誰も彼もにも言えることなんですが、後出しで「実は可哀想」やり過ぎで
キャラのぶれっぷりがどうにもならないレベルになってることが多いとは感じます。
まあ、だから開き直ってこういうの書いてたりするんですけど。
あ、因みにサブタイは「定義」って意味らしいです。
この山に珠閒瑠市を襲撃したテロリスト・
布陣していたのは禍の団の主要戦力を占めるアインストではなく
古代中国の英雄の末裔を自称する曹操が指揮を執っていた。
そんな彼らに同調するかのように、フューラー・アドルフ率いる一派も行動を共にする形で
この蝸牛山に部隊を展開させていた。
――彼らもまた、英雄派と呼ばれていた集団ではあるのだが――
蝸牛山山頂。
ここには特徴的なオブジェが設置されており、噂では
「珠閒瑠市の地下に眠る宇宙船・シバルバーの稼働の要となる遺跡カラコルの入り口」
等と言われてもいたが、所詮は噂でありそんなものは存在しない。
宇宙船にまつわる遺跡の入り口は存在しないが、テロリストの拠点はあった。
曹操らがいたころには簡易的なテントがあったに過ぎなかったが
フューラーが現れたことで、瞬く間に前線軍事基地が出来上がったのだ。
その前線基地に、曹操らも招かれていた。
「ようこそ、我が
「こちらこそ、我々の思想に賛同してくれたことを嬉しく思う。同志フューラー」
漢服を身に纏った少年と、ドイツの軍服を着固め
サングラスをつけたちょび髭の中年男性が対面する。
彼らの背後には、ローブの青年や仮面の女性が待機している。
それぞれ、英雄派の構成員であるゲオルクであり
フューラー直属の部隊である聖槍騎士団であった。
「では早速、情報の交換……と言いたいところだが、早速報せが来たようだな」
フューラーが外を見遣ると、模型程度の大きさの飛行機が飛来してくる。
主翼に
曹操と会談をする前に、部隊を展開した七姉妹学園等を偵察するために
部下に命じて発進させたものであろう。それが戻ってきたのだ。
控えていた聖槍騎士団の一人が左手を翳すと、飛行機はまるで着水するような挙動を見せながら
彼女の近くで動きを止める。
止まった飛行機を拾い上げながら、持ち戻った情報を読み取っているようだ。
「その飛行機は?」
「偵察だよ。広範囲に部隊を派遣していると、どうしても情報の把握は死活問題になるからな。
情報収集を怠り負けを喫した我が同盟国のような振る舞いは避けたいのでな」
曹操に解説するフューラーは、その一方で聖槍騎士団の報告を受けている。
その表情は一切何も変わることが無く、それが却って曹操はもとより
フューラーを、ナチスを危険視しているゲオルクの不安を煽っていた。
「……偵察では、なんと?」
「…………残念だが、悪い報せだ。我が方も部隊の7割近くを喪失。所謂全滅状態だ。
そして、諸君らのところの戦士二人が、討ち死にしたそうだ」
淡々としたフューラーの言葉に、曹操は驚きを隠せなかった。
つい先ほどまで、普通に言葉を交わしていた同志の死亡。
戦場であるのだから当たり前の事なのだが、それでも死と言うものは衝撃が大きかったようだ。
「ヘラクレスとジャンヌが……そんな馬鹿な! 彼らとてただの人間じゃない……!!」
この時、図らずも曹操は地雷を一つ踏み抜いてしまっていた。
英雄派は、神器や聖剣などの特異的な力こそ持っているが
身体――もっと言えば遺伝子的には人間である。
それなのに、「ただの」人間じゃない。
と、まるで一般人を見下すかのような物言いをしてしまっていたことだ。
そのことについては、ゲオルクも全く気付いていなかったが、フューラーは聞き逃さなかった。
とは言え、フューラーも選民思想を是とする思想の持ち主なので
そのことについて糾弾ないし指摘するように触れることは無かったが。
そして何より、フューラーはヘラクレスとジャンヌの顛末
――彼らがアインストへと変貌した事については、一切触れていなかった。
彼らの顛末は、人間が辿るべき道とは程遠い、異界の怪異そのものであったのにも関わらず、だ。
「……一体、誰にやられたのです?」
そんな中、ゲオルクは努めて冷静に、可能な限りの情報を得ようとしていた。
彼もまた、ヘラクレスやジャンヌが簡単にやられるはずがないと信じていたというのもある。
そして、その二人を倒したという事は相当の力の持ち主である。
曹操ならば勧誘も辞さないかもしれないが、ゲオルクはその相手が勧誘に応じなかった場合
場合によっては始末しなければ自分たちが危ない、と懸念していた。
「それを諸君らが知る必要はない」
しかし、フューラーはゲオルクの問いに一切答えることをせず。
結局、ヘラクレスとジャンヌを倒したのが誰なのか、を知ることは無かった。
秘密主義ともいえるフューラーの態度に、曹操は口を荒げた。
「しかし! こちらは同胞を二人も失った! そちらが部下を失ったように、我々も……!!」
情に訴える曹操の言葉だが、これはフューラーにとっては何一つ響きはしなかった。
と言うのも、フューラーやフューラー率いるラスト・バタリオンの兵士は
直属の聖槍騎士団はもとより、末端の一兵卒に至るまで出所不明の存在だったのだ。
つまり、部下がどれだけ倒されようともすぐに補充が効くし、もっと言えば消耗品扱いなのだ。
とは言え流石にコピーとは言え聖槍を持つ聖槍騎士団だけは補充が難しいのか
倒された後の補充はされていないが。
「それは痛ましいことね。だけど、勘違いしないで。
ここは戦場よ。戦場ならば、死は常に私達の傍に傅いている。
そして好機と見るや、死は私達を捕らえ、二度と離さない。
貴方の同胞は、死に魅入られたに過ぎないのよ」
興奮気味に話す曹操を宥めるように、聖槍騎士団の一人が仮面越しに抑揚のない声で語る。
これは死生観の違いに過ぎず、もっと言えばいくら戦い慣れしていたとしても
人間同士の戦いを碌に経験せず、もっと言えば従軍経験もなく、聖槍や仲間の英雄の力に頼り
本命ともいえる魔王らと戦う事もせずにいた曹操と
軍隊と言う性質上命の遣り取りが日常にあり、増してや当事者でないにせよ世界大戦に携わった
かの総統を思わせる人物に率いられた聖槍騎士団では、見えるものが違って当たり前だ。
「どんな綺麗な戦いを思い描いていたか知らんが、我々の戦いは根本からして違うという事だ」
聖槍騎士団のリーダーと思しき白い軍服の女性が、同じように淡々と語る。
そもそも、綺麗な戦争など存在しない。殺し合いに汚いこそあれど、綺麗は無いであろう。
それ位の事は、曹操もゲオルクも理解はしていた。
……ただ、自分がその当事者になるという事が頭から抜け落ちていただけなのだ。
英雄の戦い。それは怪異に支配される人類の解放を謳う、輝かしい英雄譚。
現在語られる英雄譚の大半は、そうした既に脚色された上で
人を奮い立たせるように彩られたに過ぎないものである。
「
勝者によって都合よく改竄されたものに過ぎんのだよ」
フューラーのこの言葉に対し、ゲオルクは「どの口が言うか!」と言いたげな目で
睨むように聞いていた。
ヨーロッパ系のゲオルクにとって、フューラーの率いる組織は許しがたいものなのだ。
もしリーダーが曹操で無かったとしたならば、すぐにでも一戦交えているところであろう。
……実際には、戦力差などの理由から現実的とは言い難いが。
「……それもそうだ。忠告痛み入る、同志フューラー。
確かにヘラクレスとジャンヌの事は残念だが、まだ我々には仲間がいる。
彼らと協力し、この世界を蝕む悪魔や怪物を撃退しなければな。
それが、英雄たる俺達の使命であり、英雄として殉じた彼らに対する手向けだ」
「……英雄、か。この私を英雄と讃えるか……クックック……
そして英雄として殉じた……か。真実を知った時の顔、見物だな」
曹操にしてみれば、純粋に新たな仲間への鼓舞のつもりだったのだろう。
だが、ゲオルクはやはりフューラーと言う存在を英雄としては認められないらしく
険しい目つきのままであり、そもそも当のフューラー自身でさえ
曹操の言葉に対し不敵な笑みを浮かべていた。
サングラスのお陰で表情は完全には読み取れないが、口元は確かに笑っている。
それが単純な喜びなのか、自嘲を交えた笑いなのか
はたまた曹操の無学を嘲笑っているのかまでは読み取れないが。
「時に
今この世界には、あらゆる人類の敵が渦巻いている。
アインスト、インベスと言った明らかな怪異の他にも天使・悪魔・堕天使と言った三大勢力。
そして、私にも正体の掴めない謎の建造物クロスゲート。
差し当たっては、何処から潰すつもりなのだ?」
そうなのだ。今この人間界には、敵が多すぎる。アインストやインベス、三大勢力もそうなのだが
そもそも論として、人間の敵は人間と言わんばかりに
人間そのものが人間界に牙を剥いているケースもあるのだ。
その一端を担っているのが、自分たちの所属する禍の団・英雄派と言うのだから
本当に皮肉極まりない。
だからなのか、曹操は言葉に詰まった。三大勢力は仮想敵だからいい。
アインストやインベスも、当初の予定とは狂ったがまだ想定の範囲内だ。
だが、クロスゲートだけは全く話が違う。ゲオルクらと協力して調査こそしていたものの
全く情報も資料も無い建造物を相手に、調査が捗るはずもなく。
明確に「人類に対し牙を剥くことがわかっているものの、手出しすることが出来ない」
と言う、厄介な代物なのだ。
実を言えば、曹操はフューラーに対しクロスゲートへの対応を期待していた部分もあった。
しかし、先ほど念を押されるように「クロスゲートの正体はわからない」
そう言われてしまっている。
曹操にしてみれば、当ての外れた部分が無きにしも非ず、だ。
責めこそしないものの、心の底では落胆があったのも事実である。
「クク、まああの
手出しできずとも気に病むことはあるまい」
「しかし! いつ怪物が現れるかもわからぬものを放置することなど!」
曹操はクロスゲートの危険性をフューラーに訴えるが、完全に聞き流されている。
だがこれに関してはフューラーの意見も間違っていると断言はできない。
何せ、クロスゲートに対し手の打ちようがないのだ。どうにもならないものなのだ。
「やけにあれに拘るな。英雄としての振る舞いならば、アインストやインベスを撃退し
人間に対し実害を与える三大勢力を撃退するのはおろか
もっと言えば、天道連やユグドラシルと言った人間の側のよくない者達に対し
民衆を守る抑止力となることで振舞う事でも達成できるぞ?
……いや、もっと言えば戦う必要すらない。
私は知っているぞ。戦わずとも、人の心の雛型となれるほどに功績を残した人間。
そう――『英雄』を」
英雄。その言葉に対して曹操は些か過剰に反応した。
しかし、フューラーの語る英雄と、曹操の思い描いていた英雄はかけ離れていたと言っていい。
曹操の思い描いていた英雄は、武力を以て人間を脅かす怪物を退治すること。
対して、フューラーの語った英雄は武力に依らず、行いで人の心にその存在を確立した存在。
どちらも正しいが、英雄と言う言葉の意味を考えれば、フューラーの方が正しいと言えよう。
「そうだ。何も人間は戦う必要などないのだ。戦いなど、出来るものがやればいい。
そして……そうして支持を集めた者が、民衆を導けばいい。
……曹操。君の語る英雄とは、まるでそういう風にも聞こえるぞ?
そしてそれは、かつて私が率いたかの組織と何ら変わることは無い……
……そうだな? ゲオルク?」
急に話を振られたことで、ゲオルクは目を見開いた。
しかも、まるで自身の心を見透かされているかのように。
そうなのだ。曹操の思い描いていたビジョンでは
自分達英雄派が人類の平和を守り、人類を守護するつもりだったのだ。
だがそれは、サーゼクスの掲げていたビジョンとほとんど変わらない。
先導者が悪魔か人間か、しか違わないのだ。
そしてそれは、フューラーに言わせば
「民衆は全てを決定してくれる絶対的な指導者を求めている」
とのことであり、その点においても曹操はサーゼクスとも、フューラーとも類似点があったのだ。
しかし、それに対して曹操以上に衝撃を受けた者がいた。ゲオルクだ。
「バカを言うな! 何故我々がナチス如きの後塵を拝さなければならないのだ!!
我々は貴様らのような独裁者とは違う!!!
人類の自由と平和を守るために蜂起した英雄だ!!!」
「クックック……そう取り繕うな。そもそも忘れている……いや目を背けているだけかもしれんが
かの総統も、そもそもは民主主義で誕生した存在なのだぞ?
民衆が望んだから、あの総統は生まれたのだぞ? 歴史の授業で学ばなかったのか?」
「黙れェェェェェェェッ!!!」
興奮のあまり、ゲオルクは絶霧を展開しフューラーを害しようとする。
しかし、その動作は曹操の傍に控えていたもう一人の青年によって阻害されたのだ。
「…………あ、アーサー!? と、止めないでください!!」
「……そうは行きません。今はまだ、あなたに死なれると困るんです。
この霧を制御できるのは、あなたしかいないんですよ。
なので、聖槍であなたを貫くこともできないのです。
ですので、大人しくしていてください」
アーサーの「
そして、この一連の流れは「アーサーは既に曹操ではなく、フューラーに協力している」
という事を証明するには決定的な出来事であったのだ。
「クッ……わ、我々が望んだから……あの悪魔のような男が生まれただと……
そもそもが……自業自得だったというのか……
そして我々も……あのナチスの同類だというのか……?」
「……クックック。いい眼をしてきたな
だが心配することは無い。ナチスは確かに民衆が望んだから生まれたが
諸君らは誰からも望まれていないではないか。
一体、誰が諸君らに英雄としての蜂起を望んだのだ?
いやそもそも、英雄とは人が認めて初めて英雄と認識されるものだ。
誰からも認められていない諸君らは、英雄ですらないではないか」
最初の友好的な態度が嘘のように、フューラーはゲオルクと曹操を煽り散らす。
ゲオルクの心が折れたと見るや、今度は曹操の心を折りにかかってきたとも言える。
畳みかけるように、フューラーの言葉は続いた。
「いや……私にはわかるぞお? 曹操、君は英雄になりたいのではない。
『誰かから認められたい』に過ぎないのだ。
だから正規の方法ではなく、外法を用いてまでテロリスト紛いの事をしたのだ。
その浅ましい承認欲求に他者の命を巻き込んで、英雄気取りは楽しかったか?」
「ふゅ、フューラー……あ、あなたは一体……!?」
いつの間にか、聖槍騎士団は一歩下がっている。
周囲には、アーサーに取り押さえられたゲオルクがいるだけだ。
「そう言えば、我らの同盟の証をまだ用意していなかったな。
余興として、こんなものを用意してみたぞ? そうら」
フューラーが手を翳すと、黒い球体が宙に浮かぶ。
黒い球体の中から浮かび上がるように現れたのは
くたびれた顔をした中国系の古ぼけた服に身を包んだ中年の男女。
顔つきは、どことなく曹操に似ていた。
「バカな……父さん……母さん……生きて、いたのか……!?」
多分次回は短いです。
>フューラー
今回のフューラーはその正体を考えればさもありなんと言う言動をしてますが
実際にヒトラーが現代人を揶揄するとしたらこういうことを言うのだろうか、とふと。
少なくとも、ヒトラーもナチスも選挙で生まれた存在に違いは無いはずですが。
……さて。実は今回、フューラーは他愛もないことですが嘘をついてます。
>偵察
いつの間に? と思われるかもしれませんが
情報収集だけなら、戦闘の影響の及ばない場所から収集するのが上策だと思うんです。
戦闘ではなく、情報収集が任務ですし。
挙動が元ネタの都合上仕方ないのですがヤマテラス様の零観に似てますが
全く関連性はありません。
>ヘラクレスとジャンヌ
数話前で触れた通り、英雄としての在り方を否定された上でアインストとして死亡。
ジャンヌだけ一応ジャンヌ・ダルクとしての死に方をしましたが、それが英雄らしいかどうかと言われると。
事実を知らないから英雄として殉じたとかカッコいいこと言ってますが
そもそも禍の団(英雄派が打倒を試みた異形の立てた組織)にいる時点で……
どう取り繕おうとも、この時点で人間やめた外道だと思うのです。
>ゲオルク
ドイツは言わずもがなですが、海外(特にヨーロッパ)のナチスタブーなんて
ある種の常識的な部分もあるでしょうから、こういう態度。
日本がかつての同盟国って事を抜きにしても大らかすぎる部分もあるかとは思いますが
果たして歴史にふたをすることが正しいのかどうか。
フューラーからもナチスタブーを意識した煽りをされちゃってます。
>聖槍騎士団
流石に表面上だけでも同盟相手に「愚か者」とはちょっと言えないので
遠回しに「愚か者、ここは戦場だ!」と言ってます。
ガワを作るよりも聖槍のコピー作る方がめんどくさいのか
触れている通り一般兵と違って欠員の補充はなされていません。
ロンギヌスコピー簡単に作れそうなんですけどね。
……だからダンケダンケ言うCV:小澤亜李やUボートなCV:茅野愛衣はいません。
リーダーのCV:早見沙織で我慢してください(何)
>曹操の両親
原作では死んだはずですし、拙作でも一応自殺したはずです。
なのに連れてこられた。
ペルソナ2罪のラストを意識した展開ですが、アレはあの場所だから出来たこととは思いますが
今回そこを無視してやっちゃってます。まあ、前線基地がそういう性質の強い場所という事で。