今回、あとがきにも一部本編が入り込んでます。
――アラヤ神社・鳥居前。
境内のクロスゲートが稼働しているせいか、神社境内への立ち入りは制限されており
警察だけでなく神仏同盟の監視役も来ていた。
我ながらとんでもない場所を集合場所に指定したが、ここが一番近くてわかりやすいんだよなあ。
他に目立つ場所と言えば七姉妹学園の校門前とかあるが、ちょっと距離あるし。
アーシアさんらを運んだパトカーは既に他の現場に向かったらしく
この辺りには降りたアーシアさんとギャスパーだけが佇んでいる。
ローズアタッカーは元々ロックシードなので、携行にも便利なんだろう。
俺のマシンキャバリアーも似たようなもんだが。
やはり道中のアレが原因か、到着したのは俺達が最後だった。
「お待ちしてましたよ、セージさん」
「すまない、途中で事故りかけてな」
「だ、大丈夫ですかセージさん!? 怪我とかは……」
心配するアーシアさんに怪我はしてない、と返しながら周囲を見渡すと
やはりJOKER騒動の影響か、あまり人はいないし
神社の境内はそもそも所謂バリケードテープがされているため、入ることが出来ない。
そりゃ特権使えば入れることは入れるだろうが、今入る理由が無いだろう。
……だが、そんな中で一人怪しげな男を見かけた。
年のほどは俺達よりも少し上位か。男性にしては長めで明るめの茶色い髪と
白いジャケットに黒の上下と言ういでたちの男。
纏っている雰囲気から、俺はこの男がこの世界の人間じゃない。
そう思えてならなかった。何故かはわからないが。
『あいつは……!!』
『知ってるのか、ピンクの』
男を見た瞬間、フリッケンが反応を示すがそれが何なのかは当人にもわかっていないようだった。
だが、マゼンタのフリッケンに対応するかのように
男の手には一瞬、シアン色の銃が握られているように見えた。
……次に見た時には、そんなものは見当たらなかったので見間違いだったかもしれないが。
だが、それが本当に見間違いかどうかはともかくとして、この男はやはり只者では無いという事を
すぐに思い知ることになった。
いつの間にか俺の目の前に立っていたと思えば、こっちの目を見て開口一番
「……成る程。それがこの世界での君の役割か」
俺に向かって話しているのだろうけれど、俺ではない何者か
――思い当たるのはフリッケンかアモンしかいないが――に
話しかけている風にも思えた。初見でそれを見破ったとするならば、確かに只者では無い。
「本当なら、この世界にもお宝はあったんだろうけれど……
性質の悪いことに、誰かがお宝をダメにしちゃったみたいだからね。
腐ったお宝は、申し訳ないけど頂くのはご遠慮願いたいところだしね。
そんなわけで、僕としてはお宝が無い以上この世界に留まる理由が無いんだけど……
君がいるとなれば話は別だ。君のいるところ僕あり。
今回はお宝は二の次で、君に関わる事に優先して首を突っ込ませてもらおうかな。
……じゃ、また会おう」
要領を得ないことを言い残して、男は俺達の前から去っていった。
その歩いて行った方角は、事もあろうに岩戸山の方角であった。
「……今の人、誰か知ってます?」
バオクゥが俺達に問いかけるが、当然誰一人としてあの男の事を知らない。
だが、俺は全く知らないわけでもなかった。
……かつて、次元の狭間で遭遇した
後のフリッケンである――に酷似したものを、さっきの男から感じとったのだ。
証拠に乏しいが、フリッケンのオリジナルか、或いはそれに連なるものだろうか。
男の正体はわからないが、岩戸山に向かったという事は出くわす可能性があるという事か。
「……ま、まさか! さっきの奴が小猫ちゃんを攫った犯人じゃないだろうな!?
なんかお宝とか言ってたし、泥棒っぽい雰囲気もしてたぞ!
それにイケメンだし!」
「……俺達が追ってる犯人は泥棒じゃなくて誘拐犯だろ。
まあ、白音さんの身柄を『盗んだ』ってんじゃそう外れても無い表現だとは思うが。
…………ん? どうしたフリッケン?」
『泥棒……そうだ、間違いない! 思い出したぞ! あいつは……』
赤龍帝と白龍皇の力を行使する上で不必要だったのか
自分が「世界を破壊するものと呼ばれていた」以外の自身の記憶は
碌に思い出さなかったフリッケンが突如として声を上げ
一部の記憶が戻った事を公言していた。
そして、その後で語られた名前は俺達の全く知らない名前であった。
――
その名に不吉なものを感じるが、俺達のやることが変わるわけではない。
俺達は、白音さんを助けるべく岩戸山へとその足を進めるのだった。
たとえそのディエンドとやらが犯人だとしても、今の俺達に必要なのは
犯人の撃退ではなく、白音さんの安全の確保だ。
そのためにヒーラーとして貴重なアーシアさんにこっちに来てもらったんだ。
最悪、俺達が来た途端白音さんを害する可能性だってある。
俺達を呼ぶっていう目的を果たした時点で、人質は用済みになるのだから。
手紙や不足気味とはいえ状況証拠から犯人の目的は
「俺達――特に俺と兵藤を呼び出す」と言う一点に集中していると見ていいだろう。
そうなれば、白音さんは言うなれば釣り餌だ。
獲物が食いついた時点で、釣り餌に価値は無くなる。
最悪の事態を考慮して、俺はアーシアさんに来てもらった。本人も乗り気なのでそこは助かった。
誘拐事件で人質の負傷など、一番あってはならない事態なのだから。
――――
岩戸山・洞窟前
当初の予定通り、バオクゥにはここに待機してもらう。
落盤の危険性を考えれば、洞窟の中ではバオクゥは満足に戦えないだろう。光実も怪しいが。
一番危なっかしいのは兵藤だが、こいつは連れて行かないわけにもいかない。
「それじゃ、私は予定通りここで退路を確保しておきますね。
セージさんもですけど、光実さんも取材させていただきたいので
ちゃんとそろって帰ってきてくださいよ?」
初対面の俺に対してもそうだったし、兵藤に塩対応なのはああだったから
むべなるかな、ってとこだが。やけに光実に対してもバオクゥはフレンドリーな対応だった。
移動中に何かあったのか、単純な好奇心でつい聞いてしまった。
「……光実、なんかあったのか?」
「大したことじゃないですよ。彼女、こっちで
そのことについて問い質したら……」
「使用料を踏み倒された挙句に、追加で請求されたって訳か」
「人聞きの悪い事言わないでくださいよセージさん!」
苗字勝手に名乗ってたのか。そりゃ、悪魔名で人間界で行動するのは中々に厳しいしな。
シトリー先輩だって一応支取蒼那って名乗ってるし、悪魔じゃないが薮田先生も言わずもがな。
大日如来様は芸名って側面もあるから同列に考えていいかどうかはちと、わからんが。
そのことを考えたらグレモリー先輩はなんなんだって気もしてくる。
とは言え、ここは
「そもそも、僕の一存で取材は応えられませんよ。
僕個人ならともかく、ユグドラシル絡みの事はそれこそ兄さんに聞いてもらわないと。
それに、一応僕も指名手配されてるんですから
取材を受けるつもりは……」
そりゃそうだ。ユグドラシルが素直に取材に応じるとは思えない。
それどころか、取材結果を捻じ曲げる位は普通にやってのけそうだし、あの企業。
「とほほ……やっぱ無理ですか」
「相手が悪いと思うぞ。光実について聞く前に、ユグドラシルについて軽く調べたらどうだ?
悪いが、俺も今それを喋ってる暇は無いが」
肩を落としながら、俺達を見送る準備を進めるバオクゥ。
言っちゃ悪いが、ここまで来た以上は先に進むしかない。
ここに白音さんがいるのは確定ではないし、この距離ではまだレーダーで捉えられない。
洞窟内部でレーダーが使えなかったらどっちみちアウトではあるが。
「そうだ。中に入る前にこれを渡しておかないと」
おもむろに、バオクゥは鞄の中から紙の筒を寄越してくる。
何かと思って広げてみると、どうやら地図のようであった。
「この先の洞窟の地図です。天野編集長――昔お師匠様やうららさん達と
一緒に事件解決に向かった人なんですけど、その人から地図の写しを預かりまして。
中で落盤とか起きてなければ、きっと役に立つと思いますよ」
「それは助かる、ありがとう」
パオフゥさんと一緒……って事は、周防警部とも一緒に行動していたって事か。
それは確かに信用できる……ってか、その時にもここに立ち寄る必要性があったって事なのか。
何が目的で立ち寄ったのかまではわからないし、今それは重要な情報じゃないが
こうして地図があるってだけでも捜索はかなりやりやすくなるはずだ。
ふと、兵藤を見るとやはり神妙な顔をしていた。
そこまでしてここに入りたくない理由……もしかして、鏡の泉か?
「兵藤。確かに俺の調べではここにある鏡の泉ってのは人の心を映し出すらしい。
だが、この中に白音さんがいるかもしれないんだ。
心を暴かれていい気がしないのはわかるが、行かないわけにはいかないだろう」
「それもあるけどよ……や、なんでもねえ。
それより、てめえこそ心に疚しい物抱えてねえだろうな?」
…………ぐっ!!
こ、こいつ……時々こうして核心を突いてきやがる。
だがこのタイミングは最悪と言うより他ない。
こいつにだけは言われたくは無いが、全くのでたらめを言われている訳でもないのだ。
「…………心に疚しい物を抱えていない奴なんか、そうそういないだろ。
もしかすると犯人は、そこまで踏まえて精神攻撃の一環で
俺達をここに呼び出したのかもしれないし。
いい加減、腹をくくって中に入るぞ」
後ろで「アーシアにも疚しいところはあるのかよ!?」って言っているが
言っちゃなんだが、アーシアさんとて例外ではないと思っている。疚しさの多寡はあれども。
まるで聖人君子か不可侵の聖域のようにアーシアさんを扱うのって
それアーシアさんの昔やられてたことの再現にも思えるがね。
それが嫌でアーシアさんは悪魔になった――と、解釈することにした――ってのに
自分を悪魔にする切欠の一人であろう奴が、まるで聖人君子のような扱いをするってのは
どうにもやるせないものを感じるがね、俺は。
鬼が出るか蛇が出るか。その言葉通りにしかならない現状ではあるが
俺達は、意を決して洞窟の中へと足を進めるのだった。
――下り坂の両端に立てられた松明と言う、明らかに人の手の入った洞窟の中に。
セージ達が洞窟に入った少し後。
見張りをしているバオクゥの前に、黒いボディにバーコードを思わせる鎧。
そして、身体や頭部に走るシアンのアクセント。
謎の存在が、バオクゥの前に立ちはだかった。
「…………何者ですか?」
「そうだな……強いて言うなれば『通りすがりの仮面ライダー』ってところかな」
バオクゥに立ちはだかるものは、シアンの銃を構え、マゼンタ色のカードを銃にセットする。
「君に恨みは無いが、君に洞窟の中に入られると厄介だからね。
暫く、こいつと遊んでいたまえ。
なに、一人で退屈そうだから暇つぶしの相手を呼んでおこうかと思ってね」
「……余計なお世話ですよ!」
バオクゥが砲台を構えるのと同時に、シアンの銃の引鉄が引かれた。
KAMENRIDE-SNIPE
SIMULATION GAMER!!
〈スクランブルだ! 出撃発進
バンバンシミュレーションズ 発進!〉
光と共に召喚されたのは、紺色のボディにバオクゥと同じような砲台を全身に装備し
頭には白い軍帽を被ったようなデフォルメされたような赤い目に
蛍光グリーンの垂れた前髪を思わせる装飾。
それは、ある世界でこう呼ばれていた。
――仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマーレベル50。
――――
はい。と言うわけでディエンドでした。
しかもジオウ以降のネオディエンド。劇中2号ライダーしか召喚してないので
3号のスナイプは際どいところではありますがネオディケイドライバーが完全上位互換なのに
ネオディエンドライバーが相互互換(全ライダー召喚できるけどキバの世界までと、多分ゼロワンの世界まで召喚できるだろうけど2号ライダーだけ)というのも
考えにくいと思いまして、思い切って3号ライダー召喚。
……決してバオクゥとスナイプレベル50で艦これやりたかったわけではありません。
重巡と戦艦でちょっと分が悪いですけどね。
>ディエンド
珠閒瑠市は隔離されてるはずですが、こいつはこいつでオーロラカーテンに準ずる能力持っててもおかしくないし
なんなら珠閒瑠市が隔離される前から潜入してたって線もありうるし。
当初(本作構想時)登場予定には全く無かったので完全なライブ感で出した存在。
いくらセージにツッコミを入れる役とは言え、あまりやるとライダー大戦になっちゃうので扱いには気をつけたいところ。
ただでさえ……なところではありますが。
(ただ、この作品自体がハイスクールD×Dの二次創作と言うよりかは同級生のゴーストの続編としての意識の方が赤土的には強かったり)
この世界で狙うはずだったお宝は言及していませんが
「その世界にとって重要な役割を果たすもの」が大体海東が狙ってるお宝で
それが「ダメになった」と言及しているあたり、そのお宝は……
そしてそのお陰でヤンホモが本格参戦しそうなフラグ立ててしまっていたり。
>バオクゥ
元ネタは艦これでは現状重巡における神風型・睦月型枠なのに
戦艦クラスとガチバトルさせられそうな事態に。
なお持ってきていた地図は天野編集長――すなわち舞耶姉が昔マッピングしたもの。
ラディーンさんの依頼は超貴重な愚者のカードが貰えることもあってか果たしていたことになりますが
そうでなくともメガテン主人公ならマッピングはするよね……と。
>アーシア
イッセーの彼女に対する態度(特に序盤)ですが、これ昔アーシアがやられて
さらに掌返された、聖女ないし聖域扱いに近い物を感じるのは気のせいですかね。
やれ「アーシアには危険だから」「アーシアがそんなことをするはずがない」ってのは
昔教会のクソがやってくれたことと何が違うんですかね。
そもそも一人の人間としてアーシア見てたのと違うのか、と。
アーシアに限った話でもないんですが、イッセーって釣った魚に餌を本当にあげてないような……
キャッチアンドリリースするかその日のうちに捌くならともかく
餌やらなきゃ魚は普通に飢えるんですがね。捌いて食うにしても感謝の念は忘れちゃいけません。