ヌカワールドに連れてこられたパーパルディア皇国人に待っていたのはウェイストランド流のお・も・て・な・し(総支配人監修Ver)であった。
連行される一行を珍しそうに見る爆弾首輪を嵌められた奴隷とレイダー達。
その一行が連れてこられた場所はところどころボロボロになったコンクリート造りの小さな建物であった。
連行しているレイダー達は全員が総支配人の命令に従っている。
前総支配人のコルターを瞬殺した男、それが111と書かれたVaultスーツを着て腕にPip-boyを装着した総支配人だ。
戦前生まれと言う噂からヤキの回ったコルターがヘマをして死んだだけだと何人もの腕自慢のレイダーが総支配人を襲い、そして返り討ちにあい血祭りにあげられた。
ヌカワールド内の3つの派閥のレイダーを圧倒的カリスマ性と話術と暴力でまとめ上げた。
今では総支配人に逆らおうとするバカはいない。
総支配人について行けば水や飯、クスリに不自由はしない上に上手くいけばキャップ儲けが出来るからだ。
「おら、入れ!」
乱暴に部屋に押し込まれる一行。
すぐにドアが閉められ、レイダーに命令され奴隷は部屋の中につながるチェーンを一気に引っ張る。
ガラガラガラドンッとチェーンが引っ張られる音の後に重い物が落ちる音が真っ暗な部屋に響いた。
暗闇の支配する部屋に押し込められたパーパルディア人達は何が起きていてこれから自分達がどうなるのか不安で気が狂いそうだった。
憤りの声や啜り泣く声に混じり音がした。
何かが擦れる様なカサカサとした音。
「うわっ!?」
「きゃっ!?何か足に触った!!」
部屋の外で頃合いかと判断したレイダーが室内灯の電源スイッチをオンにした。
急に明るくなり思わず目を腕で覆うパーパルディア人達。
「きゃあああああああぁぁぁっ!!?」
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ひいぃぃぃぃぃっ!?」
全員が一斉にそれを見て悲鳴をあげた。
それは本来の状態でも見ただけで悲鳴をあげる者も珍しくはない。
日本だけではなくこの異世界においても人類共通の敵。
だがこの部屋に放たれたそれらは最終戦争で撒き散らされた放射線の影響でその姿を何十倍もの大きさに巨大化させた巨大ゴキブリ・・・ラッドローチであった。
「うわあああぁぁぁっ!やめろおおぉぉぉぉっ!!」
「開けて開けて開けて!何でもするからここから出してぇっ!!」
「なんでこんな事するんだぁぁぁぁっ!!」
その悲鳴はマイクを通じて総支配人に聞こえていた。
椅子に座った総支配人はこのヌカワールドの中で最高級のソファに座りサンフランシスコ・サンライツをふかしながら膝にじゃれついている愛犬ドッグミートの頭を撫でながらその悲鳴を満足げに聞いていた。
しばらくしてパチンと総支配人が指を鳴らす。
側にいたレイダーがすぐ側にあるマイクを手にし事前に命令された指示を伝える。
ブシュウッ!!
ラッドローチの大群が床で転げ回っていたりドアをドンドンと半狂乱で叩くパーパルディア人に群がっていたが突如として室内にガスが噴き出す。
途端にラッドローチ達はバタバタとひっくり返り脚を痙攣させる。
バタンと乱暴にドアが開かれドカドカとレイダー達が入って来る。
「おらおらモタモタするな!総支配人を一秒でも長く待たせるな!」
そのグループのリーダー格が手下に指示する。
手下レイダー達はラッドローチに引っかかれたり体当たりされ傷だらけのパーパルディア人達を引き摺り出す。
「おら奴隷ども!後始末サボるんじゃねぇぞ!!」
部屋に転がるラッドローチの始末をレイダーは奴隷に丸投げする。
奴隷達もやはりウェイストランド人であり、躊躇することなく素手でラッドローチを拾い元の容器内に戻す。
このラッドローチは死んでおらず仮死状態であり、1時間もすれば活動を再開するからだ。
傷だらけのパーパルディア人達は総支配人の前に跪かされていた。
パーパルディア人達から見てレイダー達が薄汚れたボロい服を着て寄せ集めの防具を身につけているのに対し、総支配人の姿はある意味異質だった。
全身ブルーのピッチリとした服を着、腕に奇妙な箱をつけている。
葉巻を吸い、側のレイダーにアイコンタクトをする。
「いいかてめぇら、今から総支配人の言葉を伝える。今からする質問に正直に答えろ。嘘や誤魔化しを言ったらさっきの部屋に逆戻りだ。総支配人の望んでいない答えだった場合もさっきの部屋に逆戻りだ。次は出さねぇ。よく考えて答えろ、総支配人の役に立つ情報を言えた奴は爆弾首輪を嵌めて奴隷として生かしてやる。それ以外は・・・言うまでもねぇがな・・・」
ドスを効かせたレイダーの言葉がパーパルディア人達を震え上がらせた。
作者がラッドローチ部屋に放り込まれたら?
ショック死する自信がある。