魔法科世界に禁書魔術で挑みます!   作:Natrium

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今更ですが主人公の名前の由来を。

牧原……当初は『木原』の予定だったが、安直すぎるという理由から却下。雰囲気だけ残した。

縁……円周ちゃんの名前より、読みの繋がりで決定。円=縁→ゆかり ちなみに、円周=ふち→縁という、意味の繋がりもある。


第三話

 

「あっ、達也お兄ちゃん! こんなところに集まって何してるのー? 誰かと待ち合わせ?」

 

牧原縁は、校庭の傍にいた集団に向けて駆け寄っていく。

 

「……お兄ちゃん? 達也、お前の弟か?」

「えっ、司波くん弟もいるの⁉ でも、第一高校の制服を……コスプレ?」

「それなんだが……」

 

達也は一息ついて告げた。

 

「彼はれっきとした高校生だよ。それも、一高の特別入試を突破するほどの才能を持った、ね」

「っ、あの試験って実質、形骸化してるって話じゃ……」

「へぇ、そりゃすげーな。凄い天才がいたもんだぜ……」

 

驚嘆の声を漏らす二人の下に歩み寄り、牧原は口を開いた。

 

「初めましてお姉ちゃん。牧原縁だよー。あ、お兄ちゃんもよろしく」

「千葉エリカよ、よろしくね牧原くん」

「俺は西城レオンハルトだ。レオでいいぞ」

「じゃあ、レオお兄ちゃんで! お姉ちゃんも、エリカお姉ちゃんでいい?」

「ええ、いいわよ」

 

二人に自己紹介を終えた牧原は、もう一人の少女の下に向かった。

その様子を見ながら、エリカが話を始める。

 

「ってことは、この子は司波くんの弟じゃなくて……」

「ああ、そう呼ばれているだけだ。血のつながりは無いよ」

「なーる。結構人懐っこい子だもんな」

 

ふと見ると、美月の呼び方も『美月お姉ちゃん』で固定されたようだ。

初めは恥ずかしさからか、お姉ちゃん呼びをやんわりと断っていたが、しばらくの攻防の後に突破されたらしい。やはり内気な性格が災いしたか。

そこに。

 

「お兄様っ‼」

 

若い少女の声が響いた。この場合、同じ()という言葉であるが、込められた意味は異なる。

 

「お待たせしてしまって申し訳ありません」

「いいんだ深雪。さて、早く帰ろうか」

 

達也の下に駆け寄ってきたのは、司波深雪。牧原とは違い、血がつながった正真正銘の妹である。

しかし、そこにもう一人、生徒が現れた。

深雪と共に歩いてきた、一年A組の女子生徒である。

 

「深雪さん、ちょっといいかしら?」

 

 

「いい加減に諦めたらどうなんですか? 深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。他人が口を挟むことじゃないでしょう」

 

事態は思わぬ方向へ展開していた。

先の女子生徒が、深雪と帰ろうとした達也に難癖を付けたのが発端であった、が。

その理不尽な行動に、意外なことに、美月が最初に切れたのだ。

道理も彼女の方にある。しかし、差別意識に塗れた人間は、それに真っ向から反発した。

 

「うるさい! 他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな‼」

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが今の時点でどれだけ優れているというんですかっ?」

 

大声を張り上げたわけではなかったが、美月の声は校庭に響いた。

売り言葉に買い言葉だった。口論はさらに白熱し、収拾がつかなくなる。

 

「……どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」

「ハッ、おもしれえ! 是非とも教えてもらおうじゃねぇか」

 

一科生の威嚇とも最後通牒とも取れるセリフに、レオが挑発的な大声で応じる。

事態は交戦の流れに向かっている。しかし、それを止めることは誰にもできなかった。

 

「いいだろう、だったら教えてやる!」

 

リーダー格の少年——森崎駿が、特化型CADの銃口をレオに突き付ける。

 

「これが——才能の差だ‼」

「っ、ぉぉぉおおァァァッッッ‼‼」

 

その引き金が容赦なく引かれるのを見たレオは、地面を強く蹴り、森崎へ接近を試みる。

魔法が発動する前に倒してしまおう、という算段であった。

しかし。

 

疾ッッッ‼‼‼ と。

懐まで踏み込んだ千葉エリカが、伸縮警棒を森崎のCADに叩きつk

いや。

いいや‼

 

「ケンカは駄目だよ、二人とも‼」

 

あいだに割り込むソプラノボイスが一つ。

彼の小さな両腕は、各々が持つ武器へと真っ直ぐに伸び——

 

 

ビシッッッ‼ と。

鈍い打撃音が、校庭にいる全員の鼓膜を振動させた。

 

 

「…………………………………………、」

 

(あー、やっべぇ全力でミスったな。やべぇマジで恥ずかしいわ、もー)

 

華麗に割り込んで、二人の武器を掴んで止めようとしたのだが、どうやら失敗したようだ。

森崎は棒立ち状態だったため、手首を捻ってCADを落とすことができた。しかし、エリカの警棒を掴み取ることは叶わず、標的との間に割り込んだ僕の腕に、そのまま命中していたのだ。

 

騎士団長なら大丈夫かな? と、楽観視したのが不味かった。

この技術は実践では使えない。覚えている人間の方が稀有だろう。

強いて言うならオッレルス…………。

そうだオッレルスがいたよ、ちくしょう。

デンマークで同じことやってたじゃねぇか。

 

まあ、どんな理由があれ、流石にコレはダサい。

格好つけて割り込んだくせに受け損なってしまうとは。

取り敢えず僕は、咳払いをして誤魔化し、

 

「森崎お兄ちゃん、危ない魔法は使っちゃ駄目だよ!」

「ちょっ、おま、なんで⁉」

「自衛以外での対人攻撃は犯罪行為なんだよ‼ 分かってるの?」

「お、おう。そ、そうだったか……すまん」

 

予想外なことに、森崎からは素直な返事が返ってきた。

……あんなに熱くなっていたのに、何か裏があるに違いない。

よもや子供の意見だからと言って、聞き流しているのではあるまいな?

 

「真面目に聞いて‼ ほんとに分かってるの⁉」

「っ、分かった、分かったから。俺のことはいいから、さっさと保健室に行け!」

「……保健室? 良く分からないけど話を逸らさないで!」

 

保健室がどうした。子供はお昼寝でもしていろと言いたいのか。

しかし、次に森崎が放った言葉は、僕にとって予想外なものであった。

 

「……おい? 痛くねぇのかよ⁉ 腕だよ、お前の右腕‼」

「へ? 右腕?」

 

思わず間抜けな声が出てしまった。

しかし、右腕か……。

あれ?

 

(そうだよ右手で受けようとした警棒、全力で外しちゃってるじゃないですか! やだー!)

 

道理で周囲から困惑の声が聞こえるわけだ。

男子小学生が、高校生の本気の一撃を腕に受けて、泣き叫ばない筈がない。仮に我慢できても、涙目になったりするものだ。

それなのに僕は、堂々と正面から説教を始めた。まるで何もなかったかのように、だ。

困惑するのも当然であろう。

 

ん?

ならば何故、痛みにのたうち回らなかったのかって?

 

……………………………………………。

 

ちゃうねん、ホント違うねん。

チキンとか一切してないし。

騎士団長をトレースしていたのは、あくまでも体術のためだし‼

べ、別に、ソーロルム(ゼロに)なんかしてないからな‼

 

「ゃ、ぁぅぁぅ……」

 

謎の言い訳を脳内で繰り返していると、後ろから空気が漏れるような音がした。

振り返ってみると、全身を小刻みに震えさせているエリカがいた。

控えめに言って凄く可愛い。小動物みたいだ。

 

「……お姉ちゃ

「っ………、縁くん‼ ごめんね大丈夫だった? ううん、大丈夫じゃないよね。すぐに保健室に連れていってあげるから」

 

声を掛けると共に再起動したエリカが、一気にまくし立てる。

本気で子供を叩いてしまったからか、罪悪感のメーターが振り切れ、変なスイッチが入っていた。

 

「だ、大丈夫だよ。エリカお姉

「大丈夫な訳ないでしょう‼ 誤魔化さなくていいから。痛いなら、素直に痛いと言いなさい!」

「こ、硬化魔法で防いだから大丈夫だよ……」

 

流石に気まずくなって、苦し紛れの言い訳をする。

しかし、通じた様子はなかった。

 

「嘘よ、私見てない」

「集中していたからじゃない? 凄く真剣だったし」

「……でも」

「大丈夫、痛くないから、ね?」

「……、」

「ホントに大丈夫だから、心配しなくていいよ」

「……本当に?」

「うん。だから、エリカお姉ちゃんが気に病むことはないよ」

「………そう、良かった」

 

ふう、何とか誤魔化せたかな?

皆、あの二人に注目していたし、多分誰も見ていないから大丈夫でしょ。

空間把握能力を持ってる人がいれば別だけど……。

 

 

 

……マズイな、達也なら持ってそうだ。

まぁ、妹の敵に回らなければ大丈夫でしょ。

別に悪いことを隠してるわけじゃないし、探られても特に問題は無い。

 

そう考えた僕は、さりげなく観察してくる達也の視線には、気付かなかったことにした。

戦闘中の口調について

  • トレース先の禁書キャラそのままに
  • トレース中でも円周ちゃんらしく
  • どっちも見たい
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