ナティシア ー平凡幼女はハードモードな世界を生きるー   作:かげはし

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第四章 水龍神国内部戦線
51話 ドラゴンは語る


 

 

 

 

 

 

『昔々の話をしよう』

 

 

 え、急になんだよ気持ち悪いな。

 

 

『いいや、少し考えていてな……このままでは貴様はいずれ奴と会うであろう?』

 

 

 奴って誰だよ?

 ……まさか、勇者のことか?

 

 

『ああそうだ。奴と接触するならすぐさま防御と反撃は忘れるなよ。奴ならば必ず貴様を見た瞬間攻撃してくるであろうからな。狙うなら金的だ。それか顔面を狙え』

 

 

 はぁ? なんでそう断言するんだよ。

 いやまあ俺マジで喧嘩売るつもりだけどさ。マリーにしやがったことを2倍返しにでもしてやろうって思っているけどさ。

 というかなんでそんなに殺意が増し増しなんだ?

 

 

『うむ。できるのならボッコボコのフルボッコにしてほしいからだ。あのシスターの塵屑のようにでも良いぞ』

 

 

 いやなんでそんなノリ良いんだよ。人間だったら絶対にサムズアップでもしていただろ。

 ってかなんか性格変わってねえか?

 ものすっげー気持ち悪いぞ?

 

 

『……仕方あるまい。私と繋がりのある貴様が奴と会うのだからな。おそらく無事では済まさぬであろうよ』

 

 

 ねえ止めて? なんかフラグ立てるの止めて?

 これ死亡フラグ入ってねえよな?

 おれ生まれてからずっと死亡フラグ立てまくっているけど、まだ修復できる範囲だよな?

 

『いいや今回は難しいだろうな……なんせ奴はあの()()()()()()()()()()()()()鹿()であるからなぁ』

 

 

 ……は?

 ごめん、凄く聞きたくなかった言葉が聞こえたんだけど。もう一回聞かせて。

 えっと、勇者が何だって?

 

 

『何故私が貴様の言うことを聞かねばならないのだ?』

 

 

 くっそこういう時だけひねくれやがって!

 ってかやっぱ聞き違いじゃねーな! 女神って何だよ。勇者が堕ちた女神に憑かれたって何だよ!

 

 

『ふははっ。だから昔々の話をしようといっているんだ。私の話をきちんと聞けこの馬鹿者』

 

 

 えええここで冒頭に戻しますかねぇ!?

 

 

『さて、昔々。そこには三つの卵があった。その卵は純白に輝く綺麗な色をしていたそうだ』

 

 

 しかも俺に何の反応もなく始めやがったし!

 ってか卵ってなんだよ。女神の話じゃなかったのか?

 

 

『良いから聞け。卵は三つ大事に育てられていた。だがある日、卵を見ていた■■が間違えて三つともどこかへ落としてしまった。卵はとても繊細で、■■にいないと死んでしまう性質を持っていた』

 

 ノイズが聞こえてわかんねー部分があるのがもどかしいな。

 いやでも、なんか先が読めてきたわ。

 

 

『卵はすぐに一つ見つかった。それはまだ純白だった。それより少し時間をかけて、もう一つの卵も見つけた。だが時間をかけた方の卵は半分だけ黒く染まってしまったそうだ。次にそれよりもっと時間をかけて見つけた卵は、真っ黒に染まっていたそうだ』

 

 

 あーそういうことか!

 つまり、その真っ黒の卵が堕ちた女神であって、そいつに憑りつかれた被害者が勇者ってことだな!

 

 

『そうなるな。そして勇者もその昔話に出てくる登場人物ではあるがな』

 

 はっ?

 ええっと……間違えて三つとも卵を落としたどじっこのことか?

 

 

『フハハハハハッ!!!』

 

 

 笑ってごまかしてんじゃねーぞ! ここまできたならちゃんと話せよ!

 

 

『いつかは分かると思うが……まあ良い。話してやろう。先程の昔々の話は今より神代の時代。まだ世界が複数に分かれ力を持った生き物が人とモンスターに分かれる前の世界のことだ』

 

 

 いやちょっと待っていきなり挫折したんだが。斜め上の急ハンドルをきられたんだが。

 神代……つまり、道具を使わないと力を制御できなかった時代ってことか?

 

 

 

『ああ。その時の私は――――――宝玉の力のせいで全てを奪われた被害者であった』

 

 

 ……え?

 

 

『聞くがいい。愚かな人間よ。人はどのような生き物にも変化する。人が私のようになることだってある。堕ちた女神もまた人であったこともある。女神は私を知っている。勇者は私を知っている。分裂した世界を一つに正した愚かで愛しい女を私は知っている。

 

 ―――貴様は、()()()()()鹿()()()()()()()()()()()()。アルメリア』

 

 

 いやえっと……。ちょっと待って思考が追いつかない。

 なんか名前を呼ばれたの初めてな気がするぐらい新鮮なんだけど! ちょっと待ってくれよ!?

 なあ、どういうことだ?

 

 宝玉が、人を変えた。三つの卵のうち真っ黒な卵にいた女神が人であったっていってた。そしてお前が被害者って……

 

 いや待て。

 なあ、もしかしてだけどさ。

 ―――――お前、もしかして元人間か?

 

 

『……そろそろ時間だ。目覚めよ。そして勇者に会え』

 

 

 いやおい! まだ話は終わってねえぞ!

 

 

『奴に会えば分かるだろう。私との繋がりはもはや断ち切れぬ。そろそろ一つに結ばれるであろうからな』

 

 

 

 まただ。

 なんでこう、嫌な時に目覚めるんだろうか。

 でもこれは絶対に覚えていないといけない。思い出さないといけない。

 

 

 なのに何で、夢の記憶は曖昧に忘れてしまうんだろうか……ああくそ!

 お前をいつか絶対にぶん殴ってやるかな!

 

 

 

『フハハハハッ! ああいいだろうやってみよ! ただの小娘がこの私に向けてぶん殴るという偉業ができるのであればの話だがな!!』

 

 

 

 こんな時にだけ調子を取り戻すんじゃねえよ馬鹿野郎!!

 

 

 

 

 

 

 

 

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