魔法科世界に禁書魔術で挑みます!   作:Natrium

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評価ありがとうございます^ ^



第六話

1

 

 

 初っ端から爆弾発言であった。

 

「昨日、二年の壬生をカフェで言葉責めにしたというのは本当かい?」

 

 深雪が作った弁当を、早めに食べ終えていたのは正解だった、と達也は思った。

 危うく粗相をしてしまうところだったのだ。

 達也はそういった恨みも込めて、オフェンスに移る。

 

「先輩も淑女なのですから、『言葉責め』などという、はしたない言葉は使わない方が良いのでは?」

「……あたしのことを淑女扱いしてくれるのは、達也君くらいのものだよ」

 

「そうなんですか? 自分の恋人をレディとして扱わないなんて、先輩の彼氏はあまり紳士的な方ではないようですね」

「そんなことはない! シュウは……」

 

 手痛い反撃を受け、自滅してしまう摩利。

 その場の沈黙を破ったのは、十代——否、十歳のソプラノボイスだった。

 

「へー。摩利お姉ちゃんって、彼氏さんがいるんだー。知らなかったなあ」

「……ッッッ‼⁉」

 

 直後、真っ赤に染まった。

 何が? 凛とした、風紀委員長のすまし顔が、だ。

 

「これを天然でやっているんだから……子供って恐ろしいわね」

「……会長、あまり人のことは言えないのでは? もっとも会長も、同じく魔の手に掛かっているようですが」

「ふぇ⁉ か、掛かってないわよ‼」

 

 外野が何やら言ってるが、改めて突き付けられた羞恥に悶えている摩利には関係が無かった。

 悪い流れを断ち切るために、咳払いをした彼女は告げる。

 

「……そ、それで、剣道部の壬生を言葉責めにしたというのは本当かい?」

 

 なかったことにしてはいけない。

 世界を漂流した転生者は、小さな頭でそう考えた。

 しかし、何も起きなかったかのように話は進む。

 

「……そんな事実はありませんよ」

「おや、そうかい? 壬生が顔を真っ赤にして恥じらっているところを目撃した者がいるんだが——

 

「お兄様……?」

 

 その呟きを聞いた者は全員、背筋が凍るような錯覚を受けた。

 

「一体何をされていらっしゃったのかしら?」

 

 いや違う。これ物理的な奴だ。

 深雪の周囲から靄(もや)のようなものが漂っているのを見て、すぐさま主張を一転させる一同。

 

「落ち着け深雪。後でちゃんと説明するから」

「……っ、申し訳ありません」

 

「そうだよ、深雪お姉ちゃん。達也お兄ちゃんはそんなことしてないよお?」

 

 そのとき、偶然カフェで休憩していた牧原が、口を開いた。

 予想外の援護射撃に感謝した達也であったが、現実は非情だった。

 

「ただ、紗耶香お姉ちゃんのことを誉めてるだけで、言葉責め? なんてことはしてなかったよー」

 

 その発言を聞いた真由美と摩利の顔が、不気味に歪んだのを見て、嫌な予感が駆け巡る。

 

「ふーん、そっかそっかー。縁くん、その場で見ていたんだねぇ」

「良ければ達也くんが昨日、壬生にどんな誉め方をしていたのか、聞かせてくれないか?」

 

 残念なことに、長年の訓練で鍛えられた感は、こんな状況でも裏切らなかった。

 純粋な(正確には純粋という皮を被った)子供が素直に答えるのも、時間の問題だ。

 達也に残された時間はおよそ数秒。対策を立てることすらできなかった。

 

「えーとね、確か……美人さん? とか、容姿を誉めてた気がするよー。紳士さんだねえ?」

 

 一撃。

 一撃で達也のお仕置きルートが確定した。

 それも、先日のお仕置きの比ではないほどの、強烈なものが予想される。

 だが、話はまだ続いていた。

 

「あっ、違う違う。剣道小町……、美少女……。ううん、そうじゃない。ええと、剣道美人でもなくて……。そうだ、剣道美少女って言ってたんだ……ッ‼」

 

 あまりにも容赦のない死体蹴りであった。

 実際には『剣道美少女』しか言っていないのだが、余計な言葉が追加されたせいで、一層際立(きわだ)ってしまっている。

 

「……達也くんって、結構肉食だったのね。お姉さん知らなかったわ」

「確かに『言葉責め』ではないな、これは完全に口説(くど)いている」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………、」

 

 しかし達也には、三年生が漏らした呟きなど聞こえなかった。

 ここまで深雪が怒ったことは、過去を掘り返してもなかなか出てこない。

 無表情で一切の言葉を発しない妹から溢れ出すオーラに、圧倒されていたのだ。

 が、それが不味かった。

 七草真由美を放置することが何を意味するかを、理解していなかった訳でもないのに。

 裁断者は告げる。

 

「ねぇ縁くん、他には何か言ってなかったかなー?」

 

 貴女に何か悪いことでもした、とでも言うのか。

 達也は現実に存在していた悪魔に、心の底から呪いをかけたが、牧原の口を塞ぐことは叶わなかった。

 

「確か、良く聞こえなかったけど……、好きって言ってたかなー」

 

 それは彼女が飲んでいたジュースの話だ‼ と達也が叫ぶより、一足先に状況が動く。

 最悪の方向へ。舵を切るのを許してしまった。

 牧原縁曰(いわ)く。

 

「あと、意味はよく分からないけど、せーへき(性癖)って言葉も出てk

 

———プツン。

 

 

行間1

 

 

 被害自体は軽微なものだった。

 

 風紀委員会からは、委員長と一人の委員が。

 また、生徒会からは、会長と一人の役員が。

 それぞれ二名ずつ、風邪による欠席者が出ただけであった。

 

 しかし、誰もが詳細を語ろうとしなかった。

——まるで何かを恐れるように、口をつぐむだけであったのだ。

戦闘中の口調について

  • トレース先の禁書キャラそのままに
  • トレース中でも円周ちゃんらしく
  • どっちも見たい
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