今回以降、リアスの立ち位置が少し変わるかもしれません。
没落を望む方には、ちょっと消化不良になるかもしれません。すみません。
(いや二次創作で救済するのにごめんなさいも変な話なのにあれこれは一体)
Will31. 眠れぬ夜のリアス Aパート
――気が付くと、俺はまた不思議な空間にいた。
星空が見えるあたりから、ベルベットルームでないことはすぐにわかった。
どちらかと言えば、フィレモンに会ったあの不思議な部屋に似ている。
……だがこの部屋、こんなに赤かったっけか?
――ディスは、間もなく目覚める。
突如、何処からともなく俺の耳に凄まじい不快感を伴わせながら
謎の声が囁きかけてきた。
声の主は見当たらない。
フィレモンに似ている声だが、こんなに心の奥底から不快感を催すような
声の主ではなかったはずだ。
――絶望を糧とする破壊、虚無から産まれる調和は捧げられた。
残るは、希望をも塗り替える創造――
なんの……話だ……?
俺の周りを漂っている負念は、確かに前よりかなり強くなっている。
このままでは、遠からず俺も負念に呑まれてしまうかもしれない。
だが、負念を集めてやろうとしていることがまともであろうはずがない。
――希望を捧げよ。さすれば、地上には永遠の安寧が約束されるであろう。
……断言できる。この声の主が誰かはわからないが
この声の主がやろうとしていることは碌なもんじゃない。
こんな訳の分からない話には――乗れない!!
「断る! 誰かの希望を、そんな風に踏み躙っていい訳が無いだろう!!」
――ククククク……希望を捧げるのは、何も貴様でなくともいい……
いや、そもそも貴様には、捧げられた絶望、無念、希望を集めてもらわねばならない。
この3つの感情が捧げられた時、この世界における審判の火は一等燃え盛り
その炎を迎え火に、冥府の死の神は目覚めるであろう。
こいつが言っているのは、ディーン・レヴであることはすぐに理解できた。
だが、この話が本当だとするとディーン・レヴの怨念吸収能力の本命は
こうして生贄のごとく捧げられた魂を集めることだっていうのか!?
俺は、なんだかわからない奴を復活させるための生贄の収集役にさせられていたのか!?
その果てに、冥府の死の神が目覚めるであろうことも、この声の主は織り込み済みで
なんなら、それこそが真の目的であるようにも思えてならない。
「そんなものを目覚めさせて、何をするつもりだ!」
――人間は、己に道を与え縋りつく対象さえあればいい。
その道を与える存在……「神」に反影を与え
より確実な存在として顕現させようというのだ。
貴様は知らぬであろうが、その神は古から統馭者として君臨し
人類に知恵を与え、そして……
ふと、俺の脳裏にかつてアモンが語った神の話が過ぎった。
教化の名の下に人間を支配し、かつての悪魔やデーモン族と戦いを繰り広げたとされる神。
もし、ここで語られている神が、その神の復活であるのならば……
……させるものか。
人間は、人間として、人間らしく生きてこそ人間だ。
それを悪魔だ天使だ堕天使だ神だ、そんな奴らに好き勝手される云われはない。
もし、俺が集めた、集めさせられた怨念が鍵で、俺が鍵を作る役割を担わされているのならば。
……敢えてその話に乗って、徹底的に神の復活を阻止してやる。
――ククククク。どれだけ足掻こうとも、統馭者の再臨は避けられぬ。
統馭者は、既に天界に鎮座しているのだ。
人間界に降り立つのも、最早時間の問題に過ぎぬ。
それでもなお人として生きたいと願うのならば、無駄な足掻きをするがいい。
人類には、絶対的な統馭者が不可欠なのだ。
それが古からの賢者たる神か、赤き龍の魔王のどちらかで、違いなどありはしない。
絶対的な存在が君臨し、平定することでのみ、人間には真の平和が約束されるのだ。
貴様がどれだけ足掻こうが、平定を拒む限りは貴様自身が望む平和からは遠ざかり
人間は永遠の闘争の炎に焼き尽くされることとなるぞ?
「ふざけるな! そんな平和が、まともな平和であるはずが無いだろう!!」
こいつの言っている事は、要はそのろくでもない神か
あるいは得体の知れない悪魔に隷属しろという事だ。
そんな世界がまともであるはずがない。
大体、楽園を謳う世界がまともであったためしがないのだ。
――なおも拒むか。だが気づいているか?
その未来への希望こそが、神を君臨させる要素の一つだという事に。
ククク……貴様は実にいい働きをしてくれる。
怨念を集め、そして自身もまた生贄としての資質を持つ。
真に人類のためを思うのならば、神を君臨させ世界を平定する礎となるのが
より確実な方法なのだがな。
……よかろう。それほどまでに生贄の役割を放棄するのならば
もう一つの、怨念の集積をやってもらうこととしよう。
貴様は、どちらか一つを必ず選ばなければならないのだ。
どちらも拒むという事は赦されんぞ。
だが後悔するなよ? 怨念を集めるという事は
その分貴様自身もその怨念に触れることになるのだからな。
その怨念に負けず、なおも希望を持ち続ける姿を私に見せるがいい。
待っている……待っているぞ。
ククク……フハハハハハハハッ!!
声が遠のくと同時に、赤い空間も薄れていき、俺の意識そのものも消えていった。
感覚としては確かに以前フィレモンのいた場所にいた時に近いものを感じたが
それ以上に、心を掻き毟るような不快感がついて回ったのが気がかりだった。
その不快感から解放されたと同時に、俺は――――再び、意識を手放した。
――――
A.M. 01:24
ホテル・プレアデス一室。
外は昏く、太陽が昇るまではまだ暫くかかりそうな時間。
とてつもなく嫌な夢を見ていた記憶はあるが、中身までは思い出せない。
その証拠に、肌着がやたらとべたついている。暑くはないのにだ。
隣のベッドで寝ている兵藤を起こさないように注意しながら、部屋のシャワーを浴びる。
こんなこともあろうかと余分に用意しておいた肌着が役に立ったか。
40度近くのお湯を顔から浴びながら、頭の中を整理する。
別に、夢の内容を整理するわけじゃない。そもそも、覚えていない。
ただ、言いようもないくらいに不快感を覚えた事だけは間違いない。
そして、恐らくそんな夢を見たのは俺が意識を失う前の出来事が原因だろう。
……そう、あれはニュースを見ていた時、祐斗からD×Dに関する情報が
ネットに流れていると伝えられて、その直後に周防警部から電話がかかってきて……
それから……
……ああ、そうだ。警部の電話を切った後に
物凄い悪寒が走って、それで気分が悪くなって……
……その先の事は、思い出せない。
つまり、そのタイミングでぶっ倒れたってわけか。
十中八九、ディーン・レヴのせいだろうが……
シャワーのお湯を止め、ディーンの火に意識を集中させる。
常時携帯している訳じゃない――こういう時なら猶更――のだが、意識を向けることで
ある程度の状況を把握することはできる。
……確かに、今までとは比べ物にならないくらいエネルギーを感じる。
今までもヴァーリとの戦いとかで余剰を放出したりしていたが
また余剰エネルギーが溢れ出している。
あまり垂れ流しにするのもよくないので、そういう場合は仕方なく自分の霊力に混ぜる。
要領としては白音さんの力の吸収と同じなのだが、彼女の暖かい気とは違って
やはりと言うべきか、怨念由来なので不快感が半端ない。
そもそも、霊体でいた時の経験で怨念の不快感は嫌って程理解しているのに。
……ま、だからこそ垂れ流しにできない事情もあるんだが。
「……誰のか知らんが、なんて怨念だ……」
間違いなく自分に悪影響が出るだろうなあ、と思いつつも処理しないわけにもいかないので
タオルで体を拭き、バスローブを羽織りながら怨念を制御する。
どうせここにいるのは寝ている兵藤だけなので、着込む必要は無かろう。
そうでなくても熱いシャワー浴びて体が熱いんだから、少し冷まさないと。
冷蔵庫にしまっておいたお茶を飲み干しながら、頭を冷やす。
頃合いを見て、肌着を着直すが……目がさえてしまった。困った。
しかし、兵藤の言っては何だがマヌケ面を見ながら何をしないでもいるのもなあ……
仕方ない。警察の人に相談して、部屋の外で張ってもらって少し外を歩くか。
夜風にあたってまた目が覚めそうな気もするが、ここでじっとしてるのも何か落ち着かない。
そう考え、俺は軽装で部屋を後にすることにした。
……一応、消灯過ぎているので先生には見つからないように。
――――
ホテル・プレアデス
エレベーター前ロビー。
自動販売機でお茶の補充をした後で、降りるべくエレベーターを待っていると
見慣れた赤い髪がやってくる。兵藤の相手をしなくていいと思ったら
まさかこっちの相手をすることになるのか?
……まあ、睡眠導入にはある意味いいのかもしれないが。
「セージ。もう消灯時間はとっくに過ぎているわよ。
そうでなくとも、あなたは人間でしょう? 悪魔の私と違って、この時間の行動は体に毒よ?」
「眠りたいし、兵藤の監視もあるのでおっしゃる通りなんですがね。
生憎と、目が冴えてしまいましてな。それならばといっそ鳴海区のパトロールでもしようかと」
パトロール。別に口から出まかせでもない。
JOKERがホテルに襲撃してこないとも限らないし、アインストならば猶更だ。
夜中の交戦は言われていないが、常識的に考えて学生たる自分の役目ではない。
だがやるなとも言われていないので、パトロール中に出くわしたのなら別に戦ってもいいだろう。
出くわさないに越したことは無いが。
「じゃ、私も付き合うわ。別にいいでしょ?」
「……消灯時間じゃなかったんですか」
チッ。やっぱりついてくるつもりか。大方、暇つぶしなり気分転換に外に出ようとしたところで
俺と出くわして、そのまんま……って魂胆だろう。
今回、俺はあんたに提供できるものは何にもないがな。
エレベーターで地上に降りた後はフロントから出られないので、裏口からホテルを後にする。
個人的にはここにあるという「天樹理化学研究所」って施設がちょっと気になっていた。
天樹って名前通り、聞いた話じゃユグドラシルが運営している施設らしく
人を集めているって情報も耳にしている。
もしかして……と思い、実は今回のパトロールはここを重点的に調べるつもりだったのだ。
だが、グレモリー先輩が来たことでご破算になっちまったが。
流石に、グレモリー先輩を連れて物凄い怪しい事をするわけにもいかない。
俺がやろうとしていたのはユグドラシルに真っ向から喧嘩を売りかねない所業だったし。
そうでなくとも、グレモリー先輩は沢芽市のユグドラシルタワーでテロ行為を働いた……
……と、報道されている。そんな人(悪魔)を連れてとあっては、尚の事だ。
と言うか、グレモリー先輩ほど潜入に向かない人材はいないだろ。
俺一人なら忍び込む位は
良くも悪くも派手派手しいグレモリー先輩がいたら、そうも行かない。
特に、今は霧の影響かクロスゲートの影響かは知らんが認識阻害魔法が効いてないし。
「それとも、セージ一人で行きたいところでもあったのかしら? えっちな本とか」
「……兵藤と一緒にしないでくれ。一人で行きたいところはあったけど
別に今でなくてもいい。要らん騒ぎは起こしたくないし」
今の兵藤がエロ本如きで満足できるかどうかは知らん。
だが、エロ本探しに夜中に出歩いていると思われるのはいくら何でも心外だ。
……ただ、今でなくてもいい、ってのはちょっと言い過ぎかもしれない。
そう都合よく珠閒瑠市に来られる保証はないし、もし本当にここに姉さんがいたとしたら……
ユグドラシルが、きちんと真っ当に試薬モニターやってくれることを願うしかないんだが
何分
……ただそれこそ、俺一人が殴り込んで姉さんを助けられる保証もないんだよなあ。
あんなのが徒党を組んできたら、いくらなんでも辛い。
救出に行ってるんだから、アキシオン・バスターなんて使ったら
何しに行ってるんだかわかったもんじゃないし。
「……それより、何で俺と一緒に?」
「夜道を歩くんですもの。ボディガードの一人や二人は必要でしょ?」
要らんだろ、と思いながらもJOKERやアインストの事を考えると
一概にそうとも言えないと思い直す。
それに、返り討ちに遭うのは火を見るよりも明らかでも
やはりJOKERやアインストとは全く違う意味でのよくない奴に出くわさない保証はない。
と言うか寧ろ、そっちの方が実際に出くわした時に面倒だろう。
そう言うのを引き寄せやすい見た目はしてるんだし。
しかも下手すりゃそっちの商売の人に見えそうなくらいに私服だし。俺も私服だが。
……だが、これじゃまるで……
「あなたも私服で都合がよかったわ。まるでデートみたいね」
言うな。言わないでくれ。考えないようにしていたのに。
別に兵藤に悪いという気はさらさら無いが
だからって俺がグレモリー先輩と付き合うかと言われたら、それは全く話が違う。
そもそも、今俺は寝付けないから外を歩いているのであって
攫われた白音さんはもとより、家においてきた黒歌さんの事だって気がかりだ。
そんな彼女らを置いておいてデートなんてもってのほかだ。
「……あのですな。そう言う冗談に乗れる気分でもないんですがね」
俺の一言に、グレモリー先輩もはっとした顔を浮かべていた。
言われなきゃわからなかったのかよ。楽観が過ぎるだろ。
ただ、俺のこの一言が切欠で空気が気まずくなってしまい
以後会話が交わされることが殆どなかったが
まあある意味、都合がよかったのかもしれない。騒ぐような時間でもないし。
黙っていると、移動の主導権はどうやら俺にあったらしく
気付いたら、天樹理化学研究所の前にいた。
一応、地図で場所だけは把握していたが……
入るつもりは無かったのに、足だけ無意識に向かっていたのか。
夜の帳の下りた空の下に、物々しい壁に覆われた建物を見上げる形で
俺達は、図らずもユグドラシルの施設の前に立っていた。
かねてからリアス変化の兆しはあったんですが、今回以降少し加速します。
救済かどうかは、まだ言えませんがね。
>赤い部屋
とうとうあっちの方に呼ばれたセージ。
別にここで如何こうするつもりは無く、セージを生贄にしようと勧誘しただけです。
勿論突っぱねられましたが。
生贄で復活するものと、天界にいる神気取り。
これらの関連をご存じの方はここで声の主が何しでかそうとしてるのかを察したかと思われますが……
まあ、この話も全体で見ると終盤ですからね。
クロスオーバー物の恒例行事ラスボスラッシュの布石ってとこでしょうか。
>イッセー
そりゃ四六時中ヤってるわけではないので。
寝るのは自分の部屋にしておかないと色々面倒ですからね。
>リアス
朱乃絡みが解決した(?)矢先にもう一つのもやもやの原因と遭遇。
やっぱりどこかセージをイッセーの同類と見ている節がありますが
これに関しては原作で「男なんてどれも同じ」って見てる節もありますし。
あと、女の武器の威力はきちんと把握しています。セージには神経逆なでする結果になってるだけで。
セージどころかイッセーにも言えることなんですが、白音攫われたのにパッと見気楽だな……
>天樹理化学研究所
こちらペルソナ2罰で南条が所有していた理学研究所の現在のすがた。
あの事件の後南条が手放し、ユグドラシルが買い取って使っているって設定。
ユグドラシルの試薬モニターと言う、セージにとってはかなり……な伏線の回収。
リアスと出くわしていなかったら、忍び込んでいたのでしょうけれど
エンカウントしてしまったため諦めてます。これが吉と出るか凶と出るか。
セージはD×D6人目、リアスはユグドラシルタワー爆破犯人と報道されてますので
ユグドラシルの施設相手に下手なことはできませんし。