

 

JOKERを蹴り飛ばし、安全を確保してから電話に出る。

その電話口の声は、随分と久方ぶりの声だった。

 

『どもどもセージさん、お久しぶりです、バオクゥです! 一言……』

 

『今そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ。宮本成二、っつったな?

 話は周防から聞いてる。今から俺らも応援で校舎に突入するが……』

 

その久方ぶりの声の後ろから、聞きなれない男の声がした。

応援はありがたいが、今校庭を突っ切って校舎に入るのはマズいんじゃ?

 

「待ってください! 今校庭は危険です、裏から……」

 

『心配すんな。これでも数えきれねぇくらい修羅場は潜ってんだ。

 ドンパチに参加するならいざ知らず、校舎に入る位なら十分だ』

 

『そういうわけなので、もうちょこっと辛抱してもらっていいですか?』

 

ありがたい! 正直、今は援軍が欲しかったところだ!

校庭を突っ切ってこなければならないって懸念材料はあるにせよ

話に聞く限りだと二人は応援が来るって事か。

これなら、怪我人を保健室や、アーシアさんのいる体育館に運ぶこともできるかもしれない!

 

「応援は願ってもない話だ。現在、怪我人が複数、心神喪失者もいる。

 教師の引率で保健室と、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』持ちがいる体育館の二手で治療を行いたい。

 そこで、バオクゥ達には生徒たちの移動の安全確保をお願いしたい。

 敵――JOKERは、俺や他の戦える奴らで押さえておく。すまないけれど、頼む!」

 

『「JOKER」――か。最初聞いたときは、悪い冗談だと思ったが……本気らしいな。

 JOKERが関連してるなら、尚のこと俺も黙っちゃ見てられねぇな。

 うらら、遅れるなよ。アバオアクー、てめぇは避難経路を確保しとけ』

 

『了解ですっ!』

 

電話口の声は、後ろにいるであろう二人に指示を出していた。

何にせよ、これで心置きなくJOKERの対処ができる!

 

「ありがとうございます、えっと……」

 

『嵯峨……いや、「奴ら」が動いてるとなっちゃこう名乗った方がいいやな。

 「パオフゥ」。ま、覚えとかなくともいい名だ』

 

聞いたことがある。この人がバオクゥのお師匠さんで

周防警部らと一緒にニャルラトホテプと戦ったってペルソナ使いの人か!

これはかなり心強い援軍だ!

隔離されている以上、援軍は期待できないと思っていただけに心強い!

 

援軍が来る以上、全力でJOKERに注力していいだろう。

神器やらは使えないが、戦いようはある。

もっと言えば、神器を封じられての戦いを強いられたことなど別に今が初めてじゃない。

 

「若流先生、救助が来ます。俺があいつを鎮圧するので、その間生徒を頼みます!」

 

「おっけ~! さぁみんな、救助の人が来るまでの辛抱だからね!」

 

一連の俺達の行動に激昂するJOKERだが、その攻撃は精彩を欠いている。

まあ、いいカッコ見せようと思った相手に見事に拒絶されてるんだもんなあ。

わからんでもないが……

 

 

…………やることが、違うだろ!

 

 

苦し紛れに魔法を放ったようだが、それは効果を発揮することなく

俺の電磁警棒による攻撃をもろに浴びて、JOKERになった生徒は崩れ落ちた。

脈はあるので、殺してはないはずだが……まあ、勢い余ってってこともない、とは思うが。

崩れ落ちたJOKERを見て、生徒たちは歓喜の声を上げる。

こいつの事を考えると、俺としては素直に喜べないが……

けれど、命狙われてた以上その命を狙ってきた相手が動かなくなって安堵するのは当然の反応だ。

俺が妙なことに慣れ過ぎてるだけだ。

 

その後、怪我をした生徒らの応急処置などをしていると教室の扉が開き

金色スーツに丸サングラスのストレートヘアのおっさんと言う

何処をどう見たって堅気に見えない人が入ってきた。

 

 

ここに来てヤクザかマフィアの増援!? なんでこのタイミングで、しかもただの学校に来るんだよ!?

ここは駒王学園の生徒も来てるとは言っても、普通の人間の学校だろうが!

全く休まる余裕もないまま、入ってきた男に対し俺は警戒を解くことが出来なかった。




JOKERの能力はオールドメイドや一部魔法除けばおおよそ元の人間に左右されるのでは? とは睨んでます。
原典の方では言動も割と元のJOKERに引きずられている感じでしたけどね。
大なり小なり電波電波してた須藤以外のJOKERでしたが
拙作の彼の場合、日頃の妄想の時点で須藤の電波互換だったのでこんな形に。
須藤の電波も今風に言えば妄想の産物でしょうし。

割とあっさり負けちゃってますが、これは完全に場数の違い。
HSDD原作でいう所の英雄派構成員の役割をJOKERが担った部分はあったりします。
かなり初歩的な神器持ってた彼ら。拙作ではそのポジに曲がりなりにも中ボスクラスで
異能メタ張れるJOKERが来たりしてる時点で拙作らしいというか何というか。
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