「何がどうなってるんだ!?」
「軍は一体何をしているんだ!早くなんとかしてくれよ!」
爆音や銃声が続け様に聞こえたデュロは朝から混乱に包まれた。
その上デュロの治安機関の建物が派手に吹き飛んだという噂があっという間に広がった。
警備兵に詰め寄る住民達によって警備兵の動きに支障が出るという悪循環。
「ええい!落ち着かんか!狼藉者はすぐに成敗するから落ち着かんか!貴様らが騒いで軍を妨害しているのに気付かんのか!!すぐにデュロ防衛隊基地から救援が来る!心配するな!」
部隊長が詰め寄る住民達に向かって叫ぶ。
部隊長は既にデュロ防衛隊基地が壊滅していることを知る由もなかった。
その部隊長の視線の先には我先にと逃げてくる住民達、そしてその後方は建造物が燃えているのか黒煙が上がっていた。
デュロ住宅街。
ドガッ
バキッ
ベキッ
そんな音があちらこちらから聞こえる。
レイダー達がデュロの様々な店舗や倉庫の扉を破壊してこじ開ける。
「食い物は根こそぎ奪え!使えそうな物、食える物は手当たり次第に掻っ攫え!!」
指揮をするレイダーが大声で指示を飛ばす。
「離して!離してぇっ!!」
そんな中、女の悲鳴がした。
指揮をするレイダーが見れば略奪をしていたレイダーが抵抗する女を引き摺っていた。
「騒ぐな!こいつ隠れてやがった!殺すか!?」
「いや!ヌカワールドの労働力確保も必要だ!そいつも奴隷として使う!縛って他の奴らと同じ様にバスかトラックにでも放り込んでおけ!やることはまだまだあるぞ!」
ドガッ!っとレイダーは女の腹を容赦なく殴る。
涙と涎を垂らし苦痛に呻く女は縛られ荷物の様にトラックの荷台に放り込まれる。
その上に容赦なく物資の詰まった箱やらが乗せられて行く。
デュロの工場エリアにおいても物資が次々とが運び出される。
予想より資材になるものが多いと言う嬉しい誤算のため、総支配人の指示で一部のバスやトラックは資材を満載し先にヌカワールドへ帰還する。
その入れ違いの様な形でヌカワールドからの追加の輸送隊がデュロに向かう。
ヌカワールドに帰還したらすぐに資材を降ろし再度デュロに向かう。
ここでも捕獲されたパーパルディア人が住宅街と同様に積み込まれていたが工場エリアの資材の方が重量があるのは当然であり、荷物の様に積み込まれていたパーパルディア人の半数以上が圧死か重傷を負っていたが治療をされるわけでもなくヌカワールド入り口の脇にゴミの様に乱雑に積まれている。
なお、パーパルディアの軍事的に重要なエリアであり当然ながら住宅街よりも多くの警備兵が配備されたがレイダーだけではなく錬金術師の異名を持つ総支配人がクラフトしたタレットが至る所に配置されその射程圏内に入った警備兵はあっという間に冷たい骸を地面に晒すことになった。
「逃げろ逃げろ!」
「おい!そこをどけ!」
「馬鹿!こっちからも来てるんだよ!」
「な、じゃあどこに逃げりゃいいんだよ!?」
「俺が知るか!自分で考えろ!」
「防衛隊は何をしてるんだ!」
昼を過ぎた辺りの時間帯になった。
住民達は我先にと逃げ惑うが総支配人の指揮下で進むレイダー部隊と撹乱部隊の活躍で偶然にも逃げ場を塞がれ広場に追い詰められつつあった。
それに気付いた時には遅く、住民達は悲壮感に包まれる。
そして遂に・・・広場に続くメインストリートに作られた即席のバリケードがミサイルランチャーで吹き飛ばされる。
「助けてくれ!誰か助けてくれぇっ!」
「死にたくねぇよぉ!」
「いやぁー!お母さーん!」
ゾロゾロと雪崩れ込みレイダー達。
パンッと発砲音がして一人のレイダーが倒れる。
「やった!?」
「いいぞ!」
「他の奴らもやってくれ!」
パンッ!
パンッ!
パンッ!
警備兵達が続け様に銃を撃つがレイダー達は一人が被弾したのと同時に散開して遮蔽物に身を隠す。
発泡が終わり、警備兵達は次弾装填を始める。
だが悲しいかなフリントロック式マスケット銃。
次弾装填中の姿をレイダー達が見逃すはずもなく、容赦なく弾丸を叩き込む。
ダダダダッ!
パラララッ!
タンタンタンッ!
ビュンビュンビュンッ!
体を穴だらけにして倒れる警備兵やエネルギー銃で身体が溶ける警備兵様々だったが例外なく警備兵達は死んだという事実が残る。
先程撃たれたレイダーはとっくにスティムパックで回復を終えている。
ガシャンガシャンと音を立て、パワーアーマを装着した総支配人が広場に来た。
頭を左右に動かし状況を確認する。
そして・・・・
ガシャッ。
キュィイィィンッ。
総支配人が構えたミニガンが回転を始める。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
ミニガンが火を吹き、総支配人はそのままミニガンでなぎ払う様に動かす。
「ぎゃぁっ!?」
「ひぃっ!?」
「ひびょっ!?」
様々な悲鳴が上がるがミニガンの発砲音に掻き消される。
ミニガンの砲身が赤熱し、発砲を終える。
広場には静寂が訪れる。
ミニガンによってバラバラになった死体、腹が破れ内臓を撒き散らした死体、頭が消し飛んだ死体。
様々な死がそこにあったが微かに泣き声や啜り泣く声があちらこちらから聞こえる。
総支配人から見て群衆の後方にいた者達は肉の壁が弾丸を食い止めたおかげで命拾いしたのだ。
サッと総支配人が腕を上げる。
数十数百の銃で武装したレイダーに囲まれ絶望で抵抗する気力を失った生存者は無傷・軽傷な者はヌカワールドで使う奴隷として、重傷な者は頭を撃たれ殺処分されて行く。
その日の夕方、異変を察知した帝都エストシラントから派遣された調査隊が目にしたのは略奪と破壊の限りを尽くされたデュロの町並みと道端や広場に転がる大量の死体の山だった。
魔信によってその情報を受け取った軍上層部は頭を抱えることとなる。
何故ならばこの日の昼、エストシラント沖においてパーパルディア皇国海軍は日本国による攻撃により海上戦力を失いそのまま海軍本部が吹き飛ばされ海軍の上層部が全員戦死したからであった。
それだけではなくエストシラント防衛基地も日本国による戦略爆撃で壊滅したのだった。
夜間にも関わらず緊急事態ということで急遽開催された御前会議。
夜に行われたことはなく、ルディアスは会議室に姿を見せた時から明らかに不機嫌だった。
会議室への入室と同時に「今度は何だ!?」と怒鳴り散らした。
同じ皇族であるレミールも不機嫌であり、ルディアスが姿を見せる前には「この様な時間に再びルディアス様をお呼び出しするとは不敬ではないか」とエルトやアルデに宥められていた。
海軍が壊滅しエストシラントの軍港が悉く破壊され更にはエストシラント防衛基地が壊滅したと数時間前に同じく緊急開催された会議で報告されていたルディアスは会議が始まって報告されたデュロに起きた悲劇を聞き眉間に青筋を立てていた。
「一体どういう事だぁっ!」
会議室にルディアスの怒声が響き渡った。
なんとかレミールを始めとした会議参加者全員が必死にルディアスを宥め、少しだがルディアスが落ち着きを取り戻した所で会議は再開された。
前回の会議で属領から統治軍を引き上げさせる事は決定していた。
だがそれでは遅すぎると誰ともなく発言し、その対策に頭を悩ませていたがルディアスは少しも進まない対策案に再びイライラを募らせていた。
「だったら臣民を徴兵すればいいだろう!明日にも触れを出せ!」
と、国民を即席の兵士にすると言い出したのだった。
誰もそれに匹敵するアイディアを思い付かず、ルディアスの勅令が翌朝に皇都全域において通達されると決定した。
ルディアスとレミール以外がお通夜ムードだった緊急御前会議が開かれていた頃、ヌカワールドでは宴会が開かれていた。
大量の食料と資源、そして奴隷を確保した総支配人の手腕にレイダー達はより一層自分達の指導者は今の総支配人以外にはいないと大盛り上がりであった。
日持ちしにくい食料の大盤振る舞いで更には奪ってきた酒を浴びる様に飲む。
奴隷達は取り敢えずサファリエリアの檻に閉じ込めているがそこに連れて行く時にレイダー達は見てくれのいい女達を選び別の場所に連行していった。
その女奴隷達はレイダー達の性欲処理の道具扱いで既に何時間も連続して犯され続けていた。
レイダー達はレイダーらしく酔ってその場で寝込んだりジェットやサイコでぶっ飛んでいたり様々であった。
翌日。
皇都エストシラントにおいて朝から臣民の緊急徴兵の実行がルディアスの名の下に掲示板だけでなく皇国内の公営、民営を問わず魔信によって通達が行われた。
その状況にパーパルディアを訪れていた旅行者や商人は不安を隠せず、逃げられる者は一人また一人と予定を切り上げて帰国や次の商売先に向かったりと在パ外国人の間でパーパルディアにいるのは危険だという空気が広がっていた。
ヌカワールドにおいても新たな動きがあった。
総支配人の発表が園内放送を通じて全レイダーに通達されたのだった。
その内容は・・・・皇都エストシラントの襲撃実行と今回はヌカワールドの全戦力を投入すると言う内容だった。
ヌカワールドを揺さぶらんばかりのレイダーの歓声が湧き上がった。
なお、余談ではあるが・・・・。
アルタラス王国ルバイス基地。
元はムー国がアルタラス王国に建設した空港であるが現在は日本国の手によって改修工事が行われ航空自衛隊の戦闘機や哨戒機が配備されている。
プレハブによって自衛隊の駐屯地が設置され、対パーパルディア皇国の軍事行動を行なっている。
そんな在アルタラス自衛隊駐屯地においてパーパルディア皇国の方角から電波が検出されたという事でちょっとした騒動になっていた。
この世界では魔信がラジオやテレビの様な役割を果たしているがそれに使われているのは電波ではない。
現時点でこの世界において電波を使った通信を行なっているのは日本以外にはムー国ぐらいしかない。
そんな中、パーパルディア皇国の方角からの電波。
距離があるからか減衰しておりまともに受信できないため、本土から急遽機材を取り寄せつい先程設置と調整が終わったばかりであった。
技師が電源を入れ電波を探り出す。
時折ノイズでピーやらガーやら甲高い音が出るが技師は慣れたもので電波の波形をモニターで確認しながら調整、増幅して行く。
やがて意味のありそうな電波をついに受信し、技師は増幅を行いその電波信号が音声としてスピーカーから聞こえ出す。
『・・・・・よび・・・・・・は・・・・・です・・・・・』
微調整をさらに行う。
遂に周波数と調整が終わり、時折ノイズが混じるが比較的安定した音量でスピーカーから音が流れ出す。
軽快なメロディーと共に歌が流れる。
(推奨BGM・Fallout 4 Nuka-World Theme Song)
コーラと言う日本でも親しまれている飲料の名前が出たり最低限の安全基準も守ってるなど大分アレな言葉も飛び出し技師だけでなく同席していた駐屯地の基地司令を始めとした自衛隊員も目を丸くしていた。
『ザザッ・・・・ヌカワールド・・・ザッ・・・アメリカで最も・・・・ザザッ・・・ザザザーッ・・・・ヌカコーラの空き瓶・・・ザーッ・・・門のところで15ドル引きに・・・・ザザザーッ』
再び先程の音楽が流れ、同じ内容の放送が繰り返される。
そのリピートされるラジオ放送に自衛隊員達は絶句していた。
ヌカコーラ、アメリカ、15ドル等、一部を除いて聞き覚えのありまくる名称が出てきたからだ。
この情報はすぐに本土へ報告され、日本政府は戸惑いつつも調査の継続と電波の発信元の特定を対パーパルディア戦に次ぐ重要事項として通達したのだった。
最後の方は完全に余談です。
本編においてはあまり日本は出てきません。