友希那と紗夜の2人と一緒に演奏した数日後。
〈学校の中庭〉
「あら?そこのあなた、いい笑顔ね!」
「へ?……あ、弦巻さん」
『花咲川の異空間』こと、弦巻こころに絡まれた。ちなみにこの二つ名(?)は俺が付けたんじゃないからな。……ホント誰が言い出したんだろ?
「私は弦巻こころよ!あなたは?」
「如月、如月悠。2年だ」
「年上なのね!あら?あなた、背が低いのね」
「お前もそんなに高くないだろ…」
「でも私の方が高いわよ?」
「そーだな……」
「そんなことよりも私、今笑顔になれることを探しているの。何か知らないかしら?」
「お前が好きなことよりすれば良いんじゃないか?」
「私だけじゃなくてみんなを…世界を笑顔にしたいの!」
「そ、そうか…」
「ええ!何をやって笑顔になっていたのかしら?」
「音楽…バンドで演奏して、笑顔になっていたんだと…思う」
「音楽…バンド…。そうね!教えてくれてありがとう!私、頑張るわ!」
「おう、またな」
「また会いましょう!」
なんか…やらかしたかもしれないな。それにしても「みんなを笑顔に」か。弦巻ならやれそうな気がしてならない。
この時、俺はとてつもない異色バンドが生まれるキッカケになってしまったことに気づくことはなかった。
〈放課後〉
「今日は真っ直ぐ帰ろうかな」
校門を出て家に帰ろうとしたが……。
「あ、悠くーん!一緒にゲーセン行こうよ!」
なんでもできる天才ちゃんに捕まってしまった。
逃げても直ぐに追いつかれるのは目に見えているから諦めて一緒にゲーセンに行くことにした。
「悠君ってさ、お姉ちゃんがギター弾いてることは知ってるよね?」
「まぁな、一緒に演奏もしたし」
「良いなー!……アタシさ、ギター始めるんだ」
「ギターを?」
「うん、お姉ちゃんと同じことがしたくて」
「今までもそうだったもんな」
「うん、でもお姉ちゃんはアタシが始めると直ぐに辞めちゃうんだ…。ねぇ、悠君」
「ん?」
「今度こそは大丈夫だよね?……一緒にできるよね?」
「多分な。紗夜ってさ…結構、負けず嫌いなんだよ。だから……」
「……うん」
なんだかゲーセンに行く気分じゃなくなった。それにしても日菜も少しずつ変わってきている。
「あはは、ゲーセンに行く気分じゃなくなっちゃった」
「じゃあ帰るか」
「うん」
それにしてもギターか。どうして急に?
「あ、悠君」
「何?」
「アタシ、アイドルになるんだ」
「へー、アイドルか」
アイドル、アイドルかー。……は?
「アイドル!?」
「うん、アイドル」
「…ギターは?」
「ギターもやるよ?」
「……アイドルバンド?」
「そうだよ!アイドルってるんってくるよね」
「そ、そうか」
アイドルバンドか……。あれ?千聖も最近アイドルバンドの話が来たって言ってたような…、彩も言ってたし。
まさかな……。
「悠君、じゃあねー!」
「あ、ああ。またな」
なんか最近、色々ありすぎじゃないか?