魔法科世界に禁書魔術で挑みます! 作:Natrium
叔母上「優先する。人肉を下位に、光を上位に」
そしてネーミングが‘光’の処刑っていう神一致。
修理に出していたPCが帰還したので、更新再開致します
1
疾ッッ‼ と空を駆ける影が一つ。
一本の箒に腰かけた、牧原縁そのものである。
「紗耶香お姉ちゃん!」
階段を降り切った壬生紗耶香の進路をふさぐように、彼はフロアの中央に舞い降りた。
その様相はさながら――
「飛行魔法……っ⁉」
「んー、惜しいけどハズレかなー? そんなお姉ちゃんには残念賞をプレゼント~」
その言葉を受けて紗耶香は、ただの加速系魔法だとあたりを付ける。
そもそも飛行魔法は加重系魔法の技術的三大難問であり、そう簡単に開発できるような代物ではないのだから。
(それにしても箒で飛ぶなんて……、魔女のようにしか見えなかったのだけれど。この子、結構女の子っぽい顔つきしているし……)
あながち間違ってはいなかった。
事実、彼が先ほどまで使っていた飛行魔術は、魔女の薬を用いたものであるのだから。
牧原は、目の前の彼女が飛行魔術の正体にニアピンしたとも知らずに告げる。
「でも、もう終わりだよ。お姉ちゃん、投降してくれないかな?」
「なんで邪魔するの、牧原くん! 私たちはただ、世間の差別の撤廃のために……」
「……お姉ちゃんは、本当に
「っ、当然よ‼ あの文書の中には、非魔法師にも有効な情報が含まれている、は、ずで……」
どうしても、先ほどの迷いがチラついてしまう。
何故か自分が矛盾した行動を取っているようにしか思えない⁉
そんな紗耶香の瞳孔をまじまじと見つめていた牧原は、小さな口を開いて告げた。
彼らの行動を正しいものであると認めるように。
「そっか、良かった~。やっぱり、お姉ちゃんは悪い人じゃなかったんだー?」
「……やっと分かってくれたのね? そうよ、私たちは――
いいや違った。
それが、『彼』にとっての決め手になっただけであったのだ。
牧原は口元に持ってきた指を左右に振りながら、
「
学習装置を司る『木原』、その輪郭が崩れ――いいや、一時的に上書きされる。
世界に位相を挟み込むように、見え方が一変する。
そこに。
そこに、現出したのは――
「『
最先端医療の代名詞、Heaven_Canceler。
異常という言葉では済まされない、救命のプロフェッショナルがここに。
2
「患者、ですって……?」
「……
「バカに……しないでっ‼」
紗耶香は下半身に力を込め、牧原に肉薄しようとする。
これ以上、余計なことを口走らせないために。
(このタイミングなら、あの魔法は間に合わない)
勝利を確信して、踏み込みを加速させる。
水流操作の古式魔法は確実に間に合わない。近接格闘に持ち込まれても、アドバンテージはこちらにある。
負けることはありえなかった。
なのに。
「
直後、流れた。
必殺の一撃が、どうしようもなく受け流される。
「なっ⁉」
「
牧原が懐から取り出した警棒を振るい、攻撃の威力を左に逸したのだ。
大きく前へ。
ギャリギャリと金属同士が擦れ合う音を発しながら、紗耶香の体が明確に躍る。
それは彼女にとって致命的な隙になり、
「っ、まだ、です‼」
間に合わせる。
横腹を狙った攻撃を受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ紗耶香。
「くっ……」
「はあっ!」
そして、掛け声と共に牧原の体が大きく吹き飛んだ。
力比べでは当然、彼女の方に分がある。本来なら小学校に通っているような年齢である牧原では、高校生の筋力と拮抗することができないのである。
「……
「あなたこそ。体格の差を考えたら、有利なのは私の筈なのに」
二人はそのまま距離を取り、間合いを計りなおした。
しかし、この均衡は長くは続かないだろう。
子供である牧原が彼女と互角に打ち合えているのは、なにより神裂の技量によるところが大きい。
剣道の道を究めた壬生紗耶香と、あくまでも歪なバランスの上に成り立っている牧原縁。
持久戦にもつれ込むほど、牧原の勝機は薄くなる。
(……けど、それまで待つ理由もない)
そう、彼が模倣したのは神裂火織の剣術だけではない。
彼の本質は学習装置。魔術の才能も、同様にコピーされているのだ。
変化は即座に現れた。
ッッッドン‼‼‼ と。
精緻な術式が発動し、牧原の体が大きく加速する。
「っ、速い⁉ まさか、自己加速術式を……ッ⁉」
「まぁ、字面は合ってるかな。……ニアピン賞?」
正面からの刺突を弾いたと思った瞬間には、既に背後に回り込まれている。
鍛えられた第六感で剣を振るい、鍔迫り合いに持ち込もうにもなお足りない。
速度が、絶対的に。
「く、がぁっ⁉」
当然、速度が上昇すれば、打撃の威力も相応に増加する。
子供の膂力からでは考えられない一撃が、紗耶香の脇腹を襲ったのだ。
軽く吹き飛ぶほどの衝撃を受け、彼女の顔が悲痛に歪む。
「……終わりだよ、紗耶香お姉ちゃん」
「くっ、まだ……」
やけに声が遠くから聞こえた気がした。
それほどのダメージを負ってしまったのかと考えていた、が。
「
振り返ると彼は。
ホールの天井にある照明を操作する、多数の調節装置の前に——
「……
直後のことだった。
バズンッッッ‼⁉ と紗耶香の体が不気味に痙攣し、その意識も同じく闇の中へと吹き飛ばされた。
Q.主人公何したの?
A.照明いじって、