魔法科世界に禁書魔術で挑みます!   作:Natrium

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第二話

 1

 

「るんるーん!」

 

桜が舞う校門前に、声変わり前の少年の声が響く。

黒髪青目のその少年が身に纏っているのは、第一高校の制服だ。

身長はおよそ130センチ。高校の入学式に向かっている人間にしては小さすぎるが、それも当然のことだろう。

彼の肉体年齢は十歳。普通なら小学校に通っている年齢だが、彼の場合は異なる。

特別入学者選抜試験。

飛び級(・・・)で高校へ入学する人間に対して行われる、特殊な入学試験である。

義務教育で腐らせておくには勿体ない、と判断されるほどの才能を持つ者のみが突破を許される。

 

「るんるんらんらー‼」

 

一般的な高校であればその例外が存在しているのだが、第一高校を含む『国立魔法大学付属高校』では滅多に見られない。

近年新たに考案されたシステムであり、母数が少ないという理由もあるが、やはり並大抵の実力では突破できないのであろう。

 

「るんるー……あれ?」

 

ふと、少年——牧原(まきはら)(ゆかり)が首をかしげる。

どうやら視界の中に、興味深いものを見つけたようだった。

 

「……あなたはだあれ?」

 

 

目の前で甲高い声が響き、達也はスクリーン型の端末から顔を上げる。

 

「っ、小学生? いや、特別入学者か」

「そうだよー……お兄ちゃんは何しているの? もう会場は開いてるよー」

「……そうか、もうそんな時間か。ああ、俺は司波達也だ」

「牧原縁だよー。よろしくね、達也お兄ちゃん」

 

そう言って、右腕を差し出す牧原。

対して達也は若干苦笑いを作りながら、

 

「こちらこそよろしく頼む。だが、お兄ちゃんは止めてくれ。これでも同じ一年生だ」

「んー? でもお兄ちゃんはお兄ちゃんだから……むー」

 

小さな顎に指を置き、首をひねる牧原。

その様子を見て達也は早々に諦めた。

 

(とても実力者には見えないが……。人は見かけに寄らないという事か)

「……まぁ、達也でも何でも好きに呼んでくれ」

「なら達也お兄ちゃんね! それで、お兄ちゃんはここで何していたの?」

「少し、早く着きすぎたからな。開場の時間まで読書を——ん?」

 

牧原の後ろから近づいてくる女性が一人。

気配に気づいたのか、振り返った牧原に微笑ましい表情を向けて、

 

「新入生ですね? 開場の時間は過ぎていますよ」

「……お姉ちゃんは?」

「ふふ、生徒会長の七草真由美よ。『ななくさ』と書いて『さえぐさ』と読むから、覚えておいてね?」

「僕は牧原縁だよー。よろしくね、真由美お姉ちゃん!」

「こちらこそよろしくね、牧原くん」

そう言って、今度は達也の方に顔を向けた。

「俺——いえ、自分は司波達也です」

「司波達也君……そう、あなた達が……」

 

彼女は一拍の間をおいて、

 

「先生方の間では、貴方の噂で持ちきりよ。……入学試験、七教科平均、百点満点中九十六点。特に圧巻だったのは魔法理論と魔法工学。合格者の平均点七十点に満たないのに、両教科とも小論文を含めて文句なしの満点。前代未聞の高得点だって」

 

「……ペーパーテストの成績です。情報システムの中だけの話ですよ」

 

「少なくとも私には真似できないわよ? 私ってこう見えて理論系も結構上なんだけどね。学試験と同じ問題を出されても、同じような点数はきっと取れないだろうなぁ」

 

もっとも、と。

 

「それはあなたにも言えることだけどね。牧原くん?」

「?」

 

「一般入試のテストとは異なるから、一概には比較できないけど……。七教科の平均点は九十四点。理数系や魔法理論、それに魔法工学の点数が満点だったのが大きいわね。文系科目は比較的に弱かったけど……合格基準を優に超えているわ。よく頑張ったね」

 

「……数多おじさんや、唯一お姉ちゃんが導いてくれたからねー。科学技術の延長線にある魔法を解析できなくて、何が『木原』かァー‼ っていうのが『木原』らしいので!」

 

「木原?」

 

疑問を呈した真由美だったが、本人に答えるつもりは無いらしい。

或いは、天然特有の謎思考回路に基づくものなのか。

そして、その回路のどこに結び付いたのか、牧原が口を開く。

 

「でも、お姉ちゃんは生徒会長さんなんだよね? 急がなくてもいいの?」

 

「……それもそうね。二人とも、交友を深めるのは良いけれど、遅れないように気を付けなさいよ」

 

「リハーサルですか?」

 

「ええ。それじゃあね、二人とも」

 

それだけ言い残して真由美は立ち去った。

残された二人は呟く。

 

「……行こうか、牧原」

「れっつごー、だね?」

 

 

(……未だに慣れないな、この口調……)

 

達也と別れて講堂の最前列に座り、僕は内心で毒づいた。

深雪の演説をBGMにして、今までの経緯を振り返る。

 

始めて自我を取り戻したのは、一歳と半年が経った頃だった。

転生特典を受け取ったものの、イマイチ効果の相性が悪い。ここが何処の世界であろうと、それは流石に不味かろう。

そう考えて試行錯誤を繰り返していた。平和なラブコメ世界の可能性もあるが、人理が焼却される世界の可能性もある。緊急時に能力を有効活用できないとなると、かなり大変なことになる。

そのため、テレビのニュースの情報から、魔法科高校の劣等生の世界であると認識した時は、少しばかり安心した。

アニメは三話で切ってしまったが、主人公最強系の頂点として、ネットで話題になっていたのをよく覚えている。

だから、主人公の近くにいれば安心だろうけど……、慢心は駄目だな。折角チートも貰ったことだし、能動的に動かないと。

 

(もっとも、口調の固定は予想外だったが……)

 

獲得した能力の影響によるのか、言葉に出して話そうとすると自動的に口調が調整されてしまうのだ。子供らしく演技する必要がないのは便利だが、大人になってもそれが続くとなれば憂鬱だ。そんなことは無いと言い切りたいが……。

最悪、海原の思考を常時トレースしておけば問題ないだろう。アイツは敬語しか使わないからな。

 

閑話休題(今はそんなこと関係ないでしょう‼)

 

記憶の中の駄女神を207万回程爆殺(妖精化)しながら、僕は思考を続ける。

円周ちゃんの能力に関してうれしい誤算があったのだ。

原作の円周ちゃんは魔術関連の知識をトレースしようとすると昏倒してしまうが、今の僕にはそれが無かったのだ。

恐らくは、僕が魔術の内容を理解できたから。脳に叩きこまれた世界の記憶の中には当然、魔術に関する知識も含まれている。

それにより、拒絶反応が起きなかったのであろう。

現に、ステイルのルーン魔術も、土御門の陰陽術も問題なく発動できている。

 

(『黄金』クラスの魔術の発動も、リソースは喰うが問題なく使えた。神話レベルの魔術だ、間違いなく生き残れる)

 

さて、どんな事件が巻き起こるのかは知らないけど、転生者として第二の人生を楽しまないと損だしね!

思いっきり満喫しますか!




主人公の外見は、女装すれば円周ちゃんに見える程度の女顔。男の娘と男の子の中間くらいのイメージ。別にどちらか片方だけで想像していただいても結構ですが。

戦闘中の口調について

  • トレース先の禁書キャラそのままに
  • トレース中でも円周ちゃんらしく
  • どっちも見たい
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