前編と後編で分けると言ったな……あれは裏だ!
ということで中編です!
流石、オーナーが選ぶだけあって技術はもちろん、キチンと気持ちのこもったいいサウンドが耳を突き抜け、脳へと届く。
「凄いですね!先輩!」
「ああ、そうだな」
楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものであっという間に最後のバンドになってしまった。確か…最後のトリはグリグリだったはず。まだ来てないのか……?
「あれ?次はグリグリでしたよね?」
「そのはずだ」
これまでに出てきたバンドたちがまた演奏を始めた。……時間稼ぎか。
「香澄、有咲。ちょっと待ってろ」
「え?」
「ったく、悠。早く行ってこい」
「おう」
ステージ裏に行くとみんな慌ただしく動いていた。花も今、こっちに来ていた。
「オーナー」
「なんだ、アンタかい?どうしたんだ?」
「ギターはある?」
「……なるほどね。ダメだ、と言いたいところだが正直、助かるね」
「そいつはどうも。花…、花園たえも借りていいですか?」
「わかった。ただ、もって数分だけだ。それ以上は……」
「わかってる。じゃあ、やりきってくるよ」
「任せたよ」
数分か……。多分それだけじゃ間に合いそうにないな。しかし俺たちにできるのは祈ることだけだ。
「花、いけるか?」
「もちろん、悠は?」
「俺が聞いたんだからいけるに決まってんだろ」
「あ、そうだった」
「じゃ、いくか」
「うん、せーの」
「「夢を撃ち抜け!!」
ステージに立つ。観客たちの動揺した顔が見える。当てられたライトが少し眩しい。でも、そんなことよりも…花と二人でステージに立てたことが凄く嬉しい。
さぁ、やりますか。
「おい、盛り上がってるか!!」
おおー!!!
「まだまだいけるよな!!」
おおー!!!
「ギターしかいねぇけど、全力で行くぜ!聴いてくれ、『God knows』!」
正直、指がつりそうだ。たが、隣にいる花は平然と弾いていて少し悔しい。それにしてもギタボはだいぶしんどいな。普段やらない分、難しく感じる。そして最後にまた出てくる早弾き。やっぱり指がつりそうだった。なんとか乗り越え、最後の音を弾ききった。
拍手と歓声が上がる。
「ストップ!」
俺の声と同時に拍手と歓声が止む。
「次の曲に行くぜ。次の曲は俺とコイツの憧れの人から教えてもらった曲だ。まだ歌詞はねぇが聴いてくれ。『BanG_ Dream!』」
歌詞もない。そして本当は曲名すらなかった。ただ俺が即興で付けた名前。この曲は元はアコギの曲だ。それを俺がエレキでも弾けるように少しアレンジした……バレたら怒られるかな?
「いくぞ、花」
「ギターと私は一緒……うん、いける」
ギターだけで奏でられるサウンド。この曲は静かめなロックだ。物足りないなんて言わせねぇ。
気付けば最後まで弾ききっていた。今の気分は最高にロックだ。
そして本当の最後。
俺と花はギターをライフルのように構えて撃ち抜く動作をしながら言った。
「「夢を撃ち抜け!!」」
そう言った途端、会場が今日で1番沸き立った。まるで歓声と拍手の嵐だ。
「ありがとう!お前らも最高にロックだぜ!!」
「ロックだぜ!!」
会場を盛り上げたままステージを降りた。
ステージ裏に戻った俺たちに待っていたのは、まだグリグリは到着していないという悲しい現実だった。
「無理だったのか……」
「これ以上は客を待たせられないよ。今日のライブはもう終わりだ」
「ちょっと待ってください!私がやります!」
「香澄!?」
「お願いします!私にやらせてください!」
「ダメだね、素人なんてとてもじゃないが上げられない」
「っ!……それでも私は!」
「オーナー、やらせてやってくれ」
「悠、アンタは素人にステージに立たせていいとおもってるのかい?」
「思っちゃいない。だが、コイツなら話は別だ。聴けばわかるさ……星のカリスマだよ、コイツは」
「はぁー……。わかったよ、好きにしな」
「あ、ありがとうございます!!行ってきます!」
香澄は物凄い勢いでステージに向かった。
さてと、まずは説明すべきかな。
「アイツはさっきも言った通り星のカリスマだ。ステージに立てば一気に変わる。聴くものたちを惹きつけるカリスマ性がある。まるでスターのような星のような、そんな奴だ」
「アンタが言ってた見込みのある奴ってアイツのことだったのかい」
「まぁ、そういうことだ」
「そうかい。なら私のやる最後の仕事、星のカリスマを本物にすることに決めた」
「……やりきれるか?」
「愚問だね。やりきるに決まってる。この依頼、任されたよ」
「……ありがとう」
香澄、見せてくれ。かつて見せてくれた星々の輝きを……ホシノコドウを。